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第四十七話 オーガ
本能が、前世の経験が、私にそう告げる。
だから私は元来た道を戻ろうと、後ろを振り返ろうとしたときだった。
ぬぅっと今まで見たことないほどの大きいものが自分を見下ろしていることに気づき、「ひぃっ」と声を上げる。
びっくりしすぎて足がもつれて尻餅をつく。
「な、何で、こんなところに……」
私なんて丸呑みできそうなほどの巨体。
それはこの世界での絵本でしか見たことない怪物だった。
「オーガがいるの……!?」
「うげ、げげげ……美味ソウなエサ! ……やっと、エサ、食べれル……げげ……」
だらりと涎を垂らし、ぎょろりと大きな双眸がこちらをしっかりと捉えているのがわかる。
どう考えてもこれは冗談でも幻影でも夢でもないだろう。
(このままだと確実に捕食される……!!)
「げげ、げげ……いただき、マース」
「灼熱の焔よ! その身を焦がせ!」
「あっち! あちちちち!!」
手を伸ばされ、捕まりそうになった瞬間に無我夢中で魔法を放つ。
オーガは熱さで身を捩り、身体にまとわりついた火を消そうとジタバタと暴れ回っている。
その隙に震える身体に魔法をかけ、私は全力で駆け出した。
「やだやだやだやだ、こんなとこで死にたくない!!」
(前世が火炙りで今世は食われるなんて、そんなの冗談じゃない!!)
私は必死になって走り出すも、いつのまにかやってきた道に先回りされて、慌てて急ブレーキをかける。
「追いかけっコか? でも、おで……腹減っタ。ハヤク、お前、食ベタイ!!」
「私は食べられたくないの!!」
再び私は走り出して、今度は中に戻って狭い場所を探す。
オーガの巨体では入り込めないスペースを探しながら、ひたすら体力が続く限り走り回った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……っ!」
「エサーーー! どぉこダー!? ハヤク、出てコイーーーーー!!」
「出てこいって言われて、のこのこ出て行くやつなんていないでしょ……っ」
息を切らしながら必死にどうやってこの難局を切り抜けるか考える。
咄嗟に使えたのは火の魔法だが、やはり前世の影響か、すぐにイメージできるのは火の魔法だけだ。
となると諸刃の剣ではあるが、火の魔法を駆使して逃れるしか方法はない。
(でも逃げたところでこの怪物が学校に出ては危険よね。そもそも、アイザックはここに来たというのが嘘でないなら、もしかしてアイザックはもう食べられてしまったとか……!?)
焦りで思考が悪いほうへ悪いほうへと行ってしまう。
(こんなことならもっとちゃんと防衛術について調べておくんだった!)
そんな今更なことを思いながら、「こうなったら私が前世で味わった火炙りくらいの魔法をお見舞いしてやろうかしら……っ」と考えたときだった。
「見ィいいいいつーーけターーーーー!」
「しまっ……っ」
ガシッ!!!!
思考に集中しすぎたせいか、オーガの気配に気づかずに身体を鷲掴みされる。
「うっぐ、ぅあ……は……くぅ……」
思いきり握られているせいで全身が軋む。
内臓が押し潰される感覚と共に、息ができずにだんだんと意識が遠のいていくのがわかる。
(このままじゃ、私……っ、食べ、られる……)
頭でわかっていても薄れていく意識の中、どうすることもできない。
身動きも取れず、息もできない以上、魔法を出すことすらできなかった。
「今度コソ、いただきマーーーース!!」
だから私は元来た道を戻ろうと、後ろを振り返ろうとしたときだった。
ぬぅっと今まで見たことないほどの大きいものが自分を見下ろしていることに気づき、「ひぃっ」と声を上げる。
びっくりしすぎて足がもつれて尻餅をつく。
「な、何で、こんなところに……」
私なんて丸呑みできそうなほどの巨体。
それはこの世界での絵本でしか見たことない怪物だった。
「オーガがいるの……!?」
「うげ、げげげ……美味ソウなエサ! ……やっと、エサ、食べれル……げげ……」
だらりと涎を垂らし、ぎょろりと大きな双眸がこちらをしっかりと捉えているのがわかる。
どう考えてもこれは冗談でも幻影でも夢でもないだろう。
(このままだと確実に捕食される……!!)
「げげ、げげ……いただき、マース」
「灼熱の焔よ! その身を焦がせ!」
「あっち! あちちちち!!」
手を伸ばされ、捕まりそうになった瞬間に無我夢中で魔法を放つ。
オーガは熱さで身を捩り、身体にまとわりついた火を消そうとジタバタと暴れ回っている。
その隙に震える身体に魔法をかけ、私は全力で駆け出した。
「やだやだやだやだ、こんなとこで死にたくない!!」
(前世が火炙りで今世は食われるなんて、そんなの冗談じゃない!!)
私は必死になって走り出すも、いつのまにかやってきた道に先回りされて、慌てて急ブレーキをかける。
「追いかけっコか? でも、おで……腹減っタ。ハヤク、お前、食ベタイ!!」
「私は食べられたくないの!!」
再び私は走り出して、今度は中に戻って狭い場所を探す。
オーガの巨体では入り込めないスペースを探しながら、ひたすら体力が続く限り走り回った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……っ!」
「エサーーー! どぉこダー!? ハヤク、出てコイーーーーー!!」
「出てこいって言われて、のこのこ出て行くやつなんていないでしょ……っ」
息を切らしながら必死にどうやってこの難局を切り抜けるか考える。
咄嗟に使えたのは火の魔法だが、やはり前世の影響か、すぐにイメージできるのは火の魔法だけだ。
となると諸刃の剣ではあるが、火の魔法を駆使して逃れるしか方法はない。
(でも逃げたところでこの怪物が学校に出ては危険よね。そもそも、アイザックはここに来たというのが嘘でないなら、もしかしてアイザックはもう食べられてしまったとか……!?)
焦りで思考が悪いほうへ悪いほうへと行ってしまう。
(こんなことならもっとちゃんと防衛術について調べておくんだった!)
そんな今更なことを思いながら、「こうなったら私が前世で味わった火炙りくらいの魔法をお見舞いしてやろうかしら……っ」と考えたときだった。
「見ィいいいいつーーけターーーーー!」
「しまっ……っ」
ガシッ!!!!
思考に集中しすぎたせいか、オーガの気配に気づかずに身体を鷲掴みされる。
「うっぐ、ぅあ……は……くぅ……」
思いきり握られているせいで全身が軋む。
内臓が押し潰される感覚と共に、息ができずにだんだんと意識が遠のいていくのがわかる。
(このままじゃ、私……っ、食べ、られる……)
頭でわかっていても薄れていく意識の中、どうすることもできない。
身動きも取れず、息もできない以上、魔法を出すことすらできなかった。
「今度コソ、いただきマーーーース!!」
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