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レラニアとグレイル (毒薔薇視点)
しおりを挟むジーク様とリラジエが出て行くのを見ながら、何故か私の中に言い知れぬ不安が募っていく。
……この不安は何なのかしら?
私の準備も計画も完璧なはずなのに。
(グレイルだって、ちゃんと騙せてるはずだもの)
だけど、まさかリラジエがグレイルにあそこまで拒否反応を示すなんて思わなかったわ。
あんな態度取られたら、さすがのグレイルだって変に思っちゃうじゃないの!
とりあえず、さっきは誤魔化せたと思うけどね。
「だけど、グレイルも、何が『良い女になった』よ! 何処がよ!! 目が節穴なんじゃないの!?」
リラジエはいつだって、私よりも地味で冴えなくてパッとしないつまらない子でいてくれないと困るのよ……!
「ジーク様だって……恋人同士とか……何言ってんのかしら」
私の目の前でイチャついた事がどうしても許せない。
ジーク様の目も早く覚ませてあげないとね。
あんなお子様より絶対私の方がいいに決まってるもの!
◇◇◇
「なぁ、リラジエの様子おかしくなかったか?」
「……え?」
支度を終えたグレイルが私を迎えに来た。
たいへん不本意だけど、今日の私のエスコートはグレイル。
(何でこんな冴えない男が私のエスコートなのよ)
いつもなら、私に群がる男達の中で一番見目がいい男をパートナーにする所なんだけどね。
今回ばかりは仕方ないわ。
「おかしいって何が?」
「……んー、何かあんまり俺に会えて嬉しそうじゃなかったって言うか……」
「言ったでしょう? 嬉しくて固まってたって」
「そうなのか?」
「あの子はそういう性格なのよ! グレイルも知ってるでしょう?」
ったく、余計な事考えるんじゃないわよ!
本当にお父様にしてもグレイルにしても……使えないわね。
あーあ、早く見たいわ。
あの時みたいなリラジエの絶望した顔。
「まぁ、いっか。でもまぁ、思ってたより良い女になってて驚いたよ。昔のまんまじゃお子様すぎて絶対無理だったけどな」
その言葉に私の眉がピクリと反応する。
「ね、ねぇ? リラジエが良い女になったって、あれ本気で言っていたわけ?」
あぁ、無性に腹立つわ。
誘惑するのは2人が結婚してからと思ってたけど、今でもいいかもね……
「そうだけど? なぁ、あれって俺のためにー……って何だよ? 変な顔して」
「だって、ずるいわ……リラジエばかり……」
「へ?」
「私は? 私は魅力が無いかしら?」
ふふ、グレイルがたじろいでるわ。情けないのねぇ。
「いや、レラニアはほら、昔からさ……魅力たっぷりで……」
「まぁ、嬉しいわ」
そう言って私はグレイルに抱き着く。
もちろん、胸を押し付けるのを忘れない。
今日のドレスは胸も強調してるから、これでイチコロでしょ!
(男なんて単純だからね……本当にバカよね)
「お、おい! レラニア!」
「何かしら?」
「そ、そんな、くっつくなよ……目のやり場が……」
へぇ、これくらいで、赤くなっちゃうのねぇ。
意外と初心?
まぁ、どうでもいいわ。とりあえず、リラジエにはお似合いかもね。
(どうせ、あの子はキスすらした事ないでしょうし……ふふ)
「えぇ? グレイルったらいやらしいのね」
「ち、違っ! 俺だって……その……って、おい!」
「……」
「……」
面倒になったので、私からキスをしてあげたわ。
だけど、ハッキリ言って下手くそ!
こんな男、やっぱり、リラジエにこそお似合いだわ。
早いとこリラジエに押し付けて、ジーク様を返してもらわなきゃね。
あぁ、本当に楽しみ。
今までは、リラジエにどうでもいい男を押し付けては、私との差を見せつけて楽しんで来たけど、あの子の好きな人を奪うのはこの男以来だもの。
(しかも、ジーク様はグレイルなんかと比べるまでもなく最高の男!)
ねぇ、リラジエ。
あなたの知らない所で決まったグレイルとの婚約を暴露される時のあなたはどんな顔を見せてくれるかしら?
私、本当に楽しみで楽しみで仕方が無いのよ。
だから、どうか素敵な顔をみせて頂戴ね?
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