天狗と骨董屋

吉良鳥一

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片割れは傍らに在り(上)

第二話

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 「警察官二人、身元不明の男一人が心臓を抜かれ死亡。
そして、悪鬼を封じた地蔵が壊れその悪鬼は行方不明だ。
探し出して封印又は駆除しろ」

 先刻とある建物の一室にて上司に言い渡された命令に二人の若い男性が外へ出ていた。

「秋人さんこれ、情報少なく無いッスか?
悪鬼の少女と言うくらいしか対象が分からないんですけど」

 短髪が特徴の青年、森一竜樹もりいちたつきが不満を漏らす。
 その横で端正な顔立ちの男、春日秋人かすがあきひとが苦笑した。

「確か40年以上前の事件だよ。
少女の姿の悪鬼が一家三人を殺害して、天明道の祓い屋が封じたんだ。
私も詳しい事は知らないんだけどね」

「そうなんスね。
それは知らない情報です」

 数日前にその悪鬼が封印から解き放たれ、三人を殺害し逃亡した。
    殺害された被害者は皆胸に大きな穴を開けられ、心臓を抉り取られていた。
    その残忍さや警察官が二人も殺されていたことから、人の仕業では無いと考える警察がこの天明道てんみょうどうに調査依頼をしてきたのだ。

    天明道___
    それは妖祓いを生業とする者や家、団体が所属する組織。
    天明道に依頼が来ると、組織を束ねる上層部が祓い屋に命を出す。
 
    元は陰陽寮に対抗するように祓い屋によって組織され、陰陽寮で上司にこき使われ不満を持った陰陽師も複数集ったが、それに激昂した陰陽寮によって地を追われ細々とやっていた。
    陰陽寮が廃止されると一気に台頭し、他の陰陽師も組するようになり、巨大な組織となった。

    科学的に解明出来ない事件や今回のように不審死事件を警察から依頼が来たりもする。

    そんな天明道に春日秋人と森一竜樹は所属し、妖と対峙する日々を送っている。

「まずは現場に向かう。
まだ妖気がそこに残っているかもしれないから、そこから追えるかもしれない」

「はい」

    秋人の判断で二人は事件が起きた場所へ手掛かりを求め向かうことにした。
 
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