番だと言われて囲われました。

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時は過ぎ

逢えて抱きしめる

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一瞬、驚きの表情を見せた女性。間違いない……私の妹……早く側に行き抱きしめたい気持ちになるが、そこは抑える。
カイルに声かけて、亜希子の元に向かう。
もちろん、カイルもついて来てくれた。
アキコの側にはナディル殿下がいるから、いきなり私だけ行けば不敬と取られる可能性があるからだ。

亜希子はナディル殿下の服の裾を引っ張っているようだ。

一瞬驚くナディル殿下の困惑の表情が見受けられたが、すぐににこやかな笑顔になっている。
さすが皇族と思ってしまった。でも、あまり妹に触れて欲しくない。
兄としてのやきもちか……

亜希子は困惑気味のようだ。
私の見た目と、別れた時と違うから……そして、この世界で会うはずがないと思っていたからだろう……


「久しぶりだね。」
カイルがナディル殿下に声をかける。
ナディル殿下が軽く会釈して答えて来た。

「久しぶりです。ごぶさたしてます。カイル殿」

そして、ニコニコしながら亜希子に私達を紹介してくれる。

「アキコ、こちらは、カイル  ・シュナイゼル殿下で、祖父の双子の兄だよ。現在確か75歳でしたよね。過去に魔術師団長を務め、確か異世界からの番い持ちだ。」

亜希子に見つめられ、もう我慢の限界だった。

「………………あ………亜希子???……」

声を震わせて声かける。
『誰かに似ている………だれ………』
亜希子の心の声がそう聴こえそうだ……

いきなり抱きしめてしまった。

ナディル殿下とカイルが引きつって固まっているが、かまっておれない。

「亜希子………亜希子………夢のようだ。何故君がここに???」
「あの~~~ 何処かでお会いしたような……」

亜希子は戸惑いを隠せないようで、オロオロしている。
亜希子の温もりを感じながら、声かける。私だ。兄なんだよと!!その思いで…

「亜希子。生きていたんだね。でも何故ここに??私は亜紀だ。君の兄の!!」
「亜紀??兄様??どうして??」

亜希子が瞳を見開いて見つめてくる。

「兄は特攻隊に選ばれたと聞いた…そして、戦死したと報せをうけた…その兄が、年齢はかなり上にはなってるけど、生きていた………この世界で………」
そう小声で呟いている。たぶん無意識だろう。心の声が口から漏れ出ている…そんな感じだ。

涙を浮かべながら、私にひしっとしがみついてきた。勿論、私も抱きしめる。
お互い涙が止まらない。

「兄様………兄様………会いたかった………」

涙しながら、亜希子の頭を撫でる。
今ではシワの増えた手ではあったが、昔 よくやっていたように…

ナディル殿下とカイルに促され、休憩のできる別室に向かう。
ナディル殿下もカイルも一瞬不機嫌になったが、2人きりにしてくれた。
ゆっくり話した方がいいと。

そして、お互いのことを話し、再度涙した。
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