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第三十六話 虫
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「アイザックって変わってるわよね」
「そうか?」
「えぇ。まぁ、私も大概だとは思うけど」
「そうか、クラリ……~~~~っ!! っっっっっっ!!」
私の名前を呼びかけたかと思うと突然ダイナミックに椅子ごと後ろに飛び下がるアイザック。
一体何をしているんだ、と思えば彼の視線の先には黒く光るカサカサと素早く動くあの虫がいた。
「ご、ご、g……っ!!」
「あー、古い建物だものね」
バシン……っ!
私が丸めた教科書で思い切り叩くと、アイザックが目を丸くする。そしてそのまま何も言わずに、潰れたヤツと私を交互に見つめていた。
私は消滅魔法と浄化魔法で綺麗さっぱりヤツを消すと、「さすがに防衛魔法でも虫の侵入は防げないのねぇ。ふむふむ、このこともレポートに加えようかしら」と一人で考察する。
「く、クラリス……キミは、虫が平気なのか?」
「ん? えぇ、実家は田舎にあるから虫は平気だけど。え? アイザックは虫苦手なの?」
「あぁ。特にヤツは無理だ」
顔を真っ青にしているアイザックを見て、口元が緩む。
最初のイメージとはまるで違うが、いずれも親近感が増して、さらに距離が縮まったような気がした。
ジリリリリリリ……
授業終了のチャイムが鳴る。
レポートは仕上げたので、先生に提出して次の授業へと向かわなければならない。
私が勉強道具一式を持つと、アイザックがあからさまに「うげっ」という顔をする。
「何よ、その顔」
「いや、それでヤツを叩いたかと思うと」
「ちゃんと浄化魔法使ったから大丈夫だし」
「そうかもしれないが、気持ちの問題というか……。そもそも、なぜ魔法ではなく物理で」
「だって先に手が出ちゃったのだもの、仕方ないでしょう?」
まだ思いきり顔が引き攣っているアイザック。
意外と彼は顔に出やすいようだ。
私が仕留めた教科書を振り回すと、無言で大きく身体を捻ってその教科書に触れぬように避けているのを見て、思わず私はくつくつと笑った。
「本当に苦手なのね」
「嘘を言っても仕方ないだろう。というか、本当にやめてくれ。……ヤツが触れたと思うとできれば近づきたくない」
そう言ってジリジリと私から距離を取るアイザック。
それがなんだか面白くなくて、離れていくぶん私は距離を詰めていく。
「む。そんなこと言うならもう退治しないわよ」
「そ、それは困る!」
「じゃあ文句言わないで。いいじゃない、素手で倒したわけじゃないんだし」
「素手!?」
アイザックの声が裏返る。
そんなに驚かれるようなことなのだろうか。
「クラリスがヤツを倒してるところをエディオンが見たら、きっと卒倒するぞ」
「そう? だったら今度目の前で披露しようかしら」
「……クラリスって案外、性格悪いな」
「失礼ね。そんなことないわよ」
そんな軽口を言い合いながら、私達はレポートを提出し次の授業へと一緒に向かうのだった。
「そうか?」
「えぇ。まぁ、私も大概だとは思うけど」
「そうか、クラリ……~~~~っ!! っっっっっっ!!」
私の名前を呼びかけたかと思うと突然ダイナミックに椅子ごと後ろに飛び下がるアイザック。
一体何をしているんだ、と思えば彼の視線の先には黒く光るカサカサと素早く動くあの虫がいた。
「ご、ご、g……っ!!」
「あー、古い建物だものね」
バシン……っ!
私が丸めた教科書で思い切り叩くと、アイザックが目を丸くする。そしてそのまま何も言わずに、潰れたヤツと私を交互に見つめていた。
私は消滅魔法と浄化魔法で綺麗さっぱりヤツを消すと、「さすがに防衛魔法でも虫の侵入は防げないのねぇ。ふむふむ、このこともレポートに加えようかしら」と一人で考察する。
「く、クラリス……キミは、虫が平気なのか?」
「ん? えぇ、実家は田舎にあるから虫は平気だけど。え? アイザックは虫苦手なの?」
「あぁ。特にヤツは無理だ」
顔を真っ青にしているアイザックを見て、口元が緩む。
最初のイメージとはまるで違うが、いずれも親近感が増して、さらに距離が縮まったような気がした。
ジリリリリリリ……
授業終了のチャイムが鳴る。
レポートは仕上げたので、先生に提出して次の授業へと向かわなければならない。
私が勉強道具一式を持つと、アイザックがあからさまに「うげっ」という顔をする。
「何よ、その顔」
「いや、それでヤツを叩いたかと思うと」
「ちゃんと浄化魔法使ったから大丈夫だし」
「そうかもしれないが、気持ちの問題というか……。そもそも、なぜ魔法ではなく物理で」
「だって先に手が出ちゃったのだもの、仕方ないでしょう?」
まだ思いきり顔が引き攣っているアイザック。
意外と彼は顔に出やすいようだ。
私が仕留めた教科書を振り回すと、無言で大きく身体を捻ってその教科書に触れぬように避けているのを見て、思わず私はくつくつと笑った。
「本当に苦手なのね」
「嘘を言っても仕方ないだろう。というか、本当にやめてくれ。……ヤツが触れたと思うとできれば近づきたくない」
そう言ってジリジリと私から距離を取るアイザック。
それがなんだか面白くなくて、離れていくぶん私は距離を詰めていく。
「む。そんなこと言うならもう退治しないわよ」
「そ、それは困る!」
「じゃあ文句言わないで。いいじゃない、素手で倒したわけじゃないんだし」
「素手!?」
アイザックの声が裏返る。
そんなに驚かれるようなことなのだろうか。
「クラリスがヤツを倒してるところをエディオンが見たら、きっと卒倒するぞ」
「そう? だったら今度目の前で披露しようかしら」
「……クラリスって案外、性格悪いな」
「失礼ね。そんなことないわよ」
そんな軽口を言い合いながら、私達はレポートを提出し次の授業へと一緒に向かうのだった。
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