成績表に書けない才能

深渡 ケイ

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第19話:中退の紙

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 第3進路室のドアのガラスには、文化祭の片付けで剥がしきれなかった養生テープの跡が残っていた。机の端には、橘マリが渡していった運営ログの束。静はホチキスを留め直しながら、写真のプリントをクリアファイルに差し込んでいた。

 ノックは一回。遠慮がないというより、力が入らない音だった。

「どうぞ」

 入ってきたのは男子生徒だった。制服のネクタイが緩い。靴の踵が潰れている。目は静を見ないで、机の上を見ている。

「山科、だっけ」

「……山科レオっす」

 レオは鞄から白い紙を出した。折り目が何本もついている。机に置くと、紙が少し滑って、静の指先に当たった。

「中退届」

 静は紙に手を置いたまま、すぐには開かなかった。

「誰の字」

「母の。……俺のも書くとこあるんで」

「担任は」

「佐伯、今忙しいって。文化祭の写真、選ぶとかで」

 レオが唇を噛んだ。奥歯の方で音が鳴る。

「第3行けって言われました。ここなら……どうせ、って」

「どうせ?」

「どうせ、落ちこぼれの部屋でしょ」

 静は中退届を一度だけ持ち上げ、紙の厚みを確かめるように戻した。

「落ちこぼれでも、紙は重い。理由、言える?」

 レオは肩をすくめた。笑いにならない顔で。

「金。あと、家」

「金は具体的に」

「父、いないんで。母、パートで。俺、バイト増やすと遅刻増えて、怒られて、欠席扱い増えて。……もう、詰みっす」

「今、何のバイト」

「コンビニと、夜の皿洗い。皿洗い、終電ないと歩き。朝、間に合わない」

 静は机の引き出しから出欠のファイルを開いた。レオのページを探す。遅刻の欄が赤で埋まっていた。

「遅刻、今月だけで八。欠席二。出席停止はない」

「停学もらう前に辞める方がマシっすよ。教頭に目ぇつけられたら終わりだし」

 教頭の単語が出た瞬間、室内の空気が一段硬くなった。静はページを閉じた。

「黒川は数字が好きだ。遅刻は数字に残る。だから、残る前に消したいってこと?」

 レオは目を上げた。静の顔を初めて見た。

「……消したいっす。だって、残ったら、どこも取ってくれないじゃん」

「中退はもっと残る」

「でも働ける」

「働ける。が、選べる仕事は減る」

 レオは舌打ちしそうになって飲み込んだ。

「じゃあ、どうしろって」

 静は椅子にもたれず、前に少し身を乗り出した。

「選択肢を並べる。中退も含めて。今決める必要はない。今日、ここに来た時点で、まだ止まってる」

「止まってないっす。紙、持ってきたし」

「持ってきた。提出してない」

 レオの指が中退届の端を叩いた。トントン、と焦りのリズム。

「母がさ、もう限界って。俺が家にいると喧嘩になるって。『学校行ってないなら働け』って。俺も、家に帰りたくなくて、夜入れて……」

「家に帰りたくない理由、喧嘩だけ?」

 レオは一瞬、喉が詰まったように口を開け閉めした。

「……母の男がいる。最近」

 静は「そうか」とも「大変だな」とも言わない。代わりに、カレンダーを指で叩いた。

「今週、何回家に帰って寝た」

「二回」

「ほかは」

「友達んち。あと、店のバックヤードで仮眠」

「その状態で中退しても、住む場所の問題は残る。働くなら、なおさら」

 レオは椅子に深く沈んだ。肩の力が抜けて、怒りの代わりに疲れが顔に出た。

「じゃあ、寮とか? そんなの、俺の成績じゃ無理っしょ」

「成績で入る寮もあるけど、働きながら入る寮もある。住み込み。工場、ホテル、介護補助。年齢と条件は確認が必要」

「介護とか、無理」

「今無理って言った。理由は?」

「人の世話とか、向いてない」

「向いてない根拠」

 レオが黙った。言葉が出ないというより、言い切るほどの余裕がない。静は机の上の文化祭の写真を一枚、裏返して置いた。舞台裏で、誰かがケーブルをまとめている手元の写真だ。

「文化祭、何やってた」

「……音響。配線。マイクの電池替え。あと、搬入」

「誰が頼んだ」

「橘さん。『レオ、手早いから』って」

 静は頷いた。写真を指先でトン、と叩く。

「手早い。現場でミスが少ない。そういうのは、成績表に書けない。でも職場では数字になる。作業時間、クレーム数、事故ゼロ」

 レオが鼻で笑った。

「それ、学校じゃ評価されないじゃん。佐伯なんか、『表に出ろ、写真映え』って。俺が裏で走っても、誰も知らねえ」

「知ってる人はいる。橘がログ取ってた。俺も写真がある」

 レオの目が机のファイルに吸い寄せられた。

「……それ、何に使うんすか」

「月曜に親同席で進路の整理をする予定がある。別件で。で、黒川は『形と数字』しか見ない。だから、形にする。君にも使える」

「俺に?」

「中退しないで、学校に残りながら、働き方を変える。奨学金じゃなくて、就学支援金、授業料の減免、交通費の問題。まず家計の状況確認。母親の同意が必要」

 レオは顔をしかめた。

「母、来ないと思う。仕事だし、俺のこと、もう…」

「来ないなら、電話。本人確認して、状況を聞く。君が『家に帰れない』は、学校としては放置できない。生活指導やスクールソーシャルワーカーにも繋げる」

「そんなの、やったら余計揉める。母の男にバレたら」

「揉める可能性はある。が、今のままでも揉めてる。揉め方を変える」

 レオは唇を引いて笑った。乾いた笑いだった。

「先生、綺麗事言わないって聞いたけど、結局『頑張れ』っすか」

 静は中退届を持ち上げ、真ん中で折れた線に沿って指を滑らせた。

「頑張れは言わない。頑張ってるのは見えてる。今必要なのは、体力を削らない仕組み。夜バイトを減らすか、時間帯を変えるか。学校の出欠を守るか、守れないなら守れる形に変える。例えば、通信制への転学。定時制。中退じゃない道」

「転学……」

「手続きは面倒。時間もかかる。だが中退よりは残るものが多い」

 レオは中退届を見た。紙はまだ白く、何も書かれていない欄が残っている。

「でも、教頭にバレたら、『うちの実績に傷』とか言われるでしょ」

「言う。だから先に動く。黒川は手続きの不備と欠席の数字で殴ってくる。こちらは書類と根拠で返す」

 レオの眉がわずかに動いた。信じたいわけじゃない。でも、殴られっぱなしじゃない言い方が、少しだけ刺さった。

「……俺、勉強できないっすよ」

「できないことは後でいい。今は生活が崩れてる。生活が崩れたら勉強は無理。順番」

 静は机の端からメモ用紙を一枚引き寄せ、ペンを持った。

「今、月いくら必要」

「……家に入れてるのが三万。あと自分の携帯と、飯。交通費」

「母の収入は」

「知らない。聞くとキレる」

「じゃあ、君の収入。今月の見込み」

「……十万ちょい」

 静は書いた数字に線を引いた。

「十万で、睡眠が削れて、遅刻が増える。続かない。続かない働き方は、途中で倒れてゼロになる。君が倒れたら、家はもっと詰む」

 レオは目を伏せた。指が膝の上で握られる。

「倒れたくないっすよ」

「なら、倒れないようにする。今日やることは二つ」

 静が指を二本立てる前に、レオが反射で言った。

「箇条書きみたいなのやめて。説教っぽい」

 静は指を下ろした。

「じゃあ言う。ひとつ、今日この紙は出さない。ここに置いていけ。ふたつ、バイト先のシフト表、写真でいい、見せろ。睡眠を確保する組み方を一緒に考える」

 レオは鞄を抱え直した。

「置いてったら、勝手に破られたりしないっすか」

「しない。保管する。鍵のかかる引き出しに入れる」

「鍵……教頭が監査とか言ってたって聞いた」

 静の視線が一瞬だけ、ドアの方へ流れた。廊下の気配はない。

「監査はあり得る。だから、保管記録も残す。何月何日、本人から預かった。君の署名。俺の署名」

 レオが目を丸くした。

「そこまで…」

「黒川はそこまでやる。だからこっちもそこまでやる」

 レオはしばらく黙っていたが、やがて中退届をそっと机に押し出した。紙の端が静の手元に重なる。

「……出さない。今日だけ」

「今日だけでいい」

 静は引き出しを開け、透明な封筒に中退届を入れた。日付を書き、レオにペンを差し出す。

「署名。ここ」

 レオはペンを握った。手が少し震えて、字が歪んだ。

 署名が終わると、静は封筒を引き出しの奥に入れ、鍵を回した。カチリ、と小さな音。

 その音に、レオの肩が少し落ちた。

「……先生、俺、家帰りたくないっす。今日も」

「今日は、どこで寝るつもりだった」

「店のバックヤード。怒られるけど」

 静は時計を見た。まだ放課後の早い時間だ。

「今から、スクールソーシャルワーカーの先生に繋ぐ。今日来てる日だ。話すだけでいい。決めなくていい」

「……そういうの、俺、嫌いなんすけど」

「嫌いでいい。必要なら使う。それだけ」

 レオが小さく頷いた、そのとき。

 ドアの外で足音が止まり、ノックが二回、短く鳴った。

「桐生先生。今、よろしいですか」

 佐伯の声だった。軽い調子なのに、どこか急かす硬さが混じっている。

 静はレオの方を見た。レオは椅子の背に手をかけ、立ち上がりかけて止まった。

「……俺、出ます?」

「出なくていい。君の話の途中だ」

 静は声を整えて返した。

「今、面談中です。要件は?」

 扉の向こうで一拍。

「小森の件で。教頭からも確認が入ってて。今日のうちに整理したいんですけど」

 レオの目が揺れた。自分の紙が引き出しに入ったばかりのタイミングで、「教頭」の名前がまた落ちてくる。

 静は椅子を引く音を立てずに立った。

「分かりました。五分だけ待ってください」

「五分でいいです。お願いします」

 足音が遠ざかる。

 静はレオに向き直った。

「山科。ここにいるか、別室に移るか、選べる」

 レオは喉を鳴らした。

「……ここにいる。逃げるの、もう疲れた」

「いい」

 静は机の上のメモを折り、レオに渡した。そこには、今日確認するものが短く書かれている。シフト表、給与明細、母の連絡先。

「これ、できる範囲で。できないのは空欄でいい」

 レオは紙を握りしめた。

「先生、俺……月曜まで持つかな」

「持たせる。方法を探す。保証はしない。けど、今日よりはマシにする」

 静がドアに手をかける。開ける直前、振り返った。

「俺が戻るまで、引き出しは触るな。触れないけど」

「……分かってる」

 静が出ていくと、レオは一人、進路室の椅子に座り直した。机の上には、文化祭の裏方の写真が裏返ったまま残っている。

 廊下の向こうから、佐伯の声と、誰かの早足が重なる。教頭室へ続く方向だ。

 レオはその音を聞きながら、握ったメモをゆっくり開いた。紙の角が、汗で少し柔らかくなっていた。


 静が廊下に出ると、佐伯は壁にもたれてスマホをいじっていた。文化祭のストーリーを上げている手つきのまま、顔だけ上げる。

「先生、助かります。小森、教頭室で変なこと言い出してて」

「変なこと、じゃなくて。本人の希望が変わったんだろ」

「希望っていうか、気分っすよ。推薦どこでもいいって言ってたのに、今さら『家出たい』とか」

 佐伯は肩をすくめ、軽く笑う。笑いの中に焦りが混じっている。静は笑わない。

「月曜まで猶予って話だったな」

「猶予って言っても、黒川先生が『鍵ケース監査』とか言ってて。文化祭の備品管理、ガタついてたら進路室ごと締められますよ? 今、余計な揉め事増やさないでください」

「余計かどうかは、本人が決める」

「じゃあ、桐生先生が責任持って収めてください。進学実績に傷つくの、こっちなんで」

 静は一歩だけ佐伯に近づいた。

「“こっち”って誰のことだ」

 佐伯が目を逸らす。

「学校です。クラスです。俺です」

「生徒は入ってないな」

「……先生、理想論やめましょ。数字が全部なんだから」

 静は返事をせず、教頭室の方向へ歩き出した。佐伯が慌てて横に並ぶ。

「あと、山科も来てるって聞きましたけど。中退とか? そういうの今やめてほしいんですよね。文化祭で学校のイメージ上がってるとこなのに」

「聞いてるなら、口を挟むな」

「いや、担任として――」

「担任なら、遅刻八回の時点で動け」

 佐伯の足が一瞬止まった。静は止まらない。

 教頭室の前まで来ると、扉の中から低い声が漏れていた。黒川の声ではない。生徒の、掠れた声。小森だ。

 佐伯がノックしようとした手を、静が目だけで制した。代わりに静が軽く叩く。

「桐生です。入ります」

 扉を開けると、小森シンがソファに沈んでいた。制服の襟がよれて、手は膝の間で固く組まれている。向かいの椅子には、生活指導の教師が座っていた。机の上には、用紙が数枚。進路希望調査のコピーと、何かの確認書。

「桐生先生……」

 小森は目だけ動かして静を見た。助けを求める目というより、もう諦めている目だった。

 生活指導の教師が言う。

「小森が、推薦の希望を撤回したいと言い出しましてね。親御さんにも連絡が必要ですし」

「月曜まで猶予のはずです」

「教頭が『週明け一番で報告を』と」

 “教頭”の単語が、部屋の空気を締める。静は椅子を引かずに立ったまま、小森に向けて言った。

「小森。ここで言っていい。何を変えたい」

 小森は喉を鳴らした。言葉が出るまでに時間がかかる。

「……推薦、いらないっす」

「理由」

「家……出たい」

 生活指導の教師が咳払いをする。

「それは家庭の問題で――」

 静は遮らない。ただ、小森の言葉の続きを待つ。小森が唇を噛んで、やっと吐き出す。

「家にいたら、働けって言われる。学校行っても、帰っても。俺、家にいる意味ないっす」

 静は頷いた。

「家を出る方法はある。だが、今のまま飛び出すと地獄に落ちる」

 佐伯が「言い方」と小声で挟むが、静は気にしない。

「小森。中退して家を出る。これが一番早い。でも一番詰む可能性が高い」

 小森の眉が動く。

「……詰むって何が」

 静は指を折らない。淡々と並べる。

「住む場所。保証人。初期費用。携帯の契約。バイト先の身元確認。病気した時の保険。全部、親がいないと止まる場面がある」

 小森が目を伏せる。

「働けばいいじゃん」

「働く。月にいくら稼げる」

「……十、いや、もっと」

「“もっと”は数字じゃない。時給いくら、何時間。夜やれば増える。でも夜やると体が壊れる。体が壊れたら収入はゼロ」

 生活指導の教師が口を挟む。

「桐生先生、そこまで言わなくても。本人を追い詰め――」

「追い詰めてるのは現実です」

 静は一拍置いて、小森を見る。

「だから回避策を出す。中退しなくても、家を出る道はある。条件付きで」

 小森が顔を上げる。

「……あるの?」

「ある。たとえば、就職で寮付き。卒業してから。卒業までの間は、学校を盾にする。『卒業するために必要』って言えば、家も簡単には切れない」

 小森は鼻で笑った。

「家、切るっすよ。簡単に」

「切るなら切るで、手続きが必要になる。児童相談所の年齢じゃない。だから福祉につなぐ。スクールソーシャルワーカー。市の相談窓口。緊急で泊まれる場所があるか確認する。ただし、万能じゃない。空きがないこともある」

 小森は黙る。期待が膨らみかけて、また萎む。

 静は続けた。

「もう一つ。転学。定時制か通信制。働きながら卒業できる形に変える。親の同意が必要になる場合が多い。だから、話し合いが必要」

 佐伯が苛立ったように言う。

「転学とか、学校の実績に――」

 生活指導の教師が佐伯を制するように視線を送った。だが佐伯は止まらない。

「黒川先生が嫌がりますよ。うちの“進路実績”の数字、落ちるんで」

 静は佐伯に向けて言った。

「数字が落ちるのが怖いなら、生徒が壊れる前に動け」

 佐伯が口を開く前に、小森がぽつりと言った。

「……俺、壊れてるのかな」

 静は「大丈夫」とは言わない。代わりに、小森の手を見る。指先が白い。

「今、眠れてるか」

「……寝てない」

「飯は」

「食ってない日ある」

「それが続くと、学校どころじゃない。だから、今日決めることは一個だけでいい」

 小森が静を見上げる。

「何」

「中退届、今は出さない。出すなら、出した後の住む場所と働き方が決まってから」

 小森が息を吸って、吐く。短い吐息。

「……でも、家に帰ったらまた言われる」

「言われる。だから、言い返す言葉を用意する。『卒業する方が就職が楽』。これが現実」

 佐伯が鼻で笑う。

「現実、って。そんなの親に通じます?」

 静は佐伯を見ずに、小森にだけ言う。

「通じないなら、通じないで次。親と話す場を学校が作る。月曜、第3進路室。親を呼ぶ。来ないなら電話でもいい」

 小森が唇を噛んだ。

「親、来るかな」

「来させる。来なければ、来ないという事実を記録する。黒川は記録が好きだ。だから、こっちも記録で守る」

 生活指導の教師が眉を上げる。

「教頭の名前を出すのは……」

「出さないと、動きません」

 静は小森の前にしゃがみ込まず、距離を保ったまま言った。

「小森。家を出たいのは、逃げじゃない。でも、準備なしの家出は“途中で戻る”か“壊れる”。その二択になりやすい」

 小森が小さく首を振る。

「戻りたくない」

「なら、戻らないための準備をする。今日から」

 静は立ち上がり、机の上の用紙の一枚を手に取った。進路希望調査のコピーだ。小森の欄は乱暴に消されている。

「これ、消すな。消した跡は弱い。訂正印で直す。形に残す」

 佐伯が舌打ちした。

「そこ、こだわるんすね」

「黒川がそこを突くから」

 静は生活指導の教師に向けて言う。

「月曜の面談、同席お願いします。スクールソーシャルワーカーにも声をかけます」

「……分かりました。ただ、親御さんが荒れる可能性も」

「荒れる前提で段取りします」

 小森が立ち上がった。足元がふらつき、ソファの背に指が引っかかる。

「先生。俺、今日……どうしたら」

 静は一瞬、廊下の向こうを思い出す。第3進路室に残してきた、山科レオ。中退届を鍵の中にしまったばかりの。

「まず、第3進路室に来い。今、別の面談中の生徒がいる。お前だけ特別扱いはしない」

 小森は少しだけ口元を歪めた。

「……わかった」

 佐伯が苛立ちを隠さずに言う。

「桐生先生、山科も小森も抱え込んで、月曜までに片付くと思ってるんですか。教頭、週明け一番で数字出せって言ってるんですよ」

 静は扉に手をかけたまま振り返る。

「片付けるためじゃない。潰さないためにやる」

「同じでしょ」

「違う」

 静は扉を開け、小森を先に出した。廊下に出ると、遠くで鍵ケースの金属音がした。誰かが点検している。文化祭の後始末が、監査の前触れみたいに響く。

 小森がその音に肩をすくめる。

「……学校ってさ、怖いっすね」

「怖い。だから、使い方を覚える」

 静は歩き出し、小森が半歩遅れてついてくる。

「先生」

「何」

「中退したら、ほんとに地獄?」

 静は足を止めないまま答えた。

「地獄になる確率が上がる。地獄じゃない道もある。だが、勝手には開かない。手続きと、根回しと、時間がいる」

 小森は唇を引き結ぶ。何か言い返したいのに、言葉が見つからない顔。

 第3進路室のドアが見えてくる。ガラスの向こうに、レオの影が薄く動いた。

 静はドアノブに手をかけた。中では、二人の“中退の紙”が、同じ鍵の下で待っている。月曜まで、時間はもう多くない。


 静が第3進路室のドアを開けると、レオは椅子の上で背筋を固めていた。机の端に置かれた裏返しの写真を、指先で何度も撫でている。

「……先生」

 レオの声が少しだけ上ずる。

「待たせた」

 静の後ろから小森が入ってきて、室内を見回した。レオと目が合い、どちらも気まずそうに視線を外す。

「空いてる椅子、そこ」

 静が指すと、小森は黙って座った。膝が小刻みに揺れている。

 レオが小森をちらりと見て、静に戻す。

「今の、誰」

「同じように揉めてるやつ」

 小森が小さく言う。

「小森」

 レオが頷く。

「山科」

 名前だけの交換で、会話が途切れる。進路室に残った文化祭のテープ跡が、二人の沈黙を区切る線みたいに見えた。

 静は机の上のファイルを閉じ、二人の間に置いた。

「今から、現実の話をする。嫌なら帰っていい」

 レオが先に言った。

「帰る場所ないっす」

 小森も、ほとんど同じタイミングで。

「俺も」

 静は「そうか」とだけ言って、椅子に座らず立ったまま話し始めた。

「二人とも、“出る”って方向に引っ張られてる。家から。学校から。だから、出た後の話を先にする」

 レオが口を尖らせる。

「さっきも聞いた。中退したら地獄、とか」

「地獄って言葉が嫌なら、詰む、でもいい」

 小森が笑いかけて、途中でやめた。

「詰むって、ほんとよく言うっすね」

「詰むのは、気合が足りないからじゃない。制度と契約の問題だ」

 静は机の端を指で叩く。

「住む場所。保証人。初期費用。保険。これが揃ってないと、働いてても詰む。働けなくなった瞬間、終わる」

 レオが言う。

「じゃあ、残るってこと?」

「残る、も選択肢」

 レオの目が揺れた。静の言葉を、信じたいのに信じきれない目。

「……残るならさ。誰かが助けてくれるんすか」

 静は少し間を置いた。すぐに「助ける」と言うと、レオはそれにしがみついてしまう。言わないと、レオは紙を取りに行く。

 静はレオの靴を見た。踵が潰れている。歩いて帰った夜の数だけ潰れている。

「助ける」

 レオの肩が僅かに動いた。

 静は続ける。

「ただし、条件がある。君も動く」

 レオの眉が寄る。

「……結局それっすか。俺、もう動いてる。バイトして、遅刻して、怒られて」

「それは“削ってる”。動くは“増やす”だ」

 小森が首を傾げる。

「増やす?」

「選択肢を増やす動き。記録を揃える。連絡を取る。時間を守る。言い方を変える。相談に来る」

 レオが苛立ったように言う。

「相談に来たじゃん」

「来た。だから今、紙は鍵の中だ」

 静は引き出しの鍵を指で叩いた。カチ、と金属が鳴る。

 その音に、小森が目を伏せる。

「鍵、ね……。監査とか来たら終わりじゃないっすか」

「監査が来ても終わらせない。だが、守れるのは“手順を踏んだもの”だけだ」

 レオが噛みつく。

「手順って、誰が決めたんすか。教頭?」

 静は目線を上げずに言う。

「教頭が好きなのは手順じゃなくて、処分できる穴だ。穴を塞ぐのがこっちの仕事」

 レオが舌を出しかけて飲み込んだ。

「……助けるって、具体的に何」

 静は机の上のメモ帳を引き寄せた。箇条書きにはしない。言葉で区切る。

「まず、今日。君のシフトを見て、睡眠を確保する形にする。夜の皿洗いを減らせるなら減らす。無理なら、店と交渉する材料を作る。“学校をやめる”じゃなく、“続けるために時間を変える”で交渉する」

 レオが鼻で笑う。

「店が聞くわけない」

「聞かない店なら、変える。求人はある。ただし、すぐ見つかる保証はない」

「じゃあ、俺が困る」

「困る前に動く。だから今日やる」

 レオが黙る。反論が出ないのは納得じゃなく、疲れているからだ。

 静は次に小森を見る。

「小森。君は月曜まで猶予。親を呼ぶ。来ないなら電話。荒れる前提で同席者を入れる。スクールソーシャルワーカーも」

 小森が顔をしかめる。

「親、絶対キレる」

「キレるのは止められない。止めるのは“君が一人で受けること”だ」

 小森の膝の揺れが少しだけ止まる。

 レオが小森を見て、ぽつりと言う。

「……お前も、中退?」

 小森が首を横に振る。

「わかんない。出たいだけ」

 レオが息を吐く。

「俺も。出たいだけ」

 静は二人の間に視線を落とす。似ているのは理由じゃない。追い詰められ方だ。

「助ける、の続き」

 レオが静を見た。今度は逸らさない。

「君が残るなら、学校の中で使える支援を当てる。授業料の減免の確認。就学支援金。バイトの時間調整。場合によっては転学。中退は最後に残す」

 レオが唇を噛む。

「母が、そんな書類とか嫌がる」

「嫌がるなら、“嫌がる理由”を聞く。怒鳴るなら、電話を切る。切った事実を記録する。学校はそれで動ける」

「動けるって、何が動く」

「生活の相談窓口につなぐ。学校だけで住む場所は出せない。だが、繋げることはできる」

 レオが目を細める。

「繋げる、って。たらい回しじゃないっすか」

「たらい回しになることもある。だから、君が途中で投げないことが条件」

 レオが拳を握る。

「投げないって、簡単に言う」

「簡単じゃない。だから条件だ」

 静は声を少しだけ落とした。

「君が『助けて』って言うなら、君は『必要な情報を出す』。これがセット」

 レオの喉が上下する。

「……情報って、母のこととか?」

「そう。連絡先。家計。今の生活。隠すと、助けようがない」

 レオが視線を落とし、机の木目を見つめた。しばらくして、ポケットからスマホを出す。画面を開き、指が止まる。

「母の番号、これ。……でも、勝手に電話したら怒る」

 静はスマホを受け取らない。

「勝手にはしない。君の前でかける。君が止めたら止める」

 レオが小さく頷く。頷き方が、不器用だった。

 小森がぼそっと言う。

「……俺も、番号ある」

「出せるなら出せ」

 小森もスマホを出した。指先が震えて、連絡先を開くのに時間がかかる。

 静は二人のスマホを見ず、机の端に置かれた文化祭のログファイルを手で寄せた。

「それと。君らが“できる”を示す材料がいる。成績じゃないやつ」

 レオが顔を上げる。

「材料?」

「文化祭の裏方。配線。搬入。時間通りに回した実績。ログと写真がある」

 小森が目を丸くする。

「文化祭の、あれ?」

「橘が取ってた。俺も残した。黒川が数字を欲しがるなら、数字を渡す。作業時間、担当範囲、トラブル対応」

 レオが写真を裏返した。ケーブルをまとめる手元。自分の手だと分かるのか、指が止まる。

「……これ、俺だ」

「そうだ」

 レオが小さく笑いかけて、すぐ真顔に戻る。

「こんなん、就職に使えるんすか」

「使える形にする。推薦状じゃない。職務の説明に落とす。面接で話せる言葉に変える」

 小森が口を挟む。

「面接とか、無理」

「無理でもやる。やるなら、練習する」

 小森が黙る。否定が出ないのは、逃げ道が少し減ったからだ。

 廊下の遠くで、金属がぶつかる音がした。鍵ケースを開け閉めする音。誰かが点検している。黒川の影が、音だけで近づいてくる。

 静は時計を見る。時間が削られる。

「今から電話する。山科、君の母親。小森、君の親は月曜でいい。今日は君の状態の確認だけだ」

 レオが喉を鳴らした。

「……今?」

「今。先延ばしにすると、紙が勝つ」

 レオの視線が引き出しに行く。鍵の中の紙。

「……わかった」

 静は受話器ではなく、学校の固定電話の前に立った。番号を押す手が止まる。

「最後にもう一回聞く。残るなら、誰かが助けてくれるのか、って話」

 レオが静を見た。目の奥が乾いている。

 静は短く言った。

「助ける。だが君が動かないなら、助けられない。動くなら、道は増やす」

 レオは息を吸って、吐いた。

「……動く。逃げるの、疲れた」

 静が番号を押し始めた、そのとき。

 ドアがノックもなしに開きかけ、外から声が滑り込んできた。

「桐生先生、ちょっと――教頭が、進路室の鍵の管理、今日中に確認したいって」

 佐伯の声だった。焦っているのに、どこか得意げでもある。

 静の指が止まる。電話のボタンの上で。

 レオが、反射で立ち上がりかけた。

「やば……」

 小森も椅子の縁を掴む。

 静は二人に目だけで座れと命じ、扉の隙間に向かって言った。

「今、電話中になる。五分待て」

「五分もないですって。黒川先生、すぐ来るって――」

「なら来させろ。鍵は規定通り管理してる。記録もある」

 静は声を低くした。

「佐伯。君が黒川の“穴探し”の手伝いをするなら、君のクラスの生徒が先に落ちるぞ」

 扉の向こうで息を呑む気配。佐伯の声が小さくなる。

「……わかりました。とりあえず、伝えます」

 扉が閉まる。

 静はすぐに番号を押し直した。コール音が鳴る。

 レオは机の端を掴み、指先が白くなっていく。

 小森が小声で言う。

「……来るの?」

「来る」

 静はコール音を聞きながら答える。

「だから、今やる」

 電話の向こうで呼び出しが続く。誰も出ないかもしれない。出たら荒れるかもしれない。

 それでも、コールは鳴り続けた。次の一手を急かすように。


 呼び出し音が三回、四回と伸びていく。

 レオは椅子の背を掴んだまま、視線を床に落としていた。小森は口を結んで、静の指先だけを見ている。

 五回目で、向こうが出た。

『……はい』

 女の声。疲れているのに警戒している声だった。

 静は名乗る。

「桐生です。市立東高の進路指導で、第3進路室を担当しています。山科レオくんのお母さまですか」

『……何ですか。今、仕事中なんですけど』

「短くします。レオくんが、学校を続けるかどうかで今、限界の状態です。本人もここにいます。少しだけ、話せますか」

 レオの肩が跳ねた。口が開きかけて閉じる。

『限界って、こっちだって限界です。学校の金も、弁当も、――もう無理なんですよ』

 静は急いで言い返さない。間を置いてから、確認だけを重ねる。

「授業料の負担が重い。生活費も足りない。そういうことですね」

『そう。なのに、あの子は遅刻して、呼び出しとか。こっちは謝ってばっかりで』

 レオが唇を噛む。小森が横目でレオを見て、すぐ視線を戻した。

 静は言う。

「謝らせているのは学校です。遅刻の扱いも、今のままだと数字だけが積み上がります。だから、話をしたい。月曜、学校に来られますか」

『月曜? 無理です。休めない』

「分かりました。では、月曜の夕方に電話で。時間は――」

『電話も、出られるかどうか。店が忙しいと』

「出られないなら、出られないで構いません。こちらから何度もはしません。ただ、こちらも記録が必要です」

『……記録、って何ですか。脅しですか』

 静は声を変えない。

「脅しではなく、手続きです。レオくんが中退する場合も、続ける場合も、学校として必要な確認があります」

『中退……本人が言ってるんですか』

 静は受話器を少しレオの方へ向けた。

「レオ。言うなら今だ。言わないなら、言わないでいい」

 レオは喉を鳴らした。言葉が出ない。手が震えて、膝の上で握り直す。

 小森が小さく息を吐いた。自分のことみたいに。

 レオはやっと声を出した。

「……母さん。俺、やめたいって言った。けど、今、決めてない」

 受話器の向こうが一瞬、静かになる。

『決めてないって、何なの。じゃあ、どうするの。家にいるなら働いてよ』

 レオの目が閉じられた。静が口を挟む前に、レオが続ける。

「働いてる。……でも、夜入れると、学校遅れる。だから、変える。変えたい」

『変えるって、何を』

 レオが静を見る。助けを求める目ではない。言葉の形を借りる目だ。

 静が短く言う。

「睡眠を確保するシフトにします。遅刻を減らします。家計の状況を確認して、授業料の減免や就学支援金の手続きを検討します。ご協力いただきたい」

『そんなの、役所の紙でしょ。面倒くさいのよ』

 静は言う。

「面倒です。でも、面倒を避けると、中退が早い。中退はもっと面倒になります」

『……は?』

「住む場所、保証人、保険。全部、後から困ります。今、困るのと、後でもっと困るの、どちらがいいかです」

 受話器の向こうで、ため息が落ちた。

『……分かった。月曜の夕方、電話なら。出られたら出る』

「ありがとうございます。時間は十八時半でどうですか」

『……うん』

 静は最後に念を押す。

「レオくんは、今日、中退届を提出していません。月曜まで、保留にします」

『……保留ね』

 通話が切れた。

 静が受話器を戻すと、室内に小さな静けさが戻った。レオはしばらく動かなかった。目を開けても、焦点が合わない。

 小森がぽつりと言う。

「……出たんだ」

 レオが口の端だけ動かす。

「出た……」

 静は時計を見る。針が進んでいる。外からまた金属音。鍵ケース。近づいている気配。

「山科。今、やったことは大きい」

 レオが反射で言い返す。

「大きくないっす。結局、出られたら出る、ってだけ」

「それで十分だ。ゼロが一になった」

 レオは笑わない。けれど、肩の位置が少しだけ下がっていた。

 静は引き出しの鍵を回した。カチリ。封筒を取り出し、机の上に置く。

「これは、預かり続けることもできる。君が持つこともできる。どっちがいい」

 レオは封筒を見つめた。指先が伸びて、止まる。

「……持ってると、出しちゃいそう」

「出すなら出すでいい。だが、今は保留にした。保留は、逃げじゃない」

 小森が小さく頷く。自分にも言われている気がしたのだろう。

 レオは封筒を手に取った。紙の角が、さっきよりもまっすぐに見える。破りたくて持ってきたはずなのに、破る動きにはならない。

 封筒の口を開けて、中退届を一度だけ取り出す。折り目だらけの白い紙。レオはそれを両手で持ち、破く位置を探すみたいに指を滑らせた。

 指が止まる。

 静は何も言わない。

 レオは紙を折り直した。破らずに、丁寧に。折り目をそろえる。ポケットに入れる前に、少しだけ躊躇って、静を見た。

「……先生。これ、持って帰っていい?」

「いい。だが、約束が一つ」

「何」

「月曜までに、シフト表の写真と、今月の給与の見込み。持ってこい。来なかったら、俺は動けない」

 レオが頷く。

「……持ってくる」

 小森が不意に言う。

「俺も、来る。月曜」

 静は小森を見る。

「来い。逃げるなら、逃げる前に相談しろ」

 小森が鼻で笑った。

「それ、逃げ道塞いでるじゃん」

「塞ぐ。塞がないと、お前は消える」

 小森の笑いが消える。代わりに、短く「……うん」とだけ返った。

 ドアの外で足音が止まった。今度はノックが三回。強い。

「桐生先生。教頭室からです。鍵の確認、今すぐお願いします」

 佐伯の声ではない。事務の女性の声だった。丁寧なのに拒否できない硬さ。

 静が返す。

「すぐ行きます」

 レオがポケットの上から中退届を押さえた。逃げるような動きではなく、落とさないように確かめる動きだった。

「……先生、行くの?」

「行く。鍵は、守るためにある」

 静は机の上の文化祭ログをファイルに戻し、写真の束を挟んだ。

「二人とも、ここで待て。勝手に出るな。廊下で捕まると面倒だ」

 小森が小さく手を挙げる。

「捕まるって、俺ら犯罪者みたい」

「学校では、数字を崩すやつはだいたい犯罪者扱いだ」

 レオが一瞬だけ口元を歪めた。笑いになりかけて、すぐ引っ込む。それでも、さっきより呼吸が深い。

 静がドアに手をかけたとき、レオが背中に声を投げた。

「先生」

「何」

「……さっきの“助ける”って。嘘じゃないっすよね」

 静は振り返らずに言った。

「嘘なら、鍵なんか回さない」

 ドアが閉まる。

 残された第3進路室で、レオはポケットの中の紙の感触を確かめた。破れていない。まだ白い。まだ、決めていない。

 小森がレオの方を見て、言った。

「……お前、今日どこで寝る」

 レオは少し考えてから言う。

「わかんね。……でも、バックヤードはやめる」

「じゃあ、俺んち……は無理か」

「無理だろ」

 短い応酬のあと、二人とも黙った。黙り方が、さっきと違う。孤独が完全に消えたわけじゃない。けれど、同じ部屋にいるだけで、少しだけ薄まっていた。

 廊下の向こうで、鍵が揺れる音がする。静が“形と数字”の側と殴り合う音が、近づいてくる。


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