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日々

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 学校も楽しい。ルカやササ以外にも話せる友だちが増えてきた。
 それでも、やっぱり特に仲が良いのはそのふたりだった。

 例によって休み時間のたびに席に集まる。大体はルカの席に行くことが多かった。


「バイトどう?」

「まあ楽しいよ」

「わたしもなんかやろうかなぁ」

「暇なん?」


 部活もバイトもやっていないなら、時間を持て余す日が出ることもあるだろう。


「昨日ずっとギターやってた」

「え、ギターできんの?」

「いや、中学んときみんなでバンドやろーって話になってそれぞれ楽器買ったんだけど、全員挫折した」

「ルカ、そういうのできそうな雰囲気あんのにね」

「残念なルカ。で、できないのにやってたの?」

「ギター眠らせとくのもったいないなって思って。結果できるようにはなってないんだけどね」


 わたしとササはそれなりにひどいことを言っていたが、ルカは無為な自らの空き時間の使い方に打ちひしがれているのか、普段のような反撃も繰り出さずため息を吐いていた。


「やることないならのんちのとこ面接受けてみようか?」


 ササも追撃はせず話の流れを変えた。


「あー、まだ募集はしてたねー」


 うちの店はバイトは常時募集中だ。人が足りていないわけではないが、良さそうな人がいたらできるだけ確保しておきたいらしい。
 裏には、学生のバイトは学校のイベント次第で不安定という側面がある。場合によってはあっさり辞めるという選択肢を取る者もいるだろう。予期しうるリスクに対応できるバックアップが欲しいという考えがあるのだと思う。


「お。まじで受けてみる? みんなでバイト楽しそうじゃない?」

「ササだけ落ちたらおもしろー」

「ルカだけ落ちるだってありえっから」

「みんな居たらたのしそーだけどさ。ここから電車だし、ふたりの家からだと別に近くもなくない?」

「あー、それかー」

「帰り面倒問題でるねー」


 たまの遊びなら良いけど、定期的な習慣となると、ちょっとした面倒臭さは意外と致命的になったりもする。


「まーちょっと考えよう」

「そもそもバイトするかどうかもね」

「お金は欲しいしなぁ」

「なんか欲しいのあるの?」


 まあ、目先に欲しいものなんてなくても、少し先の大きい目的のために、ないならそれができた時に備えて、稼ぎ蓄えておくってのは良いんじゃないかな。なんて思った矢先。


「シックスプラスのブラシ!」

「カヴェコのシャーペン!」

「AirPods!」

「ラルフのマフラー!」


 わたしの予想に反し、ふたりの口からは目先の物欲ばかりが溢れ出た。


「あ、もういいや。一生終わんなそ」

「あーかねほしー」

「でも遊んでたいー」


 なんという怠惰。
 初日の頃、やりたいって言っていたことがいくつかあった気がするが、何か動きはあったのだろうか。
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