前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ

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第三十五話 親近感

「ふぅ、こんなもんかな。というか、アイザックって意外に勉強苦手?」
「……まぁ、そうだな。あと、勉強だけではなく、魔法も不得意だ」
「何で自慢げなのよ。それ、自慢することじゃないでしょ」

 あのあと慌ててレポートをまとめたのはいいのだが、思いのほかアイザックは戦力外だった。

 というのも、エディオンがあんなことを言ったのもちょっと頷けるほど、ひきこもりだった私よりも物覚えが悪く、知識も薄くてちょっと心配になるレベルだ。

 優秀だと言われている同じ火の寮だというのに、勉強も魔法も苦手というのも珍しい気がするが、本人もその辺は何か思うところがあるようだった。

「勉強するのが苦手な感じ?」
「あー……そうだな。どうやって勉強すればいいのかよくわからん」
「魔法も?」
「あぁ、そんな感じだ」

 見た目では完璧にできそうなのに、ギャップが凄い。

(確か凄い人の子息だと聞いていたけど、だからといって何でもできるわけじゃないんだな)

 勝手に偏見を持っていた自分をちょっと恥じる。
 でも、教えればちゃんと理解はしているようだから、勉強の仕方が悪かっただけかもしれない。

「私が言うのもなんだけど、NMAに入学できる基準って謎よね」
「そうだな。正直、俺も自分が選ばれるとは思わなくてびっくりした」
「それ、自分で言っちゃうんだ」
「事実だからな」

 アイザックとの会話はとても楽しかった。
 アイザックは素直で話しやすく、マリアンヌとはまた違った楽しさがある。
 とても気安く、私のありのままの見た目を晒しても態度は変わらなくて、しかも会話も取り繕わずに、本来の自分を曝け出しても対応を変えることなく接してくれるのはとてもありがたかった。

「ねぇ。もしアイザックが嫌じゃなければ、これからも勉強とか魔法とか教えようか? 私が教えられる範囲でだけど」
「いいのか?」
「えぇ。ほら、入学式前から色々迷惑かけちゃったし、色々悩みも聞いてもらったからそのお礼として。どうかしら?」
「では、遠慮なく。同じ寮だし、談話室などを使わせてもらおう」
「えぇ、そうしましょう。私、引きこもっていたぶん勉強はしてたから、それなりに勉強は得意なほうなのよ」

 自慢することではないが自慢げにそう言うと、アイザックはびっくりしたのか目を見開く。

「クラリスは引きこもりだったのか?」
「え? えぇ、そうだけど」
「それはその……学校で虐められた、とかか?」
「あー……、まぁ、そんなところかしら」

 さすがに前世のことが原因で、とは言えずにぼかして言えば、「そうか、それは大変だったな」となぜか優しい眼差しを向けられる。
 それはどういう感情なのかはわからないが、それが嫌じゃない自分がいた。
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