前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ

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第十五話 医務室

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 すんすんと啜り泣くような声が聞こえて意識が浮上する。
 ゆっくりと重たい目蓋を持ち上げると、そこは見慣れない天井だった。
 天井に星空があるのを見て、一瞬外にいるのかと思ったがどうやら違うようで、何度か瞬きすると、魔法によって創られたものだと気づく。

「……ん、ここ、は……」
「クラリス! あぁ、もう……よかった……っ、本当に、よかった……っ!!」

 顔をぐしゃぐしゃに歪めるマリアンヌ。
 どうやらずっと泣き続けていたようで、目元は真っ赤に腫らしていた。

「ごめんなさい。私が心配をかけたせいで……」
「いいのよ、謝らないで。私が勝手に不安になって泣いてただけなのだから」

 涙をポロポロと流しながらも気丈に振る舞うマリアンヌに申し訳なさが込み上げてくるが、そんな私の様子を察して頭を撫でてくれる。
 いつもマリアンヌには甘やかされてばかりだと思いながら、彼女をこれ以上泣かせてはいけないと元気な素振りを見せるようにした。

「心配かけてごめんなさい。でも、もう大丈夫だから」
「本当? 具合が悪かったりどこか痛んだりするところはない?」
「特には……。というか私、寮の振り分けから記憶がないのだけど、あのあとってどうなったのかしら?」

 身体が焔に包まれてパニックになっていたのは覚えているのだが、いかんせんその後の記憶はまるっきりなかった。

「魔力暴走を起こしてしまったようよ。クラリスは元々魔力が強いほうだから、エルフの聖水と反応していつも以上に力が放出されてしまったみたい」
「それで、焔が……。あ、でも私の身体は燃えてないわよ?」
「あれはあくまで疑似だから。エルフの聖水は魔力の質を確認するだけのものだから、実際の焔とはちょっと違うのよ」
「そう。それで……」

 確かに、前世のような焼けつく痛みや焦げた臭いなどはなかったと思い出し、そういうことかと納得する。
 つまり私は、偽物の焔にパニクって魔力暴走させてしまったのかと、入学式早々またとんでもないことをやらかしてしまったと頭が痛くなった。

「それで、意識を失って医務室に運ばれてからずっと寝てたのよ」
「そうだったのね。マリアンヌはずっと付き添っててくれてたのでしょう? ありがとう」
「親友だもの、当たり前でしょう? それにしても、本当に目が醒めてよかった」
「そんなに私ずっと寝てたの?」
「えぇ、もう今は夜だからね」

 言われて窓の外を見つめると、確かにとっぷりと日が暮れていた。
 入学式は朝からの開始だったことを考えると相当寝ていたらしい。

「ごめんなさい。せっかくの入学式だっていうのにマリアンヌまで巻き込んでしまって」
「いいのよ、私が待ちたくて待っていたんだから。それにしても同じ寮でよかったわね」
「えぇ、そこに関しては本当によかったわ」

 火に関連した寮というのは気に食わないが、マリアンヌと一緒ならば話は別である。
 寮が一緒ということは今までよりも一緒に過ごせる機会が多いということだし、素直に嬉しかった。
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