詩片の灯影② 〜過去から来た言葉と未来へ届ける言葉

桜のはなびら

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対策会議

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 校長室に呼び出された圭吾。
 その場には校長、教頭、学年主任の教諭の姿があった。
 態としては事情徴収で、実際圭吾へは状況を確認する質疑がなされていたが、この場の方向はどちらかと言えばとある保護者からの攻勢をどう対応すべきかの検討にあった。

 すでに一度対話は持たれている。
 学校の責任者の立場でことにあたっている校長、教頭、学年主任の教諭の三名は、その時の様子を思い出し、それぞれに辟易とした表情を浮かべていた。

「……ご両親にはご両親の言い分がありますから、悪し様に言いたくはありません。ただ、厚東さんの主観として、彼女は家庭への不満というか……家庭内に問題があると自認している節がありました。厚東さんとその保護者の主張に対して正誤の評価は今時点の情報ではできませんが、ぶつかった場合、双方とも折れて妥協するという着地にはなりにくいと感じています」

「……ご両親のあの様子ではね。特にお父さんの方……」

「まー、あれはね……取り付く島も無しって感じでしたね」

「『うちの娘をたぶらかして』……そんなドラマみたいなセリフ、実際に言われるんですねぇ。後藤先生よりもお若いお父さんでしたよね?」

「実際の年齢は把握してませんが、おそらく」

「先生、そんな言葉使います?」

「いやぁ、使いませんねぇ」

「そんなことはどうでもよろしい……とも言い切れないのが頭の痛いところです。芝居がかっているのだとしたら……ご自身の立ち居振る舞いに酔っているだけなら良いのですが、意識してやられているのならば……何らかの思惑もあるものとして構えなくてはなりません。思惑があるとなると、感情論だけではない。解決には何らかの要求や条件を満たす必要性が出てくる可能性が加わります」

「それは厄介ですね」

「ええ。感情論でなくなるなら、単発の解決はむしろ楽なんですよ。極端な話、望まれる条件を満たしてやりさえすればよいのですから。問題は、ここでその前例を作ると、未来永劫類似の要求に対応せざるを得なくなること。学校の対応に瑕疵が無いのなら、避けたい事態です」

「当事者が三タイプに分かれるとして、草壁先生と厚東は『問題は無かった』で合致、保護者が学校に責任を追及する立場となります。数の上では二対一ですが、立ち位置的には保護対象者と保護者の対立に、保護対象者に対し保護者の意向に沿わない誘導をした学校または教師または大人――信じて子どもを預けたのに裏切られた――という構図が取られる公算が高いです。大本の対立構造自体が保護者にとって有利です。裁判等で公平な評価と判断が下される場ならともかく、当事者同士の話し合いでスムーズな決着を図るのは、おそらく難しいでしょうね」
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