16 / 22
黒の黎明
しおりを挟む
──二十数年前、パロス王国・王立学園。
昼下がりの中庭。若きロドリック・ソーントンはベンチに腰かけ、帳簿を睨んでいた。
「……ダメだ。どう計算しても、先細りだ」
いずれ自分が継ぐはずのソーントン家は、すでに傾きかけていた。
領地の収入は頭打ち、母は療養中、父は爵位にしがみつくばかり。
そんなとき──ドリス・リヴェールが現れた。
商家の娘である彼女は、平民ながらこの王立学園に入学していた。
成績は優秀。容姿は貴族に比べれば平凡だが、
その瞳に宿る鋭い野心に、ロドリックは惹かれた。
当時のロドリックには婚約者がいた。
だが、いかにも“お飾り”といった退屈な令嬢で、感情も個性も薄い。
貴族とはそういうものだと、諦めていたロドリックだったが──
ドリスは違った。強く、ぐいぐいと彼に迫ってきた。
どうやら彼女も、ロドリックを狙っていたらしい。
ちょうど良い身分の伯爵家。容姿もまずまず。
婚約者も気が弱そうで、追い落とすのは容易だと──ドリスはほくそ笑んだ。
ロドリックもまた、野心に満ちていた。
金も、権力も、すべてが欲しい。
家柄はある。だが──金がない。
金がなければ、権力も実現しない。
二人は結託し、婚約者を追い詰めて婚約を破棄させた。
いよいよ関係を公にしようとした矢先、ドリスが言った。
「今のあなたの家じゃ、ダメよ。立て直さない限り、私は行かないわ。
その気があるなら──お貴族様の甘い考えは、捨てなさい」
ドリスは問いかける。
「あなた、本当に“なんでも”する覚悟はある? ソーントン家を復興させるために」
「ああ、“なんでも”する気はある」
「なんでもよ? 本当に?」
「……するさ、なんでも。
お前みたいな考え方が欲しかった。
いつまでも甘っちょろいやり方してるから、家が落ちぶれたんだ。
このまま沈むなんて、冗談じゃない」
「ふふ、いい顔になってきたじゃない。
商人ってのはね、金のためには、なんだってするのよ」
「ああ──金のためなら、なんでもするさ。
貴族の体裁に縛られて、なにも変えられないなんて、つまらん。
邪魔なものはすべて排除して、俺の時代をつくるんだ」
「じゃあ、商人の娘からひとつ提案。
あなたの家には“目玉”が必要よ。
誰もが欲しがる、特別な品。たとえば──ヨシナ国の“刺繍”なんて、どう?」
「ヨシナ国の刺繍……?」
突飛な提案に、ロドリックは眉をひそめたが、
ドリスの目には確信が宿っていた。
「ヨシナ国って知ってる? ほとんど外に人が出てこない、閉ざされた島国。
外からもめったに人を受け入れない。
でも……だからこそ、価値があるのよ」
「名前くらいは聞いたが、あまりに遠すぎる」
「だからいいの。誰も知らないものこそ、売れるのよ。
あなた、ヨシナ国の刺繍を見たことないでしょう?
私はあるわ──子供の頃、一度だけ。
ヨシナ国の人がこの国に来たことがあって、そのときに見たの」
「それはもう、息を呑むほど豪奢で、鮮やかだった。
この国じゃ絶対に見られない技術の刺繍だったわ。──あれは、売れる」
ドリスは唇の端を吊り上げる。
「それにね、あの国の人間、驚くほどお人好しらしいの。
本当に、簡単に人を信じるんですって。……騙すのなんて、朝飯前よ」
「なぜそんなことを知ってる?」
「ふふ、さあ……想像にお任せするわ」
ふたりはドリスの実家の商会の裏ルートを使い、情報を集めた。
やがて、「絶品の刺繍技術を持つ、頃合いの女性」が見つかり、
彼女と繋がることのできる“協力者”──内通者の存在も掴んだ。
卒業後、両親を退け、いよいよ計画が動き出す。
「難破を偽装しましょう」
ドリスが口にしたその作戦は、あまりにも大胆だった。
「平和ボケした国よ。海からよろよろ現れた異国の男なんて、同情されて当然」
こうしてロドリックは“遭難者”としてヨシナ国に漂着し、
──そして、「偶然」一人の女性と出会う。
名は、サクラ。
長い黒髪と、静かな眼差しをもつ女性。
そして、その刺繍の腕前は言うまでもない。
ロドリックは、誠実で哀れな異国の男を演じた。
そして──サクラは、見事に落ちた。
やがて彼女は、子を宿す。
*
「……本当に、連れて帰ったのね」
港に現れたドリスは、笑顔の仮面を貼りつけたまま、サクラを迎えた。
「もちろんだよ。責任は取るさ」
ロドリックが笑う隣で、ドリスの視線だけが冷たく、サクラを射抜いていた。
「ようこそ、異国の姫様。“あなたの居場所”は……ちゃんと用意してあるわ」
その声に込められた冷笑に、サクラはまだ気づいていなかった。
*
サクラは屋敷へ戻ると、「体調を気遣って」と東棟に隔離された。
刺繍道具と布だけが与えられ、客人ではなく、まるで労働者のように扱われた。
出産のときだけは丁重に扱われ──やがて、女の子を出産する。
一方で、ロドリックとドリスは事実上の夫婦として暮らし、
ほどなくドリスも懐妊。彼女も女児を出産する。
産声を聞きながら、ドリスはほくそ笑んだ。
「うふふ……うまくいったわ。可愛い女の子。……これで、入れ替えができるわね」
サクラとは、形式上、婚姻手続きを済ませただけだった。
できれば手続きもしないでいたかったが、「難破した伯爵」が帰国したと、港の役人が来てしまったから仕方なく、
子を宿したヨシナ国の「妻」を伴って帰国したと伝え、その場で婚姻証明書にサインをした。
面倒ではあったが、書類上のものだ。
この腹の子が産まれ、刺繍の技術を「ソーントンの子供」に伝え終えた時点で、もう用はない。
*
──そして、計画の“最終段階”に近づく。
ある日、サクラは食事の後に倒れた。
急な病か、事故か──
誰にもわからない。だがその日、彼女にだけ、温かいスープが出された。
いつもは冷えたパンと水ばかりだったというのに。
「間違っても、子どもに食べさせないでね」
ドリスが使用人にそう念を押していたことを、今では誰も覚えていない。
*
サクラの死後、すぐにロドリックとドリスは正式に夫婦となった。
本来の娘──長女は東棟に押し込められ、
ドリスの娘・ソフィアには、「アリシア・ソーントン」の名が与えられた。
「ねえ、“アリシア”って響き、貴族っぽくて素敵でしょう?」
「うふふ……これからは、あなたの名前よ」
うまいことに、目鼻立ちはロドリックに似ていた。
だからドリスは、迷わず髪を染めさせた。金髪──ロドリックと同じ、貴族の象徴として映える色に。
本来の薄茶の髪など、下層の血筋を思わせて都合が悪い。
ソフィアがまだ物心もつかぬ幼い頃から、繰り返し染めさせた。
「前妻の娘」として育て上げるには、外見を整えるのが第一歩だった。
貴族たちは、見た目と“名前”に弱い。
ならば、それらを完璧に“作れば”いい。誰も疑いやしない。
ソフィアは──ソーントン家の“商品”として、丹念に仕立て上げられた。
幸い、この“アリシア”は頭の回る子だった。
計画の全体像もすぐに理解し、何も言わずに従ってくれている。
自分の価値を、ちゃんとわかっているのだろう。良い子よ。ええ、とても“使いやすい”子だわ。
まあ、そうよね。私の娘ですもの。
あの子が、ただ可愛いだけの“令嬢”で終わるはずがないわ。
中身も、どうやら私にそっくりらしいけれど──
それなら、それで結構。私と同じように、賢く立ち回ればいい。
中身なんて、いくらでも外から飾れる。
ほんと、お貴族様って、外面しか見ていないんですもの。
……ま、だからこそ。この計画が成り立つのだけれどね。
それから「アリシア・ソーントン」は、両親が卒業した王立学園にも通い、
“刺繍の名手”として、その名を上げていく。
*
──そして現在。
夜のサロンで、ワインを傾ける二人の姿がある。
「長い長い、仕掛けだったわねぇ」
「さあ、我がソーントン家の繁栄の始まりだ」
ふたりの笑い声が、静かな夜の帳に響いた。
昼下がりの中庭。若きロドリック・ソーントンはベンチに腰かけ、帳簿を睨んでいた。
「……ダメだ。どう計算しても、先細りだ」
いずれ自分が継ぐはずのソーントン家は、すでに傾きかけていた。
領地の収入は頭打ち、母は療養中、父は爵位にしがみつくばかり。
そんなとき──ドリス・リヴェールが現れた。
商家の娘である彼女は、平民ながらこの王立学園に入学していた。
成績は優秀。容姿は貴族に比べれば平凡だが、
その瞳に宿る鋭い野心に、ロドリックは惹かれた。
当時のロドリックには婚約者がいた。
だが、いかにも“お飾り”といった退屈な令嬢で、感情も個性も薄い。
貴族とはそういうものだと、諦めていたロドリックだったが──
ドリスは違った。強く、ぐいぐいと彼に迫ってきた。
どうやら彼女も、ロドリックを狙っていたらしい。
ちょうど良い身分の伯爵家。容姿もまずまず。
婚約者も気が弱そうで、追い落とすのは容易だと──ドリスはほくそ笑んだ。
ロドリックもまた、野心に満ちていた。
金も、権力も、すべてが欲しい。
家柄はある。だが──金がない。
金がなければ、権力も実現しない。
二人は結託し、婚約者を追い詰めて婚約を破棄させた。
いよいよ関係を公にしようとした矢先、ドリスが言った。
「今のあなたの家じゃ、ダメよ。立て直さない限り、私は行かないわ。
その気があるなら──お貴族様の甘い考えは、捨てなさい」
ドリスは問いかける。
「あなた、本当に“なんでも”する覚悟はある? ソーントン家を復興させるために」
「ああ、“なんでも”する気はある」
「なんでもよ? 本当に?」
「……するさ、なんでも。
お前みたいな考え方が欲しかった。
いつまでも甘っちょろいやり方してるから、家が落ちぶれたんだ。
このまま沈むなんて、冗談じゃない」
「ふふ、いい顔になってきたじゃない。
商人ってのはね、金のためには、なんだってするのよ」
「ああ──金のためなら、なんでもするさ。
貴族の体裁に縛られて、なにも変えられないなんて、つまらん。
邪魔なものはすべて排除して、俺の時代をつくるんだ」
「じゃあ、商人の娘からひとつ提案。
あなたの家には“目玉”が必要よ。
誰もが欲しがる、特別な品。たとえば──ヨシナ国の“刺繍”なんて、どう?」
「ヨシナ国の刺繍……?」
突飛な提案に、ロドリックは眉をひそめたが、
ドリスの目には確信が宿っていた。
「ヨシナ国って知ってる? ほとんど外に人が出てこない、閉ざされた島国。
外からもめったに人を受け入れない。
でも……だからこそ、価値があるのよ」
「名前くらいは聞いたが、あまりに遠すぎる」
「だからいいの。誰も知らないものこそ、売れるのよ。
あなた、ヨシナ国の刺繍を見たことないでしょう?
私はあるわ──子供の頃、一度だけ。
ヨシナ国の人がこの国に来たことがあって、そのときに見たの」
「それはもう、息を呑むほど豪奢で、鮮やかだった。
この国じゃ絶対に見られない技術の刺繍だったわ。──あれは、売れる」
ドリスは唇の端を吊り上げる。
「それにね、あの国の人間、驚くほどお人好しらしいの。
本当に、簡単に人を信じるんですって。……騙すのなんて、朝飯前よ」
「なぜそんなことを知ってる?」
「ふふ、さあ……想像にお任せするわ」
ふたりはドリスの実家の商会の裏ルートを使い、情報を集めた。
やがて、「絶品の刺繍技術を持つ、頃合いの女性」が見つかり、
彼女と繋がることのできる“協力者”──内通者の存在も掴んだ。
卒業後、両親を退け、いよいよ計画が動き出す。
「難破を偽装しましょう」
ドリスが口にしたその作戦は、あまりにも大胆だった。
「平和ボケした国よ。海からよろよろ現れた異国の男なんて、同情されて当然」
こうしてロドリックは“遭難者”としてヨシナ国に漂着し、
──そして、「偶然」一人の女性と出会う。
名は、サクラ。
長い黒髪と、静かな眼差しをもつ女性。
そして、その刺繍の腕前は言うまでもない。
ロドリックは、誠実で哀れな異国の男を演じた。
そして──サクラは、見事に落ちた。
やがて彼女は、子を宿す。
*
「……本当に、連れて帰ったのね」
港に現れたドリスは、笑顔の仮面を貼りつけたまま、サクラを迎えた。
「もちろんだよ。責任は取るさ」
ロドリックが笑う隣で、ドリスの視線だけが冷たく、サクラを射抜いていた。
「ようこそ、異国の姫様。“あなたの居場所”は……ちゃんと用意してあるわ」
その声に込められた冷笑に、サクラはまだ気づいていなかった。
*
サクラは屋敷へ戻ると、「体調を気遣って」と東棟に隔離された。
刺繍道具と布だけが与えられ、客人ではなく、まるで労働者のように扱われた。
出産のときだけは丁重に扱われ──やがて、女の子を出産する。
一方で、ロドリックとドリスは事実上の夫婦として暮らし、
ほどなくドリスも懐妊。彼女も女児を出産する。
産声を聞きながら、ドリスはほくそ笑んだ。
「うふふ……うまくいったわ。可愛い女の子。……これで、入れ替えができるわね」
サクラとは、形式上、婚姻手続きを済ませただけだった。
できれば手続きもしないでいたかったが、「難破した伯爵」が帰国したと、港の役人が来てしまったから仕方なく、
子を宿したヨシナ国の「妻」を伴って帰国したと伝え、その場で婚姻証明書にサインをした。
面倒ではあったが、書類上のものだ。
この腹の子が産まれ、刺繍の技術を「ソーントンの子供」に伝え終えた時点で、もう用はない。
*
──そして、計画の“最終段階”に近づく。
ある日、サクラは食事の後に倒れた。
急な病か、事故か──
誰にもわからない。だがその日、彼女にだけ、温かいスープが出された。
いつもは冷えたパンと水ばかりだったというのに。
「間違っても、子どもに食べさせないでね」
ドリスが使用人にそう念を押していたことを、今では誰も覚えていない。
*
サクラの死後、すぐにロドリックとドリスは正式に夫婦となった。
本来の娘──長女は東棟に押し込められ、
ドリスの娘・ソフィアには、「アリシア・ソーントン」の名が与えられた。
「ねえ、“アリシア”って響き、貴族っぽくて素敵でしょう?」
「うふふ……これからは、あなたの名前よ」
うまいことに、目鼻立ちはロドリックに似ていた。
だからドリスは、迷わず髪を染めさせた。金髪──ロドリックと同じ、貴族の象徴として映える色に。
本来の薄茶の髪など、下層の血筋を思わせて都合が悪い。
ソフィアがまだ物心もつかぬ幼い頃から、繰り返し染めさせた。
「前妻の娘」として育て上げるには、外見を整えるのが第一歩だった。
貴族たちは、見た目と“名前”に弱い。
ならば、それらを完璧に“作れば”いい。誰も疑いやしない。
ソフィアは──ソーントン家の“商品”として、丹念に仕立て上げられた。
幸い、この“アリシア”は頭の回る子だった。
計画の全体像もすぐに理解し、何も言わずに従ってくれている。
自分の価値を、ちゃんとわかっているのだろう。良い子よ。ええ、とても“使いやすい”子だわ。
まあ、そうよね。私の娘ですもの。
あの子が、ただ可愛いだけの“令嬢”で終わるはずがないわ。
中身も、どうやら私にそっくりらしいけれど──
それなら、それで結構。私と同じように、賢く立ち回ればいい。
中身なんて、いくらでも外から飾れる。
ほんと、お貴族様って、外面しか見ていないんですもの。
……ま、だからこそ。この計画が成り立つのだけれどね。
それから「アリシア・ソーントン」は、両親が卒業した王立学園にも通い、
“刺繍の名手”として、その名を上げていく。
*
──そして現在。
夜のサロンで、ワインを傾ける二人の姿がある。
「長い長い、仕掛けだったわねぇ」
「さあ、我がソーントン家の繁栄の始まりだ」
ふたりの笑い声が、静かな夜の帳に響いた。
356
あなたにおすすめの小説
両親に溺愛されて育った妹の顛末
葉柚
恋愛
皇太子妃になるためにと厳しく育てられた私、エミリアとは違い、本来私に与えられるはずだった両親からの愛までも注ぎ込まれて溺愛され育てられた妹のオフィーリア。
オフィーリアは両親からの過剰な愛を受けて愛らしく育ったが、過剰な愛を受けて育ったために次第に世界は自分のためにあると勘違いするようになってしまい……。
「お姉さまはずるいわ。皇太子妃になっていずれはこの国の妃になるのでしょう?」
「私も、この国の頂点に立つ女性になりたいわ。」
「ねえ、お姉さま。私の方が皇太子妃に相応しいと思うの。代わってくださらない?」
妹の要求は徐々にエスカレートしていき、最後には……。
月夜に散る白百合は、君を想う
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢であるアメリアは、王太子殿下の護衛騎士を務める若き公爵、レオンハルトとの政略結婚により、幸せな結婚生活を送っていた。
彼は無口で家を空けることも多かったが、共に過ごす時間はアメリアにとってかけがえのないものだった。
しかし、ある日突然、夫に愛人がいるという噂が彼女の耳に入る。偶然街で目にした、夫と親しげに寄り添う女性の姿に、アメリアは絶望する。信じていた愛が偽りだったと思い込み、彼女は家を飛び出すことを決意する。
一方、レオンハルトには、アメリアに言えない秘密があった。彼の不自然な行動には、王国の未来を左右する重大な使命が関わっていたのだ。妻を守るため、愛する者を危険に晒さないため、彼は自らの心を偽り、冷徹な仮面を被り続けていた。
家出したアメリアは、身分を隠してとある街の孤児院で働き始める。そこでの新たな出会いと生活は、彼女の心を少しずつ癒していく。
しかし、運命は二人を再び引き合わせる。アメリアを探し、奔走するレオンハルト。誤解とすれ違いの中で、二人の愛の真実が試される。
偽りの愛人、王宮の陰謀、そして明かされる公爵の秘密。果たして二人は再び心を通わせ、真実の愛を取り戻すことができるのだろうか。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
『紅茶の香りが消えた午後に』
柴田はつみ
恋愛
穏やかで控えめな公爵令嬢リディアの唯一の楽しみは、幼なじみの公爵アーヴィンと過ごす午後の茶会だった。
けれど、近隣に越してきた伯爵令嬢ミレーユが明るく距離を詰めてくるたび、二人の時間は少しずつ失われていく。
誤解と沈黙、そして抑えた想いの裏で、すれ違う恋の行方は——。
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi
恋愛
醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!
心配するな、俺の本命は別にいる——冷酷王太子と籠の花嫁
柴田はつみ
恋愛
王国の公爵令嬢セレーネは、家を守るために王太子レオニスとの政略結婚を命じられる。
婚約の儀の日、彼が告げた冷酷な一言——「心配するな。俺の好きな人は別にいる」。
その言葉はセレーネの心を深く傷つけ、王宮での新たな生活は噂と誤解に満ちていく。
好きな人が別にいるはずの彼が、なぜか自分にだけ独占欲を見せる。
嫉妬、疑念、陰謀が渦巻くなかで明らかになる「真実」。
契約から始まった婚約は、やがて運命を変える愛の物語へと変わっていく——。
【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!
まりぃべる
恋愛
私、アリーシャ。
お姉様は、隣国の大国に輿入れ予定でした。
それは、二年前から決まり、準備を着々としてきた。
和平の象徴として、その意味を理解されていたと思っていたのに。
『私、レナードと生活するわ。あとはお願いね!』
そんな置き手紙だけを残して、姉は消えた。
そんな…!
☆★
書き終わってますので、随時更新していきます。全35話です。
国の名前など、有名な名前(単語)だったと後から気付いたのですが、素敵な響きですのでそのまま使います。現実世界とは全く関係ありません。いつも思いつきで名前を決めてしまいますので…。
読んでいただけたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる