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1年目
秋の月11日(火の曜日) 秋野菜、収穫します!!
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翌日、俺は畑の前に立った。
昨日のナタリアさんが言っていたように、もしかしたら俺にも収穫時が分かるスキルを持っているかもしれない。
俺は誰もいない畑に立って、「【スキル】」と声を発した。
すると、透明な板が俺の目の前に浮かんだ。
スキルの一覧に、収穫時のタイミングが分かるスキルはないか探してみた。
だが、どこを探してもそれらしいスキル名はなかった。まだ俺は習得していないのかもしれない。
一つ気になるのは、冒険にも出ていないし、魔物とも戦った記憶がないのに、何故か水属性攻撃魔法、水属性防御、土属性攻撃魔法、土属性防御のレベルが上がっているということ。
スキル一覧は取得しているスキルが左隅に書かれ、その横に水色の棒が描かれている。そしてその水色の棒の右側には数字が書かれてある。たぶん、水色の棒は経験値、右側の数字はレベルだと思う。
これは……畑を耕して、作物に水を与えているから、それが影響しているのかな?
試しにクワで畑を耕してみたら、なんと土属性攻撃魔法と土属性防御の水色の棒が少しだけ右側に動いた。
やっぱりこれは経験値を表す棒なんだ。
と、なると、畑を耕しているだけで、土属性の攻撃魔法と防御のレベルが上がるってことは、無理に冒険に出なくてもいいってことだよね?
だとすると、何もかもノームやリーフにまかせっきりにすると、俺のスキルレベルが上がらないってことか。少し分担して働くかな。
それよりも収穫に使えるスキルがない事にがっかりだ。
もういいや、地道に様子を見ながら収穫していこ。
俺は目の前に埋まっているニンジンを一本抜いた。
大きさや太さは店に並んでいる物よりも小さい。やっぱり抜くのが早かったか。
そう思いながらサツマイモを植えてある場所に向かおうとした時、出しっぱなしにしていたスキル画面に異変が現れた。
なんと農耕のすぐ下に【収穫】という文字が加わったのだ。さっき、ニンジンを一本抜いたので、経験値が半分に伸びた。
たしか詳細を見るにはその言葉を軽くタッチするんだっけ。
【収穫】という文字に軽く触れると、新しい透明な板が現れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
|【収穫】 |
|作物・花を収穫することで上がるスキル。|
|一定のレベルに達すると、収穫できる作物|
|の上にマークが現れる。 |
|レベルを上げていくと、作物の品質が分か|
|るようになる。 |
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんだと!? レベルが上がれば収穫できる作物の上にマークが出るだと!?
これは何が何でもレベルをあげなくては!
リーフたちが手伝ってくれるかもしれないけど、最初は俺一人で収穫しよう。でなければレベルが上がらない!
なんとかリーフたちが手伝いに来る前に、20本近く植えていたニンジンをすべて抜き終えた。
経験値は? 経験値はどうなった?
透明な板でスキルを確認すると、ニンジン20本抜いただけなのに、収穫のレベルが3にまで上がった。これはサツマイモも全部抜くともっとレベルがあがるんじゃないのか?
よっしゃー! サツマイモも全部抜いてやる!!
なんて意気込んでいたが、やはり今まで水やりをリーフたちに頼んでいたという事もあり、サツマイモが思った以上に多く埋まっていた。自分で植えたはずなのに、把握できないなんて…。
だけど、残り五株を残してサツマイモを収穫し終えると、突然、埋まっているサツマイモの上に、赤い逆三角形のマークが見えるようになった。
これが収穫レベルを上げると現れるマークか! このマークが着いている作物は収穫可能ってことか。その証拠に、収穫を終えたサツマイモの株の上には赤い逆三角形のマークは付いていなかった。
これで収穫が楽になる!
よし、また雑貨屋でニンジンの苗を買ってきて畑に植えよう。
その前に収穫したこの作物、どうしよう。料理したくても調理器具がないし、サツマイモは初めて見る作物だから調理の仕方が分からないし……。
アンナの店に持って行けば何か作ってくれるかな?
とりあえず収穫したニンジンとサツマイモを持って、アンナの店に向かうことにした。
牧場を出た所でベアトリスに出会った。
「こんにちは、ハヤト君。今からお出かけ?」
相変わらず可愛いベアトリスは、楕円形の小さな茶色い種を沢山いれた籠を下げていた。
「ベアトリス」
「あ、もしかして初収穫!?」
「ま…まあ、そんなところ。今からアンナの店で調理してもらおうと思って」
「ハヤト君自身はお料理しないの?」
「調理器具が揃っていないんだ」
さすがに言えない…。俺、本当は料理が出来ないってことを…。
具材を用意されてて、「はい、後はパンに挟んでください!」っていう状態だったら得意なんだけどね。
「そっか、今は母屋を修復中だったものね。早くお料理できるといいね」
にっこりと微笑むベアトリスに、真実を話せない俺は罪悪感に襲われている。
変な汗が出てきそう…。
「ベアトリスもどこかに行くのか?」
「わたしはお父さんのお使いなの。ふれあい広場にお菓子職人がお店を開いているんだけど、毎年秋にこのカカオの注文を受けているの」
「かかお?」
「ハヤト君は馴染みないの? 夏祭りにチョコバナナは食べた? バナナに掛かっていた茶色いソースの原料が、このカカオなの。お菓子職人さんがチョコレートに加工してくれるのよ」
え? どうやってこの種みたいな物があの液体になるの?
なんか特殊な道具を使うの?
もしかして錬金術とか?
初めて見る作物に、俺は興味津々だった。
「わたしもアンナのお店に行く用事があるから、一緒に行きましょ」
ベアトリスはクスクス笑っている。俺があまりにもカカオっていう作物をじっと見ていたからだろう。
恥ずかしい行動を取ってしまった。
ふれあい広場までくると、何人かの店主たちが固まって、何やら真剣な顔で話し合っていた。
「皆さん、こんにちは。どうかなさいましたか?」
ベアトリスが声を掛けると、店主たちは明らかに作り笑顔だとわかる表情を見せた。
「や…やあ、ベアトリス。お使いかい?」
肉を売る店の店主が最初に挨拶を返してきた。
「ええ、今年もカカオが収穫できたのでお届けに来ました」
「そ…そうかい。今年もチョコレートが出来上がるのを楽しみにしているよ」
夏祭りでチョコバナナを売っていた果物屋の店主も、心なしか笑顔が固い。
店主たちの前から立ち去る時、
「今年の祭りは中止になるのかね?」
「入荷がないのならそうだろ」
「なんだって今年に限って…」
と、声が聞こえてきた。
これは何か大きな事件が起きたとしか思えない。
お菓子職人の店にカカオを届けると、そこの店主も表情が落ち込んでいた。
「何かあったんですか?」
店主は女性で、頭に白いバンダナを巻き、そのバンダナを止めているヘアピンが銀色だった。
店の中にも職業ランクSを証明する証書が飾られていた。なんでも王都で王室御用達のお菓子屋で修業を積み、王室が開催した料理大会で優勝した成績を持つお菓子を専門に作る職人らしい。
「それがね、いつもこの村に入荷してくれるサツマイモ農家さんが、今年は不作らしいの」
「不作?」
「ええ。毎年この村に入荷してくれる農家さんは、もう長い事サツマイモを栽培している農家さんなんだけど、今年は苗が全く育たなかったそうなの。いつものように水を与え、いつものようにお世話していたのに、収穫時期になっても、サツマイモが実らなかったそうよ」
「それじゃあ、今年のサツマイモ祭りは…」
「中止かも知れないねって話していたの。この村でもサツマイモを栽培している農家さんはあるけど、他の野菜も同時に育てているから、毎年消費する分の入荷が見込めないそうよ」
「わたし、毎年楽しみにしていたのに…」
「こっちも大打撃よ。この時期になるとサツマイモを使ったケーキの注文が入るんだけど、このままだと今年はお断りしないといけないわ。今日もすでに三つのご予約を受けているのに、作る事も出来ないの」
サツマイモが不作…って、それは大打撃だ。サツマイモで屋敷を建てた人がいるっていうぐらい最強の作物なのに。
俺が育てたサツマイモを使ってもらいたいけど、初めての収穫で品質に保証がないんだよね。
「そういえば、ハヤト君は畑で何を収穫したの?」
やっぱり話を振られたか…。
「今日、初めて収穫したので自信はないんですけど、ニンジンとサツマイモを…」
「「サツマイモ!!??」」
ベアトリスと店主のハモった声が響いた。
「少し、分けてもらえないかしら!?」
「でも、初めて収穫したから、品質とか全然保証無いですよ」
「見せて!!」
食いつく様に店主が迫ってきた。
こんな農業初体験!な俺の作物なんか、売り物にならないと思うんだけどな。
まあ、一つぐらい品質の高い物もあるかもしれないし、俺は両手に抱えていた作物の入った箱を床に置いた。
「これが今日収穫した物ですけど…」
床に箱が置かれると、店主が飛びついてきた。
ニンジンと一緒に入っているサツマイモを1つ1つ手に取って、じっくりと観察し始めた。
「……凄い……これ、本当に初めて収穫したの?」
「は…はい。収穫時が分からなくてちょっと早かったかな~って思うんですけど」
「そんなことないわ。とても素晴らしいわ。初めての収穫でこんな高品質、始めてみたわ」
え? 高品質? どういうこと?
「ね、このサツマイモ、10個ぐらい売ってくれないかしら?」
「それは構いませんけど…」
「この品質なら一個銅貨200ぐらいでどうかしら」
「銅貨200!? そんなに高く買ってくれるんですか!?」
「ええ!! 是非是非!!!」
ちょ…ちょっと待って。サツマイモの苗は一個銅貨20枚で購入したんだけど? 一つの苗から2~3個収穫できたんですけど? それが一個銅貨200枚って、どんだけ高級食材!?
サツマイモの栽培で屋敷を建てたという噂、本当だったんだね…。
店主に一個銅貨200枚で売り、俺は思わぬ臨時収入を得てしまった。
「ケーキを造ったら、持って行くわね~」
最初に会った時から想像がつかないほどニコニコ笑顔の店主は、手を振って見送ってくれた。
更にアンナの店に行くと、アンナのお父さんも俺の収穫した作物に飛びついた。
「これは素晴らしい! 本当に初めて収穫したのかい!?」
店に入った時、どんよりと沈んでいたアンナのお父さんも、お菓子屋の店主同様、表情が180度変わった。
俺の野菜、そんなに高品質なんですか?
「お父さんは食材の品質を見るスキルを持っているのよ。わたしはわからないけど、お父さんのお話だと食材を手に取ると、透明な板が目の前に現れて、その板に食材の名前、品質、鮮度、どこで作られた物かが書かれているんですって」
透明な板ってことは、俺がステータスとか言って浮かび上がるあの板と同じかな?
ってことは、ナタリアさんも物を見ただけで鑑定できたのは、同じように透明な板が浮かんでいたのかな?
「ハヤトくん! この作物、全部買い取らせてもらえないだろうか!?」
「別に構いませんけど……」
「ありがとう! 早速使わせてもらうよ!!」
作物の入った箱を嬉しそうに持ち上げたアンナのお父さんは、厨房へとは走り込んでいった。
「本当によかったのかい?」
すべて持って行った事に、アンナのお母さんが心配そうに声を掛けた。
「構いません。まだ、俺の家に調理器具がなくてどうしようか困っていたんです。それに、サツマイモって王都にはない食材なので、どうやって調理していいのか分からなかったんです」
「ハヤトくんがいいのならいいんだけど…」
「でも、どうして初めて作った作物がこんなに高品質なんだろう? お母さん、雑貨屋さんで売っている苗は品質ランクは1だよね?」
「ええ。畑の質がいいのかしら?」
「畑の…質?」
「ユーキ様の作る野菜はいつも高品質だったの。品評会でいつも優勝していたのよ。どうしたら高品質の作物を作ることができるの?って聞いたら、畑そのものの質を上げたって教えてくれたの。長い間、使っていなかったけど、もしかしたら土の下の方はその質のいい土が残っていたのかもしれないね」
あ……そういえば苗を植える前、ノームが畑を耕していたっけ。ノーム、かなり深い所から土を掘り起こしてくれたのかな?
それに、リーフたちも薬草を見つけては薬を作ってくれていたし、作物に優しい成長剤とか巻いていてくれたのかな?
だから初めての収穫なのに、作物の質がよかったのか。
これは来月のお祭りの為にも畑一面をサツマイモ畑にした方がいいのかもしれない。
「お~い! ちょっと来てくれ~!!」
厨房からアンナのお父さんの声が聞こえた。
「はいはい、今行きますよ~」
その声の応えるように、アンナのお母さんは厨房へと向かった。
「ハヤトくん、すぐにお料理を持ってくるね!」
アンナも嬉しそうに厨房へと向かった。
店に残された俺とベアトリスは、なんとなく顔を見合わせて、なんとなく微笑んだ。
しばらくして、厨房からいくつかの料理が運ばれてきた。
一口サイズに切ったサツマイモとご飯が一緒になった物、角切りのサツマイモに何か透明な膜がかけられている物、サツマイモそのものを茹でただけの物と、色々な料理が俺の前に広がった。
「食べてみて! すっごく美味しいから!」
アンナは「どうぞ!」と両手を広げた。
初めて見る料理に、俺は困惑している。これ、全部サツマイモを使った料理…だよね?
手に取ることを躊躇っていると、ベアトリスが茹でただけのサツマイモを手に取り、半分に割って俺の前に差し出してきた。
「はい、どうぞ。これは【ふかしイモ】っていうお料理よ。ただお湯で茹でただけなの」
「え? 茹でただけ?」
「そうよ。お湯で茹でて、お塩で味付けしただけなの。食べてびっくりするよ」
アンナは味見をしてきたんだろうね。顔がニヤニヤしている。
ベアトリスから受け取って、一口頬張った。
あ…甘い!!??
サツマイモって、こんなに甘い食べ物なの!?
しかもお湯で茹でただけって、俺にもできるじゃん!!
あ~~、外側にかけられた塩がいいアクセントになってる~~。
これは帰りにガンツさんの所で鍋を買って帰ろう。ノームやリーフたちにも食べさせたい。
「いや~、素晴らしい食材だったよ~」
「本当、本当。いい所にハヤトくんが来てくれて助かったわ」
厨房から出てきたアンナの両親もニコニコ顔だ。
「はい、これは買取金額よ。ありがとう」
アンナのお母さんが差し出してきたのは、なんと銀貨1枚だった。
へ!? 銀貨1枚!!??
「これだけの価値があるってことだよ。もしよければ、また持ってきてくれるかな? 特にサツマイモは大歓迎だよ。今年は入荷が見込めないからね」
よし、畑一面をサツマイモ畑にしよう。
確かに銅貨20枚の苗が、一個銅貨200枚以上で売れるのなら、そりゃ大量に作れば屋敷も作れるよな。しかもビニールハウスを使っていれば、一年中栽培できるんだから。
「こんにちは~。お邪魔しま~す」
そこにお菓子屋の店主がやってきた。
「おや、ケイト。いらっしゃい」
「あ~凄くいい匂い!」
「ケイトも食べていくかい?」
「いいんですか!? じゃあ、これはお礼です。仕入れたサツマイモで注文品を作ったんですが、多く作ってしまったのでお裾分けです」
お菓子職人のケイトさんは、紙の箱をテーブルの上に置いた。
「わぁ~い! ケイトお姉ちゃんのケーキ~~!!」
アンナが子供のようにはしゃいでいる。ベアトリスも急に目を輝かせた。
紙の箱を開けると、そこには細い紐状のクリームがグルグル巻いてある背の高いケーキがあった。
俺、初めて見るんですけど…。
「サツマイモのモンブランよ。とっても質のいいサツマイモだったから、ご注文を受けたお客様も大満足してくださったわ」
「ケイトお姉ちゃんもハヤトくんのサツマイモを使ったの?」
「ええ。ベアトリスのお使いに一緒に来てくれて、いくつか売って貰ったの。本当にありがとうね」
「い…いえ……」
なんだろう。今日はお礼ばかり言われるけど、なんか嬉しい。
「はやく他のお野菜も食べてみたいわ」
「果物も栽培してみたらどうかね? もちろん質が良ければ高値で買い取らせてもらうよ」
「そういえば、ユーキ様は牧場でお米も作られていたわね」
「小麦粉とかそば粉も卸してくれていたわ」
「これからが楽しみね、ハヤトくん!」
俺はこれからが不安だよ。この品質を下げられないんだから。
でも、みんなが喜んでくれるのなら、頑張る価値はある…かな?
それに、美味しい料理に巡り合えるし!!
<つづく>
昨日のナタリアさんが言っていたように、もしかしたら俺にも収穫時が分かるスキルを持っているかもしれない。
俺は誰もいない畑に立って、「【スキル】」と声を発した。
すると、透明な板が俺の目の前に浮かんだ。
スキルの一覧に、収穫時のタイミングが分かるスキルはないか探してみた。
だが、どこを探してもそれらしいスキル名はなかった。まだ俺は習得していないのかもしれない。
一つ気になるのは、冒険にも出ていないし、魔物とも戦った記憶がないのに、何故か水属性攻撃魔法、水属性防御、土属性攻撃魔法、土属性防御のレベルが上がっているということ。
スキル一覧は取得しているスキルが左隅に書かれ、その横に水色の棒が描かれている。そしてその水色の棒の右側には数字が書かれてある。たぶん、水色の棒は経験値、右側の数字はレベルだと思う。
これは……畑を耕して、作物に水を与えているから、それが影響しているのかな?
試しにクワで畑を耕してみたら、なんと土属性攻撃魔法と土属性防御の水色の棒が少しだけ右側に動いた。
やっぱりこれは経験値を表す棒なんだ。
と、なると、畑を耕しているだけで、土属性の攻撃魔法と防御のレベルが上がるってことは、無理に冒険に出なくてもいいってことだよね?
だとすると、何もかもノームやリーフにまかせっきりにすると、俺のスキルレベルが上がらないってことか。少し分担して働くかな。
それよりも収穫に使えるスキルがない事にがっかりだ。
もういいや、地道に様子を見ながら収穫していこ。
俺は目の前に埋まっているニンジンを一本抜いた。
大きさや太さは店に並んでいる物よりも小さい。やっぱり抜くのが早かったか。
そう思いながらサツマイモを植えてある場所に向かおうとした時、出しっぱなしにしていたスキル画面に異変が現れた。
なんと農耕のすぐ下に【収穫】という文字が加わったのだ。さっき、ニンジンを一本抜いたので、経験値が半分に伸びた。
たしか詳細を見るにはその言葉を軽くタッチするんだっけ。
【収穫】という文字に軽く触れると、新しい透明な板が現れた。
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|【収穫】 |
|作物・花を収穫することで上がるスキル。|
|一定のレベルに達すると、収穫できる作物|
|の上にマークが現れる。 |
|レベルを上げていくと、作物の品質が分か|
|るようになる。 |
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なんだと!? レベルが上がれば収穫できる作物の上にマークが出るだと!?
これは何が何でもレベルをあげなくては!
リーフたちが手伝ってくれるかもしれないけど、最初は俺一人で収穫しよう。でなければレベルが上がらない!
なんとかリーフたちが手伝いに来る前に、20本近く植えていたニンジンをすべて抜き終えた。
経験値は? 経験値はどうなった?
透明な板でスキルを確認すると、ニンジン20本抜いただけなのに、収穫のレベルが3にまで上がった。これはサツマイモも全部抜くともっとレベルがあがるんじゃないのか?
よっしゃー! サツマイモも全部抜いてやる!!
なんて意気込んでいたが、やはり今まで水やりをリーフたちに頼んでいたという事もあり、サツマイモが思った以上に多く埋まっていた。自分で植えたはずなのに、把握できないなんて…。
だけど、残り五株を残してサツマイモを収穫し終えると、突然、埋まっているサツマイモの上に、赤い逆三角形のマークが見えるようになった。
これが収穫レベルを上げると現れるマークか! このマークが着いている作物は収穫可能ってことか。その証拠に、収穫を終えたサツマイモの株の上には赤い逆三角形のマークは付いていなかった。
これで収穫が楽になる!
よし、また雑貨屋でニンジンの苗を買ってきて畑に植えよう。
その前に収穫したこの作物、どうしよう。料理したくても調理器具がないし、サツマイモは初めて見る作物だから調理の仕方が分からないし……。
アンナの店に持って行けば何か作ってくれるかな?
とりあえず収穫したニンジンとサツマイモを持って、アンナの店に向かうことにした。
牧場を出た所でベアトリスに出会った。
「こんにちは、ハヤト君。今からお出かけ?」
相変わらず可愛いベアトリスは、楕円形の小さな茶色い種を沢山いれた籠を下げていた。
「ベアトリス」
「あ、もしかして初収穫!?」
「ま…まあ、そんなところ。今からアンナの店で調理してもらおうと思って」
「ハヤト君自身はお料理しないの?」
「調理器具が揃っていないんだ」
さすがに言えない…。俺、本当は料理が出来ないってことを…。
具材を用意されてて、「はい、後はパンに挟んでください!」っていう状態だったら得意なんだけどね。
「そっか、今は母屋を修復中だったものね。早くお料理できるといいね」
にっこりと微笑むベアトリスに、真実を話せない俺は罪悪感に襲われている。
変な汗が出てきそう…。
「ベアトリスもどこかに行くのか?」
「わたしはお父さんのお使いなの。ふれあい広場にお菓子職人がお店を開いているんだけど、毎年秋にこのカカオの注文を受けているの」
「かかお?」
「ハヤト君は馴染みないの? 夏祭りにチョコバナナは食べた? バナナに掛かっていた茶色いソースの原料が、このカカオなの。お菓子職人さんがチョコレートに加工してくれるのよ」
え? どうやってこの種みたいな物があの液体になるの?
なんか特殊な道具を使うの?
もしかして錬金術とか?
初めて見る作物に、俺は興味津々だった。
「わたしもアンナのお店に行く用事があるから、一緒に行きましょ」
ベアトリスはクスクス笑っている。俺があまりにもカカオっていう作物をじっと見ていたからだろう。
恥ずかしい行動を取ってしまった。
ふれあい広場までくると、何人かの店主たちが固まって、何やら真剣な顔で話し合っていた。
「皆さん、こんにちは。どうかなさいましたか?」
ベアトリスが声を掛けると、店主たちは明らかに作り笑顔だとわかる表情を見せた。
「や…やあ、ベアトリス。お使いかい?」
肉を売る店の店主が最初に挨拶を返してきた。
「ええ、今年もカカオが収穫できたのでお届けに来ました」
「そ…そうかい。今年もチョコレートが出来上がるのを楽しみにしているよ」
夏祭りでチョコバナナを売っていた果物屋の店主も、心なしか笑顔が固い。
店主たちの前から立ち去る時、
「今年の祭りは中止になるのかね?」
「入荷がないのならそうだろ」
「なんだって今年に限って…」
と、声が聞こえてきた。
これは何か大きな事件が起きたとしか思えない。
お菓子職人の店にカカオを届けると、そこの店主も表情が落ち込んでいた。
「何かあったんですか?」
店主は女性で、頭に白いバンダナを巻き、そのバンダナを止めているヘアピンが銀色だった。
店の中にも職業ランクSを証明する証書が飾られていた。なんでも王都で王室御用達のお菓子屋で修業を積み、王室が開催した料理大会で優勝した成績を持つお菓子を専門に作る職人らしい。
「それがね、いつもこの村に入荷してくれるサツマイモ農家さんが、今年は不作らしいの」
「不作?」
「ええ。毎年この村に入荷してくれる農家さんは、もう長い事サツマイモを栽培している農家さんなんだけど、今年は苗が全く育たなかったそうなの。いつものように水を与え、いつものようにお世話していたのに、収穫時期になっても、サツマイモが実らなかったそうよ」
「それじゃあ、今年のサツマイモ祭りは…」
「中止かも知れないねって話していたの。この村でもサツマイモを栽培している農家さんはあるけど、他の野菜も同時に育てているから、毎年消費する分の入荷が見込めないそうよ」
「わたし、毎年楽しみにしていたのに…」
「こっちも大打撃よ。この時期になるとサツマイモを使ったケーキの注文が入るんだけど、このままだと今年はお断りしないといけないわ。今日もすでに三つのご予約を受けているのに、作る事も出来ないの」
サツマイモが不作…って、それは大打撃だ。サツマイモで屋敷を建てた人がいるっていうぐらい最強の作物なのに。
俺が育てたサツマイモを使ってもらいたいけど、初めての収穫で品質に保証がないんだよね。
「そういえば、ハヤト君は畑で何を収穫したの?」
やっぱり話を振られたか…。
「今日、初めて収穫したので自信はないんですけど、ニンジンとサツマイモを…」
「「サツマイモ!!??」」
ベアトリスと店主のハモった声が響いた。
「少し、分けてもらえないかしら!?」
「でも、初めて収穫したから、品質とか全然保証無いですよ」
「見せて!!」
食いつく様に店主が迫ってきた。
こんな農業初体験!な俺の作物なんか、売り物にならないと思うんだけどな。
まあ、一つぐらい品質の高い物もあるかもしれないし、俺は両手に抱えていた作物の入った箱を床に置いた。
「これが今日収穫した物ですけど…」
床に箱が置かれると、店主が飛びついてきた。
ニンジンと一緒に入っているサツマイモを1つ1つ手に取って、じっくりと観察し始めた。
「……凄い……これ、本当に初めて収穫したの?」
「は…はい。収穫時が分からなくてちょっと早かったかな~って思うんですけど」
「そんなことないわ。とても素晴らしいわ。初めての収穫でこんな高品質、始めてみたわ」
え? 高品質? どういうこと?
「ね、このサツマイモ、10個ぐらい売ってくれないかしら?」
「それは構いませんけど…」
「この品質なら一個銅貨200ぐらいでどうかしら」
「銅貨200!? そんなに高く買ってくれるんですか!?」
「ええ!! 是非是非!!!」
ちょ…ちょっと待って。サツマイモの苗は一個銅貨20枚で購入したんだけど? 一つの苗から2~3個収穫できたんですけど? それが一個銅貨200枚って、どんだけ高級食材!?
サツマイモの栽培で屋敷を建てたという噂、本当だったんだね…。
店主に一個銅貨200枚で売り、俺は思わぬ臨時収入を得てしまった。
「ケーキを造ったら、持って行くわね~」
最初に会った時から想像がつかないほどニコニコ笑顔の店主は、手を振って見送ってくれた。
更にアンナの店に行くと、アンナのお父さんも俺の収穫した作物に飛びついた。
「これは素晴らしい! 本当に初めて収穫したのかい!?」
店に入った時、どんよりと沈んでいたアンナのお父さんも、お菓子屋の店主同様、表情が180度変わった。
俺の野菜、そんなに高品質なんですか?
「お父さんは食材の品質を見るスキルを持っているのよ。わたしはわからないけど、お父さんのお話だと食材を手に取ると、透明な板が目の前に現れて、その板に食材の名前、品質、鮮度、どこで作られた物かが書かれているんですって」
透明な板ってことは、俺がステータスとか言って浮かび上がるあの板と同じかな?
ってことは、ナタリアさんも物を見ただけで鑑定できたのは、同じように透明な板が浮かんでいたのかな?
「ハヤトくん! この作物、全部買い取らせてもらえないだろうか!?」
「別に構いませんけど……」
「ありがとう! 早速使わせてもらうよ!!」
作物の入った箱を嬉しそうに持ち上げたアンナのお父さんは、厨房へとは走り込んでいった。
「本当によかったのかい?」
すべて持って行った事に、アンナのお母さんが心配そうに声を掛けた。
「構いません。まだ、俺の家に調理器具がなくてどうしようか困っていたんです。それに、サツマイモって王都にはない食材なので、どうやって調理していいのか分からなかったんです」
「ハヤトくんがいいのならいいんだけど…」
「でも、どうして初めて作った作物がこんなに高品質なんだろう? お母さん、雑貨屋さんで売っている苗は品質ランクは1だよね?」
「ええ。畑の質がいいのかしら?」
「畑の…質?」
「ユーキ様の作る野菜はいつも高品質だったの。品評会でいつも優勝していたのよ。どうしたら高品質の作物を作ることができるの?って聞いたら、畑そのものの質を上げたって教えてくれたの。長い間、使っていなかったけど、もしかしたら土の下の方はその質のいい土が残っていたのかもしれないね」
あ……そういえば苗を植える前、ノームが畑を耕していたっけ。ノーム、かなり深い所から土を掘り起こしてくれたのかな?
それに、リーフたちも薬草を見つけては薬を作ってくれていたし、作物に優しい成長剤とか巻いていてくれたのかな?
だから初めての収穫なのに、作物の質がよかったのか。
これは来月のお祭りの為にも畑一面をサツマイモ畑にした方がいいのかもしれない。
「お~い! ちょっと来てくれ~!!」
厨房からアンナのお父さんの声が聞こえた。
「はいはい、今行きますよ~」
その声の応えるように、アンナのお母さんは厨房へと向かった。
「ハヤトくん、すぐにお料理を持ってくるね!」
アンナも嬉しそうに厨房へと向かった。
店に残された俺とベアトリスは、なんとなく顔を見合わせて、なんとなく微笑んだ。
しばらくして、厨房からいくつかの料理が運ばれてきた。
一口サイズに切ったサツマイモとご飯が一緒になった物、角切りのサツマイモに何か透明な膜がかけられている物、サツマイモそのものを茹でただけの物と、色々な料理が俺の前に広がった。
「食べてみて! すっごく美味しいから!」
アンナは「どうぞ!」と両手を広げた。
初めて見る料理に、俺は困惑している。これ、全部サツマイモを使った料理…だよね?
手に取ることを躊躇っていると、ベアトリスが茹でただけのサツマイモを手に取り、半分に割って俺の前に差し出してきた。
「はい、どうぞ。これは【ふかしイモ】っていうお料理よ。ただお湯で茹でただけなの」
「え? 茹でただけ?」
「そうよ。お湯で茹でて、お塩で味付けしただけなの。食べてびっくりするよ」
アンナは味見をしてきたんだろうね。顔がニヤニヤしている。
ベアトリスから受け取って、一口頬張った。
あ…甘い!!??
サツマイモって、こんなに甘い食べ物なの!?
しかもお湯で茹でただけって、俺にもできるじゃん!!
あ~~、外側にかけられた塩がいいアクセントになってる~~。
これは帰りにガンツさんの所で鍋を買って帰ろう。ノームやリーフたちにも食べさせたい。
「いや~、素晴らしい食材だったよ~」
「本当、本当。いい所にハヤトくんが来てくれて助かったわ」
厨房から出てきたアンナの両親もニコニコ顔だ。
「はい、これは買取金額よ。ありがとう」
アンナのお母さんが差し出してきたのは、なんと銀貨1枚だった。
へ!? 銀貨1枚!!??
「これだけの価値があるってことだよ。もしよければ、また持ってきてくれるかな? 特にサツマイモは大歓迎だよ。今年は入荷が見込めないからね」
よし、畑一面をサツマイモ畑にしよう。
確かに銅貨20枚の苗が、一個銅貨200枚以上で売れるのなら、そりゃ大量に作れば屋敷も作れるよな。しかもビニールハウスを使っていれば、一年中栽培できるんだから。
「こんにちは~。お邪魔しま~す」
そこにお菓子屋の店主がやってきた。
「おや、ケイト。いらっしゃい」
「あ~凄くいい匂い!」
「ケイトも食べていくかい?」
「いいんですか!? じゃあ、これはお礼です。仕入れたサツマイモで注文品を作ったんですが、多く作ってしまったのでお裾分けです」
お菓子職人のケイトさんは、紙の箱をテーブルの上に置いた。
「わぁ~い! ケイトお姉ちゃんのケーキ~~!!」
アンナが子供のようにはしゃいでいる。ベアトリスも急に目を輝かせた。
紙の箱を開けると、そこには細い紐状のクリームがグルグル巻いてある背の高いケーキがあった。
俺、初めて見るんですけど…。
「サツマイモのモンブランよ。とっても質のいいサツマイモだったから、ご注文を受けたお客様も大満足してくださったわ」
「ケイトお姉ちゃんもハヤトくんのサツマイモを使ったの?」
「ええ。ベアトリスのお使いに一緒に来てくれて、いくつか売って貰ったの。本当にありがとうね」
「い…いえ……」
なんだろう。今日はお礼ばかり言われるけど、なんか嬉しい。
「はやく他のお野菜も食べてみたいわ」
「果物も栽培してみたらどうかね? もちろん質が良ければ高値で買い取らせてもらうよ」
「そういえば、ユーキ様は牧場でお米も作られていたわね」
「小麦粉とかそば粉も卸してくれていたわ」
「これからが楽しみね、ハヤトくん!」
俺はこれからが不安だよ。この品質を下げられないんだから。
でも、みんなが喜んでくれるのなら、頑張る価値はある…かな?
それに、美味しい料理に巡り合えるし!!
<つづく>
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