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9. 覚醒
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「ッ!!あ、の…」
いきなりの話に何と言ったらいいか分からず狼狽える。
「別に責めてるわけじゃない。だが、白兎も魔人の女もかなり珍しい。色々厄介な事もあるだろうし、俺に庇護を求めても不思議はない。何故言わなかった?」
遠からずバレるだろうとは思っていた。でもまさかこんなに早くとは。
「確かに私はハーフで、魔人の血が入ってます。でも印もないし、能力も分からないんです」
「親は?」
「分かりません。何故か昔の記憶がないんです。気が付いたら山の中にいて…大きな街へ行けば目立たないし、仕事も見つかると思ってシャハールに来たんです」
「…まさか、ここに来たのは偶然か?」
「はい。住み込み可で、種族の条件も無かったのでここに。…あの、面接の時はすみませんでした。魔人に会ったの初めてで驚いてしまって」
嘘ではないよね?
オーナーは厳しい表情で私の目をじっと見る。射るような鋭い視線を黙って受け止める。
「…嘘をついてる訳じゃなさそうだな。なるほどな…」
やがて納得して視線を緩めた。
…良かった、信じてもらえたみたい。それに言ってしまってちょっとスッキリした。庇護を求める訳ではないけど、色々教われるかもしれないし。
…あれ?この話がしたかったのだろうか?でも何でベッド?話に夢中で忘れていたが、思い出して首を傾げる。するとオーナーが言った。
「お前の体調がおかしいのは…まあ、不可抗力だがほぼ俺の所為だ」
あっさり告げられた言葉に目を剥く。
「えぇ!な、何でですか…」
「魔人は生まれてすぐに能力が目覚める訳じゃない。かなり個人差もある。ハーフなら尚更だ。お前のはまだ眠ってたんだろうが、手が触れた事で互いの魔力が反応してスパークした。こういう事は魔人同士でたまにある。で、今スパークの刺激でお前の能力が目覚めつつある。眩暈がしたり、体の中が熱いのは魔力が湧いてくるときの感覚だ。それが強ければ強いほど魔力も強い」
意外なほど分かりやすい説明を終えて私を見る。漆黒の瞳に熱が籠る。
え・・・ちょっと待って。何かマズイ気がする。
「あの、私そろそろ…」
「ダメだ」
立とうとしたが腕を掴まれてベッドへ押し倒される。
「キャア!」
悲鳴をあげる私に構わず、組み敷いて耳元で囁く。
「…身体、熱いだろ?だがまだだ。完全には目覚めてねえ…俺が全て起こして…鎮めてやる」
色香を纏った声が脳に響いて思わず震える。
「イ、ヤ…」
抵抗する声は余りにもか弱くて効き目がない。耳の中をゆっくりとねぶられて背筋にビリッと電流が走る。
「っひ!あ、や…ッん!」
背を反らせて小さく声を上げるが口を塞がれる。
その瞬間。
熱いものが私を支配し、頭の中が白く、激しく、スパークする。パアァン!!という破裂音が聞こえた気がした。
「んんン―――――ッ!!」
全身が痺れ、ガクガク痙攣すると僅かな隙間から舌が侵入してきて私の舌を絡めとる。
「んッ、ンふ!っんうぅん!」
逃げる事も叶わず、熱さと痺れに悶える。
手が胸を弄り始め、やっと唇が解放される。
「も、や、めて、あつ…い……たす、けて」
ついに我慢していた涙が零れる。泣き顔なんて見られたくない。手で覆いたいが痺れた全身はもう力など入らなくて…必死に顔を背ける。泣き声だけは出すまいと唇をギュッと噛む。
と、
オーナーの動きがピタッと止まる。
「おい…ソニア?おい!」
私の名を呼ぶ声が焦っていておかしい。
「ソニア!」
何故か必死なその声を遠くに感じながら、私の意識は闇に飲み込まれた。
◇
ぼんやりと意識が浮上する。
あれ・・・?わたし・・・なに・・してたんだっけ・・?・・・だめ・・あたまが、まわらない。
身体は酷く重たくて指1本動かない。
何かがそっと口を塞ぐ。・・・温かい。苦い液体が少しずつ流れてくる。それを飲み下すと温かいものが離れる。
あ・・・やだ・・もうちょっと・・して。
少し寂しい。今度は冷たいものが額に触れる。大きな何か。
・・・いいきもち。
私の意識は再び落ちていった。
いきなりの話に何と言ったらいいか分からず狼狽える。
「別に責めてるわけじゃない。だが、白兎も魔人の女もかなり珍しい。色々厄介な事もあるだろうし、俺に庇護を求めても不思議はない。何故言わなかった?」
遠からずバレるだろうとは思っていた。でもまさかこんなに早くとは。
「確かに私はハーフで、魔人の血が入ってます。でも印もないし、能力も分からないんです」
「親は?」
「分かりません。何故か昔の記憶がないんです。気が付いたら山の中にいて…大きな街へ行けば目立たないし、仕事も見つかると思ってシャハールに来たんです」
「…まさか、ここに来たのは偶然か?」
「はい。住み込み可で、種族の条件も無かったのでここに。…あの、面接の時はすみませんでした。魔人に会ったの初めてで驚いてしまって」
嘘ではないよね?
オーナーは厳しい表情で私の目をじっと見る。射るような鋭い視線を黙って受け止める。
「…嘘をついてる訳じゃなさそうだな。なるほどな…」
やがて納得して視線を緩めた。
…良かった、信じてもらえたみたい。それに言ってしまってちょっとスッキリした。庇護を求める訳ではないけど、色々教われるかもしれないし。
…あれ?この話がしたかったのだろうか?でも何でベッド?話に夢中で忘れていたが、思い出して首を傾げる。するとオーナーが言った。
「お前の体調がおかしいのは…まあ、不可抗力だがほぼ俺の所為だ」
あっさり告げられた言葉に目を剥く。
「えぇ!な、何でですか…」
「魔人は生まれてすぐに能力が目覚める訳じゃない。かなり個人差もある。ハーフなら尚更だ。お前のはまだ眠ってたんだろうが、手が触れた事で互いの魔力が反応してスパークした。こういう事は魔人同士でたまにある。で、今スパークの刺激でお前の能力が目覚めつつある。眩暈がしたり、体の中が熱いのは魔力が湧いてくるときの感覚だ。それが強ければ強いほど魔力も強い」
意外なほど分かりやすい説明を終えて私を見る。漆黒の瞳に熱が籠る。
え・・・ちょっと待って。何かマズイ気がする。
「あの、私そろそろ…」
「ダメだ」
立とうとしたが腕を掴まれてベッドへ押し倒される。
「キャア!」
悲鳴をあげる私に構わず、組み敷いて耳元で囁く。
「…身体、熱いだろ?だがまだだ。完全には目覚めてねえ…俺が全て起こして…鎮めてやる」
色香を纏った声が脳に響いて思わず震える。
「イ、ヤ…」
抵抗する声は余りにもか弱くて効き目がない。耳の中をゆっくりとねぶられて背筋にビリッと電流が走る。
「っひ!あ、や…ッん!」
背を反らせて小さく声を上げるが口を塞がれる。
その瞬間。
熱いものが私を支配し、頭の中が白く、激しく、スパークする。パアァン!!という破裂音が聞こえた気がした。
「んんン―――――ッ!!」
全身が痺れ、ガクガク痙攣すると僅かな隙間から舌が侵入してきて私の舌を絡めとる。
「んッ、ンふ!っんうぅん!」
逃げる事も叶わず、熱さと痺れに悶える。
手が胸を弄り始め、やっと唇が解放される。
「も、や、めて、あつ…い……たす、けて」
ついに我慢していた涙が零れる。泣き顔なんて見られたくない。手で覆いたいが痺れた全身はもう力など入らなくて…必死に顔を背ける。泣き声だけは出すまいと唇をギュッと噛む。
と、
オーナーの動きがピタッと止まる。
「おい…ソニア?おい!」
私の名を呼ぶ声が焦っていておかしい。
「ソニア!」
何故か必死なその声を遠くに感じながら、私の意識は闇に飲み込まれた。
◇
ぼんやりと意識が浮上する。
あれ・・・?わたし・・・なに・・してたんだっけ・・?・・・だめ・・あたまが、まわらない。
身体は酷く重たくて指1本動かない。
何かがそっと口を塞ぐ。・・・温かい。苦い液体が少しずつ流れてくる。それを飲み下すと温かいものが離れる。
あ・・・やだ・・もうちょっと・・して。
少し寂しい。今度は冷たいものが額に触れる。大きな何か。
・・・いいきもち。
私の意識は再び落ちていった。
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