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18章 十八日目
18-5 いつもと違う場所でのお昼ごはん
しおりを挟むキーンコーンカーンコーンと、いつものようにチャイムが午前の授業の終了を告げた。
「はい、じゃあ休憩にしてよろし」
謎のポーズでノシノシと歩きながら、春日部が更衣室の方からプールサイドへと姿を現した。
「せんせー。今日のお昼はここで食べてもいいですかー?」
春日部のあとに続いて、更衣室や用具室の掃除をしていた女子たちもまたプールサイドにやってくる。
「うむ。よろしい。ただし、散らかしたりしないようにな」
「はーい」
咲の問いかけに春日部がニカッと輝く白い歯を見せながら笑顔で答えた。
そしてそのまま異常なほど胸を張り、身体を左右に振りながらプールから出ていった。
「じゃあ今日はここでお昼だな」
男子も女子もバラバラとばらけて、ごく自然な流れでいつものメンツで集まっていく。
「私ちょっとお弁当取りに行ってくるね」
「悦郎も一緒に行け」
「はいはい」
緑青に言われるまでもなく、俺も咲のお供をするつもりでいた。
* * *
そして大したトラブルもなく、俺たちはプールサイドにお弁当を広げた。
「なんかこれ、ピクニックとかみたいだね」
「ちょっと日差しきつすぎるけどな」
「まあね。ここ屋根ないし」
といってもそれは、プールに屋根がないということではない。
屋根のあるゾーンにはベンチが設置されていて、すでにそこは占拠されてしまっていた、という意味だ。
「うえーい、合流~」
近藤たち購買組が遅れてやってきた。
「お、レジャーシートなんか広げて、準備いいな」
「麗美のとこの是枝さんがな」
「これえだ? ああ。黒服の人か。そりゃ準備いいに決まってるか」
「ああ」
屋根とベンチのあるゾーンは先に取られてしまったが、それでも一番快適にすごしているのはおそらく俺達のグループだろう。
でもまあそれも、ほぼ麗美のおかげ。
正確には麗美のボディガードである是枝さんたちのおかげなんだけどな。
「こちらどうぞ、お使いください」
「あ、ありがとうございます」
「こちらどうぞ」
「え? いいんですか?」
とはいえ、是枝さんたちがレジャーシートを差し入れしているのは俺たちに対してだけではない。
逆側のプールサイドに目をやれば、そこかしこで麗美のところの黒服の人たちがクラスメイトたちにレジャーシートを提供している姿が見える。
しばらくするとプールサイドは、まるで花見シーズンの桜並木のある某公園のようになってしまった。
「ってかいつの間にかみどり先生も参加してるし」
「いーじゃないのよー。たまにはこうやって、青空の下でお昼食べたいの」
「ぐふふ。どうせテストの採点に疲れて逃げてきただけ」
「ぎくっ」
「まあ、向こうのシートに主任先生も混じってるから怒られないんじゃない?」
「あ、ホントだ」
「てかホントに自由だよな。自由登校だけに」
「来ても来なくてもいいくらいだしな」
「そのわりにはうちのクラス、ほとんどのやつが来てるんじゃね?」
「学校好きなんだろ?」
「そうかもしれないな」
咲の作ってくれたおにぎりと麗美のサンドイッチを交互に食べながら、近藤とどうでもいいことをダベる。
緑色に濁った水をたたえたプールの底は、もう少しで見えそうになってきていた。
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