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第四章 絢爛のスクールフェスタ
第318話 僕なりのラブソング
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「ワタシ、衣装を仕上げてくるから、そこにリーフの歌詞を書いて!」
言われて初めて気がついたが、縫製魔導器の音がいつの間にか止まっている。アルフェが気を遣って作業を始めてくれたので、僕は一人で再びアルフェの考えてくれた歌詞に向き合うことが出来た。
アルフェの歌詞は推敲を重ねただけあって完成されていて、別段直す必要はない。だから、僕がやるべきは、アルフェの想いに応えることなのだとすぐに見出すことが出来た。
もしも世界が明日変わっても
ワタシのキミへの 想いは変わらない
小さな頃からずっと一緒だったよ
いつもワタシのことを助けてくれた
だからワタシも 強くなる
この歌詞は、『今』のアルフェを歌った歌詞だ。武侠宴舞で見せてくれたアルフェの決意、それらが凝縮されていることがよくわかる。
彼女の『今』に応えるべきは、僕の『過去』だろう。僕が変わったのはアルフェのお陰だ。僕の『今』はアルフェのお陰で、いつだって彼女と共にある。それが僕の幸せなのだから。
もしも君に出逢えなかったら
僕は今でも 幸せを知らない
きっと君が 好きなんだ
長い前置きはいらない。僕は生まれ変わってアルフェに出会い、リーフとしての人生を生きている。こんな幸福があることを、噛みしめながら。
くるくる変わってく みんな大人になる
いろんなことが 変わってくけど
ずっと続いてく もっと強くなる
いつも キミのとなりで
二人並んで 歩いてたいから
最初の歌詞に続くサビに目を向けてみると、アルフェの描く『未来』への気持ちが読み解けた。僕はその未来を目指すために、『過去』と『今』を繋げる。前世という過去を描くことは出来ないけれど、でもせめてここに告白しよう。音楽という世界のフィクションでなら、本当の僕を描くことができるはずだ。
生まれ変わってく 君に出逢えたから
幸せだって気持ちを 抱き締めていられる
僕らは繋がってる これからもきっと
ずっと あの日の約束は宝物だよ
アルフェと僕を繋ぐ約束、『ずっと一緒にいてほしい』という約束は、今でも僕の中にある。今後の進路によって物理的に離れることになったとしても、僕は約束を守り続けたい。アルフェのいない未来なんて、もう僕には考えられないから。
ああ、僕はきっとアルフェが大好きで、愛してしまっているんだろうな。両親が僕を育んできてくれたあの温かな光の中にあるような感覚――ずっと近くにいて、一緒にいるのが当たり前で家族のように感じていたあの感覚は、愛するということだ。僕がホムに対して、愛おしさを感じるのとはまた少し違う、血の繋がりがないからこそ、さらに強い想いで惹きつけ合う想いだ。
* * *
アルフェが衣装を仕上げ終わるのと殆ど同時に、僕も納得のいく歌詞を作ることができた。アルフェは目を潤ませてノートに僕が綴った文字を何度も読み返し、それから笑顔で立ち上がった。
アルフェに倣って僕も立ち上がる。顔を見合わせ、目と目で見つめ合うと愛おしいという気持ちが込み上げてきた。
「もしも世界が明日変わっても――」
澄んだアルフェの歌声が唇から零れる。僕はアルフェの声に合わせて身体を揺らす。歌声は次第に高まり、僕の口からも旋律となって零れ出る。
「Love you Love you ever……これからも――」
お互いに生まれて初めて作った歌詞を二人で口ずさむ。僕とアルフェ、ぞれぞれが考えた歌詞を声を重ねて歌ううちに、心の中が温かな光で満たされるような優しく穏やかな感覚を覚えた。
「……ワタシ、リーフの書いた歌詞、凄く好き! ワタシが書いたラブレターへのお返事みたいなんだもん!」
歌い終わったアルフェが目を潤ませながら僕に訴えてくる。浄眼の輝きに負けないほどの笑顔を輝かせるアルフェを、僕は本当に綺麗だと思った。
「アルフェが僕のことを考えて作ってくれたって聞いたから、僕もその想いに応えたいと思ったんだ。多分、それを聞いていなくても、アルフェのことを考えて書いたと思うけれど」
「リーフ、大好き!」
アルフェが声を弾ませて僕に抱きつく。いつものような勢いではなく、僕の存在を確かめるように、優しく強く、愛おしさを込めて抱き締められているのがわかった。
「本当に、ワタシ……リーフが大好きだよ」
言わなくてもわかるよ、そう伝えて安心させたかったけれど、アルフェの涙で頬が濡れて何も言えなかった。ああ、僕のことをこんなにも想ってくれているんだなと感じながら僕もただアルフェを抱き締めた。
アルフェの溢れる想いに触れて、僕の目からもいつの間にか温かな涙が零れてくる。頬が濡れて冷たくてくすぐったいけど、でも、アルフェとお揃いならそれも悪くない。
「……僕も大好きだよ、アルフェ」
言いたいことは、言うべきことはもっとたくさんあるのかも知れないけれど、今は抱き締め合うだけで全てが通じる気がする。ああ、僕はこんなにもアルフェが好きなんだ。
言われて初めて気がついたが、縫製魔導器の音がいつの間にか止まっている。アルフェが気を遣って作業を始めてくれたので、僕は一人で再びアルフェの考えてくれた歌詞に向き合うことが出来た。
アルフェの歌詞は推敲を重ねただけあって完成されていて、別段直す必要はない。だから、僕がやるべきは、アルフェの想いに応えることなのだとすぐに見出すことが出来た。
もしも世界が明日変わっても
ワタシのキミへの 想いは変わらない
小さな頃からずっと一緒だったよ
いつもワタシのことを助けてくれた
だからワタシも 強くなる
この歌詞は、『今』のアルフェを歌った歌詞だ。武侠宴舞で見せてくれたアルフェの決意、それらが凝縮されていることがよくわかる。
彼女の『今』に応えるべきは、僕の『過去』だろう。僕が変わったのはアルフェのお陰だ。僕の『今』はアルフェのお陰で、いつだって彼女と共にある。それが僕の幸せなのだから。
もしも君に出逢えなかったら
僕は今でも 幸せを知らない
きっと君が 好きなんだ
長い前置きはいらない。僕は生まれ変わってアルフェに出会い、リーフとしての人生を生きている。こんな幸福があることを、噛みしめながら。
くるくる変わってく みんな大人になる
いろんなことが 変わってくけど
ずっと続いてく もっと強くなる
いつも キミのとなりで
二人並んで 歩いてたいから
最初の歌詞に続くサビに目を向けてみると、アルフェの描く『未来』への気持ちが読み解けた。僕はその未来を目指すために、『過去』と『今』を繋げる。前世という過去を描くことは出来ないけれど、でもせめてここに告白しよう。音楽という世界のフィクションでなら、本当の僕を描くことができるはずだ。
生まれ変わってく 君に出逢えたから
幸せだって気持ちを 抱き締めていられる
僕らは繋がってる これからもきっと
ずっと あの日の約束は宝物だよ
アルフェと僕を繋ぐ約束、『ずっと一緒にいてほしい』という約束は、今でも僕の中にある。今後の進路によって物理的に離れることになったとしても、僕は約束を守り続けたい。アルフェのいない未来なんて、もう僕には考えられないから。
ああ、僕はきっとアルフェが大好きで、愛してしまっているんだろうな。両親が僕を育んできてくれたあの温かな光の中にあるような感覚――ずっと近くにいて、一緒にいるのが当たり前で家族のように感じていたあの感覚は、愛するということだ。僕がホムに対して、愛おしさを感じるのとはまた少し違う、血の繋がりがないからこそ、さらに強い想いで惹きつけ合う想いだ。
* * *
アルフェが衣装を仕上げ終わるのと殆ど同時に、僕も納得のいく歌詞を作ることができた。アルフェは目を潤ませてノートに僕が綴った文字を何度も読み返し、それから笑顔で立ち上がった。
アルフェに倣って僕も立ち上がる。顔を見合わせ、目と目で見つめ合うと愛おしいという気持ちが込み上げてきた。
「もしも世界が明日変わっても――」
澄んだアルフェの歌声が唇から零れる。僕はアルフェの声に合わせて身体を揺らす。歌声は次第に高まり、僕の口からも旋律となって零れ出る。
「Love you Love you ever……これからも――」
お互いに生まれて初めて作った歌詞を二人で口ずさむ。僕とアルフェ、ぞれぞれが考えた歌詞を声を重ねて歌ううちに、心の中が温かな光で満たされるような優しく穏やかな感覚を覚えた。
「……ワタシ、リーフの書いた歌詞、凄く好き! ワタシが書いたラブレターへのお返事みたいなんだもん!」
歌い終わったアルフェが目を潤ませながら僕に訴えてくる。浄眼の輝きに負けないほどの笑顔を輝かせるアルフェを、僕は本当に綺麗だと思った。
「アルフェが僕のことを考えて作ってくれたって聞いたから、僕もその想いに応えたいと思ったんだ。多分、それを聞いていなくても、アルフェのことを考えて書いたと思うけれど」
「リーフ、大好き!」
アルフェが声を弾ませて僕に抱きつく。いつものような勢いではなく、僕の存在を確かめるように、優しく強く、愛おしさを込めて抱き締められているのがわかった。
「本当に、ワタシ……リーフが大好きだよ」
言わなくてもわかるよ、そう伝えて安心させたかったけれど、アルフェの涙で頬が濡れて何も言えなかった。ああ、僕のことをこんなにも想ってくれているんだなと感じながら僕もただアルフェを抱き締めた。
アルフェの溢れる想いに触れて、僕の目からもいつの間にか温かな涙が零れてくる。頬が濡れて冷たくてくすぐったいけど、でも、アルフェとお揃いならそれも悪くない。
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言いたいことは、言うべきことはもっとたくさんあるのかも知れないけれど、今は抱き締め合うだけで全てが通じる気がする。ああ、僕はこんなにもアルフェが好きなんだ。
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