いばら姫

伊崎夢玖

文字の大きさ
35 / 57
受験

第三十二話

しおりを挟む
翌日、桃が保健室に来た。
「先生、いる?」
「おう。どうした?具合でも悪いか?」
「ううん。違う。あのね、両親が進学してもいいって言ってくれた」
「本当か!?」
「うん。将来の夢に一歩近づけたよ」
「よかったな」
「これから必死で勉強しないといけないから、がんばるね」
「お前の成績ならどこの大学でも行けるだろ?」
「そんなことない。がんばらないと簡単に成績は落ちちゃうから」
「そうだな。無理しない程度にがんばれよ」
「ありがと」
すごく嬉しそうに保健室から桃は出て行った。
そんなに進学することが嬉しかったなんて…。
将来の夢が気になるところではあるが、それは桃から話してくれるまで気長に待つことにした。
それからというもの、桃を見かけるのは専ら図書館が多くなった。
毎日完全下校時間まで残って勉強している。
英語だったり、数学だったり…。
毎日がんばっている。
そんな毎日を見て桃は息が詰まってるんじゃないかと思った。

保は偶然を装って図書館で勉強している桃に近づいた。
「…勉強捗ってるか?」
「うぉっ!先生、驚かさないでよ」
「悪い。かなり集中してたな」
「うん。この間の模試の結果よくなくて…」
「今持ってるか?」
「うん」
「ちょっと見せてみ?」
桃の模試の結果を見るが、そこまで悪くない。
「全然大丈夫じゃないか?」
「ダメなの。前回より点数も順位も落ちてる」
よく見ると確かに前回より落ちているが、点数だと数十点、順位は十位程度だ。
「志望校的にも安全圏に入ってるけど…」
「安全圏かもしれないけど、実際は何が起こるか分からないんだもん。油断大敵だよ」
桃はしっかっりしていた。
今の状況に驕ることなく、毎日努力していた。
「毎日がんばっている褒美にどこか連れてってやるよ」
「へ?」
「毎日遅くまで勉強してるの知ってるぞ?」
「そうなんだ…」
「たまには息抜きも必要なんじゃないか?」
「またどこか行ったら隠し撮りされちゃうよ?やめとく」
「そうだな…それなら俺の家に来るか?」
「何で?」
「一応俺教師だし、勉強見てやれるぞ?」
「ちなみに先生の得意科目は?」
「全般的に優秀だったけど、強いて言えば数学かな」
「本当!?数学苦手で…」
「んじゃ決まりな。次の日曜に勉強会しようぜ」
「本当にいいの?」
「構わない。朝九時に迎えに行くから準備しとけよ?」
「うん。よろしくお願いします」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...