292 / 396
第四章 絢爛のスクールフェスタ
第292話 生徒会長候補の演説
しおりを挟む
生徒会総選挙の選挙活動最終日。
演説のあと正午から投票が開始されるということで、僕たちは早々と会場である講堂に集まった。その場で練習する余裕はないので、配置と機材を確認する程度だったのだが、それもマリーと執事のジョスランが完璧にこなしてくれていたので、特に心配もない。
「何から何までありがとう、マリー」
「私がプロデュースするRe:bertyのファーストライブなんですのよ! ここは完璧に準備して、安心してもらえるようにするのが努めですわぁ~!」
マリーが胸を張って言い切ってくれたことで、エステアの表情も和らいだ。友人とはいえ、常に感謝の気持ちを持ち、成すこと全てに敬意を払っているのが窺えて微笑ましい。ホムがエステアとの仲を急速に深めているのも、そのあたりの信頼関係が大きいのだろうな。昨日も二人で練習をしていたのが、僕としても嬉しかった。
「今日に限ってはぶっつけ本番ですけど、みなさん覚悟はよろしくて?」
「にゃははっ! 大丈夫なように練習してきたし、今朝は寮で朝練したからな」
「うん。声、ばっちり出ると思うよ!」
ファラが明るく答えてアルフェもそれに続く。人前だと緊張しがちだったアルフェも、みんなと一緒だからということもあって、今日はライブを楽しみにしているのがよくわかった。
「大丈夫そうだね、アルフェ?」
「リーフ」
僕が問いかけると、アルフェが手を差し出してきた。手を握ると少し震えているのがわかる。
「しばらくこのままでいようか」
「うん」
アルフェが頷き、僕の手を握り返す。自惚れかもしれないけれど、こうして僕が傍にいることや、相談に乗ったことでアルフェの助けや自信になっているのなら、なによりだ。
「……ホムは大丈夫?」
「マスターとエステアがついていますから」
「それなら平気ね」
ホムが応えるとエステアが微笑んだ。
「エステアは平気なのですか?」
「みんながいる。これほど心強いものはないわ」
「ふふふっ、これぞ青春! これぞ友情ですわぁ~!」
マリーが目を潤ませて胸の前で手を組み、左右に身体を揺らしている。もうすぐ本番ということもあり、そわそわした様子だ。
「さっ、そろそろ演説が始まるよ~。イグニスの長~い演説はともかく、エステアはばしっと決めてよね!」
「ええ、任せて」
メルアの激励にエステアが笑顔で応える。この調子なら大丈夫そうだ。あとは僕たちがライブでしっかり演奏をやり切るだけだな。僕がそう考えているのを察してか、マリーがこちらを見て楽しげな笑顔を見せた。
「で、その後はRe:bertyのファーストライブですわぁ~! どかんと大きな花火を打ち上げますわよ!」
「え? 講堂で花火?」
マリーの表現にアルフェが驚いたような声を上げる。マリーは頬に手の甲を添えて高く笑い、機嫌良く応えた。
「たとえですわぁ~! まあ、余裕があればちょっと魔法で演出くらいはしたいですけど」
「イグニスがどんな妨害をするかわかりませんからね」
マリーの言葉の裏を感じ取ったホムが、険しい顔で講堂の方を見遣っている。それもそのはず、イグニスが取り巻きを引き連れて講堂にやってきたのだ。
「イグニス様ー!」
「イグニス様に悲願の達成を!」
「イグニス! イグニス!」
歓声と拍手が起こってはいるが、明らかに熱狂しているという感じではなかった。どちらかと言えば、脅されてて仕方なく演じていると言った方がしっくりきそうだ。
多分、イグニスのことだから、デュラン家の名を出して多くの貴族寮の生徒に応援と投票を無理強いしているのだろうな。こんなやり方で当選したとしても、生徒会は良くなるどころか必ず悪くなるということは、この学園の利発な生徒ならもう感じ取っているだろう。
講堂に全校生徒が集まったところで、予定通りの演説が行われた。
最初に壇上に上がったのはイグニスだった。イグニスは今日のために仕立てたと思われる真新しい正装に身を包み、いかにも高貴な身分であることをその出で立ちで表現している。
「諸君が知っているように、この学園には二種類の人種が存在する。我々選ばれた貴族階級と、それ以外の平民階級の民だ。学園の創立時より、我々貴族階級は自らが優れた才能とそれに付随する栄誉や富を使い、今日この時までの学園を支え続けていることは、曲げようのない事実である。伝統と血統を重んじる我々に出来ることは、それを絶やすことなく受け継ぎ、強く結びつけて発展させ、この学園に更なる栄光をもたらすことであることは自明だ」
予想以上に落ち着き払った声で、イグニスは適切に抑揚をつけながら生徒たちに訴えかけている。普段のイグニスの言動からは考えられない、理知に富んでいるような印象を抱かせる話し方だ。
「げ……っ。なんかマトモじゃん……?」
傍らのメルアが驚きを隠せずに思わず呟いている。僕はそれに頷き、イグニスの次の言葉に注意して耳を傾けた。イグニスはイグニスなりに戦略を考えている。そしてそれは、全校生徒の今の反応を見る限り、かなり成功しているのだ。
「さて、果たしてその重役を誰が担うかと言えば、この俺、デュラン家の由緒ある血統を継ぐイグニス・デュラン以外にないことをここに宣言しよう。先に行われた武侠宴舞・カナルフォード杯では思わぬ失態を招いたが、それはこの俺が未だ完璧ではなく、発展途上であることを示しているからに他ならない。この屈辱的な敗北をもって、自らに足りないものを知り、その知見を得た俺は、今新しく生まれ変わって、この場所に立っている。恥ずべきことはなにもない。完璧ではないからこそ、生徒諸君の助けが必要なのだ。言わずもがな、ここで言う諸君の助けは、これから行われる生徒会総選挙の投票によって貴重な一歩を踏み出すことになる」
一瞥したエステアの表情には焦りが見て取れた。僕たちは何も言わない――言えない。この場でどう足掻こうが、これまで準備してきたことの方向性は変えられない。やろうとしてきた自分たちの信念を貫くしかないのだ。
僕たちの沈黙は、僕たちなりの戦い方だ。メルアが最初に動揺の呟きをしてくれた分、僕は冷静になれた。
一見まともなことを言っているようなイグニスのその根本思想は危険だ。それだけは揺るぎないと注意して聞き取れば感じ取れる。
「最後にもう一人の立候補者、エステア・シドラについて述べたいと思う。前回の総選挙の後、惜しくも副会長の座に甘んじた俺だが、彼女から多くの平民寄りの意見を得て、度々衝突を繰り返した。今思えば、それは貴重で得がたい時間であったと思う。無駄なことなどなにもない。生徒会会長としてこの場に君臨し、この学園と生徒諸君の真の発展と栄光を願うならば、我がデュラン家の追い風を大きく吹かせることのできるこの俺がリーダーシップを発揮する以外にない。平民が束になったところで、この追い風に勝るものはないことは、聡明な諸君ならばわかってくれるだろう。理性的に、今後のためとなるのはどの候補者か、その目でしかと見極めて投票して頂きたい。……以上」
イグニスは淀みなく演説を終えると、堂々とした面持ちで全校生徒を見渡している。その視線は多分F組として差別対象とした僕たちを見下すものなんだろうな。それだけは感じ取れる。
ただ、他のA~E組の生徒たちの反応は上々なようで、入場時とは違った大きな拍手の音が響き渡った。
「皆、イグニス様に投票しろ! 絶対だぞ!」
「イグニス様、この学園を宜しくお願いします!」
取り巻きに散々持ち上げられたイグニスは、満足げな笑みを浮かべ、優越感に浸ったようなゆっくりとした歩みで壇上を後にする。
「いいか、良く聞け。こんな演説にライブをするなんてチャラチャラしたヤツに、イグニス様が負けるなら、この学園の生徒は余程――」
「実際負けてんだろ!」
白熱する取り巻きの声に誰かの野次が入る。
「今のは誰だ!?」
イグニスが素早く反応して睨み付けたが、誰も名乗り出なかった。まあ、僕には声でヴァナベルだとすぐにわかったけれど。
「……相手を陥れるような発言をする、それが平民のやり方のようだ。こちらはあくまで公平に品よくやらせてもらう。ライブなどというお遊びに惑わされはしないぞ」
イグニスが鋭い声で警告し、取り巻きに囲まれてその場を後にする。あくまでエステアの演説やライブを聞くつもりはないということだ。
「イ……イグニス、イグニス!」
「イグニス様!」
「イグニス! イグニス!」
ヴァナベルの野次に触発されてか、生徒の間からイグニスを讃える声が響き始める。それは瞬く間に輪を成して講堂中に響き渡り、激励と支持を受けたイグニスは満足げに片手を挙げて応じて生徒たちの間を進んでいく。
「……すごかったね……」
感心しているというよりは、驚きを強く滲ませたアルフェが震える声で呟く。
「そうだね。イグニスにしてはまともな発言だった」
正直なところ、こんな演説をされるとは思っていなかったので、僕自身も驚かされた。言葉の端々に差別意識があるのは拭えないけれど、この学園自体、貴族の割合がかなり多いので差別を受けたと感じて投票を避ける者が続出するような雰囲気ではない。
なにより、絶対に口に出さないだろうと思っていた武侠宴舞・カナルフォード杯の敗北とエステアとの衝突をあんな風に演説に取り込んでくるとは思わなかった。イグニスはイグニスなりに本気で生徒会会長の座を狙っているのだ。
まあ、考えてみればこれほどまでに影響力のあるデュラン家の令息たるイグニスが、二年連続敗退ということは、デュラン家の名誉をかけてでも避けなければならない事態なのだろう。そのためには、デュラン家も絡み、大きな資金援助などの話ももちかけられているはずだ。だが、幸いなことに決定権は僕たち生徒の側にある。
次のエステアの演説で――僕たちRe:bertyのライブでどれだけ多くの生徒の心に訴えかけられるかが勝負どころだな。
演説のあと正午から投票が開始されるということで、僕たちは早々と会場である講堂に集まった。その場で練習する余裕はないので、配置と機材を確認する程度だったのだが、それもマリーと執事のジョスランが完璧にこなしてくれていたので、特に心配もない。
「何から何までありがとう、マリー」
「私がプロデュースするRe:bertyのファーストライブなんですのよ! ここは完璧に準備して、安心してもらえるようにするのが努めですわぁ~!」
マリーが胸を張って言い切ってくれたことで、エステアの表情も和らいだ。友人とはいえ、常に感謝の気持ちを持ち、成すこと全てに敬意を払っているのが窺えて微笑ましい。ホムがエステアとの仲を急速に深めているのも、そのあたりの信頼関係が大きいのだろうな。昨日も二人で練習をしていたのが、僕としても嬉しかった。
「今日に限ってはぶっつけ本番ですけど、みなさん覚悟はよろしくて?」
「にゃははっ! 大丈夫なように練習してきたし、今朝は寮で朝練したからな」
「うん。声、ばっちり出ると思うよ!」
ファラが明るく答えてアルフェもそれに続く。人前だと緊張しがちだったアルフェも、みんなと一緒だからということもあって、今日はライブを楽しみにしているのがよくわかった。
「大丈夫そうだね、アルフェ?」
「リーフ」
僕が問いかけると、アルフェが手を差し出してきた。手を握ると少し震えているのがわかる。
「しばらくこのままでいようか」
「うん」
アルフェが頷き、僕の手を握り返す。自惚れかもしれないけれど、こうして僕が傍にいることや、相談に乗ったことでアルフェの助けや自信になっているのなら、なによりだ。
「……ホムは大丈夫?」
「マスターとエステアがついていますから」
「それなら平気ね」
ホムが応えるとエステアが微笑んだ。
「エステアは平気なのですか?」
「みんながいる。これほど心強いものはないわ」
「ふふふっ、これぞ青春! これぞ友情ですわぁ~!」
マリーが目を潤ませて胸の前で手を組み、左右に身体を揺らしている。もうすぐ本番ということもあり、そわそわした様子だ。
「さっ、そろそろ演説が始まるよ~。イグニスの長~い演説はともかく、エステアはばしっと決めてよね!」
「ええ、任せて」
メルアの激励にエステアが笑顔で応える。この調子なら大丈夫そうだ。あとは僕たちがライブでしっかり演奏をやり切るだけだな。僕がそう考えているのを察してか、マリーがこちらを見て楽しげな笑顔を見せた。
「で、その後はRe:bertyのファーストライブですわぁ~! どかんと大きな花火を打ち上げますわよ!」
「え? 講堂で花火?」
マリーの表現にアルフェが驚いたような声を上げる。マリーは頬に手の甲を添えて高く笑い、機嫌良く応えた。
「たとえですわぁ~! まあ、余裕があればちょっと魔法で演出くらいはしたいですけど」
「イグニスがどんな妨害をするかわかりませんからね」
マリーの言葉の裏を感じ取ったホムが、険しい顔で講堂の方を見遣っている。それもそのはず、イグニスが取り巻きを引き連れて講堂にやってきたのだ。
「イグニス様ー!」
「イグニス様に悲願の達成を!」
「イグニス! イグニス!」
歓声と拍手が起こってはいるが、明らかに熱狂しているという感じではなかった。どちらかと言えば、脅されてて仕方なく演じていると言った方がしっくりきそうだ。
多分、イグニスのことだから、デュラン家の名を出して多くの貴族寮の生徒に応援と投票を無理強いしているのだろうな。こんなやり方で当選したとしても、生徒会は良くなるどころか必ず悪くなるということは、この学園の利発な生徒ならもう感じ取っているだろう。
講堂に全校生徒が集まったところで、予定通りの演説が行われた。
最初に壇上に上がったのはイグニスだった。イグニスは今日のために仕立てたと思われる真新しい正装に身を包み、いかにも高貴な身分であることをその出で立ちで表現している。
「諸君が知っているように、この学園には二種類の人種が存在する。我々選ばれた貴族階級と、それ以外の平民階級の民だ。学園の創立時より、我々貴族階級は自らが優れた才能とそれに付随する栄誉や富を使い、今日この時までの学園を支え続けていることは、曲げようのない事実である。伝統と血統を重んじる我々に出来ることは、それを絶やすことなく受け継ぎ、強く結びつけて発展させ、この学園に更なる栄光をもたらすことであることは自明だ」
予想以上に落ち着き払った声で、イグニスは適切に抑揚をつけながら生徒たちに訴えかけている。普段のイグニスの言動からは考えられない、理知に富んでいるような印象を抱かせる話し方だ。
「げ……っ。なんかマトモじゃん……?」
傍らのメルアが驚きを隠せずに思わず呟いている。僕はそれに頷き、イグニスの次の言葉に注意して耳を傾けた。イグニスはイグニスなりに戦略を考えている。そしてそれは、全校生徒の今の反応を見る限り、かなり成功しているのだ。
「さて、果たしてその重役を誰が担うかと言えば、この俺、デュラン家の由緒ある血統を継ぐイグニス・デュラン以外にないことをここに宣言しよう。先に行われた武侠宴舞・カナルフォード杯では思わぬ失態を招いたが、それはこの俺が未だ完璧ではなく、発展途上であることを示しているからに他ならない。この屈辱的な敗北をもって、自らに足りないものを知り、その知見を得た俺は、今新しく生まれ変わって、この場所に立っている。恥ずべきことはなにもない。完璧ではないからこそ、生徒諸君の助けが必要なのだ。言わずもがな、ここで言う諸君の助けは、これから行われる生徒会総選挙の投票によって貴重な一歩を踏み出すことになる」
一瞥したエステアの表情には焦りが見て取れた。僕たちは何も言わない――言えない。この場でどう足掻こうが、これまで準備してきたことの方向性は変えられない。やろうとしてきた自分たちの信念を貫くしかないのだ。
僕たちの沈黙は、僕たちなりの戦い方だ。メルアが最初に動揺の呟きをしてくれた分、僕は冷静になれた。
一見まともなことを言っているようなイグニスのその根本思想は危険だ。それだけは揺るぎないと注意して聞き取れば感じ取れる。
「最後にもう一人の立候補者、エステア・シドラについて述べたいと思う。前回の総選挙の後、惜しくも副会長の座に甘んじた俺だが、彼女から多くの平民寄りの意見を得て、度々衝突を繰り返した。今思えば、それは貴重で得がたい時間であったと思う。無駄なことなどなにもない。生徒会会長としてこの場に君臨し、この学園と生徒諸君の真の発展と栄光を願うならば、我がデュラン家の追い風を大きく吹かせることのできるこの俺がリーダーシップを発揮する以外にない。平民が束になったところで、この追い風に勝るものはないことは、聡明な諸君ならばわかってくれるだろう。理性的に、今後のためとなるのはどの候補者か、その目でしかと見極めて投票して頂きたい。……以上」
イグニスは淀みなく演説を終えると、堂々とした面持ちで全校生徒を見渡している。その視線は多分F組として差別対象とした僕たちを見下すものなんだろうな。それだけは感じ取れる。
ただ、他のA~E組の生徒たちの反応は上々なようで、入場時とは違った大きな拍手の音が響き渡った。
「皆、イグニス様に投票しろ! 絶対だぞ!」
「イグニス様、この学園を宜しくお願いします!」
取り巻きに散々持ち上げられたイグニスは、満足げな笑みを浮かべ、優越感に浸ったようなゆっくりとした歩みで壇上を後にする。
「いいか、良く聞け。こんな演説にライブをするなんてチャラチャラしたヤツに、イグニス様が負けるなら、この学園の生徒は余程――」
「実際負けてんだろ!」
白熱する取り巻きの声に誰かの野次が入る。
「今のは誰だ!?」
イグニスが素早く反応して睨み付けたが、誰も名乗り出なかった。まあ、僕には声でヴァナベルだとすぐにわかったけれど。
「……相手を陥れるような発言をする、それが平民のやり方のようだ。こちらはあくまで公平に品よくやらせてもらう。ライブなどというお遊びに惑わされはしないぞ」
イグニスが鋭い声で警告し、取り巻きに囲まれてその場を後にする。あくまでエステアの演説やライブを聞くつもりはないということだ。
「イ……イグニス、イグニス!」
「イグニス様!」
「イグニス! イグニス!」
ヴァナベルの野次に触発されてか、生徒の間からイグニスを讃える声が響き始める。それは瞬く間に輪を成して講堂中に響き渡り、激励と支持を受けたイグニスは満足げに片手を挙げて応じて生徒たちの間を進んでいく。
「……すごかったね……」
感心しているというよりは、驚きを強く滲ませたアルフェが震える声で呟く。
「そうだね。イグニスにしてはまともな発言だった」
正直なところ、こんな演説をされるとは思っていなかったので、僕自身も驚かされた。言葉の端々に差別意識があるのは拭えないけれど、この学園自体、貴族の割合がかなり多いので差別を受けたと感じて投票を避ける者が続出するような雰囲気ではない。
なにより、絶対に口に出さないだろうと思っていた武侠宴舞・カナルフォード杯の敗北とエステアとの衝突をあんな風に演説に取り込んでくるとは思わなかった。イグニスはイグニスなりに本気で生徒会会長の座を狙っているのだ。
まあ、考えてみればこれほどまでに影響力のあるデュラン家の令息たるイグニスが、二年連続敗退ということは、デュラン家の名誉をかけてでも避けなければならない事態なのだろう。そのためには、デュラン家も絡み、大きな資金援助などの話ももちかけられているはずだ。だが、幸いなことに決定権は僕たち生徒の側にある。
次のエステアの演説で――僕たちRe:bertyのライブでどれだけ多くの生徒の心に訴えかけられるかが勝負どころだな。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる