いばら姫

伊崎夢玖

文字の大きさ
19 / 57
文化祭

十七話

しおりを挟む
文化祭が近づいてきた。
各クラス準備に追われている。
桃のクラスも同様だった。
衣装合わせも最終段階のようで、念入りにチェックしていた。
桃が衣装を着ている姿を見たくて、保は巡回を理由にこっそり覗きに行った。
ミニスカメイド服だった。
赤、青、ピンク、黒…。様々な色のメイド服を女子生徒が着用していた。
桃はオーソドックスな黒を着ていた。
ふわふわなスカートから覗く細いが程よく筋肉のついた足。
その足に履いているのはガーターベルトで留める薄めの黒のストッキング。
頭にはカチューシャが付いている。
本番さながらをイメージするために薄く化粧もしているようだ。
(すごくかわいいなぁ、桃)
自分の部屋にずっとそのまま閉じ込めて毎日愛でてやりたいくらいかわいかった。
こっそり覗いているつもりだったようだが、周りから見ればガン見している状況だった。
『くーちゃん先生、何見てるの?』
不意に桃のクラスの女子に声を掛けられ、動揺してしまった。
「うぉっ!驚かすなよ」
『驚かせてないよ。ってかうちのクラスの衣装かわいいでしょ?』
「かわいいな。だが、あれは際どすぎないか?」
『今はあれくらい普通だよ』
「そうなのか…」
『客観的に先生に評価してもらいたいんだけどいいかな?』
「時間ならあるから、構わないぞ」
『やったね。皆ぁー、くーちゃん先生が衣装見てくれるって』
女子は保の白衣の袖口を引っ張って衣装合わせの部屋の中へ連れて行く。
堂々と桃の衣装姿が見られて保は平静を装うので精一杯だった。
(こっそり見るよりずっといいなぁ…)
保は堂々と桃の衣装をチェックした。
余すところなく上から下まで全部…。
桃だけだと不審がられるので、他の女子の衣装もチェックしてやった。
「なかなかいいじゃないか」
『本当に?』
「あぁ。かわいいと思うぞ。だけどスカート短すぎないか?」
『今時はこれくらいが主流なの』
「そうなのか?」
『そうなの』
「変な奴らもいるから長めの方がいいと思うが…」
『生徒会からの許可も下りてるから大丈夫だよ』
「それならいいが、変な奴がいたら気をつけろよ」
『はぁーい』
保は部屋から出て、保健室へ戻った。
(あの衣装はかわいいが、スカートが短すぎる。あれは当日近くにいて監視しておかないと)
その予想は的中する形になるとは露ほども考えていなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...