セカンドライフを異世界で

くるくる

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28話 天使

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「シザー…」
  呟いたのはとても小さな声だったが、彼にはしっかり聞こえた。振り向いてしゃがみ、頭を撫でてくれる。
 「ちょっとだけ待ってろ、すぐ終わる」
  優しい声にホッとして頷く。

  カースは吹き飛ばされ、壁にめり込んで呻いていた。シザーが胸倉を掴んで引きずり立たせる。

 「…2度目はねえと言ったはずだぜ、カース」
  その声は地の底から響いたように低く、恐ろしい。シザーの放つとてつもなく強大な威圧は、周囲の人全てを震え上がらせた。カースは威圧で気絶し、同じ威圧で強制的に目覚めさせられる。ガクガク震えながら漏らし、床を黄色い液体で汚す。

 「シザー」
  突然明るく場違いな声が掛かる。声の主はロイさん。私を見てから周りを見渡し、納得したように頷いた。

 「またカースか」
  呆れたようにカースを見る。
 「どうすんの?」
 「…ロイ、後任せた」
  そう言って、おもちゃに飽きた子供のようにポイッとカースを放り出した。
 「了解」
  言うが早いか、ドン!とカースを蹴り上げる。もう悲鳴も上げない男に近寄り、ニコッと笑って冷たく凍り付くような声色を発する。
 「ダメだよ、言う事聞かなくちゃ。シザーは怒らせると誰も止められないんだから。あ、僕もだけどね。…ねえ、人が話してるのに寝るってどういう事かな?」

  パン!パン!パン!とビンタの音が響く。

 「うぁ…が、ぐぅ」
  骨が折れているのだろう、悶え苦しんでいる。サラ、ポピー、フレッドさん、モーブさん、セクロさんもいつの間にか来て成り行きを見ていた。

  シザーが私を抱え上げて縦抱きにし、そのまま優しく抱きしめる。その温かさに泣きそうになり、他の人に見られたくなくて彼にぎゅっとしがみついた。

 「親父さん、モーブさん、悪いが今日は帰る。話は明日にしてくれ」
 「ああ」
 「分かりました」
  セクロさんとモーブさんに言った後、サラとポピーの元へ行く。少し顔を上げると、青い顔をしたポピーと心配そうなサラが見えた。
 「…ゴメンネ。大丈夫だから」
  2人に小さな声で言う。
 「…心配すんな」
  シザーも優しく声をかけた後、その場を後にした。











 家に着くとすぐにお風呂にお湯を溜め始め、リビングに戻る。

 「…大丈夫か?何かされたか?痛いとこはねえか?」
  抱き上げたまま、そっと頬を撫でて矢継ぎ早に聞く。
 「…ん…腕を掴まれて転んだだけ。ケガしてないし、痛い所もない」
 「そうか…怖かっただろ」
 「うん…怖かった…ひっく、う、シザー…」

  怖かった、そう口にした途端涙が止まらなくなった。シザーにしがみついて、子供みたいにしゃくりあげながら泣く。
 「もう大丈夫だ。ナツメ…」
  大丈夫だ、そう繰り返して泣き止むまで頭を撫でてくれた。

  お風呂に入った後、軽く夕飯を食べてすぐにベッドに入る。シザーの腕の中でホッと息を吐く。やっぱりここが一番落ち着く。胸にうずめていた顔を上げると視線が絡む。唇を寄せ合ってそっとキスする。小さく何度も、角度を変えては啄む。やがて我慢できなくなって互いに舌を絡め、流れる唾液もどちらのものか分からなくなる。

 「…ナツメ」
 「シザー…ん、まって」
  いつもはいつの間にか脱がされるキャミとショーツを自分から脱ぐと、シザーも全て脱いで私を組み敷く。胸を弄りながら首筋と耳を舐める。
 「ン、あぁん」
  乳首をきゅっと摘んでクリクリと擦る。もう片方は口に含んで転がし、ちゅうっと吸い上げる。優しい刺激に声が漏れる。
 「んはぁん…あ、ふ」
  手が秘所に伸びて割れ目をつつっとなぞると、くちゅっとすでに濡れた音がした。指を入れずにくちゅくちゅと撫で続けられて、もっと刺激が欲しくて腰が動いてしまう。
 「ん、ん、あッ、ン」
 「腰が動いてるぜ、ナツメ。…そんなに欲しいなら」
  シザーが横になり、私を上に乗せる。
 「好きなだけ俺の上で動いていいぜ」
  秘所に大きくて固いシザーのモノが当たる。顔は平然としているが、ピクピクと動き先から液が出ている。いつも私が先に乱れてしまって彼の気持ちイイ顔をあまり見たことがない。私はシザーの足の間に座って髪を耳にかけて除け、彼のモノを口に含んだ。舌を動かしながら、えづくギリギリまで咥え込んでゆっくりと抜く。
 「うあ!あ、は、ナツメ…」
  気持ちよさそうな声が嬉しくて、じゅぽじゅぽとはしたない音を立てながら喉の奥へと飲み込む。入りきらないところは手で扱き、前の世界での乏しい知識を総動員して口での奉仕を続ける。咥えたままシザーを見ると快感を堪えているのが分かって余計夢中になる。
 「ああ!ナツメ…くぅ、あッ、は、もう、イク」
 「んン、ん、じゅるっ、イイよ、んんう、っん」
 「あ、あ!出る!っうあああ!」
 「ん゛ん!ン、ん!」
  ビュルル!と喉奥に射精を受け止め、えづきそうになるのを何とか堪える。
 「ン、んぐ、っんん」
  射精を終えたモノが口から出ていくと、独特の味を堪えて少しずつ飲み下す。
 「ナツメ、無理すんな。吐き出せ」
  シザーが起き上がって言ってくれるが私は首を振る。そして。
 「んはぁ…。飲めた、よ。全部」
  そう言った途端、ぎゅっと抱きしめられる。
 「あッ…シザー?」
 「そんなに涙目になってまで飲む事ねえのに…」
 「え…だって…前も失敗しちゃったし…いつも私が先に、その…イッちゃうから。してあげたくなっちゃったんだもん…ゴメンネ?」

  進んで口でする子なんてイヤだったかな…。

 「…馬鹿、謝んな。いや、俺の言い方が悪かった。苦しそうに見えたから無理してんじゃねえかと思ったんだ。…すげえ気持ち良かったぜ」
  くいっと顎を持ち上げ、軽くキスしてから、れろ~っと唇を舐められる。ゾクッと快感が走り、膣内がヒクヒクと蠢く。
 「あぁん…」
  もじもじと太腿を擦り合わせる。シザーはもう1度横になり、私を乗せる。
 「…欲しいだろ?」
  下から胸をやわやわと揉まれてたまらなくなる。
 「んぁ、欲しい…」
 「いいぜ、ほら」
  グイッとまた大きくなったモノを押しつけられる。自分で秘所にあてがい、シザーの胸に手を付いてゆっくりと飲み込む。
 「あはぁん…んン~、あぁ~、んふぅ」
  私の狭い膣内がシザーでいっぱいになる。我慢できなくて腰を振り始めると、重そうに揺れる胸の先端をキュッと引っ張られる。
 「あぁ!ン、ひ、ち、くび、ああ!あ、あ、あんン!」
  腰を振れば振るほど、ぱちゅん、ぱちゅん、と淫猥な水音が響き、乳首を強く引っ張られ、甘美な刺激が身体を満たす。
 「くッ、う、…イイぜ、イイ眺めだ、可愛いぜ」
  シザーに褒められて嬉しくて震え、膣内がキュン、と締まる。
 「あん!う、れしい、ンン!あッ!あッ、イクゥ…」
 「ッふ、…イキそうか?手伝ってやる」
  そう言うと陰核をグリグリと扱いて剥き、敏感過ぎるソコを潰しながら弄られる。
 「あひぃん!ひぁああ!つ、よすぎぃ!でちゃう!あふぁ、イク、イク、ンひぁぁああん!」
 「うぁ、締まる…」
  シザーの上で激しく悶えながら背を仰け反らせ、ブシャッ、と潮を吹いてイッた。
 「っあ…は」
  力なくシザーの上に倒れると、抱えられて体勢を入れ替えられる。
 「…ナツメ」
  愛と欲望に染まった獣の瞳が私を捕らえる。今から訪れるであろう濃密な快楽を想像して胸が躍った。












「サラが?」
 「ああ」
 「そうだったんだ…」

  抱かれた後いつものように眠ってしまい、目が覚めるとやはり体はキレイに洗われていた。
 「腹減った」
  というこれまたいつもの一言で夜食を食べている。

  ヒーローのようにタイミング良く戻ってこられたのは、サラのおかげだった。

  モーブさんとポピーがマスターの部屋に向かった後、急にギルドの2階に行く人が増えて様子を見に来てくれたらしい。そこに居たのはギルドの制服を着てショップに立つ私と長蛇の列、そしてその列に並ぶカースさんだった。状況を見て嫌な予感がしてシザーを呼びに行ってくれたのだ。

 「で?」
 「え?」
 「…何でギルドの制服なんか着てた?」
 「えと、あの…」
  はぁ、とため息を吐いて私を言い聞かせるように話す。
 「あの服は露出が過ぎる。首も肩も足も出てる上に、角度によっちゃ谷間も見える。身体のラインまではっきり分かるんだぞ。ただでさえ可愛くて、女神だと噂が流れるくらいなのに、あんな服着てショップの店員なんかしたら男が群がるのは当たり前だ」
  く、首?首も?それに途中から恋人の欲目が入りすぎでは…?
 「…シザーが可愛いって言ってくれるのは嬉しいけど、皆が皆そう思うわけじゃ…ないと…」
  思うんだけど…シザーに睨まれて途中で断念する。
 「いい加減自覚しろ、お前は可愛いくて、優しくて、色気も度胸もある。最高の女だ」
  聞いてるうちに恥ずかしくて居たたまれなくなる。うぅ…顔が熱い。
 「聞いてるのか?」
  くいっと顎を持ち上げられてシザーと目が合う。
 「き、聞いてる。でも、私いつも通りにしてただけだし…それに…他の人がどう思うかより、シザーにどう思われるかが大事なんだもん」
 「…他の男は関係ねえってか?」
  ちゅっ
「ン…そうだよ」
 「俺だけ?」
  ちゅっ
「んふ…うん、シザーだけ」
 「ナツメ…」
 「シザー…」

  私たちはもう1度深く唇を重ねた。











 次の日、前日よりも早い時刻にギルドのマスターの部屋に向かった。ノックして部屋に入ると私達が最後で、皆揃っていた。

 「ナツメさん、昨日の事はサラから大体聞きました。私ももう少し配慮が必要だったと反省しています。嫌な思いをさせてしまってすみませんでした」
  モーブさんに謝られて慌てる。
 「そんな!謝らないでください。私こそ、お騒がせしてすみませんでした」
 「ナツメ…」
  弱々しい声に振り向くと、ポピーが涙を浮かべている。
 「ご、ごめんね、私が制服を着せなきゃあそこまで行列が出来る事もなかったかも。本当にごめんね」
 「ポピー、大丈夫。気にしてないよ。…でも、制服と行列、そんなに関係あるの?ギルドの女の子は皆同じでしょ?」

  セクシーな制服だとは思うが、色気でいえばサラの方があると思うし、ポピーだって可愛い。胸目当てなのは分からなくもない。ロリ巨乳という言葉は知っているし、自分がそれに入る事も自覚しているが、そういうのが好きな人は少数だと思うのだが…あれ?皆黙っちゃった。

 「……」

 「シザー、昨夜話さなかったの?」
 「…話したぜ、一応な」
 「ロイさんが自覚がないって言ってた意味、やっと分かったわ」
  サラが首を振りながら言う。
 「でしょ?」
 「ナツメさんは、天然、というやつでしょうか?」
 「女神様だからだ」
  モーブさんとセクロさんまで…って、セクロさん、返事がおかしいです。
 「ナツメ…」
  ポピーが俯いてプルプル震えている。
 「ポピー?」
  声をかけるとガバッと顔を上げた。
 「もう危険な目に合わせたりしないよ!だから、ナツメはそのまま変わらないで!可愛い可愛い私の天使でいて!」
  手を広げ、首を可愛く傾げながら言ってくれた。が?あれ?
 「ん?なんかおかしくない?今のセリフ」
  ロイさんの疑問はもっともだ。
 「ポピー…あれほど言ったのに、自分でばらしてどうするのよ…知らないわよ私」
  サラは事情を知っているようだ。
 「だって、もう我慢できない!ナツメってば可愛すぎだよぅ!」
  デレデレした顔で叫んで私に抱きつくポピー。
 「きゃあ!」
 「ナツメってば声も可愛いよね~!」
  すりすりと頬を寄せられて焦る。
 「ちょ、ちょっとポピー!」
 「…おい、離れろ。ナツメは俺のだ!」
  ポピーからベリッと私を引き剥がして抱きしめるシザー。
 「いいじゃない、少しくらい!こんなに可愛い子を独り占めなんてズルイ!」
 「それには同意するよ!僕の女神様を独り占めなんてズルイ!」
 「なんなんだ、お前ら!揃って同じ事言いやがって!」
 「「だって可愛いんだもん!」」

  キレイにハモったね…気が合うんじゃない?2人。

 「ナツメさんが素敵な人なのは認めますがね」
 「女神様だからな」

  ギルドのマスターとサブマスターが揃ってるのに止めてくれないの…?

 「うふふ…」

  1人安全な所まで離れて楽しそうに笑っているサラ。…見てないで助けてよぅ…

「なんでこんな事に…」











 ようやく落ち着いた室内を見渡す。

 「どういう事かなぁ?ポピー」
  ニコッと笑いながら聞くが、ポピーは驚いてビクン!と跳ねた。
 「えと…要するに、男でも女でも、可愛い子が好きなの。別に女の子と付き合いたいとかじゃなくて、その、可愛い子を愛でるのが好きで…。ちょっと変わってる自覚はあるんだ、だからナツメには秘密にしてたんだ。嫌われたくないし…」
  しゅん、と俯く。…ロイさんは可愛いのかな…?
 「ポピーちゃん…その気持ち、よく分かるよ!僕も同じだ!僕の女神様を愛でるのがいいんだ!」
  ロイさんがフォローに入る。が。
 「ロイさん、ここがどこだか分かってる?…度が過ぎると私でも怒るよ?」
 「ハイ…ゴメンナサイ」
  静かになった。さて。
 「ポピー、びっくりしたけど嫌いになんかならないよ?ここに来て、初めて出来た友達だもん。可愛いって言ってくれるのは嬉しいけど、時と場所を選んでほどほどにしてね?」
  そう言うとポピーはふにゃっと泣きそうな顔になった。
 「うぅ~、ありがとう、ナツメ。さすが私の天使だよぅ…」
  天使…?
 「さすがナッちゃん、僕の女神様!」
  ロイさんはホント、ブレないな…。
 「お前ら、言っとくがナツメは俺の女だからな。やらねえぞ」
  シザー…それは分かったから。

 「さすがナツメさんですね。心が広い」
 「女神様だからな」
 「うふふ」
  …もう何も言うまい。まだ8の刻だよね?何だか疲れちゃったよ…。

 「さあ!話が付いた所で今日の分担を始めますよ!」

  モーブさんの楽しそうな声が響いた。
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