婚約破棄された公爵令嬢は、漆黒の王太子に溺愛されて永遠の光を掴む

鷹 綾

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第18話: 影の戦い

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第18話: 影の戦い

アストリア王宮の地下、影の回廊は冷たい闇に満ちていた。ヴィオラとセイルは、味方たちと共に静かに進んでいた。ガルドが先頭を切り、影の魔法で通路を照らす。ヴィオラは影の結晶を握り、守護者の力を感じていた。

「ここから、王宮の奥へ」

セイルの声が、低く響く。ヴィオラは頷き、影を広げて周囲を探った。予知の力が、わずかに未来を映す。

「兵士が、二十人……セリナの光の結界が、扉を塞いでるわ」

ガルドが剣を抜いた。

「殿下、継承者様。私たちが道を開きます」

味方たちが影を結集し、黒い糸が通路を覆った。ヴィオラは幻影を生み、兵士たちを惑わす。複数の影の戦士が現れ、敵を混乱させる。

「今だ!」

セイルが剣を振り、扉を破った。光の結界が揺らぎ、セリナの声が響く。

「来るのが早いわね、ヴィオレッタ」

セリナが白いドレスを纏い、光を放つ。アルディオンが剣を構え、味方たちを睨む。

「漆黒の王太子……お前を、ここで葬る」

戦いが始まった。味方たちの影の魔法が、兵士たちを包む。ガルドの剣が閃き、数人を倒す。ヴィオラは影の糸でセリナの光を絡め取ろうとした。

「偽りの光……暴いてあげる!」

セリナが光を強め、ヴィオラの影を押し返す。

「あなたみたいな、影の残り物が、私に勝てると思ってるの?」

ヴィオラの胸に、怒りが燃えた。

「私は……飾り物じゃない!」

影が爆発的に広がり、セリナの光を飲み込んだ。結晶の欠片が輝き、セリナの薬の偽りが露わになる。光が黒く染まり、セリナの顔が歪む。

「いや……!」

アルディオンがセイルに斬りかかった。

「貴様!」

セイルの剣が受け止め、火花が散る。二人の剣が激しく交錯する。セイルの銀髪が揺れ、剣技が冴える。

「アルディオン……お前は、王太子の名を汚した」

アルディオンが嘲笑った。

「王太子など、俺のものだ!」

ヴィオラはセリナに迫った。影の幻影がセリナを包み、彼女の過去を映す。貧民の少女が、嫉妬から偽りの聖女になった姿。

「これが、あなたの本当の姿よ!」

セリナが叫んだ。

「黙れ!」

光が暴走し、セリナ自身を飲み込む。セリナは膝をつき、力が尽きた。

味方たちが兵士を倒し、戦場は静かになった。セイルがアルディオンを押し倒し、剣を喉元に突きつけた。

「終わりだ、アルディオン」

アルディオンは地面に倒れ、憎しみの目で睨んだ。

「くそ……」

ヴィオラはセイルの横に立ち、影を収めた。

「セイル……終わったわ」

セイルは剣を収め、ヴィオラを抱きしめた。

「君のおかげだ。ヴィオラ」

ガルドが近づき、膝をついた。

「殿下、王宮は我々の手に」

セイルは皆を見回した。

「ありがとう。皆の忠誠に、報いる」

ヴィオラはセイルの手を握った。

「これで、王位を取り戻せるわ」

セイルはヴィオラの額にキスをした。

「君と一緒に、王国を築く」

だが、王宮の奥で、セリナが最後の力を振り絞り、呟いた。

「まだ……終わってない……」

暗い影が、セリナの体を包む。戦いは、まだ終わっていなかった。

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