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子供達を
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数日がたち、元の日常に戻った。
カイルの仕事を手伝いながら、日々を過ごす。
この世界にもだいぶと馴染んだと思う。
納得できないこともあるが…それがこの世界の常識なら受け入れるしか無い。
その一つが、いつの間にか戸籍はカイルの伴侶として登録された事だ。
いわゆる婚姻関係として…
この世界では同性同士でも婚姻関係が結べるらしいから……って、私はサインしてないと思うが……
もしかして、この前カイル に見せられ、サインした書類がそうなのか?
この世界の文字は読めるはずなのだが、あの書類の文字は読めなかった。
カイルいわく、古代文字で書かれているもので、古くから戸籍管理に使われているとか…
異世界から渡ってきた者がこの世界、この国で戸籍を取得するための物だと説明され、サインした。
この世界で生きて行くのに必要なら……そう思ってしたのだが……
「まるで、騙し討ちにあったみたいですね…」
ため息しか出てこない。
あの書面にサインしてから、カイルの機嫌がすこぶる良くなり、以前より束縛態度が緩くなった気がする。
不安が少し払拭されたのだろう。
ほぼ毎晩愛されたが、抱き潰される回数が減った。
馬車が止まり、目的地についた。
今日は教会の施設に用事があったから…
この世界にも身寄りのない子供達がおり、そこ達の世話をする施設が教会と併設されていると知ったから。
戦争孤児や、両親が病気などで亡くなった場合。
もしくは育てられない諸事情で…
ついつい、妹達を思い出し、自分でできる範囲の助力をしようと考えた。
勿論カイルの許可は取ってある。
勝手に動くと後で何をされるか分からないから……
機嫌が悪くなるからね…
「私はアキに対しては許了範囲が狭いんです。諦めてくださいね」
和かにそう言われ続ければ、諦めるしかない。
全部を諦めるのでは無いのですが……
それなりの対応をするしか無いよね…
施設の中に足を運び、神父件施設長に挨拶する。
お菓子と絵本を持って、子供達に会いに行く。
ちょうど子供達は施設の庭で遊んでいたようだ。
「アキ様だ」
「いらっしゃい」
「今日は何して遊ぶ?」
「絵本読んで」
子供達が集まってきた。
いつも通り、子供の目線まで姿勢を低くして会話する。
ふと、遠くで見知った子供達がいた。
この子達とはなれた場所にいる3人の子供。
あの子達は、確か……
そうだ、カイルと仕事をよくしていた魔力研究の仲間のセリシアの子供だと思う。
彼女の夫は確か近衛で殉死し、彼女自身1人で子育てと仕事とこなしていたはず。
体調を崩して休んでいると聞いていたが…何故その子供達が?
彼女とはよく会っていたし(カイルの仕事場でだが)会話もした。
気さくな、可愛らしい女性だった。
子供達とも何度か会って、遊んだりもした。
その彼女の子供達が…なぜ?
近くにいるシスターに尋ねてみる。
「あの子達は以前この施設で育ったセリシアの子供達です。彼女は1週間前に亡くなって…身寄りのないあの子達をここで引き取っているのですが、この施設の子供達も人員が一杯で…可哀想なのですが、3人バラバラで他の施設に行くことになりそうです。」
「……………」
「今、交渉中なんですが…ご存じかと思いますが、3年前、地方で大きな災害がありまして、国が直ぐに対策を立てられ対応されたのですが、どうしても身寄りのない子供達が増え、その時に沢山の子供達を各施設で預かりましたので……」
そういえば、カイルの仕事を手伝っていた時、そんな話を聞いたような…
そう思いながら、セシリアの子供達を見つめる。
昔の自分を思い出して…仲の良かった妹達。
今はどうしているのだろうか…
家族が、しかも小さいうちに大人の都合でバラバラにされるのは……
「あの子達の件は少し待ってもらえませんか?」
「どうされましたか?」
「私もセシリアさんにはお世話になったりもしていたので…あの子達の力になれるか…その、少し相談してきます。」
そう言って、子供達にも声をかけて、その場を後にした。
カイルに相談してみよう。
どう言われるかはわからないが……
でも………
そう決意して、カイルの元に向かった。
カイルの仕事を手伝いながら、日々を過ごす。
この世界にもだいぶと馴染んだと思う。
納得できないこともあるが…それがこの世界の常識なら受け入れるしか無い。
その一つが、いつの間にか戸籍はカイルの伴侶として登録された事だ。
いわゆる婚姻関係として…
この世界では同性同士でも婚姻関係が結べるらしいから……って、私はサインしてないと思うが……
もしかして、この前カイル に見せられ、サインした書類がそうなのか?
この世界の文字は読めるはずなのだが、あの書類の文字は読めなかった。
カイルいわく、古代文字で書かれているもので、古くから戸籍管理に使われているとか…
異世界から渡ってきた者がこの世界、この国で戸籍を取得するための物だと説明され、サインした。
この世界で生きて行くのに必要なら……そう思ってしたのだが……
「まるで、騙し討ちにあったみたいですね…」
ため息しか出てこない。
あの書面にサインしてから、カイルの機嫌がすこぶる良くなり、以前より束縛態度が緩くなった気がする。
不安が少し払拭されたのだろう。
ほぼ毎晩愛されたが、抱き潰される回数が減った。
馬車が止まり、目的地についた。
今日は教会の施設に用事があったから…
この世界にも身寄りのない子供達がおり、そこ達の世話をする施設が教会と併設されていると知ったから。
戦争孤児や、両親が病気などで亡くなった場合。
もしくは育てられない諸事情で…
ついつい、妹達を思い出し、自分でできる範囲の助力をしようと考えた。
勿論カイルの許可は取ってある。
勝手に動くと後で何をされるか分からないから……
機嫌が悪くなるからね…
「私はアキに対しては許了範囲が狭いんです。諦めてくださいね」
和かにそう言われ続ければ、諦めるしかない。
全部を諦めるのでは無いのですが……
それなりの対応をするしか無いよね…
施設の中に足を運び、神父件施設長に挨拶する。
お菓子と絵本を持って、子供達に会いに行く。
ちょうど子供達は施設の庭で遊んでいたようだ。
「アキ様だ」
「いらっしゃい」
「今日は何して遊ぶ?」
「絵本読んで」
子供達が集まってきた。
いつも通り、子供の目線まで姿勢を低くして会話する。
ふと、遠くで見知った子供達がいた。
この子達とはなれた場所にいる3人の子供。
あの子達は、確か……
そうだ、カイルと仕事をよくしていた魔力研究の仲間のセリシアの子供だと思う。
彼女の夫は確か近衛で殉死し、彼女自身1人で子育てと仕事とこなしていたはず。
体調を崩して休んでいると聞いていたが…何故その子供達が?
彼女とはよく会っていたし(カイルの仕事場でだが)会話もした。
気さくな、可愛らしい女性だった。
子供達とも何度か会って、遊んだりもした。
その彼女の子供達が…なぜ?
近くにいるシスターに尋ねてみる。
「あの子達は以前この施設で育ったセリシアの子供達です。彼女は1週間前に亡くなって…身寄りのないあの子達をここで引き取っているのですが、この施設の子供達も人員が一杯で…可哀想なのですが、3人バラバラで他の施設に行くことになりそうです。」
「……………」
「今、交渉中なんですが…ご存じかと思いますが、3年前、地方で大きな災害がありまして、国が直ぐに対策を立てられ対応されたのですが、どうしても身寄りのない子供達が増え、その時に沢山の子供達を各施設で預かりましたので……」
そういえば、カイルの仕事を手伝っていた時、そんな話を聞いたような…
そう思いながら、セシリアの子供達を見つめる。
昔の自分を思い出して…仲の良かった妹達。
今はどうしているのだろうか…
家族が、しかも小さいうちに大人の都合でバラバラにされるのは……
「あの子達の件は少し待ってもらえませんか?」
「どうされましたか?」
「私もセシリアさんにはお世話になったりもしていたので…あの子達の力になれるか…その、少し相談してきます。」
そう言って、子供達にも声をかけて、その場を後にした。
カイルに相談してみよう。
どう言われるかはわからないが……
でも………
そう決意して、カイルの元に向かった。
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