2 / 83
2 帰ってきた幼馴染
しおりを挟む
「……リ、……リーリ、マリーリ……っ!」
もうすぐで家に着きそうなときだった。聞き覚えのある声で呼び止められ、振り向くとそこには幼馴染の侯爵令息で騎士のジュリアス・バードがいた。
「何よ、ジュリアス帰ってきてたの」
「あぁ、さっき遠征から帰ってきてな。お前がすごい勢いで走ってくるのが見えたから声をかけたんだ、が……泣いているのか?」
ジュリアスはマリーリの顔を見るなりギョッとした表情をする。まさかあのじゃじゃ馬で気の強いマリーリが泣いているなどとは思わなかったのだろう。普段は落ち着いていて無愛想な彼も、さすがにびっくりしたようだった。
「そう、おかえり。じゃあ、用がないなら私は家に帰るわ」
「ちょちょちょ、待て待て! その姿で帰る気か? さすがにそのままだとご家族に心配されるぞ」
「そのままって、何よ。そんなに私の姿が酷いって言いたいわけ?」
「自分の姿をよく見てみろ。服は泥だらけだし、顔も汚いし、腫れてるしで……」
「どうせ、私の顔は酷い顔よ」
「別にそんなこと言ってないだろう。とにかく来い」
「ちょっと、ジュリアス! どこに連れて行く気!?」
腕を無理矢理引っ張られて、マリーリは抵抗する。
昔は幼馴染みとして仲が良かったジュリアスだが、彼が騎士になると寄宿舎に入ってからというものすれ違いが多く、こうして話すのは久々で距離感が掴めず、マリーリも戸惑った。
「ちょっとその辺を気晴らしに散歩でもしよう」
「ジュリアスと? 嫌よ」
「っ……どうして」
「どうしてもよ」
ぷい、と顔をそらすマリーリに、困惑するジュリアス。なぜかジュリアスは拒絶されるとは思ってもみなかったのか、普段は何を考えているのかわからないほど落ち着いているのに、顔は無表情ながらも焦っているのがわかる。
だが、急に何かを思い出したのか、はたまた閃いたのか、突然雰囲気が明るくなったかと思えば、彼は意地の悪い笑みを浮かべて口を開いた。
「……あぁ、ちなみに今日はバルムンクでここまで来たんだが、せっかくだからマリーリを乗せようと思ったのに、本当にいいのか?」
バルムンク、という名にマリーリは思わずジュリアスの顔を見る。
バルムンクというのはジュリアスの愛馬である。乗り心地はとてもよく、駈歩状態のバルムンクはまるで彼と一体化したかのように、風をきって走り抜けるのがとても心地よいのだ。
「ずるいわ、バルムンクで私を釣るなんて」
「よし、決まりだ。ほら、行くぞ」
「まだ、いいとは言ってないわよ」
「よく言う。バルムンクに乗りたいと顔に書いてあるぞ」
そう言ってジュリアスに手を差し出される。ジュリアスと手を繋ぐのなんて、いつぶりだろうか。
マリーリが躊躇っていると、ジュリアスが強引に手を繋ぐ。そして、バルムンクのところへと引っ張ってくれた。
(ジュリアスの手ってこんなに大きかったかしら)
子供のときは自分よりも小さかったはずのジュリアスが、いつの間にか見上げるほど大きくなっていることに気づいて、感慨に耽る。
幼馴染としてしか認識していなかったが、ジュリアスも男なんだな、と改めて思いながらバルムンクの元へとやってきた。
「さぁ、乗るぞ」
「え、ジュリアスも乗るの?」
「当たり前だろう。俺の馬だぞ?」
「そ、そうよね。あ、でも私が一緒に乗っても大丈夫かしら。バルムンクもさすがに重いのではなくて?」
遠慮がちに言えば、ふわっと抱き上げられてバルムンクの背に乗せられる。
まさかジュリアスにそんなことをされるだなんて思わず、口をパクパクとさせていれば、「そんな殊勝なことを言うなんて、マリーリらしくないぞ」と笑われた。
「わ、笑うことないでしょう!」
「とにかく大丈夫だ。バルムンクはそんな柔な馬じゃない。それにマリーリが乗ったくらいじゃ大して重さは変わらないさ」
「そ、そう……?」
「あぁ、軽すぎてびっくりしたくらいだ。ちゃんとご飯を食べているか?」
「失礼ね、食べてるわよ。お母様から心配されるくらいにはね」
「そりゃ結構。だが、もっと身につけた方がいいぞ。上半身がスカスカだからな」
「余計なお世話よ!」
そんな軽口を言い合いながら、ジュリアスはバルムンクを走らせる。
走らせると言っても常歩だからそこまで速くはないのだが、それでも普通に歩くよりは速い。
「馬に乗っていると景色が違うわね」
「そうだろう? 気分転換にちょうどいい」
「確かに。いい気晴らしになるわね」
風を浴びるのは気持ちいい。いつの間にかたっぷり溜め込んだ涙も綺麗さっぱりどこかへ行ってしまった。
「ねぇ、ジュリアス」
「なんだ?」
「騎士ってどうやったらなれるの?」
「……何だ、藪から棒に」
「いえ、私でも騎士になれるかなーって」
「さすがに、いくらじゃじゃ馬のマリーリでも、それは無理だろう」
「何でよ。やればできるかもしれないじゃない。乗馬だってできるし、射撃も得意よ? それなりに動けるし、力だってその辺の令嬢よりはあるわ?」
「だったら試してみるか?」
そう言うと、ジュリアスは適当な野原でマリーリを下ろす。そして、ジュリアスの腰に巻いていた剣を「構えてみろ」と手渡される。
「構えてみろって……どうやって?」
「ほら、貸してみろ。こうして両手で持って、持ち上げるんだ」
ジュリアスが先にお手本を見せてくれる。
まっすぐ剣先は上を向き、身体はぶれることなく綺麗な構えだった。
「わかったわ。私だって、できるところ見せるんだからね」
「あぁ、お手並拝見といこうか」
再び渡された剣を両手で握ると、「ふんんんんんん」と声をあげながら剣を持ち上げようと試みる。
だが思うように動かず、剣先が地面から離れることすらできなかった。
「お、おかしいわね」
また、「ふぬぬぬぬぬぬ」と今度は歯を食い縛りながら持ち上げようとするも、一向に剣は上がらない。
「いつまでやる気だ?」
「も、持ち上がるまで……っ!」
「一生かかっても無理だと思うぞ」
ジュリアスの言葉に負けん気が出てきて頑張ろうとするも、何度やっても持ち上がらず。
結局マリーリは剣を持ち上げることができなかった。
「ほら見ろ。だから言っただろ」
「だって、なら私はどうすればいいのよ……」
「どうすれば、ってそのままでいいだろう? そもそも、何で急に騎士になりたいだなんて言い出したんだ。そろそろ結婚するんじゃなかったのか?」
「婚約破棄した」
「ふーん……って、は? 聞いてないぞ。いつの話だ」
「たった今さっき」
「たった今さっきだと!? どういうことだ」
ジュリアスの問いただすような口調に、ムッと口を閉ざすマリーリ。正直彼女も自分でどこからどこまで話せばいいのか、よくわからなかった。
「ブランが、キューリスと浮気してて」
「浮気だと? あのブランが? キューリスって?」
「キューリス・パキラ。子爵令嬢よ。しかも、最近まで仲良くしてたはずの友人」
「友人がブランを寝とっていたということか?」
「えぇ、そうよ。笑いたきゃ笑いなさいよ。本当もう、最悪……」
思い出して、先程まで引っ込んでいたはずの涙が滲み出てくる。
すると、大きな手がマリーリの頭を包んだかと思うと、ぽんぽんと軽く叩かれたあとにぐいっとジュリアスに身体ごと抱きしめられた。
「ちょっと、髪が乱れるでしょ!」
「マリーリもそんなことを気にするようになったのか」
「煩いわね。私だって年頃の娘なのよ。……例え、変わってるって言われてもね」
ぽつり、とそう溢すと、ジュリアスは何を思ったか、マリーリの髪をぐっしゃぐしゃにかき乱した。
「ちょ、だからもう、ジュリアス!」
「らしくないぞ、マリーリ」
「煩いわね! 私だって、好きでこんな風なわけじゃ……っ!!」
「だが、たまにはいいんじゃないか? 我慢は身体によくない。泣きたいなら泣け。俺以外、誰も見てないから」
ジュリアスの言葉に、うっと涙が迫り上がってくる。不器用なジュリアスのくせに生意気だ、と思いながらももう堰をきって溢れ出してきた涙は止められなかった。
「ジュリアスに見られるだなんて最悪」
「言ってろ」
そう言いながらも優しく抱きしめて背を撫でてくれる。それがとても心地よくて、安心できて、マリーリは涙が枯れるまでその場で泣くのだった。
もうすぐで家に着きそうなときだった。聞き覚えのある声で呼び止められ、振り向くとそこには幼馴染の侯爵令息で騎士のジュリアス・バードがいた。
「何よ、ジュリアス帰ってきてたの」
「あぁ、さっき遠征から帰ってきてな。お前がすごい勢いで走ってくるのが見えたから声をかけたんだ、が……泣いているのか?」
ジュリアスはマリーリの顔を見るなりギョッとした表情をする。まさかあのじゃじゃ馬で気の強いマリーリが泣いているなどとは思わなかったのだろう。普段は落ち着いていて無愛想な彼も、さすがにびっくりしたようだった。
「そう、おかえり。じゃあ、用がないなら私は家に帰るわ」
「ちょちょちょ、待て待て! その姿で帰る気か? さすがにそのままだとご家族に心配されるぞ」
「そのままって、何よ。そんなに私の姿が酷いって言いたいわけ?」
「自分の姿をよく見てみろ。服は泥だらけだし、顔も汚いし、腫れてるしで……」
「どうせ、私の顔は酷い顔よ」
「別にそんなこと言ってないだろう。とにかく来い」
「ちょっと、ジュリアス! どこに連れて行く気!?」
腕を無理矢理引っ張られて、マリーリは抵抗する。
昔は幼馴染みとして仲が良かったジュリアスだが、彼が騎士になると寄宿舎に入ってからというものすれ違いが多く、こうして話すのは久々で距離感が掴めず、マリーリも戸惑った。
「ちょっとその辺を気晴らしに散歩でもしよう」
「ジュリアスと? 嫌よ」
「っ……どうして」
「どうしてもよ」
ぷい、と顔をそらすマリーリに、困惑するジュリアス。なぜかジュリアスは拒絶されるとは思ってもみなかったのか、普段は何を考えているのかわからないほど落ち着いているのに、顔は無表情ながらも焦っているのがわかる。
だが、急に何かを思い出したのか、はたまた閃いたのか、突然雰囲気が明るくなったかと思えば、彼は意地の悪い笑みを浮かべて口を開いた。
「……あぁ、ちなみに今日はバルムンクでここまで来たんだが、せっかくだからマリーリを乗せようと思ったのに、本当にいいのか?」
バルムンク、という名にマリーリは思わずジュリアスの顔を見る。
バルムンクというのはジュリアスの愛馬である。乗り心地はとてもよく、駈歩状態のバルムンクはまるで彼と一体化したかのように、風をきって走り抜けるのがとても心地よいのだ。
「ずるいわ、バルムンクで私を釣るなんて」
「よし、決まりだ。ほら、行くぞ」
「まだ、いいとは言ってないわよ」
「よく言う。バルムンクに乗りたいと顔に書いてあるぞ」
そう言ってジュリアスに手を差し出される。ジュリアスと手を繋ぐのなんて、いつぶりだろうか。
マリーリが躊躇っていると、ジュリアスが強引に手を繋ぐ。そして、バルムンクのところへと引っ張ってくれた。
(ジュリアスの手ってこんなに大きかったかしら)
子供のときは自分よりも小さかったはずのジュリアスが、いつの間にか見上げるほど大きくなっていることに気づいて、感慨に耽る。
幼馴染としてしか認識していなかったが、ジュリアスも男なんだな、と改めて思いながらバルムンクの元へとやってきた。
「さぁ、乗るぞ」
「え、ジュリアスも乗るの?」
「当たり前だろう。俺の馬だぞ?」
「そ、そうよね。あ、でも私が一緒に乗っても大丈夫かしら。バルムンクもさすがに重いのではなくて?」
遠慮がちに言えば、ふわっと抱き上げられてバルムンクの背に乗せられる。
まさかジュリアスにそんなことをされるだなんて思わず、口をパクパクとさせていれば、「そんな殊勝なことを言うなんて、マリーリらしくないぞ」と笑われた。
「わ、笑うことないでしょう!」
「とにかく大丈夫だ。バルムンクはそんな柔な馬じゃない。それにマリーリが乗ったくらいじゃ大して重さは変わらないさ」
「そ、そう……?」
「あぁ、軽すぎてびっくりしたくらいだ。ちゃんとご飯を食べているか?」
「失礼ね、食べてるわよ。お母様から心配されるくらいにはね」
「そりゃ結構。だが、もっと身につけた方がいいぞ。上半身がスカスカだからな」
「余計なお世話よ!」
そんな軽口を言い合いながら、ジュリアスはバルムンクを走らせる。
走らせると言っても常歩だからそこまで速くはないのだが、それでも普通に歩くよりは速い。
「馬に乗っていると景色が違うわね」
「そうだろう? 気分転換にちょうどいい」
「確かに。いい気晴らしになるわね」
風を浴びるのは気持ちいい。いつの間にかたっぷり溜め込んだ涙も綺麗さっぱりどこかへ行ってしまった。
「ねぇ、ジュリアス」
「なんだ?」
「騎士ってどうやったらなれるの?」
「……何だ、藪から棒に」
「いえ、私でも騎士になれるかなーって」
「さすがに、いくらじゃじゃ馬のマリーリでも、それは無理だろう」
「何でよ。やればできるかもしれないじゃない。乗馬だってできるし、射撃も得意よ? それなりに動けるし、力だってその辺の令嬢よりはあるわ?」
「だったら試してみるか?」
そう言うと、ジュリアスは適当な野原でマリーリを下ろす。そして、ジュリアスの腰に巻いていた剣を「構えてみろ」と手渡される。
「構えてみろって……どうやって?」
「ほら、貸してみろ。こうして両手で持って、持ち上げるんだ」
ジュリアスが先にお手本を見せてくれる。
まっすぐ剣先は上を向き、身体はぶれることなく綺麗な構えだった。
「わかったわ。私だって、できるところ見せるんだからね」
「あぁ、お手並拝見といこうか」
再び渡された剣を両手で握ると、「ふんんんんんん」と声をあげながら剣を持ち上げようと試みる。
だが思うように動かず、剣先が地面から離れることすらできなかった。
「お、おかしいわね」
また、「ふぬぬぬぬぬぬ」と今度は歯を食い縛りながら持ち上げようとするも、一向に剣は上がらない。
「いつまでやる気だ?」
「も、持ち上がるまで……っ!」
「一生かかっても無理だと思うぞ」
ジュリアスの言葉に負けん気が出てきて頑張ろうとするも、何度やっても持ち上がらず。
結局マリーリは剣を持ち上げることができなかった。
「ほら見ろ。だから言っただろ」
「だって、なら私はどうすればいいのよ……」
「どうすれば、ってそのままでいいだろう? そもそも、何で急に騎士になりたいだなんて言い出したんだ。そろそろ結婚するんじゃなかったのか?」
「婚約破棄した」
「ふーん……って、は? 聞いてないぞ。いつの話だ」
「たった今さっき」
「たった今さっきだと!? どういうことだ」
ジュリアスの問いただすような口調に、ムッと口を閉ざすマリーリ。正直彼女も自分でどこからどこまで話せばいいのか、よくわからなかった。
「ブランが、キューリスと浮気してて」
「浮気だと? あのブランが? キューリスって?」
「キューリス・パキラ。子爵令嬢よ。しかも、最近まで仲良くしてたはずの友人」
「友人がブランを寝とっていたということか?」
「えぇ、そうよ。笑いたきゃ笑いなさいよ。本当もう、最悪……」
思い出して、先程まで引っ込んでいたはずの涙が滲み出てくる。
すると、大きな手がマリーリの頭を包んだかと思うと、ぽんぽんと軽く叩かれたあとにぐいっとジュリアスに身体ごと抱きしめられた。
「ちょっと、髪が乱れるでしょ!」
「マリーリもそんなことを気にするようになったのか」
「煩いわね。私だって年頃の娘なのよ。……例え、変わってるって言われてもね」
ぽつり、とそう溢すと、ジュリアスは何を思ったか、マリーリの髪をぐっしゃぐしゃにかき乱した。
「ちょ、だからもう、ジュリアス!」
「らしくないぞ、マリーリ」
「煩いわね! 私だって、好きでこんな風なわけじゃ……っ!!」
「だが、たまにはいいんじゃないか? 我慢は身体によくない。泣きたいなら泣け。俺以外、誰も見てないから」
ジュリアスの言葉に、うっと涙が迫り上がってくる。不器用なジュリアスのくせに生意気だ、と思いながらももう堰をきって溢れ出してきた涙は止められなかった。
「ジュリアスに見られるだなんて最悪」
「言ってろ」
そう言いながらも優しく抱きしめて背を撫でてくれる。それがとても心地よくて、安心できて、マリーリは涙が枯れるまでその場で泣くのだった。
7
あなたにおすすめの小説
恐怖侯爵の後妻になったら、「君を愛することはない」と言われまして。
長岡更紗
恋愛
落ちぶれ子爵令嬢の私、レディアが後妻として嫁いだのは──まさかの恐怖侯爵様!
しかも初夜にいきなり「君を愛することはない」なんて言われちゃいましたが?
だけど、あれ? 娘のシャロットは、なんだかすごく懐いてくれるんですけど!
義理の娘と仲良くなった私、侯爵様のこともちょっと気になりはじめて……
もしかして、愛されるチャンスあるかも? なんて思ってたのに。
「前妻は雲隠れした」って噂と、「死んだのよ」って娘の言葉。
しかも使用人たちは全員、口をつぐんでばかり。
ねえ、どうして? 前妻さんに何があったの?
そして、地下から聞こえてくる叫び声は、一体!?
恐怖侯爵の『本当の顔』を知った時。
私の心は、思ってもみなかった方向へ動き出す。
*他サイトにも公開しています
公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
【完結】一途すぎる公爵様は眠り姫を溺愛している
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
リュシエンヌ・ソワイエは16歳の子爵令嬢。皆が憧れるマルセル・クレイン伯爵令息に婚約を申し込まれたばかりで幸せいっぱいだ。
しかしある日を境にリュシエンヌは眠りから覚めなくなった。本人は自覚が無いまま12年の月日が過ぎ、目覚めた時には父母は亡くなり兄は結婚して子供がおり、さらにマルセルはリュシエンヌの親友アラベルと結婚していた。
突然のことに狼狽えるリュシエンヌ。しかも兄嫁はリュシエンヌを厄介者扱いしていて実家にはいられそうもない。
そんな彼女に手を差し伸べたのは、若きヴォルテーヌ公爵レオンだった……。
『残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました』『結婚前日に友人と入れ替わってしまった……!』に出てくる魔法大臣ゼインシリーズです。
表紙は「簡単表紙メーカー2」で作成しました。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました
おりあ
恋愛
アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。
だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。
失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。
赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。
そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。
一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。
静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。
これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる