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4-2 王と手紙――別れの季節
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第4章 新王国の黎明――記録は未来を紡ぐ
4-2 王と手紙――別れの季節
春が訪れていた。
雪解けの水が王都の石畳を濡らし、街路樹には新しい芽が芽吹いていた。
冬の冷たさを思い出す者も少なく、王都は穏やかで、人々の表情は明るかった。
それは、「アルヴェン改革」が始まってから二か月が経った頃だった。
不正を摘発し、財政を整理し、民の税を軽くしたことで、
街の商人たちは笑顔を取り戻し、
子どもたちは再び広場で遊ぶようになった。
――すべては、たった二人の決断から始まった。
しかし、春の陽気とは裏腹に、王都には静かな波紋が広がっていた。
リオネル王が突然、退位の意向を示したのだ。
---
「……本当に退位なさると?」
レティシアが問いかける。
王宮の一室、暖炉の前。
そこには、淡い金髪をたなびかせた若き国王リオネルが、
穏やかな笑みを浮かべて座っていた。
「君たちが来てから、ようやくこの国は“治まった”。
もう私の出番ではない。」
彼の言葉は冗談めいていたが、瞳の奥には深い疲労があった。
「王として国を守ることはできても、
人々の心までは守れなかった。
私は、君たちにそれを託したい。」
レティシアは胸が締めつけられるような思いを覚えた。
彼女が初めて王都に来たとき、
リオネルはまだ若く、理想に燃える王だった。
けれど、腐敗と裏切りに囲まれ、
いつしか“象徴”でしかなくなっていった。
「陛下……それでも、王は国の心です。
民は、あなたのもとで希望を見たのですよ。」
リオネルは微笑み、首を振った。
「希望を与えられたのは、私ではない。
君と……あの無表情な公爵だ。」
背後の扉が開き、グレイが入ってきた。
「陛下、それは少々失礼ではありませんか。」
「おお、やはり聞こえていたか。」
リオネルは立ち上がり、笑みを浮かべた。
「だが事実だろう?
お前が王都に戻った途端、貴族たちは震え上がった。」
「震えたのは、書類の山の多さでしょう。」
「まったく、お前という男は……冗談の通じないところもそのままだな。」
グレイとリオネルはしばし視線を交わす。
それは旧友のような、しかしどこか別れを感じさせる沈黙だった。
---
「陛下、退位の件についてはまだお考え直しいただけませんか?」
レティシアが再び尋ねる。
リオネルは暖炉の炎を見つめながら、ゆっくりと言葉を選んだ。
「私は、王としての務めを果たしたと思っている。
だが、人として――もっと小さな世界を見たいのだ。」
「小さな世界、ですか?」
「そうだ。
この十年、私は常に“国”を見てきた。
だが、個人としての人生を、ほとんど生きてこなかった。
君たちを見ていると……人として生きることが、少し羨ましくなる。」
グレイが眉を動かす。
「陛下、それを羨むとは意外です。」
「お前が羨ましくならない方が、どうかしている。」
リオネルは柔らかく笑った。
「冷徹で知られた“氷の公爵”が、
今や王都の女性官吏たちに“理想の夫”と噂されているんだからな。」
レティシアが顔を赤らめ、グレイは軽く咳払いをした。
「陛下、風聞に耳を傾けすぎです。」
「噂もまた、国の脈拍だよ。」
---
やがて、リオネルは机の引き出しから一通の封筒を取り出した。
封蝋には王家の紋章――そして、“私信”の印。
「これは……?」
「私から君たちへの最後の王命――いや、贈り物だ。」
彼はレティシアにそれを手渡した。
「この国の“未来を記す者”として、私が信頼できるのは君たちだけだ。
だから、この書簡は王国の記録に残さない。
君たちだけが知る、私の遺言のようなものだ。」
レティシアは封を開け、中を読む。
そこには短い文が綴られていた。
> 『私の名を、国の記録から削除せよ。
> 王は象徴でなく、人として残るべきだ。
> 王国の“始まりの記録”に、アルヴェンの名を刻め。
> ――リオネル・ヴァン・アーク』
レティシアは息を呑んだ。
「そんな……これは、歴史の抹消ですわ。」
「そうだ。」
リオネルは微笑む。
「私は王として生きたが、王で死にたくはない。
歴史が私の名を消すなら、それでいい。
その代わり――君たちの“記録”が、この国を導いてくれ。」
グレイが口を開く。
「それでは、陛下の功績が――」
「功績など不要だ。
私の代わりに残るのは、君たちの制度、君たちの信義、
そして人々の笑顔だ。
それが、何よりの遺産だ。」
リオネルの瞳は、静かな炎のように輝いていた。
その姿を見て、レティシアは悟った。
――この人は、名を捨ててでも“国”を生かす覚悟を決めたのだ。
---
翌朝。
王都の広場に人々が集まり、王の退位式が執り行われた。
リオネル王は豪奢な王冠を脱ぎ、
それをグレイに手渡した。
「この冠を、制度の象徴として保管してくれ。
もはや“王”はいらない。
国を導くのは、“記録”だ。」
グレイは深く一礼し、冠を受け取った。
「陛下の信頼に、書類をもって報います。」
人々が沈黙する中、リオネルは広場を見渡した。
「民よ――」
その声は穏やかで、しかしどこまでも届く。
「王は去る。
だが、恐れることはない。
君たちの中に、すでに“新しい王国”がある。」
その瞬間、広場の群衆が歓声を上げた。
「万歳! リオネル王!」
「新しき時代に祝福を!」
彼は笑い、軽く手を挙げた。
「ありがとう。
これからは――ただの旅人として、風のように生きよう。」
その言葉を最後に、
王は静かに玉座を後にした。
---
夕刻。
レティシアは王宮の書庫で、リオネルの“私信”を新たな帳簿に綴じ込んでいた。
> 『王国記録 第零巻――黎明の章』
「……本当に、いいのでしょうか?」
背後からグレイが静かに尋ねた。
「ええ。これは、陛下の“遺言”です。
歴史に名を残すよりも、人の心に残る方を選ばれたのです。」
彼女はペンを取り、記録の最後に一行を書き加えた。
> 『この日、王は王であることをやめ、人として生きる道を選んだ。
> それを見届けた者、アルヴェン公爵夫妻。』
インクが乾くまでの間、二人は黙ってその記録を見つめていた。
「レティシア。」
「はい。」
「王のように、私たちもいつか――この席を去る日が来る。」
「ええ。」
「その時、君は何を残す?」
レティシアは少し考え、微笑んだ。
「……“書類の山の向こうに笑顔を”。」
「ふむ、それは名言だな。」
「あなたの墓碑に刻んで差し上げますわ。」
「まるで呪いのようだ。」
二人の間に笑いが生まれた。
それは王の去ったあとの静けさを、優しく包み込む音だった。
---
そしてその夜。
王都の外れ、街の灯が遠くに見える丘の上で、
一人の男が風に吹かれていた。
旅装束をまとい、王冠を持たぬ男。
リオネル・ヴァン・アーク。
彼は振り返り、遠くに見える光を見つめながら呟いた。
「グレイ、レティシア……。
この国は、ようやく“国民のもの”になったな。」
風が彼の髪を揺らし、
春の夜の匂いが、王の旅立ちを祝福していた。
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4-2 王と手紙――別れの季節
春が訪れていた。
雪解けの水が王都の石畳を濡らし、街路樹には新しい芽が芽吹いていた。
冬の冷たさを思い出す者も少なく、王都は穏やかで、人々の表情は明るかった。
それは、「アルヴェン改革」が始まってから二か月が経った頃だった。
不正を摘発し、財政を整理し、民の税を軽くしたことで、
街の商人たちは笑顔を取り戻し、
子どもたちは再び広場で遊ぶようになった。
――すべては、たった二人の決断から始まった。
しかし、春の陽気とは裏腹に、王都には静かな波紋が広がっていた。
リオネル王が突然、退位の意向を示したのだ。
---
「……本当に退位なさると?」
レティシアが問いかける。
王宮の一室、暖炉の前。
そこには、淡い金髪をたなびかせた若き国王リオネルが、
穏やかな笑みを浮かべて座っていた。
「君たちが来てから、ようやくこの国は“治まった”。
もう私の出番ではない。」
彼の言葉は冗談めいていたが、瞳の奥には深い疲労があった。
「王として国を守ることはできても、
人々の心までは守れなかった。
私は、君たちにそれを託したい。」
レティシアは胸が締めつけられるような思いを覚えた。
彼女が初めて王都に来たとき、
リオネルはまだ若く、理想に燃える王だった。
けれど、腐敗と裏切りに囲まれ、
いつしか“象徴”でしかなくなっていった。
「陛下……それでも、王は国の心です。
民は、あなたのもとで希望を見たのですよ。」
リオネルは微笑み、首を振った。
「希望を与えられたのは、私ではない。
君と……あの無表情な公爵だ。」
背後の扉が開き、グレイが入ってきた。
「陛下、それは少々失礼ではありませんか。」
「おお、やはり聞こえていたか。」
リオネルは立ち上がり、笑みを浮かべた。
「だが事実だろう?
お前が王都に戻った途端、貴族たちは震え上がった。」
「震えたのは、書類の山の多さでしょう。」
「まったく、お前という男は……冗談の通じないところもそのままだな。」
グレイとリオネルはしばし視線を交わす。
それは旧友のような、しかしどこか別れを感じさせる沈黙だった。
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「陛下、退位の件についてはまだお考え直しいただけませんか?」
レティシアが再び尋ねる。
リオネルは暖炉の炎を見つめながら、ゆっくりと言葉を選んだ。
「私は、王としての務めを果たしたと思っている。
だが、人として――もっと小さな世界を見たいのだ。」
「小さな世界、ですか?」
「そうだ。
この十年、私は常に“国”を見てきた。
だが、個人としての人生を、ほとんど生きてこなかった。
君たちを見ていると……人として生きることが、少し羨ましくなる。」
グレイが眉を動かす。
「陛下、それを羨むとは意外です。」
「お前が羨ましくならない方が、どうかしている。」
リオネルは柔らかく笑った。
「冷徹で知られた“氷の公爵”が、
今や王都の女性官吏たちに“理想の夫”と噂されているんだからな。」
レティシアが顔を赤らめ、グレイは軽く咳払いをした。
「陛下、風聞に耳を傾けすぎです。」
「噂もまた、国の脈拍だよ。」
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やがて、リオネルは机の引き出しから一通の封筒を取り出した。
封蝋には王家の紋章――そして、“私信”の印。
「これは……?」
「私から君たちへの最後の王命――いや、贈り物だ。」
彼はレティシアにそれを手渡した。
「この国の“未来を記す者”として、私が信頼できるのは君たちだけだ。
だから、この書簡は王国の記録に残さない。
君たちだけが知る、私の遺言のようなものだ。」
レティシアは封を開け、中を読む。
そこには短い文が綴られていた。
> 『私の名を、国の記録から削除せよ。
> 王は象徴でなく、人として残るべきだ。
> 王国の“始まりの記録”に、アルヴェンの名を刻め。
> ――リオネル・ヴァン・アーク』
レティシアは息を呑んだ。
「そんな……これは、歴史の抹消ですわ。」
「そうだ。」
リオネルは微笑む。
「私は王として生きたが、王で死にたくはない。
歴史が私の名を消すなら、それでいい。
その代わり――君たちの“記録”が、この国を導いてくれ。」
グレイが口を開く。
「それでは、陛下の功績が――」
「功績など不要だ。
私の代わりに残るのは、君たちの制度、君たちの信義、
そして人々の笑顔だ。
それが、何よりの遺産だ。」
リオネルの瞳は、静かな炎のように輝いていた。
その姿を見て、レティシアは悟った。
――この人は、名を捨ててでも“国”を生かす覚悟を決めたのだ。
---
翌朝。
王都の広場に人々が集まり、王の退位式が執り行われた。
リオネル王は豪奢な王冠を脱ぎ、
それをグレイに手渡した。
「この冠を、制度の象徴として保管してくれ。
もはや“王”はいらない。
国を導くのは、“記録”だ。」
グレイは深く一礼し、冠を受け取った。
「陛下の信頼に、書類をもって報います。」
人々が沈黙する中、リオネルは広場を見渡した。
「民よ――」
その声は穏やかで、しかしどこまでも届く。
「王は去る。
だが、恐れることはない。
君たちの中に、すでに“新しい王国”がある。」
その瞬間、広場の群衆が歓声を上げた。
「万歳! リオネル王!」
「新しき時代に祝福を!」
彼は笑い、軽く手を挙げた。
「ありがとう。
これからは――ただの旅人として、風のように生きよう。」
その言葉を最後に、
王は静かに玉座を後にした。
---
夕刻。
レティシアは王宮の書庫で、リオネルの“私信”を新たな帳簿に綴じ込んでいた。
> 『王国記録 第零巻――黎明の章』
「……本当に、いいのでしょうか?」
背後からグレイが静かに尋ねた。
「ええ。これは、陛下の“遺言”です。
歴史に名を残すよりも、人の心に残る方を選ばれたのです。」
彼女はペンを取り、記録の最後に一行を書き加えた。
> 『この日、王は王であることをやめ、人として生きる道を選んだ。
> それを見届けた者、アルヴェン公爵夫妻。』
インクが乾くまでの間、二人は黙ってその記録を見つめていた。
「レティシア。」
「はい。」
「王のように、私たちもいつか――この席を去る日が来る。」
「ええ。」
「その時、君は何を残す?」
レティシアは少し考え、微笑んだ。
「……“書類の山の向こうに笑顔を”。」
「ふむ、それは名言だな。」
「あなたの墓碑に刻んで差し上げますわ。」
「まるで呪いのようだ。」
二人の間に笑いが生まれた。
それは王の去ったあとの静けさを、優しく包み込む音だった。
---
そしてその夜。
王都の外れ、街の灯が遠くに見える丘の上で、
一人の男が風に吹かれていた。
旅装束をまとい、王冠を持たぬ男。
リオネル・ヴァン・アーク。
彼は振り返り、遠くに見える光を見つめながら呟いた。
「グレイ、レティシア……。
この国は、ようやく“国民のもの”になったな。」
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