愛を知らない少女

とうふ

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シャワー室で

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 都内にある高級タワーマンションの一室が、今のわたしの自宅だった。もうわたしも高校生になる年齢だ。簡単な料理なら1人でも作れるし、掃除や洗濯なども問題なかった。それに事務所を出てからは、スタッフさんたちも通って時々様子を見にきてくれる。料理や掃除洗濯などの身辺の世話はしてくれ、食料品なども基本的にスタッフさんたちが必要なものを購入し届けてくれる。おかげで、日常生活でそれほど困ることはない。

 ただ、元はといえばこの部屋は、裏ファンクラブのオフ会の会場として使っていた場所でもあるため、普通の女子高生の一人暮らししている部屋とは、相当掛け離れていた。

 リビングには女子高生が1人で寝るには大きすぎるベッドが置かれ、その側の棚にはいくつものディルドやローター、電気マッサージ器など、様々なアダルトグッズが並べられている。それだけでも十分異様だが、壁に設置されたX字や、洋式便座の拘束台、ベランダの柵からぶら下がるいくつもの枷付きの鎖、セックス中のわたしの痴態を映し出すためのビデオカメラや巨大なモニターまである。部屋自体が、わたしを犯して愉しむことを目的としているつくりなのだ。

 そんな部屋だが、事務所から高校に通うよりは交通の便が良いこと、それにもう一つの理由で、わたしはこのSMホテルの一室のようなタワーマンションの部屋で生活していた。

 「ただいま・・・」
 「おっ、おかえり。芹那ちゃん、待ってたよ」
 「今日も遅かったね、学校お疲れ様」

 部屋に入ると、リビングには半裸姿の中年男性たちが4人、ソファと小さなテーブルを囲んで、高級そうな酒を酌み交わしていた。さらに、ベッドの上にはあと3人、同じくらいかもう少し年上に見える壮年の男性たちが、視線を巨大なテレビモニターに向けて、バラエティ番組を表情も変えずに眺めていた。
 彼らは全員、女優としてのわたし、桃井芹那の裏ファンクラブの会員たちだった。彼らはお互いに会話していた様子もなかったが、わたしが帰宅すると、すぐに視線をわたしの方へ向ける。

 (今日は、7人か・・・いつもよりは、少なめだな・・・)


 一人暮らしであるはずのわたしの部屋に、ファンクラブ会員の男性たちが先にいて待ち構えているのも、高校に通い始めてからは、毎日のことになっていた。もちろん彼らは、単に憧れの女優であるわたしに会いたいがために来たわけではない。
 桃井芹奈としての活動の休止に伴って、裏ファンクラブのオフ会も行われなくなった代わりに、こうして会員の男性たちが日替わりでやってきては、わたしの体を愉しんでいくのだ。それが、わたしがこんな淫猥な部屋で生活をしている、もうひとつの理由だった。

 7人もの男性たちを相手に、これからわたしがしなければならないことを想像して、嫌悪と劣情が入り混じった気持ちを抱く。とはいえ、7人で少ないと思ってしまう、今のわたしの感覚もかなり狂ってきているのも事実だ。

 「おじさんたち、待ちかねちゃったよ。早くこっちへおいで」
 「うん・・・でも、汗かいちゃったから、シャワー浴びてくるから・・・少し待っててね」

 わたしが部屋に姿を現すなり、急にそわそわしだしたおじさんたちを尻目に、わたしは学生鞄を玄関近くの床に置き、シャワールームへと向かう。部屋に入る直前、エレベーターの中で自慰に耽ってしまったわたしが、ちょっとした自己嫌悪に陥っていることになど、気づく様子はない。
 もっとも、今のわたしにはその方が有難い。淫乱なマゾ牝であることを自認しているわたしではあるが、淫欲を抑えきれず狂いそうになっているなどということは、なるべく知られたくなかった。
 知られれば、男たちの情欲の有り様を存分に知っているわたしには、どうなるかは予想はついていた。きっと身も心もどちらも壊され、破滅するまで犯されるだろう。
 自分もそれを拒めないどころか、嬉々として受け入れてしまうであろうことが、恐ろしかった。

 (こんな時・・・どうすれば自分を保てるんだろう・・・)

 膨れ上がる性的好奇心のままに、大勢の男性たちと様々な性体験を繰り返してきたけれど、今は自分の性欲が怖い。行為が始まれば我を失い、何かに取り憑かれたように一物を求めてしまう。セックスの快感なしには生きられない体になってしまっている。
 何かに頼ろうにも、誰かに縋ろうにも、わたしにはそういうものや人が存在しない。わたしの今の支えとしては、ご主人様である竜崎さんが、最も近いのだろうが、彼もずっと側にいてくれる訳ではないし、そもそも、わたしが彼のことを愛しているのか、と言われると、よく分からないのが本音なのだ。

 (どうすれば・・・わたし・・・)

 結論が出ないまま、床に鞄を置く。わたしの機嫌を損ねたくないのか、おじさんたちは大人しく、シャワーを浴びるまで待っていてくれるようだ。わたしは脱衣所で制服のジャケットとスカートを脱いで、ブラウスや下着も脱ぐと、シャワー室へと入る。
 シャワー室の扉を閉めて、ハンドルを回す。温かいお湯が体に降り注ぎ、体の表面についたままだった汚れを洗い流していく。一応学校でも、濡れたタオルやティッシュで体を拭く程度のことはしてきたが、大勢の男子生徒たちに何度も浴びせられた牡汁や、肌を舐め回された唾液などを完全に拭いきることはできない。アソコや後ろの穴にも、注がれた牡汁が漏れてきてしまい、ショーツのクロッチ部分にはナプキンで吸収しきれなかった汚濁でべっとりと染みができてしまっていた。何とか、制服のスカートを汚してしまわないで済んでいたのだけが、幸いだった。

 (内も、洗わないと・・・)

 両脚をガニ股に開いて、シャワーのヘッドを股間に当てる。アソコの中に指を入れてみると、どろどろと白濁した粘液が、シャワーの水に混じって流れ出してくる。わたしの中に注がれた、男子生徒たちの牡汁。それは、いくら洗ってもいつまでも溢れてきて、完全に綺麗になることはない。情けなく、言いようのない屈辱感に苛まれるのに、嫌悪感が沸くどころか、むしろ甘美な気持ちになってしまう。

 (こんなにいっぱい、男子たちのを、アソコの中に出されて・・・毎日、こんなに・・・)

 股間を洗っていると、地下の教室で、ついさっきまでSクラスの男子生徒たちにまわされたときのことを思い出してしまう。女の子にとっての神聖な場所を、大勢の男たちに連日こうも汚されることに悦びを覚えてしまうなんて、普通の感覚ではなかった。そう分かっているが、どうしても中から溢れ出す牡汁と、次々に押し入られ何度も高みに押し上げられた絶頂の記憶がリンクして、体が快楽を思い出してしまうのだ。
 しかも、Sクラスでのわたしは、ただ犯されたのではない。性処理用の道具として、男子生徒たちに使われたのだ。これから先、わたしは3年間ずっと彼らの肉便器として、有梨香という名前ですら呼ばれない、『性奴隷28号』として生活することになるのだ。
 今でさえ、過剰な性欲を抑えきれずに自分を失いそうになっているのに、せっかく入学した高校でも、このまま被虐の悦楽に満ちた生活を送ってしまったら、淫虐の沼に沈んでしまうのは時間の問題だろう。その時、自分がどうなってしまうのか、想像できない。

 そうは言っても、どの道わたしには、彼らの言いなりになる以外の選択肢など有りはしないのだが。

 (もう、これくらいで、いいかな・・・どうせ、この後だって・・・)

 まだ前後の肉穴からは、白く濁った粘液が漏れ続けていたが、わたしはシャワーの水を止めた。長い溜息を洩らし、真っ白なバスタオルを手に取って体に巻き付ける。
 濡れたままの黒髪もタオルで拭いただけで、後頭部でさっと髪を結わえて、シャワー室を出た。そして、脱衣所の棚に置かれている真っ赤な首輪を手に取る。首輪には金色のプレートが埋め込まれ、『Serina』と書かれている。それはファンの男性たちから特別に贈られた、わたしの隷従の証だった。それを自ら首に巻き付けて、フックが外れないように小さな南京錠で鍵をかけながら、わたしはふと、名前があるだけましなのかもしれないと思う。

 ファンの男性たちを相手にしている時は、わたしは性奴隷のように扱われているとはいえ、まだ『人』ではあるのだろう。それに、名入りのプレート入りの首輪は、ファンの男性たちのわたしへの、相当に歪んでいるとはいえ、愛情の証であるとも言えた。しかし、学園でのわたしは名前すら奪われて、ただの番号でしか呼ばれないのだ。それはまさに、壊れれば替えの効く道具として扱われていることに他ならない。
 理事長とつながりのある、ご主人様である竜崎さんだって、わたしが学園に入学すれば、そのような扱いにされることは、最初から分かっていたに違いない。それならば、なぜわたしを愛華学園に通わせようと思ったのか・・・日常生活を遅れるよう、リハビリをさせるつもりではなかったのか、それとも、そんな竜崎さんの心遣いを、結果的に裏切ることになってしまったわたしへの当てつけなのか・・・それは、今のわたしには知りようがなかった。

 複雑な思いを抱きながらも、わたしは全裸にバスタオル一枚、そして首には首輪を締めた姿で、ファンの男性たちが待つリビングルームへと向かった。
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