ドSに溺れて

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星空と朝日

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 最後のキャンドルの炎が消えると、外から照らすの月の斜光が、キャンドルの揺れる白煙を幻想的に映し出していた。目隠しをしていたので気付かなかったが、外は真っ暗闇から、月を守護するように星々達が瞬いている。

 ベッドに移動し、体位を変えて、何度も愛し合った。後ろ手に縛られたスカーフだけは外れたけど。

 そして、今彼の上に跨がり、肉棒を蜜壺に入れて、腰を落としていく。

「はぁっ、ぁあっ」

 ズーンと脳の奥まで痺れるような快感に、思わず身体を仰け反らせる。

 目の前のガラス張りの先には、星と月で彩る夜空と闇夜に隠れる海が映っていた。月明かりによるかすかな陰影が、ゆらゆらと波打つ海と判別できる。

 開いた窓からは、潮風の匂いと波の音が忍び込み、自分達が自然の中でSEXしているような気分さえしてきた。

 ただ、月光は、闇夜を照らすだけではなかった。

「冴子さん、とてみ綺麗だ。月の光に感謝しなくちゃ」

 彼の誘導に乗って、騎乗位になったのは失敗だった。まさか、月明かりで、わたしの裸体が、彼の目にはっきりと晒されてしまうのだから。

 体位を変えようかと思ったその時、逃すまいと腰をがっちり掴まれ、下からズーーンと貫かれた。亀頭が、膣壁を擦り、子宮口まで届く。

「はぁ~~っ、ああああっ……は、激しい……ぁぁああっ、おかしくなっちゃう」

 腰を跳ね上げ、ジェットコースターに乗っているような浮遊感を感じたと思ったら、蜜壺を貫いた肉棒は、さらに膣奥を責め立ててきた。わたしの弱いところを執拗に責め続け、獣のような喘ぎ声をあげさせるのだった。

 わたしは、彼の身体の上で月光のスポットライトを浴び、淫らなダンスを踊る。それを楽しそうに下から眺めていた。

 あ~ぁぁ、これがドSというのか。なんて官能的で、冷酷なんだろう。わたしをどんどんイヤラシイ女に変えていく。それが、どれだけ、刺激的で、魅力的なのか。ゾクゾクするような被虐の歓びに、彼の期待通りに踊ってしまう。

「だ、だめぇぇ……あ゛ぁ゛あ゛ああ、壊れちゃうぅ……壊れちゃうよ」

 たまらず、わたしは、彼に倒れ込み抱きついた。ふわっとした石鹸の香りと彼の体臭に包まれる。

 祐介さんの匂いだ。

 息も絶え絶えになりながら、彼の頭にひしっと抱きつき、匂いを吸い込んだ。脳の隅々まで彼の色に染め上げられたような気がして、笑みを浮かべるわたしは変態かもしれない。でも仕方がないわよね、匂いフェチなんだから。

 彼は、抱き締められたまま、わたしの身体ごとピストン運動を続けた。パンパンパンという下腹部を打ちつける音が、波の音を掻き消すように月夜に響いた。

 そのときだ。

 パシーーンという大きな音とともにわたしの臀部に痛みが走った。

「ぁあぁんっ」

 お尻を叩かれた……?

 臀部にヒリヒリとした熱い火照りがいつまでも冷めない。それどころか、ゾクゾクとした被虐心が頭の芯まで痺れさせた。

 パシーーーーーン

「あ~~~ぁあんっ、いいっ……」

 再びお尻を叩かれ、わたしは、はっきりと媚びるような甘い声を上げ、もっと、もっと叩いてとでもいうように、腰を揺らした。

「ハァ、ハァ……叩かれてうれしいんだね……とんでもない……ハァ、変態さんだ」

 彼は、膣奥をさらに抉り、これまでにない嬉しそうな声で、臀部の左右を叩く。肉棒が、ムクムクとさらに膨らんだ。彼が昂ぶっているのが粘膜で感じる。

「あぁんっ、だ、だって……はぁああっ」

 人に叩かれるのは、生まれて初めてのことだ。彼が、ドSであると告白されたときから覚悟はしていた。叩かれた今、わたしも思っていた以上に興奮している。

「だってじゃないよ、ハァ、ハァ……お仕置きが必要……ハァ、だね」

 さらに叩かれたお尻が、ジンジンと炎のような熱さを放ち、禁断の媚薬となって子宮をたまらなく疼かせた。

 あ~~、たまらない……

 くちゅっ、ぬちゅっという淫靡な水音を立てながら、気持ち良さそうに膣壁を擦る肉棒を、切なそうにきゅっきゅっと締めつけてしまう。

「ひぃ、ひぃいいいっ……あ゛ぁ~~~ぁぁ、もっと……もっと叩いて」

 お尻を叩かれて、わたしのたがが外れてしまった。発情した獣のように、自ら快楽を貪り始めた。羞恥心という言葉は置き去りにし、彼の頭をぎゅっと抱き締め、本能のまま腰を振った。わたしの肉襞が、彼の肉棒に絡みつき、きゅっきゅ、きゅっきゅと扱き続ける。勃起し切った乳首が、彼の肌に擦れて、脳が溶けそうだ。

「ぼくもイキそう。冴子さん、冴子……」

 彼も限界なのか、精子を放出したくて、ますます激しく抽送する。ハァ、ハァという荒い息と余裕のない声が、わたしを狂わた。

「わたしも……わたしもイッちゃう……ぁあああっ、もうイッちゃうのぉ……おかしくなる……ぁああああっ」

 コンドームを装着している肉棒が、ぐっと膨らみ、膣壁を拡げる。それが気持ち良くて、無意識に膣内が蠕動し、肉棒を絞りあげた。

「あぁぁぁ、はぁっ、いいっ……祐介さん…ぁぁ、も、もう……イくっ、イくっ……イくぅぅぅう、ぁぁああっ」

「出すよ……」

 「ぅうっ」という声と一緒に、最後に子宮口をじゅり、じゅりっと擦り上げ、亀頭の先からもの熱い精子が一気に噴出した。ドクッ、ドクッとわたしの中に彼のものが出されていく。

 薄いコンドーム越しに射精を感じ、心の中からうれしさが込み上げ、痙攣しながら彼の身体をぎゅっと抱き締めるのだった。
 






 島に生まれ、島で育った生粋の島人しまんちゅだ。

 自然遺産にも選ばれた世界にも誇れる美しい海に囲まれた島に住んできた……はずだ。東京に4年間過ごしたけど。

 そんなわたしの目の前に広がる透き通るような青い空とどこまでも透き通った海には、心から感動せずにはいられなかった。波が寄せる砂浜は、誰も歩いた跡もなく、まっさらな美しさを誇っている。

 沖縄か?ハワイか?それとも、地中海のリゾートか?

 ここはどこなんだと、ツッコミたくなる。

「おはようございます、冴子さん」 

 目が覚めたのか、彼は頭を肘立てした腕で支え、優しい笑みをたたえていた。二重の綺麗な瞳に見つめられると、ドキッとしてしまい、慌ててシーツで裸体を隠した。

「おはようございます、祐介さん。起こしてしまいました?」

 朝の光が、彼の顔をはっきり映し出している。センタパートに分けた真っ黒な髪が、キラキラと光りを浴びて輝いていた。

 あっ、睫毛長いんだとか、鼻筋綺麗だなとか、ついまじまじと顔を観察してしまっている自分がいた。

「いいんです。寝過ぎというほど寝ましたから」

 時計を見ると、朝の8時を過ぎていた。

 こんなにゆっくり朝の時間を過ごすのは久しぶりだ。花屋は朝が早いので、いつも朝はバタバタしている。外からは、ゆったりとした波の音が聞こえ、わたしを癒やしてくれる。時が止まったような、優雅で贅沢な気分。

「冴子さんは、眠れましたか?」

「えぇ、たっぷりと」

 南国とはいえ、5月なのに潮風が夏を思わせる暑さと香りを届けてくれる。学生の時に、この香りで感じた夏の解放感が思い出された。島に帰ってしばらく忘れていたが、この感覚がたまらなく好きだった。

 これでリゾート音楽でも聴ければ最高ね

「よかった。今日は昼からの出勤でしたよね……?」

「そうです。午前中は、三原さんが店を開いてくれてます」

 昨日、木原さんと付き合うことになったことを伝えると、三原さんは、「若い人の素敵な話を聞くとわたしまで元気になります。楽しんできてくださいね」と言って、進んで次の日のことまで引き受けてくれた。三原さんの中では、もう泊まり前提なのねってそのときは思ったけど、今となっては三原さんに感謝だ。まぁ、その分、あとでいろいろ聞かれるのでしょうけど。

 波の音に誘われて、絶景の海へと視線を戻した。

「そういえば、海に一人で来るのは気が引けるっていいませんでした?すぐ目の前に海があるなら、行く必要もないですもんね」

「海が大好きで、前はあちこちの海岸に行ってました。父が海が好きで、わざわざここに別荘を建てたぐらいですから、その血を譲り受けたのだと思います。妻が死んでからは、家から出るのも億劫だったのですが、冴子さんに会って、一緒に海を見に行きたくなったのです」

 そう言って、少し寂しそうに笑う。

 亡くなった奥さんのことを聞きたいと思ったが、心がブレーキをかけた。まだ踏み込めない。黙って海鳥が優雅に飛ぶ海を眺めた。

「冴子さんに会えてよかった」

 温かい眼差しで見つめる彼に、ドギマギしていると、唇を奪われ、そのままベッドに押し倒されてしまった。









 2階から3階に上がり、ガラス張りの窓から外を眺めると、絵葉書のような美しい風景が広がっていた。この風景をたった二人で独占しているのかと思うと、すごく贅沢な気持ちになる。

 澄んだ青い海を前にして、わたしの身体には、一枚の白いシーツが覆っているだけ。しかも、一枚のシーツを彼と一緒に包んでいるのだ。他人に見られることはないとはいえ、恥ずかしさに悶えるしかない。

「身体を窓につけて立ってくれますか……?」

「な、何を……するんです?」

 彼の妖しく灯る瞳から、不安が募った。

「さぁ、何をすると思います……?さぁ、早く」

 促されて、仕方なく身体を窓につけると、彼は、シーツを奪い、横へ放り投げた。視界に入り始めた太陽の光が、わたしの裸体を煌々と照らしている。

 こんな明るい中で裸を晒すなんて……

 心臓の鼓動が、際限なく早くなり、ドクン、ドクンとうるさい。

 慌てて体を隠そうとするが、両手は、彼の手によって窓に磔にされてしまう。

「ぅぅ~~~ん゛っ」

 強引に口を奪われ、情熱的なキスをされると、もう抵抗する気はなくなっていた。

 それを察した彼は、わたしの乳首を指でカリカリと引っ掻き始めた。それだけで腰が砕けそうになった。

 ピーンと勃起した乳首を指で弾かれ、甘い疼きが、誘惑に弱いわたしの身体をダメにする。

「もうここをこんなに固くさせて。悪い子ですね」

 この人教師だったなと思いながら、指をピンピンと弾かれ、乳首を弄られると、どこから出ているのか分からないほど淫らな喘ぎ声が響くと、自分が本当に悪い子になったような気がしてくる。

「ぁあんっ、あぅぅっ……乳首は感じすぎてしまうから……ぁ、ひぃいいっ……イッ、イジメないで」

「どれどれ。どれほどエッチな乳首をしているのかぼくが試してあげますよ」

「はぅっ……ぅぅうんんっ……チュッ……はぁっ、ぅぅん」

 キスで羞恥心を粉々に砕き、わたしの胸の敏感な先を思う存分もてあそばれる。

 こうなるとわたしは、快楽に溺れることに誰よりも忠実な女となる。内股を切なそうに擦っていると、彼の太腿が割って入ってきて、股間へぐっと押しつけてきた。

「ぁあ~~んっ、ああぁぁっ」

 灼けるように熱い蜜壺に接した太腿は、愛液によってヌルッヌルッと滑らかに滑る。膣襞も陰核も同時に擦られ、乳首を引き千切らんばかりに捻られては、華やかな薔薇の花園を彷徨うしかなかった。

 ピクン、ピクンと身体が跳ね、愛液が太腿を伝って、垂れ落ちていった。ポタポタと床に溜まっていく。

「惚けていないで、お尻をこっちに向けるんです。冴子さんのエッチな穴に入れてあげますから」

 言われるまま、背中を彼に向けると、燃えたぎった怒張が、一気にわたしの中に突き刺してきた。めくるめく快感に大量の脳内麻薬が放出され、霞んだ瞳には、見たこともない桃源郷が広がっていた。

「あ゛あ゛ぁぁぁ、ぃ、いっ~~~!気持ちいい……あぅんんっ、ぁぁっ、あっ、あっ、ぁああっ」

「恥ずかしがっていたわりには、大喜びですね。そんなに露出するのがうれしかったんですか……?」

「あ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅっ、ち、違うの……ぁ、ぁああっ、ぁ、ひぃ、ひぃいいっ」

「何が違うんですか。こんなにぼくのモノを締めつけて。本当は、自分の淫らな姿をいろんな人に見てもらいたかったんでしょう?」

「ぃ、やぁぁ……いや、いや……ぁぁあああっ、も、もう」

 彼のサディスティックな言葉責めに、身体中が燃え上がる。盛った身体に、さらに狂えと、後ろから肉棒で私の弱いところを執拗に突き続け、乳首を責め嬲る。

「なら、これはどうですかね。ドMの冴子さんなら気に入ってもらえると思うんですけど」

 強烈な快感に全身をガクガクと震わせ、幸せな絶頂がすぐそこまで迫っていた。その瞬間、仰け反らせ突き出した胸の尖りに、パチンと乳首クリップを挟まれた。可憐で柔らかな乳首の根元が、クリップによって哀れにも潰される。

「ひぃぎぃいいいーーーぁぁぁあああっ、いぐっ、いぐっ……ぁああああっ、いぐぅうぅうう」

「どうやら気に入ってくれたみたいだね」

 彼は、小刻みに痙攣し、絶頂のまっただ中にいるわたしの媚肉をさらに激しく貫いてくる。

「あ゛あ゛ぁあ゛ああっ、イッった……イッたから……ぁ、ひぃ、あひぃいいっ……」

「ほらっ、もっとぼくを喜ばせなよ。こんなへっぴり腰じゃ、ダメだろう……?」

 ドスン、ドスンと勢いよく腰を打ちつけられ、前のめりになったわたしは窓にへばりついてしまう。ガラスには、乳首クリップを挟まれた乳首が押し潰され、裸体の版画のようになっていた。

 そこへ、パチーーーーーンと平手が容赦なく叩き込まれた。

「お゛ぉぉお゛~~~っ、だめぇぇぇ……おかしくなるぅぅ……あぅ、あっ、あっ、あああっ」

「こうやってお尻叩かれるのが好きな癖に。もっとおねだりしたらどう……?」

「あ゛ぁ゛ぅ゛ぅぅう゛っ、あぁぁぁ……ごめんなさい……ごめんなさい……ぁ、ひぃいいっ、もっと……もっと叩いてくださぃぃぃっ」

「しょうがないですね。愛する冴子さんのためですから、仕方なく叩いてあげますよ」

 言葉とは裏腹に、弾んだ声で、臀部の左右を打ち鳴らす。

「ぉっ、おっ、おぉぉおおっ……祐介様……またイッちゃいます……ぁあああっ、もうだめぇぇぇぇ」

 そのとき、もう片方の乳首に、乳首クリップが噛みついた。ジーーーンと痺れるような電流が、身体の芯を貫き、大きな快感の渦がわたしを呑み込んでいった。

「いぐっ、いぐぅううう……ぅ゛~~~~んんっ」

 霞んだ瞳の先に、穏やかな海が、この世の楽園に見えた。わたしは、雁字搦めに縛られた鎖から解きはなれたような解放感に、心の底からの悦びを感じるのだった。
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