いばら姫

伊崎夢玖

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受験

第三十六話

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日が沈みかけた頃、桃が目を覚ました。
「ん…ケホッ……えっ!」
「おはよう。具合はどうだ?」
「割とよくなってきたよ。ってか、何で先生がここにいるの!?」
「何でって見舞いだが?」
「あっ………ありがとうございます」
「いえいえ。何か食べられそうか?」
「うん。ちょっとお腹減ったかも」
「それならちょうどいい物がある」
「何?」
「多分お前の好きな物だ」
「ん?」
「猫屋のプリン」
「えっ!本当に?あそこすごい列で超並ばないと入れない所じゃん」
「並んださ。周り女子ばかりですげぇ居辛かったけどな…」
「食べてもいい?」
「どうぞ」
「いただきまぁす!…………………マジヤバイ……」
「気に入らなかったか!?」
「ううん。すごくおいしくて超ヤバい…」
「それならよかった」
「本当にすごくおいしいよ。先生わざわざありがとう」
「喜んでくれてよかったよ」
「先生も食べなよ」
「いや、俺はいいよ。甘い物苦手だし、お前のために買ってきたんだから」
「それなら……お言葉に甘えていただきます」
「まだ冷蔵庫の中に入ってるから食べたくなったら食えよ?」
「うん」
「んじゃ、俺はそろそろ帰るな。ゆっくり休んで体調戻せよ?」
「これだけのために来てくれたの?」
「そうだが…?」
桃は真っ赤な顔をして保を見つめる。
「明後日には元気になって学校行くね」
「おう。待っててやるから早く元気になれ」
「はぁーい」
「じゃぁ、また明後日学校で」

保が出て行った部屋の中で、一人残された桃はベッドの上で悶えていた。
(ただの見舞いのためだけに、わざわざ有名洋菓子店の長蛇の列に並ぶ!?)
(しかも、あたしがあのお店気になってるっていつか言ったけど覚えてるもの?)
(先生、どういうつもりなんだろう?)
悶々としている桃の元に夕食が運ばれてきた。
デザートには保が持ってきた果物がてんこ盛りに添えられていた。

桃の部屋から出た保は平静を装っていた。
執事に挨拶をして、車を回してもらい、車に乗り込むと発進させた。
しばらく車を走らせたところで、先程の桃とのやり取りを思い出し、赤面した。
(あんなかわいい顔見せられたらいくらでも並んで買ってやりたくなるじゃねーか…)
(今度はマカロンでも買ってやるかな)
桃とのやり取りを思い出しながら、満面の笑みで車を走らせる保だった。
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