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第16話: 証拠の糸口
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第16話: 証拠の糸口
森の奥深く、月明かりが木々の隙間から差し込み、地面に銀色の斑点を落としていた。ヴィオラとセイルは、馬を下り、息を潜めて小さな洞窟に身を隠していた。追っ手の気配は遠ざかったが、警戒を解くことはできなかった。ヴィオラは影の結晶の欠片を握りしめ、守護者の力を感じていた。
「セイル……予言書は、無事?」
セイルはマントの下から革表紙の書を取り出した。古いページが、月光に照らされて淡く輝く。
「これだ。『影の娘が、王子を導く』……俺たちの未来が、ここに書かれている」
ヴィオラは予言書をそっと開き、文字を追った。守護者の声が、頭に響く。
『証拠を探せ。セリナの偽りの力を暴くものだ』
ヴィオラは目を細めた。
「セリナの偽りの聖女……彼女の力は、魔法薬で偽装したものだって、噂があったわ。王都で、薬を調合しているという」
セイルは頷いた。
「アストリアの影の薬師が、似た薬を作っている。俺の国では、影の結晶を溶かした偽りの光を生む薬がある。セリナは、それを手に入れたんだ」
ヴィオラは影を呼び、予言書の上に広げた。黒い糸がページに触れ、文字が浮かび上がる。
「ここに……『偽りの光は、影の結晶の欠片で暴かれる』」
セイルの瞳が鋭くなった。
「結晶の欠片で、セリナの光を分析すれば、証拠になる」
ヴィオラは胸の結晶を外し、欠片を一つ取り出した。黒い光が、洞窟を照らす。
「これで、セリナの薬を暴けるわ」
セイルはヴィオラの手を握った。
「だが、王都に戻るのは危険だ。アルディオンが、俺たちを狙っている」
ヴィオラは決意を込めて言った。
「それでも、行かなきゃ。セリナの陰謀を暴かないと、アストリアも、俺たちの国も、救えない」
セイルはヴィオラを抱き寄せた。
「君の勇気が、俺を支えてくれる」
二人は洞窟で夜を明かし、翌朝、馬を駆ってアストリア王都の外れへ向かった。影の結晶を隠し、商人として潜入する計画を練り直した。
王都の市場は、影のランプが昼でも灯り、賑わっていた。ヴィオラはフードを深く被り、セイルと共に影の薬師の店を探した。路地裏の小さな店。店主は老いた影の使い手で、セイルの顔を見ると目を細めた。
「漆黒の王子……生きていたか」
セイルは静かに頷いた。
「薬のことを聞きたい。偽りの光を生む薬だ」
老薬師は店を閉め、奥の部屋へ案内した。
「セリナという女が、俺の薬を買い取った。結晶の欠片を溶かしたものだ。光を偽装するが、影の結晶に触れれば、真実が現れる」
ヴィオラは結晶の欠片を差し出した。
「これで、暴ける?」
老薬師は欠片を受け取り、黒い液体を垂らした。液体が欠片に触れると、青白い光が揺らぎ、黒い影が浮かび上がった。
「これだ。セリナの薬の証拠になる」
ヴィオラは息を呑んだ。
「これを、予言書と合わせて、王宮に突きつければ……」
セイルは頷いた。
「だが、アルディオンは同盟を盾に、王宮を守っている。潜入は難しい」
老薬師が言った。
「王宮の地下に、影の回廊がある。昔、王族が使っていた隠し道だ。そこから入れば、警備を避けられる」
セイルの瞳が輝いた。
「ありがとう。父王の時代に、そんな道があったとは……」
二人は薬師に礼を言い、店を出た。ヴィオラは影を広げ、周囲を探った。
「追っ手は、まだ近くにいるわ」
セイルはヴィオラを抱きしめた。
「君の予知が、俺たちを守っている」
ヴィオラはセイルの胸に寄りかかった。
「セイル……私、怖いけど、信じてる。あなたと一緒なら、勝てる」
セイルはヴィオラの唇に、優しくキスをした。
「愛してる、ヴィオラ」
ヴィオラは涙を浮かべ、頷いた。
「私も……愛してる」
二人は影の回廊を探し、王宮へ向かった。証拠の糸口を手に入れ、決戦の時が近づいていた。
だが、王宮では、セリナがアルディオンに囁いていた。
「二人が、薬のことを知ったようね。早く、始末しなきゃ」
アルディオンの瞳に、暗い炎が燃えた。
森の奥深く、月明かりが木々の隙間から差し込み、地面に銀色の斑点を落としていた。ヴィオラとセイルは、馬を下り、息を潜めて小さな洞窟に身を隠していた。追っ手の気配は遠ざかったが、警戒を解くことはできなかった。ヴィオラは影の結晶の欠片を握りしめ、守護者の力を感じていた。
「セイル……予言書は、無事?」
セイルはマントの下から革表紙の書を取り出した。古いページが、月光に照らされて淡く輝く。
「これだ。『影の娘が、王子を導く』……俺たちの未来が、ここに書かれている」
ヴィオラは予言書をそっと開き、文字を追った。守護者の声が、頭に響く。
『証拠を探せ。セリナの偽りの力を暴くものだ』
ヴィオラは目を細めた。
「セリナの偽りの聖女……彼女の力は、魔法薬で偽装したものだって、噂があったわ。王都で、薬を調合しているという」
セイルは頷いた。
「アストリアの影の薬師が、似た薬を作っている。俺の国では、影の結晶を溶かした偽りの光を生む薬がある。セリナは、それを手に入れたんだ」
ヴィオラは影を呼び、予言書の上に広げた。黒い糸がページに触れ、文字が浮かび上がる。
「ここに……『偽りの光は、影の結晶の欠片で暴かれる』」
セイルの瞳が鋭くなった。
「結晶の欠片で、セリナの光を分析すれば、証拠になる」
ヴィオラは胸の結晶を外し、欠片を一つ取り出した。黒い光が、洞窟を照らす。
「これで、セリナの薬を暴けるわ」
セイルはヴィオラの手を握った。
「だが、王都に戻るのは危険だ。アルディオンが、俺たちを狙っている」
ヴィオラは決意を込めて言った。
「それでも、行かなきゃ。セリナの陰謀を暴かないと、アストリアも、俺たちの国も、救えない」
セイルはヴィオラを抱き寄せた。
「君の勇気が、俺を支えてくれる」
二人は洞窟で夜を明かし、翌朝、馬を駆ってアストリア王都の外れへ向かった。影の結晶を隠し、商人として潜入する計画を練り直した。
王都の市場は、影のランプが昼でも灯り、賑わっていた。ヴィオラはフードを深く被り、セイルと共に影の薬師の店を探した。路地裏の小さな店。店主は老いた影の使い手で、セイルの顔を見ると目を細めた。
「漆黒の王子……生きていたか」
セイルは静かに頷いた。
「薬のことを聞きたい。偽りの光を生む薬だ」
老薬師は店を閉め、奥の部屋へ案内した。
「セリナという女が、俺の薬を買い取った。結晶の欠片を溶かしたものだ。光を偽装するが、影の結晶に触れれば、真実が現れる」
ヴィオラは結晶の欠片を差し出した。
「これで、暴ける?」
老薬師は欠片を受け取り、黒い液体を垂らした。液体が欠片に触れると、青白い光が揺らぎ、黒い影が浮かび上がった。
「これだ。セリナの薬の証拠になる」
ヴィオラは息を呑んだ。
「これを、予言書と合わせて、王宮に突きつければ……」
セイルは頷いた。
「だが、アルディオンは同盟を盾に、王宮を守っている。潜入は難しい」
老薬師が言った。
「王宮の地下に、影の回廊がある。昔、王族が使っていた隠し道だ。そこから入れば、警備を避けられる」
セイルの瞳が輝いた。
「ありがとう。父王の時代に、そんな道があったとは……」
二人は薬師に礼を言い、店を出た。ヴィオラは影を広げ、周囲を探った。
「追っ手は、まだ近くにいるわ」
セイルはヴィオラを抱きしめた。
「君の予知が、俺たちを守っている」
ヴィオラはセイルの胸に寄りかかった。
「セイル……私、怖いけど、信じてる。あなたと一緒なら、勝てる」
セイルはヴィオラの唇に、優しくキスをした。
「愛してる、ヴィオラ」
ヴィオラは涙を浮かべ、頷いた。
「私も……愛してる」
二人は影の回廊を探し、王宮へ向かった。証拠の糸口を手に入れ、決戦の時が近づいていた。
だが、王宮では、セリナがアルディオンに囁いていた。
「二人が、薬のことを知ったようね。早く、始末しなきゃ」
アルディオンの瞳に、暗い炎が燃えた。
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