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調教は続くよどこまでも

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 深夜が過ぎた頃、全員が休憩を要求し、ローフィスは頷いて
「休め」
と告げる。

次々と皆が床へたり込み、一様に壁に背をもたせかけ、酒瓶を回し飲みする中。
ギュンターは横にディングレーが、くたびれきって腰掛けるのを見た。

「…王族なのに。
こんな事までするのか?
俺はてっきり、自分が出来ないから俺に頼んだのかと思った」
言いながら、何気に回って来た酒瓶を掴み、ぐい!と喉を晒し煽ると、ディングレーは下ろした瓶を横からひったくるように奪い、ぐい!と野性味たっぷりに顔を仰向けて飲み干し、手の甲で口を拭って呻いた。
「…王族だろうが。
奴らにとっては下級生。
ましてやローフィスとオーガスタスの悪友らは、身分なんて関係無い。
…四年は…王族のグーデンが、尊敬どころか軽蔑されてるからな…」

つぶやくその言葉に、ギュンターは横のディングレーを見つめる。
さらりと真っ直ぐな黒髪が肩に背に流れ、青の瞳は相変わらず他を圧し、威厳すら滲ませる。
ディングレーの言葉に頷きながら、ささやく。
「…軽蔑どころか、敵対してるんだろう?」
ディングレーが振り向く。
「詳しいな」
ギュンターは頷いた。
「オーガスタスと酒場に行くと、彼らもいて。
時折り、耳に挟む」

二人は揃って、横に並んで壁に背をもたせかけて休む、四年のデカい男らを覗う。
まだ陽は開けず室内は暗く…。
薄暗い蝋燭の灯り中では顔の判別もつかず、あまり親しく無いディングレーもギュンターもが。
見分けられるのは、リーラスぐらいだった。

ローフィスだけが、アンガスの尻を綺麗に拭き清めた後、椅子に座らせ、野菜やウィンナーを煮込んだスープを手渡す。
ローフィスは大人しくスープを受け取り、スプーンを口に運ぶアンガスに
『閉じ込めた張本人!』
と敵視されるかと思った。
が、アンガスは世話を焼くローフィスをチラと見て、卑屈な笑みを浮かべる。

ギュンターの横に並ぶ四年らも思った。
が、ディングレーも思った。
「(この中でローフィスは一番スレンダーで小柄だから。
下っの小間使いと勘違いし、舐めてやがるな)」

だがローフィスは口を開く。
「…お前がハウリィにした事を。
される気分は、どうだ?」
優しいとも言える口調で。

アンガスは暗い瞳を輝かせ、吐き捨てる。
「…俺はもっと楽しんだぜ!
縛り上げて両手を吊り上げて…。
紐を引いては持ち上げ、下げて俺の上に落とす。
凄い擦れて、埋め込む瞬間はめちゃくちゃ締め付けて来るから、俺はそれだけで絶頂だ!
だがハウリィは…最初凄まじい悲鳴上げるから。
それ以降、絶叫なんて上げたら、お仕置きだと言い聞かせた…。
尻の穴に、よがり狂う薬塗った梁型はりがた入れたまま、鍵の付いた革紐で縛り付けて出せない様にする…。
ハウリィはそれが嫌で…必死で泣きながら、声を我慢がまんしてたな…」

ギュンターもディングレーもが。
瞬間、沸騰したように怒りに包まれた。
が並ぶ四年らはぼやく。
「…鬼畜だな…」
「だがあいつ相手に、誰がそんな事したい?」
一斉に、首を横に振る四年達。

ギュンターもディングレーも、そんな呆れた四年らを見てると、怒りは引いて行った。

ローフィスは頷く。
「薬塗って痛みが引いたら、ずいぶん強気だな…」
「もっと、無いのか…?
腹が減った」

アンガスに言われ、ローフィスはお代わりのスープを差し出した。

ディングレーもギュンターも。
鬼畜なアンガスに親切にする、ローフィスに異論を唱えたかった。

が、横の四年は怒りに煮えたぎってる下級の二人を見て、ぼそり…と囁く。
あいつローフィスは、考えがあって親切にしてる」

ギュンターもディングレーも。
揃ってそう言った四年に振り向き、その後、ローフィスを見る。
「(…そうか…。
首謀者を下っ端と勘違いする…あいつアンガスが哀れか…)」

二人はそう気づくと、揃って顔を下げた。

ローフィスが目配せすると、食べ終わったアンガスを、リーラスが縛り始めた。
数人が尻を上げ、手伝いに加わる。

ちょうど二本の狭い間隔の柱に、左右の手を括り付け、四つん這いにした。
リーラスがローフィスに頷くと、ローフィスも頷き返す。

ディングレーは空の器を持って準備室へ行こうとするローフィスに、囁きかける。
「…もう始めるのか?」
ローフィスは振り向いて、言った。
「まだ仕上がるまで、少しは休める」

「(…仕上がる?)」
ディングレーも思ったが、ギュンターも同様。

間もなく、暗い室内で、両手首をそれぞれ二本の柱に縛り付けられたアンガスは、尻を振り始めた。

「んん…っ…ん…」

「イきたいらしいぜ…」

ニヤニヤ笑ってつぶやく四年の一人。
別の一人が立ち上がる。
「楽しくしてやらないとな!」
そう言って、手に持つ革紐をアンガスの股間に取り付け始めた。

尻はペロンと丸出しだったが、服の布で隠れていた股間はそそり勃っていて、四年は根元をきつく革紐で締め上げ、射精を阻むように、先端を革で覆い、ぎゅっ!と締め上げる。

「まあ、イける事はイける」
「精が枯れるまで、付き合ってやるぜ!!!」

そう、四年達は笑った。

アンガスは髪を振って噛みつくように、抗議した。
「もう…もう、お終いじゃ無いのか!!!」

四年達は、返答の代わりにゲラゲラ笑った。

ディングレーとギュンターは、顔を見合わせる。

一人が丸出しの尻にまた粘液をたっぷり、塗りつけて言った。
「これで俺達も、凄くイイからな」
「また、お口を駆使しろよ!
ヘタだったら、10回入れるまでイかせないお仕置き、してやるからな!」

アンガスは途端、べそをかきそうな情けない顔をした。

「ハウリィとのお遊びなんて、忘れるぐらいヨくしてやるから、待ってろ!」
「ああ最高にヨくて、忘れられなくしてやる…!」
「入れて無いとダメな、エロい体にしてやるからな!」
「男ナシではいられない人生だ。
嬉しいだろう?!」

ギュンターとディングレーは、また顔を見合わせた。
その後、ギュンターが俯くから。
ディングレーはギュンターを見る。
するとギュンターは、ぼそりと小声で呟いた。

「…つまり俺達も、当分解放されないって事だな?」
ディングレーはそれを聞いた途端、深く顔を下げて、頷いた。

「そろそろいいだろう…始めるぞ!」
リーラスの号令で、男達はアンガスを取り囲む。
「…欲しいか?
ケツ、振りまくりだな…」
「さて。
突っ込んで欲しけりゃ、どうすればいいか分かるよな?
口、開けろ」

アンガスは目を輝かせ、目前に出されたものを進んで口に含むと、舐め上げ始めた。
男達は囲んで笑う。
「…流石ローフィスだぜ…。
もう欲しくてたまらないんだな」
「舐めながら腰いやらしくいざらせてるぜ」
「…全然色っぽくないけどな」

ギュンターは腰を浮かしかけ、横のディングレーが、呼ばれるまで休む腹の様子で。
腰を床に付けると、一緒に付き合った。

が、直ぐ
「ギュンター!ディングレー!
サボるな!!!」
と厳しい声に呼ばれて、二人は項垂れながらも腰を上げた。

アンガスは口に咥えながらも背後から突っ込まれ
「ひぃん!ひぃぃぃん!」
と馬のようなみっともない、歓喜の喘ぎ声を上げ続けていた。


 小窓から、朝日差し込む早朝。
室内は屍累々しかばねるいるい
ほぼ全員が、床に転がってた。
内二人は、寝息すらたてて寝入ってる。

一人が酒瓶片手に、力無く言った。

「あいつまだ、尻振ってやがるぜ…」
「まだ達して無いんだろ?
次は誰だ?」
「…それ、言うのか?」
「俺はもう眠くて死にそう」
「…寝ようぜ…」
「…あいつは…ほっとけばいいか」

ディングレーもギュンターも、くたびれきってまぶたを開ける努力すらしないで、床に仰向けに転がる。

「ひっ!
たの…む…。
シて…。
か…らだ…熱い…。
イれてっ!」

「…誰かアイツ、黙らせろ」
「…殴れないんだろう?」
「だから、猿ぐつわ噛ませる」
「殴れば簡単に、おねんねさせられるのに…」

けれど結局誰も、起き上がらない。

オーガスタスはローフィスに渡した課題の添削を受け取りに、準備室の扉を開けて、呆れた。
ローフィスは羽根ペンを手に持ったまま、背を壁にもたせかけて意識不明で眠っていたし。
隣部屋では縛られたアンガスだけが、腰を振って切なげに、解放を求めていた。
「イ…れてくれ…。
たの…む。突いて…」

ローフィスはオーガスタスの気配で、顔を上げる。
オーガスタスは手にしたバスケットを床に下ろし、隣部屋に叫んだ。
「食べ物持ってきたぞ!
…それとも、寝るか?!」

床に転がっていたしかばねは、一人…また一人と、のそりと起き上がり、オーガスタスの叫びにこたえるように、準備室の扉を開ける。

ギュンターとディングレーが入った時には、狭い準備室はデカい男で隙間がほぼ無く、皆がっついて、ハムやらパンを、手づかみで食べていた。

オーガスタスは呆れて見回しながら、ぼやく。
「奴の一物、潰す手があるのに、しないんだな」

皆がそれを聞いた途端
『そのテがあるじゃないか!!!』
と一斉に、ローフィスを睨んだ。

が、ローフィスは寝ぼけまなこでパンをちぎりながら返答してる。
「家庭内は、密室も同然。
…自分のモノが役立たずで、よけいに性格がひん曲がって。
鬱憤うっぷん晴らしにハウリィをなぶるのを、める保証がない」

皆が一斉にローフィスの的確な返答に、項垂れた。

ディングレーとギュンターは準備室戸口で立ったまま、回って来たパンやら果実水の瓶を受け取り、口に運ぶ。
が食後、ローフィスに
「授業に出ろ」
と背を押されて室内から追い出され、ギュンターもディングレーも朝日の眩しさにふらふらの頭を振りながら、呻いた。

「どうしろってんだ!」

そう毒づくディングレーの言葉に、ギュンターは力なくつぶやく。
「俺はそこらで転がって、睡眠を取る。
…あんた、監督生なんだろう?
今日も補習はあるのか?」

言われてディングレーは、不機嫌に頷く。
「…補習は、サボれない。
サブのローランデじゃ、押し出しが効かない。
俺のグループは、一年グーデン配下が全員いるから。
デカくて怖い男が、睨み効かせないと」

ギュンターはローランデの名を聞き、戦った時の、鋭い殺気を思い出す。
「ヤツに剣握らせりゃ、誰でもビビるだろうがな…」

ディングレーは頷いたものの、言った。
「普段の殺傷沙汰は御法度ごはっと
だから剣の腕が無いヤツでも、拳振り回して威張いばってられる」

ギュンターは、思い切り頷いた。
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