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19章 十九日目
19-6 だいたいいつもどおりなオカルト研究部
しおりを挟む「おー、みんなおつかれー。これ差し入れなー」
「ありがとうございます」
放課後、俺たちに少し遅れて洋子さんが人数分の飲み物を持って部室へとやってきた。
今日は珍しく、長い髪を結わっている。
「洋子さん、それ」
「ん?」
さすが女子というところだろうか。
俺が指摘するよりも早く、咲が洋子さんの髪型について質問していた。
「ああ、これな。暑いからな」
「え? それだけですか?」
「そうだぞ。それ以外になにかあるか?」
長身でスタイル抜群で、顔もかなり美人な洋子さん。
ところがそれに反比例するかのように、本人はその見た目にほとんど興味がない。
まあ、俺の周りには意外とそういう人が多いが、洋子さんは特にその傾向が強い。
「ものすごく似合ってます、それ。いいと思います」
「ははっ。ありがとな」
かなり長いポニーテールといっていいのだろうか。
腰よりも長さのある洋子さんの髪が若干高めの位置で一つにくくられていた。
「ポニーテールというよりも、ドラゴンテールって言ったほうがいいかもな」
思わずポツリと呟く。
「なんか言ったか? クロ」
耳ざとくそれを聞きつけ、洋子さんは俺にヘッドロックをかけてきた。
「くっ! ギブギブギブ。別に悪い意味じゃありませんって。ポニーより長いから、ドラゴンかなって思っただけで」
「そうか。まあ、確かにそうだよな」
かけられたときと同じように、あっさりと俺のヘッドロックは外される。
頬に感じた柔らかさがなんだったのか、その正体について考えないことにする。
咲のやつがなにげに、ジト目で俺のことを睨んでるからな。
「そういえば洋子さん、テストの方はどうだったんですか?」
「テスト? ああ、別に問題なかったよ」
「ぐふふ。洋子先輩、こう見えて成績優秀だから」
「だよなー。なんか、俺の周りそういう人多い」
「なんだよそれ、まるで落ちこぼれに見えるみたいじゃないか」
「そこまでは言わないですけどね。バイク通学とか、校則破りまくりじゃないですか」
「バイクと成績は関係ねえ」
「まあ、それは確かに」
「ってか、いいかクロ。勉強はしておくに越したことはない。なぜなら、成績さえよければ教師連中はこっちを疑わないからだ」
「うわ。やばすぎる意見」
「だが真理」
そのあとしばらく、洋子さんによるいかにして自分がバイク通学に目をつけられないようにしているかのレクチャーが続いた。
「うん。わかればいい」
やや長めのトークにぐったりとしはじめたころ、洋子さんの話は終わった。
「じゃあ本題に入りましょうか」
「だな」
今日の本題。それは夏休み中の部活動についてだ。
別にいつものようにダラダラとやったりやらなかったり、完全に部室を閉めてしまったりしてもいいのだが、そのあたりを書面にして先生に提出しなければならないのだ。
まあ、警備の問題とかいろいろあるのだろう。
最近は生徒本人だったとしても、休日中の学校に入るにはいろいろ手続きが必要だったりするからな。
「とりあえず、平日の午後はやってることにしておく?」
「そうだな。暇つぶしに顔出すかもしれないし」
「私は夏期講習があるから、あまり来られない」
「あ、私も」
「なんだお前ら。夏休みなのに勉強するのか?」
「だって来年は受験生だよ?」
「うっ」
咲と緑青に、いつの間にか差をつけられてしまっていた。
洋子さんは面白いものでも見るかのように、俺たちを見ている。
「あ、そういえば……」
洋子さんの視線のおかげで、俺はあることを思い出した。
「秋彦さんへの連絡どうします? 洋子さん、連絡先知ってますか?」
「あー、いたなそういえば」
「ぐふふ。たぶん大丈夫」
「ん? なんでだ緑青」
「あの人、漫画描きだから」
「漫画を描いてるとなにかあるのか?」
「夏は忙しい。たぶん、部室に来ようとも思わないはず」
「よくわからんが……まあ、それで問題ないならいいか」
「あとあの人は? えーっと……エリ……エイ?」
「エイィリ・サビォナンド先輩な」
「あー、田中ならほっといてもいいだろ。別に正式な部員じゃないんだし」
「ダメですよ洋子さん本名で呼んじゃ」
「だって田中は田中じゃんか」
「ふふふっ。前に本名で呼んで、泣かれちゃったんです。それ以来、トラウマになってるみたいで」
「俺、あの人苦手なんですよ。傍から見てる分には面白いんですけど」
「あー、まあな。意外としつこいしな」
サビォナンド先輩のことを思い出したせいか、俺はもうひとりのマント女子のことをも思い出してしまった。
「あ、洋子さん知ってます? この学校に、もうひとりマントの生徒がいるの」
「ああ、ジャーゴンだろ? ジュピター計画を遂行しようとしてる」
「知ってましたか」
「くくっ。あいつな、私のことを火星の戦士だって」
「はあ?」
「面白いよな。同じマントでも、田中とは大違いだ」
「だから本名やめてくださいよ」
「はははっ」
そんな感じで今日の部活の時間は過ぎていった。
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