前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ

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第十一話 正装

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「ようこそ、ノワール・マジカル・アカデミアへ。入学生はこちらよ。はい、いってらっしゃ~い」

 リフトが校舎へ到着すると、エントランスへと案内されてそのまま先生らしき人に中のホールへと転移魔法で飛ばされる。
 飛ばされた先にはたくさんの新入生達で溢れ返り、みんな興奮した様子だった。

「わぁ、凄い! ホールの中はこんな風になっているのね」

 ホールは外観とはまるで違い、ゴシックな造りの建物になっていて、細部までこだわっているであろうガラス細工に目が奪われる。
 ステンドグラスの絵は動き、外の太陽光を通した光の上では光の妖精達が舞い踊っていた。
 ホールの上部はキラキラと優しく輝き、光の粒子を振りまくシャンデリアがいくつも浮遊していて、その周りを妖精が飛び交い、歌を歌って新入生の歓迎の歌を歌っている。

「って、クラリス! その服!」
「え、えぇ……っ! いつの間に!? ってマリアンヌ、貴女もよ!」

 いつの間にかお互いに服は着替えられ、ノワールの名に相応しい漆黒の艶やかな生地に金の糸で刺繍が施され、騎士の服のようなNMAの制服に変わっていた。

 採寸もしていないというのにぴったりのサイズのそれは、首元までしっかりと覆われているというのに息苦しくもない。
 その上から漆黒のガウンも羽織らされており、どうやら制服の上から羽織る式服のようだ。

 状況から察するに、身体をホールまで転送している間に着替えも済ませていたらしい。
 さすが優秀な魔法使いを育成する学校である、先生もみんな優秀なようだ。

「クラリス、とても似合っているわよ」
「そ、そう? マリアンヌも可愛いわ」
「ありがとう。……ふふ、そうやって目深にフードを被っていると逆に目立つわよ?」
「うー。目立ちたくはないけど……、顔を見られたくない」
「せっかく、誰もが羨むような綺麗な顔をしているのにもったいないわねぇ」
「だから、誰にも見られたくないの~!」

 とりあえず、目深にフードを被りつつ、マリアンヌに手を引かれながら新入生が集まっているホールの中央に向かう。
 どうやらこれから入学式が始まるらしい。

 ぞろぞろとやってくる新入生達を見ながら、「世界各国から集められただけあって色々な人がいるんだなぁ」とこっそりと見つめる。
 とはいえ、優秀な生徒だけということでザッと見た限り人数はそこまで多くはなく、新入生は二百人ほどだろうか。

 キョロキョロとしていたせいか、先程私が抱きついてしまった人を見つけて思わず目で追う。
 濃紺の夜空のような髪色は癖なのか多少うねっていて、他の男子生徒よりも頭一つ分は飛び抜けて大きいのでとても目立つのだが、顔が整っているわりには仏頂面というか無愛想なせいで威圧感があるのか、周りはどうも避けているような印象があった。

 しかも彼も特別誰か友人がいる様子ではなく、どうやら単身でいるようで、なんとなく親近感が湧いてくる。
 と、そうやってジーッと見つめていたせいか、不意に彼がこちらを見てきてバチッと目が合ってしまった。
 目が合っただけだというのに、あまりの衝撃にドキンと大きく心臓が痛いくらいにビクつく。

「どうしたの、クラリス」
「う、ううん。何でもない、大丈夫」

 動揺したときにマリアンヌの手を強く引っ張ってしまったらしく、心配されるように顔を覗かれる。
 すると「本当に? 顔、だいぶ真っ赤だけど」と指摘されて、なぜか至近距離で見た彼の顔を思い出して、再び羞恥心がぶわわわっと駆け上がってきてなんだか心臓がいつにないほどドキドキし始めた。

「だ、大丈夫。ちょっとさっきの思い出しちゃったのと、緊張してきただけ」
「そう? ならいいんだけど。もうそろそろ始まるようだから、大人しくしなさいよ?」
「はーい、ママ」
「もう、クラリスったら」

 そうやって軽口を言い合っていると、リーーーーンゴーーーーーーンと大きな鐘の音が聞こえてザワザワとしていた会場が一気に静まり返る。
 そして、ホールの中央の舞台に一人の男が空から舞い降りた。
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