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接吻
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彼の手がグラスを持つ手の前に差し出される。暗に、もう飲むのはいいだろう、次はお楽しみの時間だって言っているみたい。
グラスを渡すと、静かにテーブルに置き、すっと顔が近づく。
「えっ、なに……?」って慌てて後ろに引くと、「なんて綺麗なんだ」と、感嘆したように呟いた。
彼の二重の美しい瞳には、キャンドルの炎の残影とともに、わたしの顔が映っている。こんなに間近で、面と向かって「綺麗だ」と言われたのは初めてだと思う。お酒で火照っているはずの頬が、ますます紅潮し、熱を帯びていく。
「なんて綺麗なんだ」という言葉が、頭の中で繰り返し反芻される。もっと綺麗な人はいっぱいいますよっていう理性的な考えは頭の中から追い出され、わたしの心を惑わす魔法の言葉として心に残る。「なんて」というところに、彼の思いが強く伝わったような気がして、うれしさと恥ずかしさに視線を逸らした。
その瞬間、唇が重なった。
シャンプーの匂いだろうか、微かな清潔感溢れる匂いにうっとりしながら、柔らかな唇の感覚にしばし我を忘れた。
「やっぱり好きな人とのキスっていいですね」
照れた顔をする。それなのに視線はわたしから離さない。「わたしもキスっていいな」という心の言葉は、彼の二度目のキスでかき消された。
今度は、彼の舌が口の中に入ってきた。その刹那、ワインの香りと味が口いっぱいにに広がる。
彼の舌は、力強く灼けるように熱かった。それは、まるで性交してるかのよう。わたしの口腔を犯すように口の中を蹂躙する。すぐ間近にある彼の顔は、獲物をとらえたという嗜虐に満ちたものに感じられた。
わたしはゾクソクとした昂ぶりに身体が火照り、自分から彼に舌を捧げた。ねっとり結びつく彼とわたし。
「ぅ、んっ……ぁ、っ……はぅっ、んっ……ぁ、あっ」
わたしと彼は、顔を右に左と動かしながら、舌が激しく絡み合う。わたしは、感極まったように、首に腕を回し、もっと、もっとと彼を求める。
舌のざらざらとした感触に身を焦がすような熱さ。甘い感覚が、頭をボォーとさせ、脳を痺れさせた。こんなに情熱的なキスは初めてではないだろうか。まして、自分から求めるなんて。
「はふぅ……あ、ぁんっ……チュッ……んんっ、ぅぅんっ」
舌と舌が動くたびに、唾液を弾く淫らな水音となって、物音一つない部屋に響いた。薄暗い部屋に灯す優しげな明かりと彼と織りなす愛の交換が、ますますわたしを大胆にさせる。
首に巻き付けた手に力を入れ、顔を押しつけ、舌を奥深くまで入れた。すると、わたしの舌に、彼の唾液が送られてきた。それが、何とも甘美で、女をダメにする媚薬に感じてしまう。
蜂蜜のように甘い彼のモノが、喉奧へと流れ込み、ゴクンという音と一緒にわたしの身体へと吸い込まれていく。身体が心地良い火照りに満ち、下腹部がきゅんとなる。
きっとわたしは、この甘いムードに興奮し、発情しているのだと思う。魅惑的な瞳で見つめられながら、次々と唾液を流し込まれることで、理性と羞恥は洗い流され、快楽という誘惑に支配されていくような気がした。
「ぅぅんんっ……はぁっ」
口を離した彼は、わたしに拘束されたまま、身も心も溶かすような甘い笑みを浮かべ、「愛しているよ」と言う。キャンドルから届く炎の熱が、わたしをさらに熱くさせる。「わたしも」と熱い吐息が漏れ、再び彼にキスをした。
貪るように舌に絡みつき、手で彼のシャツのボタンを外す。迸る欲望に突き動かされ、彼をソファーに押し倒すと、ベルトを外し、手を下着にかけると、一気に脱がした。すると、天を衝くように彼の肉棒が
ムクッと起き上がった。
肉棒はカチコチに勃起していた。手に触れると、火傷しそうなほど熱く、ピクピクと物欲しそうに動いている。太く逞しい肉棒をそっと手で包み込んだ。すると、彼の身体がピクッと反応し、綺麗な顔が気持ちよさそうに仰け反った。
それがなんだかうれしくて、唇を開き、カリのよく発達した亀頭をパクッと咥えた。そのまま唇に力を入れて締め、ゆっくりと扱き出す。ただ、目線は上げ、彼の反応を片時も逃がすまいと観察する。
「冴子さんが、まさかこんなに積極的だなんて」
彼は、上半身を起こし、わたしの頭を撫で、されるがままでいた。腹筋はうっすらと割れていて、引き締まっていて、キャンドルの光の当たり具合なのか映画の一シーンのように官能的で、悩ましい。
「ぅっ、ぅんっ……嫌だった……ですか?」
勢いで、男を押し倒し、フェラチオをするなんて人生で初めてのことだ。だいたいフェラチオ自体、これまでそれほど経験がない。自分がこれまでSEX自体に受け身だったというのもあるが、男性器を好んで口に入れたいとも思わなかったのだ。
そんなフェラチオ第二処女のようなわたしに、何か特別なテクニックがあるわけもなく、ただやみくもに口に咥えた肉棒を扱き続けた。
「いいえ。うれしい誤算……?ってやつです」
そんなわたしを愛おしそうに見つめていた。
「あふっ、ぅ、んっ……はぁ、っ、…むぅっ」
ソファーの下には、抑えきれない欲望を如実に表したかのように、服が散乱している。フェラチオから服を脱がされ、生まれたままの姿で彼と抱き合い、ディープキスを交わしていた。
彼の肌にぴったりくっついていると、温もりと安心感で心が満たされる。激しい唾液の交換は、まるで獣のようであり、これからのSEXを想像し、身体が自然と昂ぶっていった。
ハァ、ハァと息が荒くしながら、情熱的にお互いを求め、一つになろうとしていた。
「冴子さん、縛っていいですか?」
彼の甘い声に、ドキリと心臓を跳ねさせた。彼は、自ら自分をサディストだと告白していた。予想されていたことではあるが、単刀直入に切り出されると、心が追いついていかなかった。それでも、彼に失望されたくはないし、正直興味もある。
コクリと頷くと、彼は、近くの引き出しからスカーフを取り出してきた。
大きな手が、わたしの手を掴み、後ろ手へ持っていく。
力強い手が、わたしの手を握り締め、動けなくしようとしている。身動き取れなくなるのだと考えるだけで、胸の鼓動が速くなり、ドクッドクッという音が頭の奥まで響いた。
柔らかなスカーフが、手首の周りをしゅるしゅるるっと滑り、やがて、交差した手首が、キュッと絞られた。締められた瞬間、不思議と子宮が疼いてしまう。
わたしの微妙な変化に気付いたように、彼の瞳の奥に妖しい光が揺れている。
「腕……きつくないですか?」
「大丈夫です」
「よかったです。スカーフで縛ったので、腕に跡もつかないと思います。冴子さん……とても綺麗です」
ソファーに裸で座るわたしの真後ろから、そう耳元で囁いた。耳が、それだけで真っ赤になってしまい、火照りが引かない。
「恥ずかしいです。裸なのに縛られて……。キャンドルの火を消してくれませんか?」
背中からとはいえ、裸を見られていることに、恥ずかしさが先に出てしまう。今は、ソファーの上で体育座りをし、膝で胸を隠している。わたしのコンプレックスは、胸が申し訳ない程度にしかないことだ。
実はそれも誇張して言っている。平らといっていい胸に、乳首だけがはっきりと自己主張していた。
「それはダメです」
彼には珍しく拒否された。それでも食い下がる。
「でも、恥ずかしいので暗くして欲しいです」
「それなら……」
「なっ、何を」
後ろから、わたしの目が塞がれ、一瞬のうちに闇の世界へと放り込まれた。どうやら、アイマスクか何かで目隠しをされたようだ。手を縛られれば、それを防ぎようがない。
「これで恥ずかしくないでしょう」
いや目隠しをされても、恥ずかしいものは恥ずかしい。それに目が見えないということは、視覚が遮断され、何をされるか分からないから余計に不安が募る。
「いや、やっぱり外して」
「目が見えなくなると、ドキドキしますよね。ぼくも興奮しているんです。冴子さんが、試してみたいって言ったんですよ。大人しく調教されてください」
声は相変わらず優しく、甘いのに、逆らえないのはなぜだろう。彼の命令口調に、理性と羞恥が消し飛び、うっとりと惚けてしまう。わたし自身、彼に調教されたがっているのだろう。
「い、やです……」
心にもない断りの言葉。でも、そんなの彼は見透かしていた。
「何が嫌なのかな……?」
意地の悪いトーンで聞かれ、フゥーーーと耳に熱い息がかかった。その上、耳朶をカリカリッと甘噛みされては、悶えるしかなかった。
耳は、元々感じやすく、敏感だという自覚はある。それを知ってか知らずか、歯先で優しく噛まれると、「ぁ、ああっ、んっ……」という喘ぎ声が漏れてしまう。
グラスを渡すと、静かにテーブルに置き、すっと顔が近づく。
「えっ、なに……?」って慌てて後ろに引くと、「なんて綺麗なんだ」と、感嘆したように呟いた。
彼の二重の美しい瞳には、キャンドルの炎の残影とともに、わたしの顔が映っている。こんなに間近で、面と向かって「綺麗だ」と言われたのは初めてだと思う。お酒で火照っているはずの頬が、ますます紅潮し、熱を帯びていく。
「なんて綺麗なんだ」という言葉が、頭の中で繰り返し反芻される。もっと綺麗な人はいっぱいいますよっていう理性的な考えは頭の中から追い出され、わたしの心を惑わす魔法の言葉として心に残る。「なんて」というところに、彼の思いが強く伝わったような気がして、うれしさと恥ずかしさに視線を逸らした。
その瞬間、唇が重なった。
シャンプーの匂いだろうか、微かな清潔感溢れる匂いにうっとりしながら、柔らかな唇の感覚にしばし我を忘れた。
「やっぱり好きな人とのキスっていいですね」
照れた顔をする。それなのに視線はわたしから離さない。「わたしもキスっていいな」という心の言葉は、彼の二度目のキスでかき消された。
今度は、彼の舌が口の中に入ってきた。その刹那、ワインの香りと味が口いっぱいにに広がる。
彼の舌は、力強く灼けるように熱かった。それは、まるで性交してるかのよう。わたしの口腔を犯すように口の中を蹂躙する。すぐ間近にある彼の顔は、獲物をとらえたという嗜虐に満ちたものに感じられた。
わたしはゾクソクとした昂ぶりに身体が火照り、自分から彼に舌を捧げた。ねっとり結びつく彼とわたし。
「ぅ、んっ……ぁ、っ……はぅっ、んっ……ぁ、あっ」
わたしと彼は、顔を右に左と動かしながら、舌が激しく絡み合う。わたしは、感極まったように、首に腕を回し、もっと、もっとと彼を求める。
舌のざらざらとした感触に身を焦がすような熱さ。甘い感覚が、頭をボォーとさせ、脳を痺れさせた。こんなに情熱的なキスは初めてではないだろうか。まして、自分から求めるなんて。
「はふぅ……あ、ぁんっ……チュッ……んんっ、ぅぅんっ」
舌と舌が動くたびに、唾液を弾く淫らな水音となって、物音一つない部屋に響いた。薄暗い部屋に灯す優しげな明かりと彼と織りなす愛の交換が、ますますわたしを大胆にさせる。
首に巻き付けた手に力を入れ、顔を押しつけ、舌を奥深くまで入れた。すると、わたしの舌に、彼の唾液が送られてきた。それが、何とも甘美で、女をダメにする媚薬に感じてしまう。
蜂蜜のように甘い彼のモノが、喉奧へと流れ込み、ゴクンという音と一緒にわたしの身体へと吸い込まれていく。身体が心地良い火照りに満ち、下腹部がきゅんとなる。
きっとわたしは、この甘いムードに興奮し、発情しているのだと思う。魅惑的な瞳で見つめられながら、次々と唾液を流し込まれることで、理性と羞恥は洗い流され、快楽という誘惑に支配されていくような気がした。
「ぅぅんんっ……はぁっ」
口を離した彼は、わたしに拘束されたまま、身も心も溶かすような甘い笑みを浮かべ、「愛しているよ」と言う。キャンドルから届く炎の熱が、わたしをさらに熱くさせる。「わたしも」と熱い吐息が漏れ、再び彼にキスをした。
貪るように舌に絡みつき、手で彼のシャツのボタンを外す。迸る欲望に突き動かされ、彼をソファーに押し倒すと、ベルトを外し、手を下着にかけると、一気に脱がした。すると、天を衝くように彼の肉棒が
ムクッと起き上がった。
肉棒はカチコチに勃起していた。手に触れると、火傷しそうなほど熱く、ピクピクと物欲しそうに動いている。太く逞しい肉棒をそっと手で包み込んだ。すると、彼の身体がピクッと反応し、綺麗な顔が気持ちよさそうに仰け反った。
それがなんだかうれしくて、唇を開き、カリのよく発達した亀頭をパクッと咥えた。そのまま唇に力を入れて締め、ゆっくりと扱き出す。ただ、目線は上げ、彼の反応を片時も逃がすまいと観察する。
「冴子さんが、まさかこんなに積極的だなんて」
彼は、上半身を起こし、わたしの頭を撫で、されるがままでいた。腹筋はうっすらと割れていて、引き締まっていて、キャンドルの光の当たり具合なのか映画の一シーンのように官能的で、悩ましい。
「ぅっ、ぅんっ……嫌だった……ですか?」
勢いで、男を押し倒し、フェラチオをするなんて人生で初めてのことだ。だいたいフェラチオ自体、これまでそれほど経験がない。自分がこれまでSEX自体に受け身だったというのもあるが、男性器を好んで口に入れたいとも思わなかったのだ。
そんなフェラチオ第二処女のようなわたしに、何か特別なテクニックがあるわけもなく、ただやみくもに口に咥えた肉棒を扱き続けた。
「いいえ。うれしい誤算……?ってやつです」
そんなわたしを愛おしそうに見つめていた。
「あふっ、ぅ、んっ……はぁ、っ、…むぅっ」
ソファーの下には、抑えきれない欲望を如実に表したかのように、服が散乱している。フェラチオから服を脱がされ、生まれたままの姿で彼と抱き合い、ディープキスを交わしていた。
彼の肌にぴったりくっついていると、温もりと安心感で心が満たされる。激しい唾液の交換は、まるで獣のようであり、これからのSEXを想像し、身体が自然と昂ぶっていった。
ハァ、ハァと息が荒くしながら、情熱的にお互いを求め、一つになろうとしていた。
「冴子さん、縛っていいですか?」
彼の甘い声に、ドキリと心臓を跳ねさせた。彼は、自ら自分をサディストだと告白していた。予想されていたことではあるが、単刀直入に切り出されると、心が追いついていかなかった。それでも、彼に失望されたくはないし、正直興味もある。
コクリと頷くと、彼は、近くの引き出しからスカーフを取り出してきた。
大きな手が、わたしの手を掴み、後ろ手へ持っていく。
力強い手が、わたしの手を握り締め、動けなくしようとしている。身動き取れなくなるのだと考えるだけで、胸の鼓動が速くなり、ドクッドクッという音が頭の奥まで響いた。
柔らかなスカーフが、手首の周りをしゅるしゅるるっと滑り、やがて、交差した手首が、キュッと絞られた。締められた瞬間、不思議と子宮が疼いてしまう。
わたしの微妙な変化に気付いたように、彼の瞳の奥に妖しい光が揺れている。
「腕……きつくないですか?」
「大丈夫です」
「よかったです。スカーフで縛ったので、腕に跡もつかないと思います。冴子さん……とても綺麗です」
ソファーに裸で座るわたしの真後ろから、そう耳元で囁いた。耳が、それだけで真っ赤になってしまい、火照りが引かない。
「恥ずかしいです。裸なのに縛られて……。キャンドルの火を消してくれませんか?」
背中からとはいえ、裸を見られていることに、恥ずかしさが先に出てしまう。今は、ソファーの上で体育座りをし、膝で胸を隠している。わたしのコンプレックスは、胸が申し訳ない程度にしかないことだ。
実はそれも誇張して言っている。平らといっていい胸に、乳首だけがはっきりと自己主張していた。
「それはダメです」
彼には珍しく拒否された。それでも食い下がる。
「でも、恥ずかしいので暗くして欲しいです」
「それなら……」
「なっ、何を」
後ろから、わたしの目が塞がれ、一瞬のうちに闇の世界へと放り込まれた。どうやら、アイマスクか何かで目隠しをされたようだ。手を縛られれば、それを防ぎようがない。
「これで恥ずかしくないでしょう」
いや目隠しをされても、恥ずかしいものは恥ずかしい。それに目が見えないということは、視覚が遮断され、何をされるか分からないから余計に不安が募る。
「いや、やっぱり外して」
「目が見えなくなると、ドキドキしますよね。ぼくも興奮しているんです。冴子さんが、試してみたいって言ったんですよ。大人しく調教されてください」
声は相変わらず優しく、甘いのに、逆らえないのはなぜだろう。彼の命令口調に、理性と羞恥が消し飛び、うっとりと惚けてしまう。わたし自身、彼に調教されたがっているのだろう。
「い、やです……」
心にもない断りの言葉。でも、そんなの彼は見透かしていた。
「何が嫌なのかな……?」
意地の悪いトーンで聞かれ、フゥーーーと耳に熱い息がかかった。その上、耳朶をカリカリッと甘噛みされては、悶えるしかなかった。
耳は、元々感じやすく、敏感だという自覚はある。それを知ってか知らずか、歯先で優しく噛まれると、「ぁ、ああっ、んっ……」という喘ぎ声が漏れてしまう。
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