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16章 十六日目 テスト勉強
16-3 いつもより広い試験範囲
しおりを挟む「はい、じゃあ今日の授業はここまで」
「きりーつ、きをつけー、れい」
午前中最後のコマ。
みどり先生の英語の授業が終わった。
日直の号令に合わせて、クラス全員が先生にお辞儀をする。
みどり先生もそれに合わせてペコっと軽くお辞儀をしてくる。
「先生、テスト範囲ってどこからどこまでですか?」
教卓で片付けをしはじめた先生に、女子生徒が駆け寄り尋ねる。
みどり先生は少しだけ焦った表情を浮かべて、俺たちに声をかけた。
「ごめんなさい、言い忘れてたけど、期末テストの範囲は今日のところまでね」
「レッスン6から10までってことですか?」
男子生徒が細かい範囲を確認する。
「え、ええ。そうね。今日のところまでだから、10までね」
パラパラと教科書をめくりながら、先生が答えた。
「みどりちゃん。でも中間でレッスン6って範囲だったよ? 重複するってこと?」
別の男子が先生に尋ねた。
「え? え? え? そ、そうだった?」
どうやらみどり先生は、混乱しているようだ。
こんなときに頼りになるのは……。
「ちーちゃん、どうだったっけ?」
「レッスン6は確かに範囲だった。ただし、問題作るときにみどりちゃんが入れ忘れた」
「あっ……」
咲が緑青に尋ね、みどり先生の忘れたかった記憶を掘り起こす。
「そうだった……それで原田先生に怒られたんだった」
がっくりと肩を落とすみどり先生。
それを周りにいた女子たちが慰めている。
「よしよし、今度は間違えないようにしようね」
「うん」
どっちが先生でどっちが生徒だかわかりゃしない。
まあでも、そういうのがみどり先生らしいといえばらしいのかもしれない。
「で、どうすんの? みどりちゃん」
わりと空気を読まずに近藤がみどり先生に尋ねる。
「くすん。じゃあレッスン6から10までを範囲にさせてね。普通よりちょっと広くなっちゃうけど、きっとみんなならできるよね」
試験範囲で単元がひとつ増えるってのは割りと大きな問題だったが、クラスの連中は仕方がないなあという顔で納得しているようだった。
「しょうがないよね。ここでごねても仕方ないし」
「そうだな。またみどり先生が叱られるようなことになっても可哀想だし」
「ぐふふ……」
自分たちの苦労はおいといて、みどり先生に気を使う俺たち。
ところが一人だけ、嬉しそうに微笑む者がいた。
緑青だ。
「なんだ緑青。なにほくそ笑んでる」
「だって、これでどのあたりの問題が出るか、少しだけわかるじゃない」
「あ? どういうことだ?」
「これでレッスン6の問題が出ないわけないでしょ?」
「あっ、なるほど」
近くで聞き耳を立てていた藤黄が思わず声を漏らす。
「さすが緑青。悪どい」
頷きながら自分の席に戻り、何かをメモしている。
悪どいとか言いつつ、しっかりとそれを自分の試験対策にも取り入れるのだろう。
あいつはそういうやつだ。
「じゃあそういうことだから。試験範囲はレッスン6から10までね。みんな勉強がんばってね」
「はーい」
そうして、今日の午前の授業は終了した。
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