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アイリスの色香

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「ん………っ!」

睫を震わすアイリスの、綺麗な顎の線と頬。

アイリスが首を振る度。
乱れ散る濃い茶の、艶やかな長い巻き毛。
切なげに寄る眉、伏せられた濃紺の瞳…。

スフォルツァはもうこれ以上、到底…我慢等出来なかった。

アイリスが乱れる度。
興奮でかっ!と身が火照り、その都度理性が吹っ飛びそうになる。

正直過去ここまで制御不能になりかけるほど、興奮を煽られたことがなかったから…。
スフォルツァは狂おしい欲望で、自分本位にコトを運ぼうとする自分と、戦わなくてはならなかった。

スフォルツァは顔を上げ、傾けて再びアイリスに口付ける。
そして手でアイリスの性器を握りしめたまま、もう片腕で腰をゆっくり…持ち上げた。

手の中のものを手放すと、抱き上げたアイリスの体をうつ伏せにする。
背にかかる髪を取りのけながら、唇をアイリスの、しなやかな背に伝わせる。

ぞくり。とする熱さにアイリスは、スフォルツァの顔が背中に倒れ、その唇が吸い付くたび。
身をのけ反らせそうで我慢した。

が、その唇は背から腰。
そして尻へと伝い行く。

スフォルツァの両腕が股間に入り、腰を持ち上げられる。
両膝を折り、尻を後ろに突き出す体勢を取らされ、スフォルツァはその背後に付く。

アイリスは一瞬
『まさか後ろから、もう挿れる気か?』
と顔を寝台に伏せたまま。伺った。
が…スフォルツァの顔が、双丘の間に擦りつけられ、ぎくっ!とする。

『舐める気だ。
豪語した理由はこれか』

直ぐ舌が蕾の回りに伝い、そして蕾を割って、くねる熱い舌が差し入れられると。
アイリスはシーツを握りしめる。
じれたような、もどかしい感触がその奥へと舌が差し入れられる度沸き上がり、アイリスは眉根を寄せる。

…我慢していないと、蹴ってしまいそうだった。

が『痛くないようにしろ』と注文したのは自分だ。
そう思い返すと、シーツを握りしめ、必死で耐えた。

何しろ、そんな場所で舌がくねる感触はひどく卑猥で。
熱い舌が蠢く度、アイリスは小刻みに背を震わせた。

息が荒く、肩が上下する。
舌が更にくねると、もう気が狂いそうにじれてたまらず、つい呻く。

「スフォル…ツァ………もう………」

が、スフォルツァの舌は更に奥に、突き刺すように入れられ。
アイリスは瞬間、背を反り返らせた。

「…ぅんっ!」

その声を上げさせてようやく、スフォルツァは満足したように顔を上げ、寝台横のテーブルから酒瓶を取り、煽った。

アイリスは肩で荒い息を吐き、布団に顔を突っ伏す。

ゆっくりと…スフォルツァはアイリスの肩を掴み再び仰向かせると、酒を口に含み、今だ戦慄くアイリスの唇に口付けた。

かっ!と熱い感触が、スフォルツァの唇から液体が流れ込む度、口の中に広がる。
スフォルツァが顔を離すと、口の中には果実酒の、甘く酸味のある香りが広がった。

スフォルツァはすっかり潤んだ瞳で壮絶に色っぽいアイリスを見つめ、少し微笑む。
『良かったみたいだな』
スフォルツァの心の声が、アイリスにも聞こえるようだった。

がスフォルツァは次に、何かどろりとしたものを、舌を這わせたその場所。
双丘の奥の蕾へと滴らせて指を、入れ込む。

「んっ…!」

今度はぬめぬめとした熱い感触ではなく、固い指で。
擦り上げられるように挿入されると、アイリスはつい、首を振って俯く。

両足開くアイリスの間に入りながらスフォルツァはうっとりとした顔で、アイリスの感じ始める表情を伺った。

抱いて色っぽいと思える少年は幾人もいたが、アイリスのように気品を放つ色香は、初めて見た。

今まで毎度感じた、神秘が消えて行く失望は。
高まる興奮に、取って代わる。
もしアイリスが初め会った時の、弱々しい美少年のままなら…。

多分、ここまで高ぶらなかった。

一人前の獣になりかける、年若い雄の青い若々しさと。
成熟間近の貴婦人の、気品溢れる色香を併せ持ち。

目前の芳香を放つアイリスの肢体がくねる度。
そそられて頭に血が、のぼる。

肩…胸…そして腰。
どこも無駄なく引き締まり、だが若々しいしなやかさに満ち。

色白の肌が、興奮でピンクに染まり行く様は…美しかった。

伏せた濃い栗色の長いまつげを震わせ、目を閉じるアイリスは。
その鼻も唇も頬もが。
完璧なラインで美が描き出され、見とれるたび力を手放しては、アイリスが正気を取り戻そうとする気配に、はっ!と気づき。
挿入した指を、慌てて探り当てたアイリスの、一番敏感な部分に滑らせ
「あっ!」
と声を上させる。

伏せた睫と真っ赤な唇を震わすアイリスに、再び魅入られるように見惚れては、また…。

アイリスが抵抗のきつい輝きを、その美しい濃紺の瞳にみなぎらせると。
途端スフォルツァは、抵抗を奪うため、愛撫を施す…。

「あ…ん…っ!」

アイリスは『好きにしていい』
と言った言葉道理、反撃はして来なかった。

が、確かにアイリスは自分同様、隙あらば逆転出来るほど、情事に慣れていた。
愛撫に感じ、瞬くアイリスの視線が向けられる度。

濃紺の瞳は襲いかかるような、一人前の雄の迫力を滲ませ…。

スフォルツァはそのスリルに、ついぞくぞくと心が高ぶり、アイリスの視線が自分を捕らえようとするたび、指を深く挿入し腕の中のアイリスを仰け反らせ、その反撃を防いだ。

「あ…あっ!」

自我を失いかけながらも戦う正気を残すその、意志の強い濃紺の瞳が。
それでも快感に溺れたように潤み、伏せられると思わず視線が吸い付き。
股間がかっ!と熱を帯びてそそり勃ち。
視線は思わずアイリスの姿を辿りながら、そのしなやかな裸体の、美しさに見惚れる。

が、はっ。と我に返ると、たった一回。
そう言われた言葉が蘇り、スフォルツァは思い切り、マズイ。と思った。

考えていたよりずっと…アイリスの色香溢れ、乱れる姿は腰を直撃し。
それだけで脳天を突き抜けるような、興奮に包まれる。

もうカチカチに固い自分のそれは。
ちょっと刺激を受けただけで、イきそうだった。

スフォルツァは唇を、必死で噛んで耐え、愛撫を続ける。

アイリスが痛みを感じないよう、出来るだけ優しく、ほぐすつもりだった。

が…アイリスが懸念けねんし、四人もの美女を待機させる筈だ。
と思う程。
こらええきれなかった。

アイリスが自分の与える刺激で、その美しい顔を感じたように震わせ仰け反る度。
スフォルツァは直ぐにでも達してしまいそうで、必死に耐える。

ある意味、拷問だった。

指をようやく二本に増やし、探り入れると。
アイリスは眉を切なげに寄せ、真っ赤な唇を噛んで首を振る。

たったそれだけのワン・ショットだけで。
ぐっ!と堰を切り、解き放ちそうになって。
慌ててスフォルツァは耐えるものの…もう限界だった。

仕方なしく右手でアイリスの奥を探りながら、左手で自分のものをそっと取り出し、アイリスの仰け反る、美しく色っぽくてたまらない表情をおかずに。
手で、かちかちに高まった自身の性器を握り、しごくが…。

直ぐ、だった。

自分の、手の中に放つ。
途端、アイリスが目を、開けた。

潤みきった濃紺の瞳がきらり。と光ると、それは美しかった。
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