R18、アブナイ異世界ライフ

くるくる

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92.披露パーティーに向けて

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 只今午前10時、3人で食後のコーヒー中。お祭りの翌日はどこの店も休みなので今日はゆっくりできる。

  身体は少し怠いがこのくらいなら平気。二穴はもう何度か経験しているのでイキ落ちはしなくなった。

 「そろそろ披露パーティーの準備をしようと思うんだが」
 「そうですね、いつまでも先延ばしにする訳にはいきませんし」 

  披露パーティー。名前のまま、前世でいうところの披露宴にあたる。ここではケーキ入刀や両親への手紙などは無いはずだけど、わたしが知らないだけかもしれないので聞いてみる。

 「披露パーティーでは何をするの?」
 「大した事はしませんよ、夫婦になった事を知らせる為のパーティーですから」
 「そうだな。俺たちと来賓の挨拶があるくらいで、後は会食だ」
 「歌い手や演奏家のステージがある場合もありますね」
 「そうなんだ」

  何も特別なことはなさそうで安心した。

 「レドはいつ頃を考えてますか?」
 「寒冷期の中頃だな、どうだ?」
 「そうですね、後半に近い方が良いとは思いますが」
 「なら約2か月半後、だな」
 「ええ、賛成です。…ということで、後2ヶ月半後にほぼ決まりです」
 「はい…」

  2人でひょいひょいと話を進め、瞬く間に決まってしまった。

  一般的な結婚披露の食事会ならすぐにでも出来るが、レドモンドとルーカスではそうもいかない。呼ばなければならない人物が何人もいるのだ。中には遠い街に住んでいる人もいる。招待状を送り、それが返ってこないと細かな準備が出来ない。

  熟考しなければならないこともある。レドモンドたちが招くのはグラベット関係者が殆ど。でも街によってはその人物がいないと守りが薄くなる場合もあるのだ。それに、パーティーの時は多くの重要人物がシャハールに集まる。色々良からぬことを画策する輩もいると考え、注意深く事を運ぶ必要がある。

 「メンバー選考からだな」
 「ええ」
 「…ねえ、わたしにも手伝えることない?」

  聞いてみると2人してちょっと呆れた顔をする。

 「…自分が暇だと思ってるなら甘いぞ、ソニア」
 「え?」
 「まずはドレス、少なくとも6着は着てもらいます。それに見合ったジュエリー、靴や髪飾りなどの小物、全てオーダーメイドですから、デザインから何から細かく決めなければいけません」
 「…え」
 「後は歌だな。有名な歌い手自身のパーティーでは数曲披露するのが当たり前だ」
 「……え…」
 「ああ、挨拶があったな。ソニアも皆の前で挨拶する」

  ・・・・・全然暇じゃないですね、すみません。・・・って、ちょっと待った!聞き流しちゃったけどドレス6着!?お色直し5回もするの!?

 「あの…ドレス6着って…多くないの?」
 「「多くない」」

  ・・・即答。わたしには2人の笑顔が無言の圧力に見えます・・・。

 「そ、そう…」

  そして、この日から披露パーティーの準備が始まりました。











 数日後、わたしたちはドレスのショップに来ていた。

  ここに初めて来たのはレドとの初デートの時。店で歌うようになってからは2人してドレスを贈ってくれているので何度も訪れている。酒場のステージに出るようになってまだ半年も経っていないし、乾期の間はお祭りまで歌っていないにも拘わらず、何度も。

  様々な理由をつけるレドとルーカスに負け、いつも買ってもらう事になる。

 「いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」

  中へ入ると、店長の女性が出迎えてくれる。最初以外はずっと馬車を店の前につけているので、すぐに来店が分かるようだ。

  奥のVIPルームに通され、ソファーに腰掛けるとレドが言った。

 「披露パーティー用のドレスを作って欲しい。小物も全てだ。数は6着」




  淡々と話すレドモンドの言葉に目を見開く女性店長。無理もない、オーダーメイドのドレスなどそうそう売れるものではないのだから。

  ドレスを買うのは金持ちの家か歌い手で、殆どの歌い手は年に1、2着ほど新調して大切に着る。金持ちは年に何着も購入する事だってあるが、それは既製品の場合でオーダーメイドとなれば話は別。それに一口にドレスショップといっても色々で、わりとリーズナブルな品を扱っているところもある。だがこの店はかなりの高級品を揃えているので有名なのだ。

  その滅多に注文の入らないオーダーメイドを6着、しかも小物まで全て。更にそのドレスを着るのは自身も歌姫と呼ばれているグラベットのボスの妻。女性店長は驚きながらも必死に冷静を保っているが、心の中では狂喜乱舞していた。




 「全てを2か月で仕上げて欲しいのですが、出来ますか?」
 「はい、もちろんでございます」

  ルーカスが尋ねると穏やかながらも嬉々とした声が返ってくる。

 「デザイン案やサンプルならばすぐにご用意出来ますが、お持ちいたしましょうか?」
 「ああ、頼む」
 「かしこまりました。では少々お待ちくださいませ」

  店長が出ていくと、遠くから控え気味の歓声が聞こえた。

  レドモンドたちの注文を聞いた店員たちは裏で大騒ぎである。これもまた当然。

  このショップはレドモンドたちが来店するようになってから前にも増して評判が良くなっている。それは彼らが相当な目利きで、高い安いに拘らず本当に良質で気に入った物しか買わないからだ。いくら高級品でも丁寧に作られていないものには見向きもしない、これはシャハールでは有名な事だ。

  そんな彼らからオーダーメイドの注文を受けた。それを結婚披露パーティーというとても大切な場で着てくれるのだ。評判は更に上がるだろう。

  そして・・・5回も色直しがあるなんて王族みたい!と言われていることをソニアは知りません。

  これから、なんだか凄く張り切っているドレスショップのスタッフさん達と何度も会う事になるのです。



 ※少し執筆から離れていましたが何とか復帰しました。またちょこちょことアップします。
  よろしくお願いします。
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