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第四十三話 飛行術
「よい……しょ、っと……。お、おぉおおおお、ちょ、ちょっと見えた!!」
一瞬だがバサッと翼を動かすことができ、視界に黄色い何かが見えたことだけはわかった。
これを動かして空を飛ぶと思うと、もっと訓練しなければいけないと今後のことを考えると頭が痛いが、とにかく今は自分に翼が生えていることにテンションが上がる。
「どうだ? 綺麗な翼だっただろう?」
「何でアイザックが得意げなのよ。……確かに、綺麗だったけど。ていうか、ほら、私だけじゃなくてアイザックもやらなきゃいけないんだから、しっかり翼に意識して!」
「クラリスは意外にスパルタだなぁ」
「ほら、そんなこと言ってないでやるの!」
アイザックは渋々と言った様子で難しい顔をしながら、拳を握って集中を始める。
すると「……っく、……っ」と声を多少漏らしながら一生懸命魔力を集中させて翼を編んでいくのが見えた。
ポンッ
「はぁはぁはぁはぁ……っ、……クラリス、どうだ?」
「か、可愛いぃいいいい!」
アイザックが出した翼は彼の大きな体躯には見合わないほど小さな濃紺の翼だった。
イメージとしてはペンギンに近い。
あまりにそれがアイザックの身体とアンバランスで、思わず口元が緩んだ。
「か、可愛いとはどういうことだ?」
「あ、いや、ちょっと、小さくって……」
「やっぱりダメか……」
あからさまにしょんぼりとするアイザック。
私は人の身体に流れる魔力をある程度視認することができるのだが、私が見る限りアイザックは魔力自体が少ないわけではなさそうなのに、なぜか彼の魔法はいつも不発ばかりだった。
(もしかしたら、上手く魔力を引き出せないのかもしれないのかも……?)
そう思って、私はアイザックの両手をギュッと握る。
自分から握ったくせに、自分よりも大きくて節張っていて体温の高い男性らしいアイザックの手にちょっとだけドキリとしたのは内緒だ。
「クラリス?」
「魔力の流れを見たいからさっきと同じように翼を構築してくれる?」
「あ、あぁ、わかった」
握った手からアイザックの身体に魔力の流れができるのが伝わってくる。
すると、身体の中心部でぐるぐると魔力の塊があり、流れを堰き止めて滞らせていることに気づいた。
どうやらこれが原因で魔力が十分に引き出せていないみたいだ。
「クラリス……? 何をしてるんだ?」
「大丈夫だから、そのまま続けて」
不審がるアイザックにそのまま続けるように促す。
人の魔力に干渉することはあまりよくないらしいのだが、アイザックのためだしこれくらいならいいだろう、と私の魔力を使ってその塊を除き、魔力の流れを正常に戻そうとしたときだった。
「やめろ!!」
バチン……っ!!
魔力が反発し、私の身体が吹っ飛ぶ。
幸い下が芝生だったので怪我はなかったが、あまりにびっくりしすぎて、何がなんだかわからなかった。
アイザックを見れば、そこには立派な濡烏色の大きな翼が彼の背から生えていて、私の翼なんて比じゃないほどの大きさでとても綺麗だった。
「す、すまない! 怪我はないか?」
「ううん。私のほうこそ、勝手に、その、ごめんなさい」
「いや、俺が悪いんだ。だからクラリスは気にするな」
(気にするな、と言われても)
余計なお節介をしてしまったと自己嫌悪する。
アイザックの踏み込んではいけない領域に踏み込んでしまったことに気づいて、申し訳なくなった。
この日はなんだかギクシャクしてしまって、ずっと落ち着かなかった。
一瞬だがバサッと翼を動かすことができ、視界に黄色い何かが見えたことだけはわかった。
これを動かして空を飛ぶと思うと、もっと訓練しなければいけないと今後のことを考えると頭が痛いが、とにかく今は自分に翼が生えていることにテンションが上がる。
「どうだ? 綺麗な翼だっただろう?」
「何でアイザックが得意げなのよ。……確かに、綺麗だったけど。ていうか、ほら、私だけじゃなくてアイザックもやらなきゃいけないんだから、しっかり翼に意識して!」
「クラリスは意外にスパルタだなぁ」
「ほら、そんなこと言ってないでやるの!」
アイザックは渋々と言った様子で難しい顔をしながら、拳を握って集中を始める。
すると「……っく、……っ」と声を多少漏らしながら一生懸命魔力を集中させて翼を編んでいくのが見えた。
ポンッ
「はぁはぁはぁはぁ……っ、……クラリス、どうだ?」
「か、可愛いぃいいいい!」
アイザックが出した翼は彼の大きな体躯には見合わないほど小さな濃紺の翼だった。
イメージとしてはペンギンに近い。
あまりにそれがアイザックの身体とアンバランスで、思わず口元が緩んだ。
「か、可愛いとはどういうことだ?」
「あ、いや、ちょっと、小さくって……」
「やっぱりダメか……」
あからさまにしょんぼりとするアイザック。
私は人の身体に流れる魔力をある程度視認することができるのだが、私が見る限りアイザックは魔力自体が少ないわけではなさそうなのに、なぜか彼の魔法はいつも不発ばかりだった。
(もしかしたら、上手く魔力を引き出せないのかもしれないのかも……?)
そう思って、私はアイザックの両手をギュッと握る。
自分から握ったくせに、自分よりも大きくて節張っていて体温の高い男性らしいアイザックの手にちょっとだけドキリとしたのは内緒だ。
「クラリス?」
「魔力の流れを見たいからさっきと同じように翼を構築してくれる?」
「あ、あぁ、わかった」
握った手からアイザックの身体に魔力の流れができるのが伝わってくる。
すると、身体の中心部でぐるぐると魔力の塊があり、流れを堰き止めて滞らせていることに気づいた。
どうやらこれが原因で魔力が十分に引き出せていないみたいだ。
「クラリス……? 何をしてるんだ?」
「大丈夫だから、そのまま続けて」
不審がるアイザックにそのまま続けるように促す。
人の魔力に干渉することはあまりよくないらしいのだが、アイザックのためだしこれくらいならいいだろう、と私の魔力を使ってその塊を除き、魔力の流れを正常に戻そうとしたときだった。
「やめろ!!」
バチン……っ!!
魔力が反発し、私の身体が吹っ飛ぶ。
幸い下が芝生だったので怪我はなかったが、あまりにびっくりしすぎて、何がなんだかわからなかった。
アイザックを見れば、そこには立派な濡烏色の大きな翼が彼の背から生えていて、私の翼なんて比じゃないほどの大きさでとても綺麗だった。
「す、すまない! 怪我はないか?」
「ううん。私のほうこそ、勝手に、その、ごめんなさい」
「いや、俺が悪いんだ。だからクラリスは気にするな」
(気にするな、と言われても)
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この日はなんだかギクシャクしてしまって、ずっと落ち着かなかった。
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