イシュタムに会うのはまた今度

もとした 影

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第Ⅱ章

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「ねえ、君には大切なものがある?」
 僕は吐息する。
「僕にはとても大切な妹がいたんだ」
 女の子がワイシャツの胸の辺りを、ギュッと握りしめる。彼女はさらに俯いて、長い前髪がその繊細な表情を覆い隠す。
 でも、このくらい許されても良いだろう? と僕は心の中で女の子に問う。
 今まで君のせいで、何度殺されたと思っているんだ。何度も、何度も、何度も、僕は殺した。希望も、生きる意味も、家族も、名前を呼んでもらうことも、何もかも。あの時、女の子が余計なことをしなければ僕はさっさと死ぬことができたのに。こんなにも苦しまずには済んだのに。
 だから、このくらい許してくれるだろう?
「今さら君が罪を償おうとどれだけ努力しても、犯した過去の罪は消えたりしない。どれだけ経とうと、どれだけ善行を積もうと、君がつけた無数の傷口からは血が流れ続けるんだ」
 僕は一白置いて再び口を開く。
「はっきり言う。僕は君が犯した罪を決して忘れない。絶対に。僕の人生をこんな滅茶苦茶にしておいて、自分だけ救われた気分に浸ろうとしている君が大嫌いだ」
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