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『モリス領にて大規模な魔物災害が発生。しかし、住民の避難は完了していたのか死者数はゼロ。
なお、モリス領の領主、フィリップ・モリスの行方は不明』
モリス領から出て10日ほどした頃、私の耳にそのような情報が飛び込んできた。が、どうでもいい。
それにしても大規模な魔物災害か。半年も支配されていたら、その反動でそれぐらいになってもおかしくないか。
流石にこうなるとは思わなかったけど。
ちなみに住民の避難が完了しているのは、領地を出る際に私が事前に話しておいたのだ。
避難する場所がないなら、私の父様が治めている『フィーベル領』に来るといい、とも。
『フィーベル領』は現段階でもひとが住める領地はそれなりに広いが、未開拓の領域が多く存在している。
だから、その領域を開拓する人手は多い方がいいかなという私の独断でその判断をした。
決して可哀想だからという理由ではない。
「そういえば……」
モリス領から早馬で届けられたらしい差出人不明の手紙を渡されたのを思い出した。
恐らく、差出人はフィリップだろう。追放した私に何の用だろう。宛先は書いてないが、フィーベル領とモリス領の境にある検問所で渡されたのだ。
どうして私宛だと分かったのかは聞かなかったが、多分、この手紙を届けた人間の伝言によるところだろう。
「えーと、なになに?」
私は封筒を開封して、手紙に目を通した。
『――お前のせいで、俺の領地が滅びかけている。魔物災害を引き起こしたのはお前だから、さっさと戻ってこい。
それとフレイアも連れ戻せ。俺の財産をすべて持ち逃げしやがった。俺の言うことを聞いてくれたら婚約を結び直してやる。だから、早く帰ってこい。このブス』
急いで書いたからか汚くて読めない字が多かったが、多分、こんな感じの内容だと思う。
……まず最初に言っていい? ブスはいらないでしょブスは。
それにあのゴミ妹は何をしてんの? フィーベル家から勘当されてお金がないからって……。
……まあ、いいか。多分、今ごろ魔物に襲われて喰い殺されているだろうから。
フィリップは……まあ、放っとこうかな。
私はこうなると忠告したし、婚約を結び直すとか言っている辺り、何も反省してないのが丸わかりだから、誰に頼まれても戻ってなどやらない。
なので、勝手にモリス領は滅びてください。
フィリップも死んでください。
「……帰りましょうか」
受け取った手紙をビリビリに破り捨てて、父様と母様が待つ屋敷へと帰ることにした。
勝手にモリス領の人を避難させてしまったから、話すことが多いからね。
『――モリス領にて行方不明だったフィリップ・モリスが屋敷の地下で死亡が確認されました。
また、この事態に乗じてモリス家の屋敷から多額の資産を盗んだとされる女性の身柄を確保し――』
そんな情報を耳にしたのは、フィーベル家の屋敷に戻って5日目のことだった。
なお、モリス領の領主、フィリップ・モリスの行方は不明』
モリス領から出て10日ほどした頃、私の耳にそのような情報が飛び込んできた。が、どうでもいい。
それにしても大規模な魔物災害か。半年も支配されていたら、その反動でそれぐらいになってもおかしくないか。
流石にこうなるとは思わなかったけど。
ちなみに住民の避難が完了しているのは、領地を出る際に私が事前に話しておいたのだ。
避難する場所がないなら、私の父様が治めている『フィーベル領』に来るといい、とも。
『フィーベル領』は現段階でもひとが住める領地はそれなりに広いが、未開拓の領域が多く存在している。
だから、その領域を開拓する人手は多い方がいいかなという私の独断でその判断をした。
決して可哀想だからという理由ではない。
「そういえば……」
モリス領から早馬で届けられたらしい差出人不明の手紙を渡されたのを思い出した。
恐らく、差出人はフィリップだろう。追放した私に何の用だろう。宛先は書いてないが、フィーベル領とモリス領の境にある検問所で渡されたのだ。
どうして私宛だと分かったのかは聞かなかったが、多分、この手紙を届けた人間の伝言によるところだろう。
「えーと、なになに?」
私は封筒を開封して、手紙に目を通した。
『――お前のせいで、俺の領地が滅びかけている。魔物災害を引き起こしたのはお前だから、さっさと戻ってこい。
それとフレイアも連れ戻せ。俺の財産をすべて持ち逃げしやがった。俺の言うことを聞いてくれたら婚約を結び直してやる。だから、早く帰ってこい。このブス』
急いで書いたからか汚くて読めない字が多かったが、多分、こんな感じの内容だと思う。
……まず最初に言っていい? ブスはいらないでしょブスは。
それにあのゴミ妹は何をしてんの? フィーベル家から勘当されてお金がないからって……。
……まあ、いいか。多分、今ごろ魔物に襲われて喰い殺されているだろうから。
フィリップは……まあ、放っとこうかな。
私はこうなると忠告したし、婚約を結び直すとか言っている辺り、何も反省してないのが丸わかりだから、誰に頼まれても戻ってなどやらない。
なので、勝手にモリス領は滅びてください。
フィリップも死んでください。
「……帰りましょうか」
受け取った手紙をビリビリに破り捨てて、父様と母様が待つ屋敷へと帰ることにした。
勝手にモリス領の人を避難させてしまったから、話すことが多いからね。
『――モリス領にて行方不明だったフィリップ・モリスが屋敷の地下で死亡が確認されました。
また、この事態に乗じてモリス家の屋敷から多額の資産を盗んだとされる女性の身柄を確保し――』
そんな情報を耳にしたのは、フィーベル家の屋敷に戻って5日目のことだった。
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