魂の片割れ同士は禁断の恋に殉じる

田鶴

文字の大きさ
1 / 5

1.プロローグ

しおりを挟む
 ある所に貧しい一家が住んでいた。日々の生活が苦しくとも、夫は妻を溺愛し、彼らの子である双子の姉弟はとても仲がよかった。

 双子の姉のイレーネは、母親のウルリケに似て少し浅黒い肌をしており、焦げ茶色の瞳と髪の毛を持っていた。彼女は小さな目鼻立ちをしていてかわいらしく、愛嬌があり、性格も天真爛漫で明るい。

 一方、弟のカイは白磁のように滑らかで白い肌をしているが、頬だけはほんのりと赤らみ、黄金のように輝く金髪と透き通る湖水のような青い瞳を持っていた。その神が与えたかのような美貌と天才的な頭脳は、父親似であった。

 イレーネは、優しい母が大好きで絶世の美男である父親と弟を誇りに思っていたが、貧しい生活だけは少し不満だった。遠くから見かけたことのある貴族女性のように着飾ってみたい――イレーネは、そう言っていつも両親のいない場所で弟のカイに愚痴るのだった。

「あーあ、私もあんなに綺麗なドレスを着てみたいな。どっちかのおじいちゃんとおばあちゃんが実は大金持ちで私達を迎えに来るとかないかな」
「イレーネはバカだなぁ。そんな夢みたいな話なんてないよ」
「でも両方のおじいちゃん、おばあちゃんのことも、親戚のことも、私達、全然知らないんだよ。おかしくない? だから、お父さんかお母さんのどちらかが本当は大貴族の子で、もう片方がその家に仕えていた使用人だったんじゃないかな。キャー、禁じられた恋だよ!」

 イレーネが頬を染めてはしゃいだのとは対照的に、カイは呆れたように大きなため息をついた。

「ハァ……どうせかなわない妄想なんてやめたほうがいいよ」
「想像ぐらいは自由でしょ!」
「まあ、妄想ぐらいは勝手にしてもいいけど、お父さん達には言わないようにね。お父さん達が駆け落ちしたのはたぶん合っているけど、そんな大それた家の人間じゃなかったと思うよ。もしそうだったとしたら、とっくに誰かが迎えに来ていたはずだ」
「それもそうだよね……」

 イレーネとカイはこんな会話をしていた頃、まもなくが起きてイレーネの想像が全くの間違いではなかったと判明するとは想像すらできなかった。

 それまで2人は、祖父母どころか、親戚にも一切会ったことがなかった。両親はたぶん『駆け落ち』というものをして親に絶交されているんだというのが、イレーネより大人びたカイの考えだった。だから、両親にそのことを聞きただしてはいけないとカイが言うのをイレーネは律儀に守っていた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~

花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。  だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。  エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。  そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。 「やっと、あなたに復讐できる」 歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。  彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。 過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。 ※ムーンライトノベルにも掲載しております。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

田舎の幼馴染に囲い込まれた

兎角
恋愛
25.10/21 殴り書きの続き更新 都会に飛び出した田舎娘が渋々帰郷した田舎のムチムチ幼馴染に囲い込まれてズブズブになる予定 ※殴り書きなので改行などない状態です…そのうち直します。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...