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第16話 廃太子
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第16話 廃太子
アルヴェール宮殿、大謁見の間。
高い天井に吊るされた巨大なシャンデリアが、朝の光を反射していた。
広間にはすでに多くの貴族が集まっている。
公爵。
侯爵。
伯爵。
宮廷の主要な家門の当主たちだった。
誰もが静かだった。
だが空気は張り詰めている。
今日、国王が公式の発表を行う。
それはすでに宮廷中が知っている。
王太子の件だ。
やがて、侍従長が杖を鳴らした。
「国王陛下、御入場」
全員が一斉に跪く。
国王アンリ四世が入ってきた。
その後ろには宰相と儀礼長が続く。
そして――
少し離れて、ルイ=フィリップ。
王太子だった男。
彼の顔は硬い。
国王は玉座に座る。
侍従長が前に出る。
「これより、国王陛下の勅命を発表する」
広間は完全な静寂に包まれた。
侍従長は書状を広げる。
「王太子ルイ=フィリップ殿下について」
その瞬間、全員の視線が王太子に集まる。
王太子は拳を握った。
侍従長の声が響く。
「宮廷儀礼軽視」
「王妃ルヴェ侮辱事件への関与」
「王太子としての資質調査」
一つ一つ、ゆっくり読み上げられる。
広間は静まり返っていた。
侍従長は続ける。
「これらの件について」
「国王陛下は熟慮された」
王太子の額に汗が浮かぶ。
侍従長は最後の行を読む。
「よって」
「ルイ=フィリップ殿下の王太子位を」
一瞬、時間が止まった。
そして。
「剥奪する」
広間の空気が凍る。
誰も声を出さない。
ただ静寂だけが広がる。
王太子――
いや、もはや王太子ではない男は、立ち尽くしていた。
「……」
言葉が出ない。
侍従長は続ける。
「王太子位は、第二王子アルベール殿下に継承される」
広間の貴族たちは深く頭を下げた。
これは王の決定。
誰も異議を唱えない。
ルイ=フィリップはようやく声を出した。
「待ってください」
広間の空気が揺れる。
国王は静かに言う。
「発言を許す」
ルイ=フィリップは前に出る。
「父上」
「ただの儀式です」
彼は言った。
「服を渡すだけの」
広間の貴族の何人かが目を閉じた。
だがルイ=フィリップは続ける。
「それで王太子を剥奪するなんて」
「おかしい」
国王は静かに答えた。
「違う」
ルイ=フィリップは言葉を止める。
国王は続けた。
「問題は儀式ではない」
「理解だ」
広間は静まり返る。
国王は玉座から立ち上がる。
「王とは」
「国家の象徴だ」
「その象徴の意味を理解しない者は」
「王になれない」
その言葉は重かった。
国王は最後に言う。
「これは罰ではない」
「王国のための判断だ」
沈黙。
ルイ=フィリップは立ち尽くす。
すべてが終わった。
王太子ではなくなった。
王になる未来も消えた。
広間の貴族たちは静かに頭を下げる。
だがその誰もが思っていた。
これは当然だ。
宮廷秩序を理解しない王は――
宮廷に拒まれる。
そしてこの瞬間。
ルイ=フィリップはただの王子になった。
いや。
それ以下の存在になりつつあった。
王太子の座を失った男。
それが宮廷で、どれほど弱い立場か。
彼はまだ知らない。
アルヴェール宮殿、大謁見の間。
高い天井に吊るされた巨大なシャンデリアが、朝の光を反射していた。
広間にはすでに多くの貴族が集まっている。
公爵。
侯爵。
伯爵。
宮廷の主要な家門の当主たちだった。
誰もが静かだった。
だが空気は張り詰めている。
今日、国王が公式の発表を行う。
それはすでに宮廷中が知っている。
王太子の件だ。
やがて、侍従長が杖を鳴らした。
「国王陛下、御入場」
全員が一斉に跪く。
国王アンリ四世が入ってきた。
その後ろには宰相と儀礼長が続く。
そして――
少し離れて、ルイ=フィリップ。
王太子だった男。
彼の顔は硬い。
国王は玉座に座る。
侍従長が前に出る。
「これより、国王陛下の勅命を発表する」
広間は完全な静寂に包まれた。
侍従長は書状を広げる。
「王太子ルイ=フィリップ殿下について」
その瞬間、全員の視線が王太子に集まる。
王太子は拳を握った。
侍従長の声が響く。
「宮廷儀礼軽視」
「王妃ルヴェ侮辱事件への関与」
「王太子としての資質調査」
一つ一つ、ゆっくり読み上げられる。
広間は静まり返っていた。
侍従長は続ける。
「これらの件について」
「国王陛下は熟慮された」
王太子の額に汗が浮かぶ。
侍従長は最後の行を読む。
「よって」
「ルイ=フィリップ殿下の王太子位を」
一瞬、時間が止まった。
そして。
「剥奪する」
広間の空気が凍る。
誰も声を出さない。
ただ静寂だけが広がる。
王太子――
いや、もはや王太子ではない男は、立ち尽くしていた。
「……」
言葉が出ない。
侍従長は続ける。
「王太子位は、第二王子アルベール殿下に継承される」
広間の貴族たちは深く頭を下げた。
これは王の決定。
誰も異議を唱えない。
ルイ=フィリップはようやく声を出した。
「待ってください」
広間の空気が揺れる。
国王は静かに言う。
「発言を許す」
ルイ=フィリップは前に出る。
「父上」
「ただの儀式です」
彼は言った。
「服を渡すだけの」
広間の貴族の何人かが目を閉じた。
だがルイ=フィリップは続ける。
「それで王太子を剥奪するなんて」
「おかしい」
国王は静かに答えた。
「違う」
ルイ=フィリップは言葉を止める。
国王は続けた。
「問題は儀式ではない」
「理解だ」
広間は静まり返る。
国王は玉座から立ち上がる。
「王とは」
「国家の象徴だ」
「その象徴の意味を理解しない者は」
「王になれない」
その言葉は重かった。
国王は最後に言う。
「これは罰ではない」
「王国のための判断だ」
沈黙。
ルイ=フィリップは立ち尽くす。
すべてが終わった。
王太子ではなくなった。
王になる未来も消えた。
広間の貴族たちは静かに頭を下げる。
だがその誰もが思っていた。
これは当然だ。
宮廷秩序を理解しない王は――
宮廷に拒まれる。
そしてこの瞬間。
ルイ=フィリップはただの王子になった。
いや。
それ以下の存在になりつつあった。
王太子の座を失った男。
それが宮廷で、どれほど弱い立場か。
彼はまだ知らない。
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