イシュタムに会うのはまた今度

第Ⅱ章

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　僕は殺意を込めた瞳で、女の子を見つめる。
　女の子の顔からは笑みが消えて、奇妙な歪みの残骸しか残っていなかった。ストレートに苦しさを表現したような、見ている僕でさえ罪悪感に呑まれてしまいそうになる表情だ。
「僕は今までずっと、君のことについて考えていた。いくつも、いくつも君を傷付ける言葉を考えて、もしもう一度君に会うことができたのなら、その言葉で君を深く傷付けてしてしまおうと思っていた。一生残る傷跡をつけてやろうと考えていた。だからこのくらいで、そんなに悲しい顔しないでくれよ」
　僕は苦しくて、痛くて、自分の胸を掴む。
「うん。なら。早く私を殺して」
　目の前の少女は、まるで本当にそれを望んでいるかのように、懇願した、物乞いをするみたいに潤んだ瞳で僕を見つめ返した。
　そんな目で僕を見るなよ。自分から進んで殺されたい奴なんて、いるわけがないじゃないか。
　半分は諦めで、もう半分は苛立ちながら言う。
「殺せるわけがないだろう？　僕は何度も何度も君のせいで殺されて。なのに君はもうどこにもいなくて。ずっと君が憎かった。ずっと君を恨んでいた」
　自分が今、どんな表情をしているのか分からない。歪な笑顔を浮かべているのかもしれない。真顔かもしれない。なんとなく、前者な気がした。