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1話

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「あらあら、負け犬のお姉さまじゃないですか? お元気ですか? あたしは元気です。
 お姉さまに魅力がないせいで、エルス様を可愛い可愛い私に寝取られちゃいましたね。
 でも、私を選んだのはエルス様なんだから、いちゃもんなんてつけてこないでよね?」

 私の義妹――イザベラは、とても醜い笑みを貼り付けながら言った。
 その表情から読み取るに、「ざまぁ」とでも言いたいのだろう。

 こうなるように、仕向けたのはあなたなのに。

「あれ~、お姉さま。もしかして、泣いちゃいました? 可哀想に。お金持ちで超イケメンのエルス様に捨てられてしまいましたものね。わかりますよ、その気持ち。
 私なら、死にたくなりますもん。
 だから、ほら。あなたもそこの窓から飛び降りてみたら? お姉さまの味方になってくれる人はどこにもいないし、生きてる意味ないでしょ?」

 そう言って、地上から軽く5メートルは離れている窓を指差したイザベラは、くすくすと笑う。

「まぁ、お姉さまにそんな度胸ないか。あったらすでに死んでいるか、どこか遠くに行っているだろうし。
 でも、そうしないってことは、もしかして――まだ夢を見てるのかしら? エルス様はもう、私のものなのに」

「……そうね、そうかもしれない。
 でも、ダメだった。私がどれだけ違うと訴えても、エルス様は信じてくれなかった。
 私は今まで悪事なんて働いたこともないし、男の人に股を簡単に開く売女でもない。
 それなのに、あなたが彼を誑かして、あることないこと吹き込んだせいで、私は――っ!」

「――で? それがなにか問題でも? 別にいいじゃない。お姉さまにエルス様はもったいないし、私にとってみんなから慕われるお姉さまは、とても……目障りで鬱陶しかったんだから」

「確かに、私にエルス様は釣り合わない。考え方も、価値観もなにも合わなかったから。
 でも、それだけでよかったじゃない! 私からエルス様を奪うだけで、よかったじゃない……。
 目障りだったなら、家から出て行ってほしいって、言ってくれたら私だって……」

「あっそ。じゃあ、出ていけば? エルス様も、お姉さまには一生会いたくないって言ってたし」

「……そう。わかったわ」

 私はもうすべてを諦めることにした。
 なにもかもを奪われたのに、これからも生きていく自信は私にはない。

「ふ~ん、死ぬんだ。まぁ、私はとても嬉しいけど」

「……じゃあね。経験人数3桁で中絶回数13回の、ガバガバ尻軽ビッチのイザベラちゃん」

 そう最後に、誰にも知られたくないだろう事実を吐き捨てた私は、窓から飛び降りた。

 来世は幸せになれることを願って……。
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