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ミステリ研究部入部
しおりを挟む「さあ、着いたよ。ここがミステリ研究会改めてミステリ研究部の部室だよ!今日は部長はまだいると思うから挨拶して行こうよ!」
ミステリ研究会(まだ正式に入ってないから部ではない)の部室は部室棟の最上階である3階の1番奥から一つ手前の部屋だった。
俺が入学した七森高校は部活動が盛んな高校だ。帰宅部になるつもりだった俺は入学してから知ったからこの部室棟を見た時は驚いた。
とはいえ、部室棟は旧校舎の一部を残して活用しているらしく授業を受けている新校舎よりはやや古さも感じる。
ちなみに運動部は別に部室棟があるがこちらはそこまで大きさはなく、どちらかといえば更衣室として使われているそうだ。
ミーティングなどを行う際は体育館内のミーティングルームや文化部の部室を借りて行なっているらしい。
「まあ、入部届も出さないといけないしな。ところでその部長さんってどんな方なんだ?」
確か2年生と言っていたな。ミステリ研究会という名前だけで様々な推理アニメの主人公のような風貌の男子生徒を想像してしまっているが。
「あぁ、まだ説明してなかったね。マコト先輩っていうんだけどね、すごく優しいし話が面白いんだよ!僕なんて一言話しただけで心を掴まれて入部を決めたくらいだからね!まあ、とりあえず入ろうよ!」
話が面白いか。少し緊張するな。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、流星はノックをして部屋に入っていく。
俺もそれに続き入室する。失礼します。と言ったら声が上擦ったのは内緒だ。
「あれぇ、部長いないや。太郎なんで今声裏返ったの?」
内緒にしたつもりがバレていた。上擦ったというより裏返っていたらしい。
「うるさい!ところで部長さんがいないなら今日は入部できないのか?顧問の先生に直接渡しに行った方がいいのか?」
入学説明会で、入部する部の部長に提出とは聞いたが部長がいないのでは仕方がない。まあ焦らずとも明日提出でも良いだろう。
「んー、まあ明日でもいいとは思うんだけど、、、。まあとりあえず部室の紹介だけ僕がしておこうかな。」
別に明日でいいが、、、と思いながらも流星に付き合ってやる。どうせやることはない。流星ともなんだかんだ高校に入ってからはゆっくり話せてないしな。
中学時代の話に花を咲かせながら、部室の説明を受ける。
と言っても中央にテーブルがあり、離れたところに小さな机とパソコン、ホワイトボードにスクリーンとちょっとした映像を映す設備があるのみである。
広さとしては普通の教室の半分程度か。
「、、、?太郎、そこのパソコンのモニターの下。なにか手紙落ちてない?」
流星に言われた場所を見ると確かに手紙らしきものが落ちてある。というより置いてある。
「ああ、あるが。部長さん宛のやつじゃないのか?校内の連絡関係かもしれないし、個人的なやつかもしれないぞ。」
開けろよ。くらいのノリで流星は伝えてきたが、流石に勝手に開けてはまずいだろう。校内の連絡関係ならまだしも、個人的なやり取りなら絶対に開けてはならない。部長宛の恋文の可能性もある。
「んー、そうかなぁ。マコト先輩確かにモテそうだもんな~。ラブなレターを貰うこともあるだろうなぁ」
と呑気に言いながら流星は手紙を手に取り、宛名と送り主が書いてあるであろう箇所に目を通す。
「おい、いくらお前が自由人だからって流石にプライパシーを侵害するようだったら、俺は止めるぞ。」
「そんな怒らないでよ。でもさ、見てみてよ太郎この宛名、もしかして君宛じゃないかな?」
「俺宛の手紙?」
初めてきた場所に俺宛の手紙があるわけないだろう。そう思いつつ手紙に目を通す。
ミステリ研究会の部室を訪れた諸君へ
この手紙に目を通したと言うことは、部室の中を探索した。つまり、入部に興味があると言うことだろう。
入部を目指すのであれば、日の入の際、花が咲く場所へ今すぐに訪れよ。その際、我らとの契約書を忘れぬよう。
怪人M
「なるほど、つまりこの場所に部長がいるから探して入部届を渡せってことだな。」
付き合いで入部するつもりが一苦労だな。言葉を選ばず言うと面倒だ。この部長結構、面倒なタイプか?
それに、違和感は他にもあるのだが、、、。
「日の入りの際に花が咲く場所か~。太郎は植物とか興味あるの?なんか、夜だけ咲く花とか朝だけ咲く花とかロマンがあるよね~」
ロマンがあるかどうかは個人の考えな気もするがスルーしておく。
「花は婆ちゃんの家の花壇で見るくらいだ。そこまで詳しくない。が、なんとなくこの怪人Mさんが言わんとすることは分かった」
簡単だ。ここは植物研究会ではない。ミステリ研究会だ。
「へぇ、もう謎が解けたのかい?太郎は探偵の才能があるなぁ!」
「いちいち、大袈裟だな。日の入りの際に花が咲く場所。比喩表現だろう。おそらくだが、この学校内で日の入りの時間に影が綺麗な形で残って花が咲いているように見える場所が1箇所だけあるってことだろう」
この学校内に花壇は何箇所かある。もちろん時間によって影の方向は変わる。1箇所だけ日の入りの時間に影が綺麗に映る場所があると言うことだろう。
「なるほど!僕はてっきり今から花を調べないといけないかと思ったよ。じゃあ今からその場所を探していくのかい?」
まぁ、一つ一つ探すのも良いのだが時間がかかる。
「まあ、今から探しても良いのだが、実は一発で当てる方法があるんだ」
そう、一発で怪人Mがいる場所を当てる方法を俺は確信している。
「えっ、そんな方法があるのかい?怪人Mも想定外だろうなぁ」
時間ももったいないのでその方法を早速実践する。なに、簡単なことだ。
「流星、怪人Mのいる場所を教えてくれ。」
そう、これが俺が考える1番早く場所を見つける方法だ。
「、、、何言ってるの?まさかの僕に丸投げするスタイル?」
しらばっくれるか。なら言い方を変えよう。
「言い方を変える。お前は怪人M、すなわち部長とグルだ。だからお前は部長の居場所を知っている。と、言うことで居場所を教えてくれないか。」
そう、部室に入ってからの流星の行動は違和感があった。
まず、手紙を見つけた時だが、あくまでも俺に手に取らせるように誘導してきた。気になるなら自分で見れば良いものを。
そして、いくら流星が自由人だからと言って勝手に手紙を見るようなやつじゃない。ここは少し感情論も混ざってしまうが。
あとは、宛名を見た時の「君宛じゃないかな?」との発言。入学して間もないこの時期、部活見学に訪れる生徒は少なからずいる。訪れた諸君へ、を俺宛だと言うのは本当に俺宛に作られた手紙だと知っていたからだ。
あとは花の話しでミスリードを起こそうとしたり、、、全てにおいて自分たちのシナリオ通りに進めようとしていた。俺もあえて、余興に付き合っていたが流石に場所を探すのは腰が折れる。
「なーんだ、バレてたんだ。太郎はほんとそう言うとこ鋭いよね~。部長が待っている場所は中庭の新校舎側の花壇付近だよ。結構迫真の演技のつもりだったんだけどな~。じゃ、早速行こうか!」
「演技自体は悪くなかったぞ。ハリウッド俳優も目指せるくらいだ。だが、ところどころでヒントを出しすぎたな。」
流星の演技について語り合いながら歩いていると中庭に到着した。
夕方の中途半端な時間ということもあり、中庭には綺麗な女子生徒が1人立っているだけだった。
、、、もしここからもう一つ手紙があったりしたら帰るぞ。
「流星、ここからまた部長を探すミッションがあるんだったら入部届をお前に預けて帰るぞ。」
「何言ってるのさ。部長ならあそこにいるじゃないか。」
いるじゃないか、と言われても俺は部長の顔も知らない。女子生徒がいるだけでマコト先輩は見当たらないが。
、、、違うな俺はどうも勘違いしているようだ。
「なあ、流星、マコト先輩のお名前って漢字でどう書くんだ?」
「ん?確か真実の真に楽器の琴で真琴だよ?綺麗な人だよね~、ほら!緊張するかもだけど早く話しかけに行こう!」
やはりだ、名前とイメージで勝手に男子生徒と思っていた。
つまり少し先にいる容姿端麗な女子生徒が部長というわけだ。
「真琴先輩~。新入部員の太郎を連れてきましたよ!」
「夏木くん!ダメだよ、怪人Mって呼んで!」
「あぁ、その件なんですけどね、普通にバレちゃいました。」
てへっとでも良いそうに舌を出しながら流星が話している。
「えぇ!バレちゃったの!?じゃあただ私恥ずかしいだけじゃん!?あ、君が太郎くんだよね?私、ミステリ研究会部長の山下真琴です。手紙の謎バレちゃったんだね~」
急に話を振られて俺は焦る。
基本的に女子と交流することが少ないからどう話すか迷ってしまう。
「あ、はい。松尾太郎です。えっと、待たせてましたよね。すみません。これ、入部届です。」
そう言って部長に入部届を渡す。
「待たせてたなんてこっちが勝手に待ってたんだよ。紳士だな~太郎くんは!私のことは真琴って呼んでね!」
なぜ流星のことは夏木くんなのに俺のことは名前呼びなのだろうか。少し心がざわつくからやめていただきたい。いや、嫌ではないのだが。
「わかりました。真琴先輩。これからよろしくお願いします。」
「いやぁ、緊張してる太郎を見ることができただけでも頑張った甲斐があるよ。」
流星はニヤニヤしながらこっちを見ている。
「私なんかに緊張しなくても良いのに。じゃ、とりあえず部室に戻って、軽く部活の説明をして行っても良いかな?部活終了時間まであと少しあるから。どうやってあの謎を解かれたかも聞きたいし。」
どうやら渾身の謎を作っていたらしい。悔しそうにするその顔にも心がざわついてしまう。
「分かりました。では、行きましょう。」
「よーし、太郎も入部したし楽しくなるぞー!」
「これから夏木くんと太郎くんと活動できると思うと嬉しい気持ちだよ!」
部室へ戻る途中そのような会話をしたが、月1回の参加でいいと言う話だった気がするが。
だがまあ、まだ出会って間もない人ではあるが悪い人ではなさそうだし話も合いそうだ。
少しだけなら部活に参加しても良いかな。
そうやって帰宅部になると考えていたポリシーはどこかへ捨て去っていくのであった。
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