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40.パーティー登録
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「ぴぴぃ…ぴ」(訳、あっちがいいのに~…なの)
「うるせえぞ、そこで我慢しろ」
異色の対戦は引き分けに終わった。家の中でなら良いが外では駄目、という事になったのだ。
今は4人でギルドへ向かっている最中で、スノウは渋々膨れっ面で(?)レオンさんの頭に乗っている。深紅の髪の上にちょこんと白毛があるのがまた何とも言えない。私は可愛いと思うんだけど、エヴァさんはクスクス笑っていた。ちなみにスノウがぴいぴい鳴いても、何故か私だけでなく2人にもきちんと言葉として聞こえている。
「笑うなエヴァ」
「フフ…ごめん」
「そうですよ、可愛いのに。…あ…」
「また使ったな、敬語。それに…可愛いって何だ、ん?」
「えぇと…その…」
しまった、と思ったがもう遅い。2人の歩みが止まる。
「…まあ良い。可愛い、は後だ。それより罰だな」
「わわ、ちょっとまっ…」
私の制止など効くわけもなく、ちゅっ、とキスされる。そう、このキスが罰である。さっきから何度もこうして罰と言ってはキスされている。公衆の面前で。うぅ…早く直さないと。
「あんまり多いようだと罰がランクアップするから気をつけてね」
ニコニコしながらエヴァさんが言う。
「…頑張る」
私は赤くなってそう答えるしかなかった。
■
彼らがギルドに入るといつも通り視線を集めるが、今日はレオハーヴェンの頭に集中していた。
それもそのはず、レオハーヴェンは28の若さでSランクに昇り詰めた強者。クールで男気がある事で知られていて、実は若い男の冒険者たちの間では憧れの存在なのだ。その上最近出来た恋人がかなりの美女で、あっという間にAランクになったという噂も既に広まっている為ますます憧れ度が強くなっている。
そんな彼が今、白くて可愛らしい小鳥を頭に乗せている。ファン(?)から見れば何ともミスマッチで目を疑いたくなる光景だ。
「凄い注目度だね。レオン」
「狙い通りだろうが」
レオンさんの頭にスノウという配置には、異例だらけの昇級テストでAランクになった私から少しでも目を逸らそうという彼らの考えがあった。
「ふふ、ありがとう。レオンさん」
「…普通だな」
「…敬語なしだね」
若干面白くなさそうな表情の2人。
…敬語使ったら罰で、使わなくてもご機嫌ナナメってどういう事でしょう?不条理。
「…手続きするか」
「そうだね」
私たちはカウンターへ向かった。
「こんにちは。パーティー登録と、契約獣の確認を頼みたいんだけど」
「…はい、かしこまりました。パーティーメンバーは3人様ですか?」
「うん、そうだよ」
「では契約印の確認を先にいたします。主はどなたですか?」
「はい。スノウおいで」
「ぴぴっ」(はいなの)
カウンター前に進み出てスノウを呼ぶと、すぐに私の手に飛んできた。
「この子のはくちばしの…ここです」
主は右手の甲と決まっていて、普段は見えないが意識して魔力を通すと現れる。私は印の出た自分の右手とスノウの乗った左手を差し出した。
「はい、え~と…しょ、少々お待ちください」
受付嬢は引き出しからルーペのようなものを取り出してスノウの印を見る。同じ紋様かも確認しなくてはいけないが、細かすぎて見えないのだ。
じ~っとルーペを覗き、私の印と比べてから近くにいた男性を呼んで見せる。念のためだろう。その男性は確認を終えると頷き、帰っていく。
「確認出来ました。カードをお願いします」
「はい」
カードを渡すと一度席を外し、すぐに戻る。
「注意事項をいくつか申し上げます。万が一契約獣が罪を犯した場合、責任の全ては主が負う事になります。また事例によっては契約獣の殺処分も有り得ますので充分ご注意願います」
「はい、分かりました」
次はパーティー登録。カウンターに出された紙にエヴァさんが記入する。
【パーティー名】レックス
【リーダー】レオハーヴェン(S)
【メンバー】エヴァント(A)・キラ(A)
パーティー名のレックスはそれぞれの頭文字をとって付けた。レオハーヴェンのR、エヴァントのE、キラのK、そしてスノウのS。
“Reks”
一枚の白いカードに3人の血を垂らす。これがパーティーのカードになるのだ。スノウがカウンターに飛び降り、カードに血が吸い込まれるのを首を傾げて見ている。その可愛らしい様子に受付嬢は一気に破顔してスノウを見つめていた。
そうでしょう、そうでしょう。ウチの子最高に可愛いでしょう?
受付嬢がハッと我にかえり、個人のカードも受け取って奥へ行きまた戻る。パーティーカードはリーダーであるレオンさんに渡された。
パーティーランクは全員のソロランク平均で決まり、上下1ランク違いまで依頼を受けられる。レックスはAランクなのでB~Sランクという事になる。
ソロランクはパーティーの依頼を熟してもアップ可能。普通はトドメを刺した者に全ての経験値が入るが、パーティーメンバーは共に攻撃する事で経験値の共有も可能だ。得られる数値はソロで倒した時よりも低めだが、人数がいるのでより強い魔物に挑戦できるしその分良い素材も手に入る。ソロよりパーティーが多いのは当然と言えた。
レックスに関して言えば、メンバー全員経験値五割増しの効果がある称号持ち。そして契約獣であるスノウは主と経験値を共有しているので、結果的にスノウも加えた4人がパーティーメンバーのようなもの。
このパーティーがどこまで強くなるのか、現段階でそれを想像出来ている者は極少数である。だが、ずっとソロだったレオハーヴェンとエヴァントが噂の美女とパーティーを組んだ。この事実は驚くべきスピードで冒険者たちに広まっていくのだった。
手続きを終え、レオンさんが提案する。
「一応依頼見ていくか?」
「そうだね、良い?キラ」
「は…うん…いいよ」
セーフ!危なかった…ここでキスは避けたいですよ。
「チッ…」
「フフ…慣れてきたね~」
「…」
…今舌打ちした?ねえ、レオンさん今舌打ちしたよね?
「…行くぞ」
「ほら、手貸して?」
2本の手を差し出され、少々の膨れっ面を自覚しながら2人を見上げる。彼らはそんな私を見て笑い、手を引いてボードの方へ向かった。
「うるせえぞ、そこで我慢しろ」
異色の対戦は引き分けに終わった。家の中でなら良いが外では駄目、という事になったのだ。
今は4人でギルドへ向かっている最中で、スノウは渋々膨れっ面で(?)レオンさんの頭に乗っている。深紅の髪の上にちょこんと白毛があるのがまた何とも言えない。私は可愛いと思うんだけど、エヴァさんはクスクス笑っていた。ちなみにスノウがぴいぴい鳴いても、何故か私だけでなく2人にもきちんと言葉として聞こえている。
「笑うなエヴァ」
「フフ…ごめん」
「そうですよ、可愛いのに。…あ…」
「また使ったな、敬語。それに…可愛いって何だ、ん?」
「えぇと…その…」
しまった、と思ったがもう遅い。2人の歩みが止まる。
「…まあ良い。可愛い、は後だ。それより罰だな」
「わわ、ちょっとまっ…」
私の制止など効くわけもなく、ちゅっ、とキスされる。そう、このキスが罰である。さっきから何度もこうして罰と言ってはキスされている。公衆の面前で。うぅ…早く直さないと。
「あんまり多いようだと罰がランクアップするから気をつけてね」
ニコニコしながらエヴァさんが言う。
「…頑張る」
私は赤くなってそう答えるしかなかった。
■
彼らがギルドに入るといつも通り視線を集めるが、今日はレオハーヴェンの頭に集中していた。
それもそのはず、レオハーヴェンは28の若さでSランクに昇り詰めた強者。クールで男気がある事で知られていて、実は若い男の冒険者たちの間では憧れの存在なのだ。その上最近出来た恋人がかなりの美女で、あっという間にAランクになったという噂も既に広まっている為ますます憧れ度が強くなっている。
そんな彼が今、白くて可愛らしい小鳥を頭に乗せている。ファン(?)から見れば何ともミスマッチで目を疑いたくなる光景だ。
「凄い注目度だね。レオン」
「狙い通りだろうが」
レオンさんの頭にスノウという配置には、異例だらけの昇級テストでAランクになった私から少しでも目を逸らそうという彼らの考えがあった。
「ふふ、ありがとう。レオンさん」
「…普通だな」
「…敬語なしだね」
若干面白くなさそうな表情の2人。
…敬語使ったら罰で、使わなくてもご機嫌ナナメってどういう事でしょう?不条理。
「…手続きするか」
「そうだね」
私たちはカウンターへ向かった。
「こんにちは。パーティー登録と、契約獣の確認を頼みたいんだけど」
「…はい、かしこまりました。パーティーメンバーは3人様ですか?」
「うん、そうだよ」
「では契約印の確認を先にいたします。主はどなたですか?」
「はい。スノウおいで」
「ぴぴっ」(はいなの)
カウンター前に進み出てスノウを呼ぶと、すぐに私の手に飛んできた。
「この子のはくちばしの…ここです」
主は右手の甲と決まっていて、普段は見えないが意識して魔力を通すと現れる。私は印の出た自分の右手とスノウの乗った左手を差し出した。
「はい、え~と…しょ、少々お待ちください」
受付嬢は引き出しからルーペのようなものを取り出してスノウの印を見る。同じ紋様かも確認しなくてはいけないが、細かすぎて見えないのだ。
じ~っとルーペを覗き、私の印と比べてから近くにいた男性を呼んで見せる。念のためだろう。その男性は確認を終えると頷き、帰っていく。
「確認出来ました。カードをお願いします」
「はい」
カードを渡すと一度席を外し、すぐに戻る。
「注意事項をいくつか申し上げます。万が一契約獣が罪を犯した場合、責任の全ては主が負う事になります。また事例によっては契約獣の殺処分も有り得ますので充分ご注意願います」
「はい、分かりました」
次はパーティー登録。カウンターに出された紙にエヴァさんが記入する。
【パーティー名】レックス
【リーダー】レオハーヴェン(S)
【メンバー】エヴァント(A)・キラ(A)
パーティー名のレックスはそれぞれの頭文字をとって付けた。レオハーヴェンのR、エヴァントのE、キラのK、そしてスノウのS。
“Reks”
一枚の白いカードに3人の血を垂らす。これがパーティーのカードになるのだ。スノウがカウンターに飛び降り、カードに血が吸い込まれるのを首を傾げて見ている。その可愛らしい様子に受付嬢は一気に破顔してスノウを見つめていた。
そうでしょう、そうでしょう。ウチの子最高に可愛いでしょう?
受付嬢がハッと我にかえり、個人のカードも受け取って奥へ行きまた戻る。パーティーカードはリーダーであるレオンさんに渡された。
パーティーランクは全員のソロランク平均で決まり、上下1ランク違いまで依頼を受けられる。レックスはAランクなのでB~Sランクという事になる。
ソロランクはパーティーの依頼を熟してもアップ可能。普通はトドメを刺した者に全ての経験値が入るが、パーティーメンバーは共に攻撃する事で経験値の共有も可能だ。得られる数値はソロで倒した時よりも低めだが、人数がいるのでより強い魔物に挑戦できるしその分良い素材も手に入る。ソロよりパーティーが多いのは当然と言えた。
レックスに関して言えば、メンバー全員経験値五割増しの効果がある称号持ち。そして契約獣であるスノウは主と経験値を共有しているので、結果的にスノウも加えた4人がパーティーメンバーのようなもの。
このパーティーがどこまで強くなるのか、現段階でそれを想像出来ている者は極少数である。だが、ずっとソロだったレオハーヴェンとエヴァントが噂の美女とパーティーを組んだ。この事実は驚くべきスピードで冒険者たちに広まっていくのだった。
手続きを終え、レオンさんが提案する。
「一応依頼見ていくか?」
「そうだね、良い?キラ」
「は…うん…いいよ」
セーフ!危なかった…ここでキスは避けたいですよ。
「チッ…」
「フフ…慣れてきたね~」
「…」
…今舌打ちした?ねえ、レオンさん今舌打ちしたよね?
「…行くぞ」
「ほら、手貸して?」
2本の手を差し出され、少々の膨れっ面を自覚しながら2人を見上げる。彼らはそんな私を見て笑い、手を引いてボードの方へ向かった。
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