黒柳悦郎は走ったり走らなかったりする

織姫ゆん

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13章 十三日目 いろんな趣味

13-9 いつもっぽくごまかせなかった夜

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「あー、ねー」

就寝前、いつものように咲と通話アプリでダラダラと雑談をしていた。

「そういえば、帰りに駅前のコンビニで若竹さんと会ったよ」
「お、地方回りから帰ってきてたのか」
「地方回り?」

そういえば咲は若竹たちがなんで遠征してたのか知らなかったっけ。
俺は出発前に若竹たちと会って話したことを咲に伝えた。

「ふーん、地方でライブしてたのか。大変だね」
「まあな。でも、メディアに乗らない以上自分たちで行くしかないからな。そこはしゃーない」
「ふふっ。でも旅行みたいでちょっと楽しそうだよね」
「それはあるかもな」
「今度オカルト研究部でも合宿する? たとえば、オカルト研らしく地方のパワースポット巡りとか」
「いちおう洋子先輩に言っとく。たぶん、忘れるだろうけど」
「あはは~」

そしてコロコロと話題が変わる。

「そういえばさ、夜ご飯のときカレーの話ししてて思い出したんだけど、カレーの種類ってホントいっぱいあるよね」
「カレーの種類? ルーのメーカーとかか?」
「違う違う。カレーを使った料理ってこと。ほら、今日はドライカレーだったじゃない? あんな感じの、よくあるカレーライス以外のカレー料理」
「ああ。そういうことな」
「寝る前とかけっこう想像しづらいし、今日ドライカレー食べたばっかりで難しいかもしれないけど、そういうカレーライス以外なら何食べたい?」
「そうだなあ……」

俺は思いつくものをそのまま咲に伝える。

「カレーうどんとか」
「あー、美味しいよねカレーうどん」
「カレーそばとか」
「うんうん。いいよね、お蕎麦屋さんのカレーって」
「カレー南蛮」
「なんかさー、全部お蕎麦屋さんのカレーじゃない?」
「っていうか、カレー料理って他なにがあるのさ」
「え? うーん……言われてみれば。カレーまんとか?」
「それ料理に入れていいのか?」
「ちょっと違う気もする」
「だろ?」
「あれ……もしかして意外と少ないのかも」
「味付け的にカレーを使うのはあるけど、カレーメインだとそんくらいなんじゃね?」
「かもねー」

そろそろカレーの話しは終わりかと思ったそのとき。

「あっ、一個思い出した」
「なんだよ」
「焼きカレー!」
「それもカレーライスの一種じゃねーか?」
「あー、それもそっか。じゃあライスカレー」
「ひっくり返しただけじゃねーか」
「あははー」

そんな感じで今日もいつもどおりに夜は更けていった。

「ってちょっと待って」
「なんだ?」
「いまいい感じに締めようとしたでしょ。バレてるんだから」
「ちっ」
「ほらほら、今日も腕立てする」
「わかったよ」

うまくごまかせたかと思ったがそうはいかなかった。
そして今日は昨日よりも、咲の掛け声がさらにゆっくりになったような気がした。
そのペースでの腕立ては10回が限界だった。

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