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第三章 家族とは
2-2 初モデル
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「モデルが見つかったって? どの子?」
そこに軽い口調の男性がやってきた。
「親父! ウロチョロしすぎや。探しとったのに!」
「ハジメか? 大きくなったなあ!」
ガシっと掴まれてハジメが苦しそうにするが嬉しそうでもある。デザイナーというよりも体格の良い格闘技の選手のような男性がそこにいた。すっと通った鼻筋。男らしい太めの眉に切れ長の瞳。ハジメが父親似だという事が分かる。
「あ、あの。はじめまして! 秋葉原すぐるです!」
「はじめまして。難波太郎です。うちのハジメをよろしくお願いします」
わわわ。お願いされちゃった? 僕の方がよくしてもらっているのに!
「は、はい。よろしくされてますです!」
あれ? なんか緊張して変な事言っちゃった?
「あはははは。可愛い子やなあ。じゅんくんからは面白い子と聞いていたが。そうかそうか。素直そうなええ子やなあ。純粋そうや」
「そうやろ。だから呼び出したんや」
「なんや。亜紀良が言うてたモデルってこの子のこと?」
「何? モデルって。親父、すぐるをモデルに出す気か?」
「それがなあ。ラストに出そうか悩んでる衣装があってな……。そや! お前も出ろ!」
「へ? どういうこと?」
「あはははは。お腹痛い。笑いすぎてくるしい」
目の前で女神が爆笑中である。これはさっきも見た現象であった。
「どうやら僕の天使には笑いの女神がついているようやな」
高塚が歯が浮いたような褒め言葉を朝比奈にかけている。褒め言葉だよな?
「だって、面白過ぎるやん。すぐるは最高やな」
なんだかわからないが僕のことで笑っているみたい。
「朝比奈さん。これ以上笑うのは禁止です。開演時間ですよ」
メイクさんがやってきて注意された途端に朝比奈の顔つきが変わった。
「わかりました。メイク直しお願いできますか?」
すんっとモデルの顔に切り替わったのを僕が感心しているとハジメに突かれる。
「俺たちもメイクされるみたいやで」
「え? 僕メイクなんてしたことないよ」
「お二人とも難波先生の依頼を受けたのでしょ? 問答無用ですよ」
「……は、はい。でも」
「口を閉じてください。まずはベースを塗りますので」
ひぇえ~。怖い。それもそうか。開演時間が迫ってるのに僕らが急に追加されたのだから。メイクさんはテキパキと僕とハジメをメイクし、ヘアセットをし始める。途中にハジメの父親もやってきてあれこれと指示をだしていく。先ほどの親の顔とは違い、真剣な表情に気迫が感じられる。そこにはデザイナー難波太郎がいた。
「妖精や。妖精が俺の目の前におる」
ハジメが僕を見ておかしなことを言い出した。きっと僕が朝比奈を見て女神と行った時のハジメの心境がこれとよく似たものだったのだろう。
「かっこいいよハジメ。異世界の皇子さまみたい」
「はあ?」
ハジメが僕の言葉に苦虫をつぶしたような顔になる。
「ははは。自分の姿を見てないからでしょうね。通路が狭いので姿見は数か所にしか設置してないんですよ。どうぞこちらへ」
マネージャーの草壁がにこにこしながらやってきて僕たちを鏡の前に誘導してくれる。
「……これが僕?」
確かに妖精っぽい。メイクで中性的な表情にしあげてくれていた。淡い色の色彩の衣装が可愛らしく見える。首元にはフリルと小さなレースの花が散らばっている。ボトムスはタイトなスキニーパンツのようだ。トップスがふんわりと長めなので足が細く見える。出すかどうか最後まで迷っていたのは予備に持参した衣装でイメージ的に会うモデルが今日はいなかったからだそうだ。少し小柄で細身のモデルに着せたかったらしい。
「ふうん。妖精の結婚式ってコンセプトかな? 親父にしては可愛らしいデザインやな」
反してハジメはダークグリーンのタキシード調の衣装だった。光に当たると玉虫色に変化する生地が使われていた。
「そっか。ハジメはタマムシなんだね」
「俺は虫やったんか」
「ぶふ!」
「くっ……」
横に居るモデルさん達の肩が揺れている。わらっているのかな? でも笑いすぎるとメイクが崩れるから我慢しているみたい。モデルさんって大変なんだな。
今この控室にはたくさんの衣装とモデルさん達が居る。皆綺麗だ。背筋がピンと伸びている。ざわついていた会場に音楽が流れだす。そっか、たくさん人がいる中をこの格好で出て行くんだ。しかもメディアに載るって雑誌とかに載るの?ど、どうしよう!これって大変なことに僕は参加してしまっているのではないのか?
「ハジメ。僕、もう帰りたい」
「あかんって。気持ちはわかるが。とにかく頑張ろう。これで成果をあげて親父に認めてもらうんやろ?」
「そう思ったけど。緊張して足が震えてきた」
そうなのだ。言い出しっぺは僕だった。初めて会った義父になる人に好い印象をもってもらいたくて「ハジメと一緒なら出ます」と言い切ってしまったのだ。
「大丈夫や。俺も小さいころはキッズモデルとして無理に出されたことがあるけど。舞台の中央をまっすぐ歩くだけや。周りは皆じゃがいもやと思ったらいい」
そこに軽い口調の男性がやってきた。
「親父! ウロチョロしすぎや。探しとったのに!」
「ハジメか? 大きくなったなあ!」
ガシっと掴まれてハジメが苦しそうにするが嬉しそうでもある。デザイナーというよりも体格の良い格闘技の選手のような男性がそこにいた。すっと通った鼻筋。男らしい太めの眉に切れ長の瞳。ハジメが父親似だという事が分かる。
「あ、あの。はじめまして! 秋葉原すぐるです!」
「はじめまして。難波太郎です。うちのハジメをよろしくお願いします」
わわわ。お願いされちゃった? 僕の方がよくしてもらっているのに!
「は、はい。よろしくされてますです!」
あれ? なんか緊張して変な事言っちゃった?
「あはははは。可愛い子やなあ。じゅんくんからは面白い子と聞いていたが。そうかそうか。素直そうなええ子やなあ。純粋そうや」
「そうやろ。だから呼び出したんや」
「なんや。亜紀良が言うてたモデルってこの子のこと?」
「何? モデルって。親父、すぐるをモデルに出す気か?」
「それがなあ。ラストに出そうか悩んでる衣装があってな……。そや! お前も出ろ!」
「へ? どういうこと?」
「あはははは。お腹痛い。笑いすぎてくるしい」
目の前で女神が爆笑中である。これはさっきも見た現象であった。
「どうやら僕の天使には笑いの女神がついているようやな」
高塚が歯が浮いたような褒め言葉を朝比奈にかけている。褒め言葉だよな?
「だって、面白過ぎるやん。すぐるは最高やな」
なんだかわからないが僕のことで笑っているみたい。
「朝比奈さん。これ以上笑うのは禁止です。開演時間ですよ」
メイクさんがやってきて注意された途端に朝比奈の顔つきが変わった。
「わかりました。メイク直しお願いできますか?」
すんっとモデルの顔に切り替わったのを僕が感心しているとハジメに突かれる。
「俺たちもメイクされるみたいやで」
「え? 僕メイクなんてしたことないよ」
「お二人とも難波先生の依頼を受けたのでしょ? 問答無用ですよ」
「……は、はい。でも」
「口を閉じてください。まずはベースを塗りますので」
ひぇえ~。怖い。それもそうか。開演時間が迫ってるのに僕らが急に追加されたのだから。メイクさんはテキパキと僕とハジメをメイクし、ヘアセットをし始める。途中にハジメの父親もやってきてあれこれと指示をだしていく。先ほどの親の顔とは違い、真剣な表情に気迫が感じられる。そこにはデザイナー難波太郎がいた。
「妖精や。妖精が俺の目の前におる」
ハジメが僕を見ておかしなことを言い出した。きっと僕が朝比奈を見て女神と行った時のハジメの心境がこれとよく似たものだったのだろう。
「かっこいいよハジメ。異世界の皇子さまみたい」
「はあ?」
ハジメが僕の言葉に苦虫をつぶしたような顔になる。
「ははは。自分の姿を見てないからでしょうね。通路が狭いので姿見は数か所にしか設置してないんですよ。どうぞこちらへ」
マネージャーの草壁がにこにこしながらやってきて僕たちを鏡の前に誘導してくれる。
「……これが僕?」
確かに妖精っぽい。メイクで中性的な表情にしあげてくれていた。淡い色の色彩の衣装が可愛らしく見える。首元にはフリルと小さなレースの花が散らばっている。ボトムスはタイトなスキニーパンツのようだ。トップスがふんわりと長めなので足が細く見える。出すかどうか最後まで迷っていたのは予備に持参した衣装でイメージ的に会うモデルが今日はいなかったからだそうだ。少し小柄で細身のモデルに着せたかったらしい。
「ふうん。妖精の結婚式ってコンセプトかな? 親父にしては可愛らしいデザインやな」
反してハジメはダークグリーンのタキシード調の衣装だった。光に当たると玉虫色に変化する生地が使われていた。
「そっか。ハジメはタマムシなんだね」
「俺は虫やったんか」
「ぶふ!」
「くっ……」
横に居るモデルさん達の肩が揺れている。わらっているのかな? でも笑いすぎるとメイクが崩れるから我慢しているみたい。モデルさんって大変なんだな。
今この控室にはたくさんの衣装とモデルさん達が居る。皆綺麗だ。背筋がピンと伸びている。ざわついていた会場に音楽が流れだす。そっか、たくさん人がいる中をこの格好で出て行くんだ。しかもメディアに載るって雑誌とかに載るの?ど、どうしよう!これって大変なことに僕は参加してしまっているのではないのか?
「ハジメ。僕、もう帰りたい」
「あかんって。気持ちはわかるが。とにかく頑張ろう。これで成果をあげて親父に認めてもらうんやろ?」
「そう思ったけど。緊張して足が震えてきた」
そうなのだ。言い出しっぺは僕だった。初めて会った義父になる人に好い印象をもってもらいたくて「ハジメと一緒なら出ます」と言い切ってしまったのだ。
「大丈夫や。俺も小さいころはキッズモデルとして無理に出されたことがあるけど。舞台の中央をまっすぐ歩くだけや。周りは皆じゃがいもやと思ったらいい」
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