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16 ちえりの家で
ちえりとの街デート2
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「お待たせ、ちえりさん」
麗華が扉を開けると、そこには、ちえりも見たことのない艶かしい女の顔をした美少女が立っていた。真紅のドレスは、わたしの雪のように白い肌を残酷なほど際立たせ、その奔放な魅力を剥き出しにしていた。
「・・・あ・・・」
ちえりは言葉を失ってしまう。彼女の選んだ可愛らしいワンピースが、急に幼稚な、安っぽい布切れに見えてしまったのだろう。
「どうかしら、ちえりさん?これが、私の知っている有梨香さんよ。あなたに、この彼女を愛する覚悟があるかしら?」
麗華は、戦利品を見せびらかす女王のようにわたしの肩に腕を回してくる。ちえりの目には涙が浮かんでくるが、彼女は拳をぎゅっと握りしめ、震える声で言い返した。
「・・・すご、く・・・綺麗です。でも・・・でも、あたしは!そんな有梨香も、いつもの有梨香も、全部・・・あたしだけのものにしたいって、今、思いました!」
ちえりの胸の奥に灯ったのは、劣等感ではなく、執着という名の炎だった。
その火花を、わたしはどちらを弁護するわけでもなく眺めていた。ちえりの心からの純粋な叫び。そして、麗華の計算高くも情熱的な誘惑。どちらも、わたしに愛情を向けられているからだと分かってはいる。
(2人とも、すごく一生懸命・・・。ちえりの熱情。麗華さんの独占欲。どっちもわたしには眩しすぎる・・・。でも、この2人の間にいれば、いつかわたしも、誰かのことを、苦しいほど愛するっていう気持ちになれるのかな・・・?)
わたしがもの思いに耽っている間に、麗華は涙目のちえりを見つめて、何かを思いつく。
「ふふ、面白いわね。じゃあ次は、ちえりさん。貴女の番よ。私が貴女を、有梨香さんの隣に立っても恥ずかしくないように教育してあげる」
麗華のターゲットが、次はちえりに向いたのだ。いったんその場を離れると、流れるような動きで棚から1着のドレスを手に取り、すぐに試着室の前へと戻ってくる。
「さあ、ちえりさん。これを着てご覧なさい。有梨香さんの隣に立つのに、そのお子様ランチみたいな格好じゃ、彼女が可哀想でしょう?」
麗華が冷笑を浮かべて差し出したのは、黒いレースがあしらわれた、体のラインを極限まで強調するタイトなニットのミニドレスだった。胸元は深いVネックになっており、ちえりの豊かな胸元を隠す気などさらさらない、攻撃的なデザインだった。
「・・・着ればいいんでしょ! 着れば!」
ちえりは麗華の手から引ったくるように服を受け取ると、試着室へ飛び込みました。 試着室の扉の向こうで、着替えるちえりの荒い息遣いまでが聞こえてくる。屈辱と、それ以上に、わたしに見放されたくないという必死な思いが、彼女を突き動かしているようだった。
やがて、数分後。
「・・・お待たせしました」
試着室の扉が開いた瞬間、麗華の余裕の笑みがわずかに凍りついた。
そこには、童顔で愛らしい顔立ちとは裏腹に、暴力的なまでの肉体美を露わにしたちえりが立っていたのだ。タイトな黒ニットは、彼女の細い腰と、それとは対照的な巨乳という個性を、麗華の想像以上に生々しく浮き彫りにしていたのだ。
「あら・・・意外と見られる体つきじゃない」
麗華が動揺を隠すようにそう言った瞬間、ちえりの逆襲が始まった。 ちえりは麗華の横をすり抜け、迷いのない足取りでわたしの元へ歩み寄ったのだ。
「有梨香・・・あたし、変かな?」
ちえりは有梨香の目の前で立ち止まると、あえて上目遣いで、そして震える手でわたしの両手を取った。豊かな胸元がわたしの腕に微かに触れる。それは、同級生でありながら、どちらかと言うと、守られる妹分のような立場だった彼女の姿ではない。ひとりの女としてわたしを誘惑しようとする、ちえりなりの宣戦布告だった。
「・・・ううん。すごく、ドキドキする。ちえり、そんな顔もできるんだね」
わたしの心に、小さな熱が宿るのを感じる。性の快楽に染まりすぎ、それ以外では心を震わせるようなことが滅多になくなってしまった淫蕩な少女が、ちえりの大胆な変化に、一瞬だけ言葉を失ったのだ。
ちえりは、チャンスとばかりにさらに攻め込んでくる。
「有梨香、お願い・・・。後ろのファスナー、自分じゃ上げられなくて。手伝ってくれる?」
「えっ?あ・・・うん」
実はファスナーはすでに上がっていたが、ちえりはわたしの手を引いて、今度は自分から試着室の中へと引き込んだ。吸い込まれるように2人で試着室に入ると、ちえりは素早く扉を閉めてしまう。
外に取り残されたのは、今度は麗華の方だった。
「ちょっ、ちえりさん!貴女、何をして・・・」
「麗華さん、少しだけ待っててください。今度はあたしの番なんですから!」
扉の向こう側から返ってきたのは、これまでとは違う、ちえりの勝気な声だった。
狭い試着室の中、わたしとちえりの距離は、触れ合うほどに近くなる。
「ちえり、本当はファスナー、上がってるよね?」
「・・・分かっちゃった?」
ちえりは顔を赤らめながらも、正面から向き合い、わたしの首に手を回してくる。
「あたし・・・麗華さんみたいに大人じゃないし、有梨香の知らない世界も教えられない。でも、有梨香を好きな気持ちだけは、誰にも負けない。だから・・・あたしを、ただの友達だと思わないで」
そう言うと、ちえりはわたしの唇に、ちゅっと音を立ててキスしてきた。柔らかな唇の感触と、ふわりと漂うちえりの甘い香りに、わたしは体をビクリと震わせる。
(なんだろう、この感じ。心臓が、感じたことのないリズムで動いてる・・・ちえりの体温が、熱い・・・)
わたしは、自分の胸の奥にある空洞が、ちえりの必死な体温で少しずつ満たされていくような、未知の感覚に戸惑っていた。
今までにも、わたしに愛を囁いてくる男性たちは大勢いた。けれど、ちえりのわたしに向けている感情は、わたしを犯す男性たちの愛とはまったく異質のものだ。
・・・それに、きっと麗華もだ。ちえりとは表現の仕方が違うだけで、麗華のわたしへの感情も、根底にあるのは、ちえりと同じもののような気がする。
「・・・ちえり。続きは、お家でしよっか。今日は、ご両親いないんでしょ?」
わたしは、ちえりの耳元で、とろけるような甘い声で囁き返す。試着室の扉の外では、苛立ちを募らせた麗華が何やら叫んでいるが、もはやわたしたちの耳には届いていなかった。
麗華が扉を開けると、そこには、ちえりも見たことのない艶かしい女の顔をした美少女が立っていた。真紅のドレスは、わたしの雪のように白い肌を残酷なほど際立たせ、その奔放な魅力を剥き出しにしていた。
「・・・あ・・・」
ちえりは言葉を失ってしまう。彼女の選んだ可愛らしいワンピースが、急に幼稚な、安っぽい布切れに見えてしまったのだろう。
「どうかしら、ちえりさん?これが、私の知っている有梨香さんよ。あなたに、この彼女を愛する覚悟があるかしら?」
麗華は、戦利品を見せびらかす女王のようにわたしの肩に腕を回してくる。ちえりの目には涙が浮かんでくるが、彼女は拳をぎゅっと握りしめ、震える声で言い返した。
「・・・すご、く・・・綺麗です。でも・・・でも、あたしは!そんな有梨香も、いつもの有梨香も、全部・・・あたしだけのものにしたいって、今、思いました!」
ちえりの胸の奥に灯ったのは、劣等感ではなく、執着という名の炎だった。
その火花を、わたしはどちらを弁護するわけでもなく眺めていた。ちえりの心からの純粋な叫び。そして、麗華の計算高くも情熱的な誘惑。どちらも、わたしに愛情を向けられているからだと分かってはいる。
(2人とも、すごく一生懸命・・・。ちえりの熱情。麗華さんの独占欲。どっちもわたしには眩しすぎる・・・。でも、この2人の間にいれば、いつかわたしも、誰かのことを、苦しいほど愛するっていう気持ちになれるのかな・・・?)
わたしがもの思いに耽っている間に、麗華は涙目のちえりを見つめて、何かを思いつく。
「ふふ、面白いわね。じゃあ次は、ちえりさん。貴女の番よ。私が貴女を、有梨香さんの隣に立っても恥ずかしくないように教育してあげる」
麗華のターゲットが、次はちえりに向いたのだ。いったんその場を離れると、流れるような動きで棚から1着のドレスを手に取り、すぐに試着室の前へと戻ってくる。
「さあ、ちえりさん。これを着てご覧なさい。有梨香さんの隣に立つのに、そのお子様ランチみたいな格好じゃ、彼女が可哀想でしょう?」
麗華が冷笑を浮かべて差し出したのは、黒いレースがあしらわれた、体のラインを極限まで強調するタイトなニットのミニドレスだった。胸元は深いVネックになっており、ちえりの豊かな胸元を隠す気などさらさらない、攻撃的なデザインだった。
「・・・着ればいいんでしょ! 着れば!」
ちえりは麗華の手から引ったくるように服を受け取ると、試着室へ飛び込みました。 試着室の扉の向こうで、着替えるちえりの荒い息遣いまでが聞こえてくる。屈辱と、それ以上に、わたしに見放されたくないという必死な思いが、彼女を突き動かしているようだった。
やがて、数分後。
「・・・お待たせしました」
試着室の扉が開いた瞬間、麗華の余裕の笑みがわずかに凍りついた。
そこには、童顔で愛らしい顔立ちとは裏腹に、暴力的なまでの肉体美を露わにしたちえりが立っていたのだ。タイトな黒ニットは、彼女の細い腰と、それとは対照的な巨乳という個性を、麗華の想像以上に生々しく浮き彫りにしていたのだ。
「あら・・・意外と見られる体つきじゃない」
麗華が動揺を隠すようにそう言った瞬間、ちえりの逆襲が始まった。 ちえりは麗華の横をすり抜け、迷いのない足取りでわたしの元へ歩み寄ったのだ。
「有梨香・・・あたし、変かな?」
ちえりは有梨香の目の前で立ち止まると、あえて上目遣いで、そして震える手でわたしの両手を取った。豊かな胸元がわたしの腕に微かに触れる。それは、同級生でありながら、どちらかと言うと、守られる妹分のような立場だった彼女の姿ではない。ひとりの女としてわたしを誘惑しようとする、ちえりなりの宣戦布告だった。
「・・・ううん。すごく、ドキドキする。ちえり、そんな顔もできるんだね」
わたしの心に、小さな熱が宿るのを感じる。性の快楽に染まりすぎ、それ以外では心を震わせるようなことが滅多になくなってしまった淫蕩な少女が、ちえりの大胆な変化に、一瞬だけ言葉を失ったのだ。
ちえりは、チャンスとばかりにさらに攻め込んでくる。
「有梨香、お願い・・・。後ろのファスナー、自分じゃ上げられなくて。手伝ってくれる?」
「えっ?あ・・・うん」
実はファスナーはすでに上がっていたが、ちえりはわたしの手を引いて、今度は自分から試着室の中へと引き込んだ。吸い込まれるように2人で試着室に入ると、ちえりは素早く扉を閉めてしまう。
外に取り残されたのは、今度は麗華の方だった。
「ちょっ、ちえりさん!貴女、何をして・・・」
「麗華さん、少しだけ待っててください。今度はあたしの番なんですから!」
扉の向こう側から返ってきたのは、これまでとは違う、ちえりの勝気な声だった。
狭い試着室の中、わたしとちえりの距離は、触れ合うほどに近くなる。
「ちえり、本当はファスナー、上がってるよね?」
「・・・分かっちゃった?」
ちえりは顔を赤らめながらも、正面から向き合い、わたしの首に手を回してくる。
「あたし・・・麗華さんみたいに大人じゃないし、有梨香の知らない世界も教えられない。でも、有梨香を好きな気持ちだけは、誰にも負けない。だから・・・あたしを、ただの友達だと思わないで」
そう言うと、ちえりはわたしの唇に、ちゅっと音を立ててキスしてきた。柔らかな唇の感触と、ふわりと漂うちえりの甘い香りに、わたしは体をビクリと震わせる。
(なんだろう、この感じ。心臓が、感じたことのないリズムで動いてる・・・ちえりの体温が、熱い・・・)
わたしは、自分の胸の奥にある空洞が、ちえりの必死な体温で少しずつ満たされていくような、未知の感覚に戸惑っていた。
今までにも、わたしに愛を囁いてくる男性たちは大勢いた。けれど、ちえりのわたしに向けている感情は、わたしを犯す男性たちの愛とはまったく異質のものだ。
・・・それに、きっと麗華もだ。ちえりとは表現の仕方が違うだけで、麗華のわたしへの感情も、根底にあるのは、ちえりと同じもののような気がする。
「・・・ちえり。続きは、お家でしよっか。今日は、ご両親いないんでしょ?」
わたしは、ちえりの耳元で、とろけるような甘い声で囁き返す。試着室の扉の外では、苛立ちを募らせた麗華が何やら叫んでいるが、もはやわたしたちの耳には届いていなかった。
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