前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ

文字の大きさ
10 / 120

第十話 演出

しおりを挟む
「凄いわね、NMA。引きこもってたから色々と知らないことばかりな私が言うのもアレだけど」
「ふふ、そうね。でも、実際に私も凄いと思うわよ? 噂でしか聞いたことがなかったけど、とにかく他の学校と比べて一味違うことは間違いないようね」

 校門をくぐると先程まで森の中にいたはずなのに景色が一変する。
 そこは幻想的な世界だった。
 至るところの花が満開の状態で咲き誇り、空からキラキラと光の粒子が降り注ぐ。
 初めて見る光景に思わず「綺麗……」とうっとりと声を漏らした。

「さすがNMAね。新入生歓迎のための演出だろうけど、凝っているわ」
「え、これ今日のためだけの演出!?」
「多分そうじゃないかしら? 毎日ではないと思うのだけど、私もよくわからないからあくまで憶測ね」
「凄すぎる、NMA……」

 NMAは謎に包まれていることが多く、どんな学校なのか噂の範疇でしか知らない情報が多い。

 なぜ毎年卒業生がいるにも関わらず、こうも情報が外に漏れずに謎に包まれているかというと、実際は情報が出ないのではなく、学園長の気まぐれで学校の場所も校舎の見た目なども毎年様々なものが変わるからである。

 そのため、全てが全て憶測や過去の例からの推定することしかできず、未だこの学校は謎に包まれているということらしい。
 正直、手間と労力がかかりすぎでは? とも思うが、それも含めてこの学園が魔力に優れ、優秀であることの誇示になるそうで、とことん喪女を目指す私とは考えが合わないなと思う。

「これが、校舎……?」

 そして今回のNMAの校舎は湖の上空に浮いていた。
 水晶でできたような光沢のある校舎は光を受けて乱反射しているようで、あたり一帯に虹彩を放っていてとても綺麗である。

「どうやって行くのかしら」
「あそこを見てみて。あれに乗って行くようね」

 マリアンヌが指差した方を見ると、新入生らしき人が何かに乗っているのが見える。

 どうやら、魔法がかかったリフトのようなものがあり、それに乗って校舎に行くらしい。

 私達も早速リフトの前に行くと、妖精達が目の前に現れて私達に魔法をかけてくれて、一緒のリフトに乗せてくれる。

 ふわっと身体が宙に浮かぶのに多少恐怖は感じるものの、初めての体験に心躍った。
 未知のものばかりに、思わず私が「凄いわね!」と興奮しながら話すとマリアンヌは嬉しそうに微笑んだ。

「ふふ、クラリスのそんな顔が見れるなんて、私もNMAに入った甲斐があったわ」
「な、何を言ってるの。マリアンヌには色々な私を見せてるじゃない」
「でも、一緒に出かけるのって初めてでしょう? 今まで頑なに外に出ようとしなかったじゃない」
「それは、そうだけど……」
「だからこうして一緒に出掛けられたのは嬉しいわ」
「マリアンヌ……!!」

 実際にNMAに招待されてなければこうして外に出ることもなかったし、マリアンヌと一緒に過ごすこともなかっただろう。
 外に出てみると案外平気かもしれないと思いつつも、どうしてもマリアンヌ以外から顔を見られるのは抵抗があって、誰かと目が合いそうになるとすぐに逸らしてしまい、顔を見られたかもしれないと思うと胸が騒つく。

 でもこれからこの生活が続くと思うとずっとソワソワしているわけにもいかないし、そもそもこの心理状態が続くようならメンタル的に死ぬ。

 (だから克服しなければならないのだけど……)

「早くクラリスのトラウマがなくなるといいんだけど」
「うーん。そう、だね……」

 もはや呪いに近い前世の記憶。

 未だに思い出せるほどの苦痛や絶望感は並大抵のものではなく、これを克服するのはなかなか難しかった。
 けれどいくら幼馴染で大親友のマリアンヌといえどそんなことまで言えるはずもなく、苦笑しながら誤魔化す。

「本当に、なくなれば、いいんだけどね……」

 そんなことをぼそりと呟きながら、私は静かに空中浮遊を楽しむのだった。
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。

黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。 明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。 そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。 ………何でこんな事になったっけ?

【完結】殺されたくないので好みじゃないイケメン冷徹騎士と結婚します

大森 樹
恋愛
女子高生の大石杏奈は、上田健斗にストーカーのように付き纏われている。 「私あなたみたいな男性好みじゃないの」 「僕から逃げられると思っているの?」 そのまま階段から健斗に突き落とされて命を落としてしまう。 すると女神が現れて『このままでは何度人生をやり直しても、その世界のケントに殺される』と聞いた私は最強の騎士であり魔法使いでもある男に命を守ってもらうため異世界転生をした。 これで生き残れる…!なんて喜んでいたら最強の騎士は女嫌いの冷徹騎士ジルヴェスターだった!イケメンだが好みじゃないし、意地悪で口が悪い彼とは仲良くなれそうにない! 「アンナ、やはり君は私の妻に一番向いている女だ」 嫌いだと言っているのに、彼は『自分を好きにならない女』を妻にしたいと契約結婚を持ちかけて来た。 私は命を守るため。 彼は偽物の妻を得るため。 お互いの利益のための婚約生活。喧嘩ばかりしていた二人だが…少しずつ距離が近付いていく。そこに健斗ことケントが現れアンナに興味を持ってしまう。 「この命に代えても絶対にアンナを守ると誓おう」 アンナは無事生き残り、幸せになれるのか。 転生した恋を知らない女子高生×女嫌いのイケメン冷徹騎士のラブストーリー!? ハッピーエンド保証します。

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

一夜限りの関係だったはずなのに、責任を取れと迫られてます。

甘寧
恋愛
魔女であるシャルロッテは、偉才と呼ばれる魔導師ルイースとひょんなことから身体の関係を持ってしまう。 だがそれはお互いに同意の上で一夜限りという約束だった。 それなのに、ルイースはシャルロッテの元を訪れ「責任を取ってもらう」と言い出した。 後腐れのない関係を好むシャルロッテは、何とかして逃げようと考える。しかし、逃げれば逃げるだけ愛が重くなっていくルイース… 身体から始まる恋愛模様◎ ※タイトル一部変更しました。

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

処理中です...