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第二十一話 廃嫡の条件
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第二十一話 廃嫡の条件
王宮の灯りが一晩中消えなかった翌朝、王都には重苦しい静寂が漂っていた。
公式発表はない。だが貴族たちは察している。
王太子の継承に、重大な瑕疵が生じた。
修道院には直接の通知は来ない。しかし、財務官が早朝に訪れたことで、事態の深刻さは明らかだった。
「王家は決断を迫られている」
応接室で彼は低く告げる。
「廃嫡か、側室制度の復活か」
「どちらも国家の均衡を揺らします」
私は冷静に答える。
「だからこそ、条件を整えたい」
財務官の視線が鋭くなる。
「条件とは」
「廃嫡を選ぶ場合、王妃の地位と名誉を完全に保証すること」
「当然だ」
「当然ではありません」
私は静かに言い切る。
「責任の所在が曖昧なままでは、王妃に再び疑念が向きます」
財務官は沈黙する。
王家の名誉は守られねばならない。だが王妃の名誉も同じだ。
「教会の封印文書を公開しますか」
「公開は不要です」
私は首を振る。
「王家声明で“王妃に問題なし”と明記するだけで十分」
「それでは王太子の責任が」
「曖昧にすればよい」
真実を全面公開すれば、国家が割れる。
だが責任の方向を修正することはできる。
財務官は深く息を吐いた。
「あなたは冷静だ」
「契約の延長です」
未完成の婚姻は無効になる。
だが王家の婚姻は国家契約だ。
破棄には条件がいる。
数日後、王家声明が出た。
王妃に医学的問題はない。
王太子は体調不良を理由に一時的に公務を退く。
そして“継承順位の再検討”が開始される。
王都は揺れた。
廃嫡はほぼ確実だと噂される。
ヴァルケン家では、レオナルトが静かに書類を置いた。
「王太子が退けば、次は第二王子だ」
第二王子は若い。改革派とされる。
修道院と対立する可能性は低い。
「歴史が動くな」
彼は窓の外を見る。
修道院内部では、未亡人評議席が議論を始めていた。
「廃嫡後の王家財政は」
「新王の即位費用が発生する」
「融資条件の再交渉が必要です」
私は頷く。
「王家契約は継続。ただし利率の微調整」
王家が弱る今、強く出ることはできる。
だが搾取すれば、信用を失う。
「王家を支えます」
私は宣言する。
「だが透明性を条件に」
夜、塔の上。
王宮の旗が半旗に下ろされている。
正式な発表はまだだが、王太子は事実上の失脚だ。
私は風を受けながら思う。
未完成は罪ではない。
だが責任を他者に押しつける契約は破綻する。
白い誓約は終わった。
だが白い審判は続いている。
鐘が鳴る。
私は目を閉じる。
王座であっても例外ではない。
契約は守られるか、無効になるか。
それだけだ。
王宮の灯りが一晩中消えなかった翌朝、王都には重苦しい静寂が漂っていた。
公式発表はない。だが貴族たちは察している。
王太子の継承に、重大な瑕疵が生じた。
修道院には直接の通知は来ない。しかし、財務官が早朝に訪れたことで、事態の深刻さは明らかだった。
「王家は決断を迫られている」
応接室で彼は低く告げる。
「廃嫡か、側室制度の復活か」
「どちらも国家の均衡を揺らします」
私は冷静に答える。
「だからこそ、条件を整えたい」
財務官の視線が鋭くなる。
「条件とは」
「廃嫡を選ぶ場合、王妃の地位と名誉を完全に保証すること」
「当然だ」
「当然ではありません」
私は静かに言い切る。
「責任の所在が曖昧なままでは、王妃に再び疑念が向きます」
財務官は沈黙する。
王家の名誉は守られねばならない。だが王妃の名誉も同じだ。
「教会の封印文書を公開しますか」
「公開は不要です」
私は首を振る。
「王家声明で“王妃に問題なし”と明記するだけで十分」
「それでは王太子の責任が」
「曖昧にすればよい」
真実を全面公開すれば、国家が割れる。
だが責任の方向を修正することはできる。
財務官は深く息を吐いた。
「あなたは冷静だ」
「契約の延長です」
未完成の婚姻は無効になる。
だが王家の婚姻は国家契約だ。
破棄には条件がいる。
数日後、王家声明が出た。
王妃に医学的問題はない。
王太子は体調不良を理由に一時的に公務を退く。
そして“継承順位の再検討”が開始される。
王都は揺れた。
廃嫡はほぼ確実だと噂される。
ヴァルケン家では、レオナルトが静かに書類を置いた。
「王太子が退けば、次は第二王子だ」
第二王子は若い。改革派とされる。
修道院と対立する可能性は低い。
「歴史が動くな」
彼は窓の外を見る。
修道院内部では、未亡人評議席が議論を始めていた。
「廃嫡後の王家財政は」
「新王の即位費用が発生する」
「融資条件の再交渉が必要です」
私は頷く。
「王家契約は継続。ただし利率の微調整」
王家が弱る今、強く出ることはできる。
だが搾取すれば、信用を失う。
「王家を支えます」
私は宣言する。
「だが透明性を条件に」
夜、塔の上。
王宮の旗が半旗に下ろされている。
正式な発表はまだだが、王太子は事実上の失脚だ。
私は風を受けながら思う。
未完成は罪ではない。
だが責任を他者に押しつける契約は破綻する。
白い誓約は終わった。
だが白い審判は続いている。
鐘が鳴る。
私は目を閉じる。
王座であっても例外ではない。
契約は守られるか、無効になるか。
それだけだ。
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