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第三十四話 ヴィリィ
今回NMAのことだって積極的に誘ってくれたのはマリアンヌだったし、彼女との初対面のときだってずっと拒絶して酷いことも言ったのに、それでもずっと辛抱強く一緒にいてくれた。
それからは唯一無二の親友として私はマリアンヌ以外に心を開いていなかったのだが、ハーパーとオリビアだってマリアンヌがいてくれたからこそ仲良くなったわけで。
いっつもマリアンヌが譲ってくれて、私を尊重してくれて、それに私は胡座をかいていた。前世で私が酷くされたことなんてマリアンヌは知らないっていうのに。
「私、本当に子供だったんだな……」
「そりゃ、十五歳なんてまだまだ子供だろう」
「そ、そういうことじゃなくて」
「クラリスは面白いな」
「え、そう? あ、でもアイザックは怖そうに見えるけど、優しくて意外に面倒見いいのね」
「どっちも初めて言われたが、そうか?」
「えぇ、言われたことない?」
「友達自体いたことがないからな」
「えぇ!? 嘘!!」
「嘘をついてどうする」
こんなに優しいのに友達がいないのか、と素直に驚く。
そして、もしかしてアイザックも私と同じ引きこもりだったのかもしれない、と思い至り勝手に親近感が湧いてくる。
「なるほどなるほど、そうだったのね……」
「何だ急に。その意味ありげな笑みは」
「いえ、別に~?」
類友かもしれない、と思うと同時に気安くなった私を不審げに見るアイザック。
「というか、前々から気になっていたんだが、なぜクラリスはフードを被ってるんだ? というか、それ式服だろ、なぜいつも着ている?」
「え、いや、だって……目立ちたくないから」
「うん? それ被ってるほうが逆に目立つぞ」
「え!? 本当!??」
「あぁ、言っておくが、クラリスは陰でヴィリイとか呼ばれてるぞ」
「ヴィリイ!?」
ヴィリイとは森の妖精のことである。
ヴィリイは人目を忍ぶ妖精で、その姿を見た者は誰もが虜になってヴィリイを恋しくなり、そして最期は泣き果てて死ぬだとかなんとか。
当たらずとも遠からずの例えに、まさかそんなあだ名がついているとは思わず頭を抱えた。
「じゃあ、フード外そうかな……」
「そうしておけ。せっかく綺麗な髪をしているのにもったいないし、帽子を被ると禿げると聞くぞ」
「~~っ、言い方! もっと他に言い方ないの!?」
「というか、そろそろレポートやらないとマズいんじゃないか?」
言われてそこで相談に夢中でレポートのことがすっぽりと頭から抜けていたことを思い出す。
あまりにもアイザックとの会話が楽しすぎて、ついつい時間を忘れていた。
「そうだった! ちゃんとやらないと」
「あぁ、よろしく頼むぞ」
「わかった。って、あくまで共同作業なんだからそっちも調べてよね」
「それは……善処する」
それからは唯一無二の親友として私はマリアンヌ以外に心を開いていなかったのだが、ハーパーとオリビアだってマリアンヌがいてくれたからこそ仲良くなったわけで。
いっつもマリアンヌが譲ってくれて、私を尊重してくれて、それに私は胡座をかいていた。前世で私が酷くされたことなんてマリアンヌは知らないっていうのに。
「私、本当に子供だったんだな……」
「そりゃ、十五歳なんてまだまだ子供だろう」
「そ、そういうことじゃなくて」
「クラリスは面白いな」
「え、そう? あ、でもアイザックは怖そうに見えるけど、優しくて意外に面倒見いいのね」
「どっちも初めて言われたが、そうか?」
「えぇ、言われたことない?」
「友達自体いたことがないからな」
「えぇ!? 嘘!!」
「嘘をついてどうする」
こんなに優しいのに友達がいないのか、と素直に驚く。
そして、もしかしてアイザックも私と同じ引きこもりだったのかもしれない、と思い至り勝手に親近感が湧いてくる。
「なるほどなるほど、そうだったのね……」
「何だ急に。その意味ありげな笑みは」
「いえ、別に~?」
類友かもしれない、と思うと同時に気安くなった私を不審げに見るアイザック。
「というか、前々から気になっていたんだが、なぜクラリスはフードを被ってるんだ? というか、それ式服だろ、なぜいつも着ている?」
「え、いや、だって……目立ちたくないから」
「うん? それ被ってるほうが逆に目立つぞ」
「え!? 本当!??」
「あぁ、言っておくが、クラリスは陰でヴィリイとか呼ばれてるぞ」
「ヴィリイ!?」
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「じゃあ、フード外そうかな……」
「そうしておけ。せっかく綺麗な髪をしているのにもったいないし、帽子を被ると禿げると聞くぞ」
「~~っ、言い方! もっと他に言い方ないの!?」
「というか、そろそろレポートやらないとマズいんじゃないか?」
言われてそこで相談に夢中でレポートのことがすっぽりと頭から抜けていたことを思い出す。
あまりにもアイザックとの会話が楽しすぎて、ついつい時間を忘れていた。
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「それは……善処する」
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※他サイトにも掲載中。