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第十話 演出
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「凄いわね、NMA。引きこもってたから色々と知らないことばかりな私が言うのもアレだけど」
「ふふ、そうね。でも、実際に私も凄いと思うわよ? 噂でしか聞いたことがなかったけど、とにかく他の学校と比べて一味違うことは間違いないようね」
校門をくぐると先程まで森の中にいたはずなのに景色が一変する。
そこは幻想的な世界だった。
至るところの花が満開の状態で咲き誇り、空からキラキラと光の粒子が降り注ぐ。
初めて見る光景に思わず「綺麗……」とうっとりと声を漏らした。
「さすがNMAね。新入生歓迎のための演出だろうけど、凝っているわ」
「え、これ今日のためだけの演出!?」
「多分そうじゃないかしら? 毎日ではないと思うのだけど、私もよくわからないからあくまで憶測ね」
「凄すぎる、NMA……」
NMAは謎に包まれていることが多く、どんな学校なのか噂の範疇でしか知らない情報が多い。
なぜ毎年卒業生がいるにも関わらず、こうも情報が外に漏れずに謎に包まれているかというと、実際は情報が出ないのではなく、学園長の気まぐれで学校の場所も校舎の見た目なども毎年様々なものが変わるからである。
そのため、全てが全て憶測や過去の例からの推定することしかできず、未だこの学校は謎に包まれているということらしい。
正直、手間と労力がかかりすぎでは? とも思うが、それも含めてこの学園が魔力に優れ、優秀であることの誇示になるそうで、とことん喪女を目指す私とは考えが合わないなと思う。
「これが、校舎……?」
そして今回のNMAの校舎は湖の上空に浮いていた。
水晶でできたような光沢のある校舎は光を受けて乱反射しているようで、あたり一帯に虹彩を放っていてとても綺麗である。
「どうやって行くのかしら」
「あそこを見てみて。あれに乗って行くようね」
マリアンヌが指差した方を見ると、新入生らしき人が何かに乗っているのが見える。
どうやら、魔法がかかったリフトのようなものがあり、それに乗って校舎に行くらしい。
私達も早速リフトの前に行くと、妖精達が目の前に現れて私達に魔法をかけてくれて、一緒のリフトに乗せてくれる。
ふわっと身体が宙に浮かぶのに多少恐怖は感じるものの、初めての体験に心躍った。
未知のものばかりに、思わず私が「凄いわね!」と興奮しながら話すとマリアンヌは嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ、クラリスのそんな顔が見れるなんて、私もNMAに入った甲斐があったわ」
「な、何を言ってるの。マリアンヌには色々な私を見せてるじゃない」
「でも、一緒に出かけるのって初めてでしょう? 今まで頑なに外に出ようとしなかったじゃない」
「それは、そうだけど……」
「だからこうして一緒に出掛けられたのは嬉しいわ」
「マリアンヌ……!!」
実際にNMAに招待されてなければこうして外に出ることもなかったし、マリアンヌと一緒に過ごすこともなかっただろう。
外に出てみると案外平気かもしれないと思いつつも、どうしてもマリアンヌ以外から顔を見られるのは抵抗があって、誰かと目が合いそうになるとすぐに逸らしてしまい、顔を見られたかもしれないと思うと胸が騒つく。
でもこれからこの生活が続くと思うとずっとソワソワしているわけにもいかないし、そもそもこの心理状態が続くようならメンタル的に死ぬ。
(だから克服しなければならないのだけど……)
「早くクラリスのトラウマがなくなるといいんだけど」
「うーん。そう、だね……」
もはや呪いに近い前世の記憶。
未だに思い出せるほどの苦痛や絶望感は並大抵のものではなく、これを克服するのはなかなか難しかった。
けれどいくら幼馴染で大親友のマリアンヌといえどそんなことまで言えるはずもなく、苦笑しながら誤魔化す。
「本当に、なくなれば、いいんだけどね……」
そんなことをぼそりと呟きながら、私は静かに空中浮遊を楽しむのだった。
「ふふ、そうね。でも、実際に私も凄いと思うわよ? 噂でしか聞いたことがなかったけど、とにかく他の学校と比べて一味違うことは間違いないようね」
校門をくぐると先程まで森の中にいたはずなのに景色が一変する。
そこは幻想的な世界だった。
至るところの花が満開の状態で咲き誇り、空からキラキラと光の粒子が降り注ぐ。
初めて見る光景に思わず「綺麗……」とうっとりと声を漏らした。
「さすがNMAね。新入生歓迎のための演出だろうけど、凝っているわ」
「え、これ今日のためだけの演出!?」
「多分そうじゃないかしら? 毎日ではないと思うのだけど、私もよくわからないからあくまで憶測ね」
「凄すぎる、NMA……」
NMAは謎に包まれていることが多く、どんな学校なのか噂の範疇でしか知らない情報が多い。
なぜ毎年卒業生がいるにも関わらず、こうも情報が外に漏れずに謎に包まれているかというと、実際は情報が出ないのではなく、学園長の気まぐれで学校の場所も校舎の見た目なども毎年様々なものが変わるからである。
そのため、全てが全て憶測や過去の例からの推定することしかできず、未だこの学校は謎に包まれているということらしい。
正直、手間と労力がかかりすぎでは? とも思うが、それも含めてこの学園が魔力に優れ、優秀であることの誇示になるそうで、とことん喪女を目指す私とは考えが合わないなと思う。
「これが、校舎……?」
そして今回のNMAの校舎は湖の上空に浮いていた。
水晶でできたような光沢のある校舎は光を受けて乱反射しているようで、あたり一帯に虹彩を放っていてとても綺麗である。
「どうやって行くのかしら」
「あそこを見てみて。あれに乗って行くようね」
マリアンヌが指差した方を見ると、新入生らしき人が何かに乗っているのが見える。
どうやら、魔法がかかったリフトのようなものがあり、それに乗って校舎に行くらしい。
私達も早速リフトの前に行くと、妖精達が目の前に現れて私達に魔法をかけてくれて、一緒のリフトに乗せてくれる。
ふわっと身体が宙に浮かぶのに多少恐怖は感じるものの、初めての体験に心躍った。
未知のものばかりに、思わず私が「凄いわね!」と興奮しながら話すとマリアンヌは嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ、クラリスのそんな顔が見れるなんて、私もNMAに入った甲斐があったわ」
「な、何を言ってるの。マリアンヌには色々な私を見せてるじゃない」
「でも、一緒に出かけるのって初めてでしょう? 今まで頑なに外に出ようとしなかったじゃない」
「それは、そうだけど……」
「だからこうして一緒に出掛けられたのは嬉しいわ」
「マリアンヌ……!!」
実際にNMAに招待されてなければこうして外に出ることもなかったし、マリアンヌと一緒に過ごすこともなかっただろう。
外に出てみると案外平気かもしれないと思いつつも、どうしてもマリアンヌ以外から顔を見られるのは抵抗があって、誰かと目が合いそうになるとすぐに逸らしてしまい、顔を見られたかもしれないと思うと胸が騒つく。
でもこれからこの生活が続くと思うとずっとソワソワしているわけにもいかないし、そもそもこの心理状態が続くようならメンタル的に死ぬ。
(だから克服しなければならないのだけど……)
「早くクラリスのトラウマがなくなるといいんだけど」
「うーん。そう、だね……」
もはや呪いに近い前世の記憶。
未だに思い出せるほどの苦痛や絶望感は並大抵のものではなく、これを克服するのはなかなか難しかった。
けれどいくら幼馴染で大親友のマリアンヌといえどそんなことまで言えるはずもなく、苦笑しながら誤魔化す。
「本当に、なくなれば、いいんだけどね……」
そんなことをぼそりと呟きながら、私は静かに空中浮遊を楽しむのだった。
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