R18、アブナイ異世界ライフ

くるくる

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8. 初出勤、初トラブル

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 この酒場の営業時間は昼12時から午前0時までの12時間。ホールは11時~19時、18時~1時の2交代制で、調理はもう少し早くかららしい。休憩が1時間あり、その間に賄いを頂ける。

  マスターが私を今日一緒に働く先輩たちに紹介すると、ボリューム抑え気味の歓声が上がる。簡単に挨拶をして、連絡事項などが伝えられると開店準備が始まった。

 「ルイ、こちらへ」
  マスターが1人の青年を呼ぶ。何だか全体的に色素が薄い印象を受ける。薄い茶色…いや、ベージュの髪は短めでさらっとしていて、肌も白い。優しい雰囲気が漂う人だ。
 「彼がフロアリーダーのルイです。見習い期間はルイに教わってください」
 「はい。よろしくお願いします。ルイさん」
 「こちらこそよろしくね。ソニアちゃん、でいいかな?」
 「はい」

  後ろの方では、羨まし気にルイさんを見ているスタッフたちをマスターが促していた。











「ソニアちゃん!ビール2つおかわり!」
 「ソニアちゃん、こっちは3つ!」
 「ソニアちゃんつき合って!」

  基本的な事と注意事項を教わり、後は習うより慣れよ、という事でホールに出た。初日なのにすっかり名前が知れ渡ってしまった。まあ、女が私1人だから仕方ないか。

 「1番と5番テーブルさん了解です!」
 「8番テーブルさんはお断りで~す!」

  接客の基本は笑顔!軽~く誘われたので軽~く返しておく。

 「おい!みんなのソニアちゃんに何て事言うんだ!」
  そんなのいつ決まった。
 「そうだぞ!ソニアちゃんはみんなの癒しだ!」
  おぉう…何て恥ずかしい事を。
 「いいじゃねえか、ちょっと誘うくらい!」
  ちょっと?もう5回目ですが。
 「何だと!」
 「何だよ!」
 「やるかコラ!」
  始まってしまった…。

 「やるなら表でどうぞ~!」
  お客様の方を向いてにっこり笑って言う。

 「「「・・・・」」」

  うん、静かになった。

  カウンターでビールを受けとると、マスターが私に言う。

 「ソニアさん、それ配ったら休憩してください」
 「はい」

  ルイさんと一緒に休憩に入って賄いを頂き、調理場の人達に挨拶してから休憩スペースに向かう。歩いていると一瞬立ち眩みする。

  …おかしいな。このくらいでへばるはずないんだけど。

 「どうしたの?…体調悪い?」
  前を歩いていたルイさんが立ち止まって振り返る。
 「いえ、大丈夫です」
 「そう?まあ、初日であんなに人気が出たら疲れもするよね。無理しないで言ってね」
  にっこり笑う。爽やかな人だ。
 「ありがとうございます」
  体調管理も仕事の内。気を引き締めなきゃ。

  だが休憩後も体調は戻らない。それどころか段々身体の中が変に熱くなってきている。不思議と汗が出ないので、他の人にはバレていないと思う。…たぶん。でも、さっきから何故か2階席で私を見ているオーナーには見透かされている気がした。

  …初日だし、働きぶりでも見てるのかな?早速体調なんか崩したら首になったりとか…それは避けたい。

  何とか店は閉店時間を迎える。私に手を振りながら帰るお客さんたちに小さく手を振り返し、清掃を始める。

  後もう少し、という所で強い眩暈に襲われて立っていられず、座り込んでしまう。

 「ソニアちゃん!」
  ルイさんが私に駆け寄って肩に手を掛けた時、低くイイ声が耳に届く。
 「ルイ、どけ」
  オーナー?あ、マズイ。叱られるかも。
 「オーナー、すみま…ふぁ!?」
  手が伸びてきたと思ったらぶわっと抱き上げられて変な声が出た。

  え、コレって・・・もしかしてお姫様抱っこってやつですか!?ちょっと待て!何故に!?

 「オ、オーナー!」
 「黙ってろ」
  有無を言わさぬ声色に抗議を断念する。
 「はぃ…」
  私は消え入りそうな声で返事した。











 私は今日面接した部屋の更に奥へ連れて行かれた。

  そこはオーナーの私室のようでとても広く、上質で品の良い家具が揃っていた。抱き上げたままベッドルームに入る。

  えええ!!

  ぎょっとしてさすがに黙っていられなくなった。

 「オーナー、は、放してください!」
 「黙れ」
 「ッ!!」

  またそれ!?何なの!

 「黙りません!」
  言い返すと目を見開く。
 「し、仕事中に倒れたりして申し訳ありませんでした!」
  とにかく謝らなきゃ、と思って必死に言う。とても反省しているとは思えない体勢だが、降ろしてくれないのだから仕方がない。
 「今後気を付けますので!あの…ここで何をするのか…知りませんが、その…ゆ、許してもらえませんか」
  ミスしておいて気を付けるから許して、なんて甘い。それは分かっているが…。最初の勢いはどこへやら、段々声が小さくなる。後はオーナーの心の広さに期待……え?

  私が審判を待っているとオーナーが震えだす。何事かと思って見上げると―――

 オーナーは笑いを堪えていました・・・。

 「オーナー…」
  そんなに面白い事言いました?

  一頻り笑った後、私をベッドに降ろして隣に座る。そしていつもの表情に戻って口を開いた。

 「お前、魔人と白兎のハーフだな?」
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